弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人A、同Bの弁護人大山菊治、同大西美中の上告趣意第一点について。
 所論は原判決中第三の(一)で被告人Aが被告人Bの超過販売(判示第一の(一))
につき斡旋をしたと認定しているけれども、この点については起訴がないと主張す
るに帰する。よつて起訴状を見ると、同日、同村(昭和二三年一月三〇日頃a村に
おいての意である。)において、C外一名がその生産に係る煮干いわし二七六貫及
び塩干いわし一〇三貫をD外二名に対し売却するに当り斡旋した旨の記載がある。
そして右外一名とは被告人Bに関するものであることは一件記録によつて明であつ
て、その日時、場所、数量等悉く原判決認定の事実に照応するものが起訴状に記載
されていることが判る。されば原判決には所論の違法はなく、論旨は理由がない。
 同第二点について。
 所論原判示第一の(一)後段の被告人Bが塩干いわし二五貫を超過販売した事実
については、原判決では被告人Aの斡旋によつたものとして判示されて居り、被告
人Aもこの点について原審公判廷で自供しているから、右両被告人の自供は何れも
相互に補強していることがわかる。原判決が被告人の当公廷における各自関係部分
につき判示同旨の各供述と証拠説明をしているのは、右の趣旨と解すべきである。
右の外塩干いわしについてはEの始末書の記載も被告人Aの自白を補強していると
解することができる。従て原判決は刑訴応急措置法一〇条三項に違反した違法はな
い。論旨は理由がない。
 同第三点について。
 前段同様被告人Aの自白については原判決は被告人B及びCの各自供、E、F、
Dの各始末書をもそれぞれの関係部分の証拠として挙げているから所論の違法はな
ない、論旨は理由がない。
 同第四点について
 物価統制令三条違反の行為があつた後に、同令に基く統制額指定の廃止があつて
も、旧刑訴法三六三条にいう「犯罪後ノ法令ニ依リ刑ノ廃止アリタルトキ」に当ら
ないことは、昭和二三年(れ)八〇〇号同二五年一〇月一一日大法廷判決の示すと
おりである。論旨は理由がない。
 よつて刑訴施行法二条、旧刑訴法四四六条により主文の通り判決する。
 右は裁判官全員一致の意見である。
 検察官 福島幸夫関与
  昭和二五年一二月一日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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