弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
     控訴費用は控訴人の負担とする。
         事    実
 控訴代理人は控訴の趣旨として原判決を取消す。被控訴人が昭和二十四年四月二
十七日別紙第一目録記載の不動産について為した買収申請却下処分のうち別紙第二
目録記載の部分についてはこれを取消す。訴訟費用は被控訴人の負担とする旨の判
決を求め、被控訴代理人は主文同旨の判決を求めた。
 当事者双方の事実上の主張は当審で控訴代理人において原判決書二枚目表十一行
目中「又本件宅地は原告の」とあるを「又本件宅地は被告の」と訂正した外原判決
摘示の通りであるからここにこれを引用する。
 証拠関係は当審で控訴代理人において甲第十三乃至十七号証、甲第十八号証の一
乃至三、甲第十九号乃至三十号証、甲第三十一号証の一、二を提出し、証人A、
B、C、D、控訴人E本人の各尋問を求め、当審検証の結果を援用し被控訴代理人
において証人Fの尋問を求め、甲第十三、十五、二十号証を不知と答えその余の右
甲号各証の成立を認めた外原判決摘示の通りであるからここにこれを引用する。
         理    由
 先づ被控訴人の本案前の抗弁について判断する。
 <要旨>本件買収申請却下行為は行政庁である被控訴人が控訴人の有する公法上の
権利義務について国家の意思を表示しその結果控訴人に対し法律上の効果を
及ぼすことを目的とする行為であるから所謂抗告訴訟の対象たる行政処分であると
言わねばならぬ。従つて被控訴人に対しこれが取消を求める控訴人の本訴請求は適
法であり被控訴人の抗弁は理由がない。
 次に控訴人が自作農創設特別措置法の規定によつて買収された農地の売渡を受け
て自作農となつたこと、控訴人が訴外Gから別紙第一目録記載の宅地建物を賃借し
そこで農業を営んでいること控訴人が右措置法第十五条第一項同法施行規則第七条
の規定により昭和二十四年一月三十日被控訴人に対し右宅地建物の買収申請をした
ところ同年四月二十七日被控訴人が該申請を不相当として却下したことは当事者間
争のないところである。
 そこで被控訴人の為した右却下処分の当否について判断する。
 成立に争のない甲第三号証、原審証人H、Iの各供述によれば控訴人は元逓信省
に勤務していたが公傷によつて退職したので昭和十五年頃畑約三畝歩な借受け農業
を始め右却下処分のあつた当時たる昭和二十四年四月頃においては三反余の畑地を
耕作していたこと、控訴人の妻Hは本件建物において表具商を営み、控訴人の長男
Iは新制中学校の教官をしていたこと、右三者の収入によつて控訴人一家の生計が
樹てちれていたことを認めることができ更に成立に争のない甲第一号証、甲第三号
証、甲第四号証の一乃至三、甲第九号証、甲第十号証、甲第二十二号証、乙第二号
証、原審における証人I(一部)、J、Fの各供述、当審における証人Fの供述、
原審及び当審における各検証の結果を綜合すれば本件買収申請却下処分当時控訴人
の営む農業はその所得の面より見れば妻Hの表具商所得、長男Iの給与所得の合計
よりも遙に少く従つてその生計の支柱を為すものとは言い難く従つて副業的なもの
として営まれていたこと、本件宅地建物のイ置構造等よりみて商業用店舗として利
用される場合の価値は大であるけれども農業用としてはそれに比して価値が僅少で
あること、本件建物は床板の下に甘藷を貯蔵する設備をしてある外取り立てて言う
程の農業用の施設はしてないけれども表道路に面した一室は完全に妻Hの表具商の
店舗として設備しこれに使用されていること本件建物を全般的にみれば商業用店舗
又は単なる住宅とは言い得ても農業用施設とは言い得ないこと、本件地上には住宅
倉庫等建込み買収申請の対象たる土地及び家屋はその一部であつてこの家屋と他の
倉庫等及び各その敷地が所有者又は使用者を異にするときは通路等の関係上その利
用につき多大の不便を来す状態にあるのみならず本件宅地並に建物の価値が全体と
して半減することを認定するに充分であつてこの認定に反する原審における証人
H、I(一部)K、控訴人Eの各供述、当審における控訴人Eの供述、当事者間そ
の成立に争のない甲第七号証の記載内容は前記の証拠に照し採用することができな
い。果してそうだとすればこのような事情においてはたとえ控訴人が自作農創設特
別措置法第三条第十六条により自作農となつた者であり又本件宅地建物について控
訴人が賃借権を有するとしても買収農地に附帯しこれを買収する相当の理由がある
ものとは認められない。よつて別紙第一目録記載の物件について控訴人の買収申請
を却下した被控訴人の処分は正当であり従つてその一部につき取消を求める控訴人
の本件請求は理由のないものとして棄却すべく、これと同旨に出た原判決は相当で
あるから民事訴訟法第三百八十四条第一項を適用して本件控訴を棄却することとし
控訴費用の負担について同法第八十九条を適用し主文の通り判決する。
 (裁判長裁判官 平井林 裁判官 藤間忠顕 裁判官 組原政男)
 (別紙目録第一、第二省略)

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