弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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平成30年5月8日宣告
平成29年(わ)第385号,第449号,平成30年(わ)第49号
主文
被告人を懲役2年6月に処する。
未決勾留日数中90日をその刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,社団法人A協会(平成24年4月1日以降は公益社団法人A協会)の
経理担当従業員として,同協会の預貯金管理等の業務に従事していたものであるが,
第1(平成29年12月6日付け起訴状記載の公訴事実)
同協会名義のB銀行の振替口座の貯金を同協会のため業務上預かり保管中,
平成24年1月4日,高知市a町b番c号C郵便局において,自己の用途に費
消する目的で,同振替口座から現金53万9340円を払い戻し,もって横領
した
第2(平成29年12月27日付け起訴状記載の公訴事実)
同協会名義のB銀行の振替口座の貯金を同協会のため業務上預かり保管中,
別表1記載のとおり,平成23年12月27日から平成25年12月26日ま
での間,3回にわたり,前記C郵便局において,自己の用途に費消する目的で,
同振替口座から現金合計236万9800円を払い戻し(ただし,別表1番号
2については,情を知らないDに払戻手続をさせて,払い戻し),もって横領
した
第3(平成30年3月13日付け起訴状記載の公訴事実)
同協会名義のE銀行の普通口座の預金を同協会のため業務上預かり保管中,
別表2記載のとおり,平成24年4月27日から平成27年8月4日までの間,
7回にわたり,高知市d町e番f号E銀行F支店において,自己の用途に費消
する目的で,同口座から現金合計445万円を払い戻し,もって横領した
ものである。
(証拠の標目)(省略)
なお,判示第3の別表2番号1の事実については,引出金額のうち4万円の部分
につき,「gフェアのために使うつもりだった」などと弁解する被告人の警察官調書
があり(乙11),その弁解内容は具体的で,それなりに信ぴょう性がある。これに
よれば,上記4万円につき,引出しによる横領行為の時点において,被告人が不法
領得の意思を有していたか,必ずしも明らかでないことになる。本件で提出された
証拠の中には,引出金額全額が被害金である旨をいう被害法人代表者の供述調書(甲
25)や被告人の検察官調書(乙18)もあるが,これらはいずれも具体性を欠く
もので,上記弁解を排斥できるほどのものではない。他に,上記弁解を排斥する適
切な証拠もないから,上記事実に係る被害金額については,判示の限度で認定する
こととする。
(法令の適用)
被告人の判示各所為はいずれも刑法253条に該当するが,以上は同法45条前
段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により犯情の最も重い判示第2の
別表1番号2の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役2年6月に
処し,同法21条を適用して未決勾留日数中90日をその刑に算入することとする。
(量刑の理由)
本件は,公益社団法人の経理担当従業員として,同法人の預貯金管理等の業務に
従事していた被告人が,3年7か月余りの間に,11回にわたって自己費消目的で
預貯金を払い戻し,横領した事案である。
被害額は,合計730万円余りと高額に上り,被害は甚大であるところ,被告人
からは,これまで被害弁償はされていない。また,本件犯行の態様をみると,被告
人は,高級ブランド品等をクレジット払いで購入することを繰り返し,自己の収入
では到底賄いきれない支払義務を負い,その支払日の支払等に窮する度に横領行為
を繰り返してきたもので,犯行が継続した期間及び横領額に鑑み,他人の財産を侵
害することに対する被告人の罪悪感は相当に希薄になっていたものと見ざるを得な
い。本件は,常習性の明らかな事案である。
以上によれば,被告人の刑事責任は重く,実刑は免れない。
一方,本件被害は,上述のとおり,長期にわたり,被害額も多額に及んだもので
あるが,これが可能となったのは,被告人一人に実質的な経理業務が任され,その
適正な遂行を担保する体制が必ずしも十分ではなかったことにも一因があり,本件
各犯行の態様自体は比較的単純なものであったといえる。このほか,被害の一部に
とどまるものではあるが,被告人が所有する資産の換価による被害弁償を見込むこ
とができること,被告人が事実を認め,公判廷で被害関係者への謝罪の弁を述べる
など,真摯な反省の態度を示していること,前科前歴がないことなど,被告人に有
利に斟酌できる事情もある。
そこで,これらの事情を刑期を定めるにあたって考慮し,主文掲記の懲役刑を量
定した。
(求刑懲役3年)
平成30年5月8日
高知地方裁判所刑事部
裁判官山田裕文

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