弁護士法人ITJ法律事務所

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       主   文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
       事   実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告は、別紙目録l(一)ないし(三)及び同3(一)ないし(三)記載のヘ
ア・カーラー用クリップ及び同2(一)ないし(三)記載の毛髪用カーラーを製造
販売してはならない。
2 被告は、右1のヘア・カーラー用クリップ及び毛髪用カーラー及びその半製品
を廃棄せよ。
3 被告は、原告に対し、二〇〇〇万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から
支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。
4 訴訟費用は被告の負担とする。
5 仮執行宣言
二 請求の趣旨に対する答弁
主文同旨
第二 当事者の主張
一 請求の原因
(意匠権に基づく請求)
1 原告は、昭和五七年七月九日、次の意匠権(以下「本件意匠権」といい、その
登録意匠を「本件意匠」という。)に係る意匠登録出願をし、同大〇年四月一二
日、その意匠権設定の登録を経由した。
意匠に係る物品 ヘアカーラー用クリップ
出願 昭和五七年七月九日
優先権主張 同年二月一二日(米国)
登録 同六〇年四月一二日
登録番号 第六五五六一二号
登録意匠の内容 本判決添付の意匠公報(以下「本件意匠公報」という。)記載の
とおり
2 被告は、昭和五八年頃から、業として、別紙目録l(一)ないし(三)記載の
ヘア・カーラー用クリップを製造し、右クリップ各複数本を、これと組み合わせて
用いる同目録2(一)ないし(三)記載の毛髪用カーラー(以下順次「被告装置
(一)」、「被告装置(二)」、「被告装置(三)」という。)各複数本及び一個
の蒸気発生器等とで一セットとして、商品名を「ビナールモイスチャーカーラー」
とするヘア・カーラー装置を販売している。
また、被告は、遅くとも平成二年四月から、業として、別紙目録3(一)ないし
(三)記載のヘア・カーラー用クリップを製造し、右クリップ各複数本を、これと
組み合わせて用いる毛髪用カーラー各複数本及び一個の蒸気発生器等とで一セット
として、商品名を「ビナール一六」、
「ビナール良い旅」とするヘア・カーラー装置を販売している。
3 本件意匠と別紙目録1及び3の各(一)ないし(三)記載のヘア・カーラー用
クリップの意匠を対比すると、次のとおりである。
(一) 本件意匠と別紙目録l(一)記載のヘア・カーラー用クリップの意匠(以
下「被告意匠(一)」という。)との対比
(1) 被告意匠(―)は、次の点において、本件意匠と共通している。
(ア) 側面図において、全体の約三分の二の円の形状になるクリップ体であるこ
と。
(イ) 正面図及び背面図において、このクリップ体の下側約二分の一以上の部分
に、それぞれ等問隔に九本のほぼ一定幅及び一定深さの逆U字形切込溝が設けら
れ、それらの問及び両端に、一〇本の一定長さ及びほぼ一定幅のU字形脚片を形成
し、該U字形脚片の幅は、溝の幅よりも二倍以上広く、また、各脚片の溝側の側面
外角は、面取りされてテーパ面となっていること。
(ウ) 平面図において、クリップ体の脚片以外の部分(以下「背部」という。)
の長さ方向に、一定間隔で、二個(クリップ体の長さ方向に中心線(以下「中心
線」という。)を想定して、同中心線に対して左右対称(以下「左右対称」とい
う。))、一個(中心線上)、二個(左右対称)の順に千鳥足状に合計一六個の小
孔が配置されていること。
(2) 被告意匠(一)は、次の点において、本件意匠と相違している。
(ア) 被告意匠(一)は、脚片の幅が溝の幅の約二倍であるのに対し、本件意匠
は、脚片の幅が溝の幅の約二・五倍であり、また、被告意匠(一)は、脚片の長さ
(溝の深さ)がクリップ体の下側約三分の二弱であるのに対し、本件意匠は、脚片
の長さ(溝の深さ)がクリップ体の下側約三分の一・五(二分の一)強であり、更
に、被告意匠(一)は、脚片の先端部が溝の方へ溝の幅の約半分程度延び出した弧
状突起を有するのに対し、本件意匠は、右のような突起を有しないこと。
(イ) 被告意匠(一)は、背部の一六個の小孔がクリップ体の幅方向に細長く形
成されているのに対し、本件意匠は、背部の小孔が円形であること。
(ウ) 被告意匠(一)は、
クリップ体の長さ方向の端部(以下「クリップ体端部」という。)から第二、四、
七及び九番目の脚片に、背部の小孔と同じ幅の長孔が形成されているのに対し、本
件意匠は、脚片に右のような長孔が存在しないこと。
(3) 右(1)の共通部分は、極めて特異な意匠を提供している。そもそも、本
件意匠と同種の意匠は、本件意匠の意匠登録出願前に存在しなかったから、本件意
匠における物品の全体形状や小孔、切込溝、脚片の基本的構成は、この種物品の主
要部分を占めるとともに、本件意匠の基本的な構成要素である。したがって、右共
通部分が存在する限り、被告意匠(一)は、本件意匠に類似する。
 他方、右(2)の差異部分は、クリップ体全体の大きさに対してごく小さい部分
を占めるにすぎず、また、右の共通部分による基本的な美観に対して全体の美観を
左右する程度の特異な美観を生じていないので、右共通部分から得られる美観に対
してほとんど影響しない。
(二) 本件意匠と別紙目録1(二)記載のヘア・カーラー用クリップの意匠(以
下「被告意匠(二)」という。)との対比
(1) 被告意匠(二)は、次の点において、本件意匠と共通している。
(ア) 側面図において、全体の約三分の二の円の形状になるクリップ体であるこ
と。
(イ) お正面図及び背面図において、このクリップ体の下側約二分の一を超える
部分に、それぞれ等間隔に九本のほぼ一定幅及び一定深さの逆U字形切込溝が設け
られ、それらの間及び両端に、一〇本の一定長さ及び一定幅のU字形脚片を形成
し、該U字形脚片の幅は、溝の幅よりも二倍以上広く、また、各脚片の溝側の側面
外角は、面取りされてテーパ面となっていること。
(ウ) 平面図において、背部の長さ方向に、一定間隔で、一〇列の小孔が配置さ
れており、そのうちクリップ体端部から第一、三、五、六、八及び一〇列目は、左
右対称の比較的小さい小孔からなっていること。
(2) 被告意匠(二)は、次の点において、本件意匠と相違している。
(ア) 被告意匠(二)は、脚片の幅が溝の幅の約二倍であるのに対し、本件意匠
は、脚片の幅が溝の幅の約二・五倍であり、また、
被告意匠(二)は、脚片の長さ(溝の深さ)がクリップ体の下側約三分の二強であ
るのに対し、本件意匠は、脚片の長さ(溝の深さ)がクリップ体の下側約三分の
一・五(二分の一)強であり、更に、被告意匠(二)は、脚片の先端部が溝の方へ
溝の幅の約半分程度延び出した弧状突起を有するのに対し、本件意匠は、右のよう
な突起を有しないこと。
(イ) 被告意匠(二)は、背部の小孔のうち、クリップ体端部から第二、四、七
及び九列目の小孔がその余の列の小孔より大きく、かつ、左右対称に対となって配
置されているのに対し、本件意匠は、背部の小孔のうち、クリップ体端部から第
二、四、七、及び九列目の小孔がその余の列の小孔と同一の大きさで中心線上に一
個配置されており、また、被告意匠(二)は、背部の小孔がクリップ体の幅方向に
細長く形成されているのに対し、本件意匠は、背部の小孔が円形であること。
(ウ)被告意匠(二)は、クリップ体端部から第二、四、七及び九番目の脚片に、
背部の小孔のうち小さい方の小孔と同じ幅の長孔が形成されているのに対し、本件
意匠は、脚片に右のような長孔が存在しないこと。
(エ) 被告意匠(二)は、クリップ体の幅及び高さが大きく、本件意匠よりやや
ずんぐりした形になっていること。
(3) 右(1)の共通部分は、極めて特異な意匠を提供している。そもそも、本
件意匠と同種の意匠は、本件意匠の意匠登録出願前に存在しなかったから、本件意
匠における物品の全体形状や小孔、切込溝、脚片の基本的構成は、この種物品の主
要部分を占めるとともに、本件意匠の基本的な構成要素である。したがって、右共
通部分が存在する限り、被告意匠(二)は、本件意匠と類似する。
 他方、右(2)の差異部分は、クリップ体全体の大きさに対してごく小さい部分
を占めるにすぎず、また、右の共通部分による基本的な美観に対して全体の美観を
左右する程度の特異な美観を生じていないので、右共通部分から得られる美観に対
してほとんど影響しない。
(三) 本件意匠と別紙目録1(三)記載のヘア・カーラー用クリップの意匠(以
下「被告意匠(三)」という。)との対比
(1) 被告意匠(三)は、次の点において、本件意匠と共通している。
(ア) 側面図において、全体の約三分の二の円の形状になるクリップ体であるこ
と。
(イ) 正面図及び背面図において、このクリップ体の下側約二分の一を超える部
分に、それぞれ等間隔に九本のほぼ一定幅及び一定深さの逆U字形切込溝が設けら
れ、それらの間及び両端に、一〇本の一定長さ及びほぼ一定幅のU字形脚片を形成
し、該U字形脚片の幅は、溝の幅よりも倍以上広く、また各脚片の溝側の側面外角
は、面取りされてテーパ面となっていること。
(ウ) 平面図において、背部の長さ方向に、一定間隔で、二個(左右対称)、一
個(中心線上)、二個(左右対称)の順に千鳥足状に合計一六個の小孔が配置され
ていること。
(2) 被告意匠(三)は、次の点において、本件意匠と相違している。
(ア) 被告意匠(三)は、脚片の幅が溝の幅の二倍であるのに対し、本件意匠
は、脚片の幅が溝の幅の約二・五倍であり、また、被告意匠(三)は、脚片の長さ
(溝の深さ)がクリップ体の下側約三分の二弱であるのに対し、本件意匠は、脚片
の長さ(溝の深さ)がクリップ体の下側約三分の一・五(二分の一)強であり、更
に、被告意匠(三)は、脚片の先端部が溝の方へ溝の幅の約半分程度延び出した弧
状突起を有するのに対し、本件意匠は、右のような突起を有しないこと。
(イ) 被告意匠(三)は、背部の小孔のうち、クリップ体端部から第二、四、七
及び九列目の小孔がその余の列の小孔より大きく、かつ、中心線上の一個の外に左
右対称に対になって配置されているのに対し、本件意匠は、背部の小孔のうち、ク
リップ体端部から第二、四、七及び九列目の小孔がその余の列の小孔と同一の大き
さで中心線上に一個配置されており、また、被告意匠(三)は、背部の小孔がクリ
ップ体の幅方向に細長く形成されているのに対し、本件意匠は、背部の小孔が円形
であること。
(ウ) 被告意匠(三)は、クリップ体端部から第二、四、七及び九番目の脚片
に、背部の小孔のうち小さい方の小孔と同じ幅の長孔が形成されているのに対し、
本件意匠は、
脚片に右のような長孔が存在しないこと。
(エ) 被告意匠(三)は、クリップ体の幅及び高さが大きく、本件意匠よりやや
ずんぐり形になっていること。
(3) 右(1)奇の共通部分は、極めて特異な意匠を提供している。そもそも、
本件意匠と同種の意匠は、本件意匠の音産登録出願前に存在しなかったから、本件
意匠における物品の全体形状や小孔、切込溝、脚片の基本的構成は、この種物品の
主要部分を占めるとともに、本件意匠の基本的な構成要素である。したがって、右
共通部分が存在する限り、被告意匠(三)は、本件意匠と類似する。
 他方、右(2)の差異部分は、クリップ全体の大きさに対してごく小さい部分を
占めるにすぎず、また、右の共通部分による基本的な美観に対して全体の美観を左
右する程度の特異な美観を生じていないので、右共通部分から得られる美観に対し
てほとんど影響しない。
(四) 本件意匠と別紙目録3(一)記載のヘア・カーラー用クリップの意匠(以
下「被告意匠(四)という。)との対比
(1) 被告意匠(四)は、次の点において、本件意匠と共通している。
(ア) 側面図において、全体の約三分の二の円の形状になるクリップ体であるこ
と。
(イ) 正面図及び背面図において、このクリップ体の下側約二分の一強の部分
に、それぞれ等間隔に多数本の一定幅及び一定深さの逆U宇形切込溝が設けられ、
それらの問及び両端に、多数本の一定長さ及び一定幅のU字形脚片を形成し、該U
字形脚片の幅は、溝の幅よりも二倍強広く、また、各脚片の溝側の側面外角は、面
取りされてテーパ面となっていること。
(ウ) 平面図において、背部の長さ方向に、一定間隔で、二個(左右対称)、一
個(中心線上)、二個(左右対称)の順に千鳥足状に多数個の小孔が設置されてい
ること。
(2) 被告意匠(四)は、次の点において、本件意匠と相違している。
(ア) 被告意匠(四)は、背部の小孔の数及び列が一四個、九列という配置であ
るのに対し、本件意匠は、背部の小孔の数及び列が一六個、一〇列という配置であ
ること。
(イ) 被告意匠(四)は、
背部の小孔がクリップ体の幅方向に細長く形成されるのに対し、本件意匠は、背部
の小孔が円形であること。
(ウ) 被告意匠(四)は、脚片を九対有するのに対し、本件意匠は、脚片を一〇
対有し、また、被告意匠(四)は、クリップ体端部から第二、四、六及び八番目の
脚片に、背部の小孔のうち小さい方の小孔と同じ幅の長孔が形成されているのに対
し、本件意匠は、脚片に右のような長孔が存在しないこと。
(3) 右(1)の共通部分は、極めて特異な意匠を提供している。そもそも、本
件意匠と同種の意匠は、本件意匠の意匠登録出願前に存在しなかったから、本件意
匠における物品の全体形状や小孔、切込溝、脚片の基本的構成は、この種物品の主
要部分を占めるとともに、本件意匠の基本的な構成要素である。したがって、右共
通部分が存在する限り、被告意匠(四)は、本件意匠に類似する。
 他方、右(2)の差異部分は、クリップ体全体の大きさに対してごく小さい部分
を占めるにすぎず、また、右の共通部分による基本的な美観に対して全体の美観を
左右する程度の特異な美観を生じていないので、右共通部分から得られる美観に対
してほとんど影響しない。
(五) 本件意匠と別紙目録3(二)記載のヘア・カーラー用クリップの意匠(以
下「被告意匠(五)」という。)との対比
(1) 被告意匠(五)は、次の点において、本件意匠と共通している。
(ア) 側面図において、全体の約三分の二の円の形状になるクリップ体であるこ
と。
(イ) 正面図及び背面図において、このクリップ体の下側約二分の一強の部分
に、それぞれ等問隔に多数本の一定幅及び一定深さの逆U字形切込溝が設けられ、
それらの間及び両端に、多数本の一定長さ及び一定幅のU字形脚片を形成し、該U
字形脚片の幅は、溝の幅よりも二倍強広く、また、各脚片の溝側の側面外角は、面
取りされてテーパ面となっていること。
(ウ) 平面図において、背部の長さ方向に、一定間隔で、多数組の小孔が規則的
に配置されており、そのうち一部又は全部が一定間隔で、左右対称に対となって配
置されていること。
(2) 被告意匠(五)は、次の点において、
本件意匠と相違している。
(ア) 被告意匠(五)は、背部の一八個の小孔がすべて左右対称に九対配置され
ているのに対し、本件意匠は、背部の一六個の小孔が一〇対配置され、そのうちク
リップ体端部から第二、四、七及び九列目の小孔は、中心線上に配置されているこ
と。
(イ) 被告意匠(五)は、背部の小孔のうち、クリップ体端部から第二、四、六
及び八列目の小孔がその余の列の小孔より大きいのに対し、本件意匠は、背部の小
孔がすべて同一の大きさの小孔であり、また、被告意匠(五)は、背部の小孔がク
リップ体の幅方向に細長く形成されているのに対し、本件意匠は、背部の小孔が円
形であること。
(ウ) 被告意匠(五)は、脚片を九対有するのに対し、本件意匠は、脚片を一〇
対有し、また、被告意匠(五)は、クリップ体端部から第二、四、六及び八番目の
脚片に、背部の小孔のうち小さい方の小孔と同じ幅の長孔が形成されているのに対
し、本件意匠は、脚片に右のような長孔が存在しないこと。
(3) 右(1)の共通部分は、極めて特異な意匠を提供している。そもそも、本
件意匠と同種の意匠は、本件意匠の意匠登録出願前に存在しなかったから、本件意
匠における物品の全体形状や、小孔、切込溝、脚片の基本的構成は、この種物品の
主要部分を占めるとともに、本件意匠の基本的な構成要素である。したがって、右
共通部分が存在する限り、被告意匠(五)は、本件意匠と類似する。
 他方、右(2)の差異部分は、クリップ体全体の大きさに対してごく小さい部分
を占めるにすぎず、また、右の共通部分による基本的な美観に対して全体の美観を
左右する程度の特異な美観を生じていないので、右共通部分から得られる美観に対
してほと人ど影響しない。
(六) 本件意匠と別紙目録3(三)記載のヘア・カーラー用クリップの意匠(以
下「被告意匠(六)」という。)との対比
(1) 被告意匠(六)は、次の点において、本件意匠と共通している。
(ア) 側面図において、全体の約三分の二の円の形状になるクリップ体であるこ
と。
(イ) 正面図及び背面図において、このクリップ体の下側約二分の一強の部分
に、
それぞれ等間隔に多数本の一定幅及び一定深さの逆U字形切込溝が設けられ、それ
らの間及び両端に、多数本の一定長さ及び一定幅のU字形脚片を形成し、該U字形
脚片の幅は、溝の幅よりも二倍強広く、また各脚片の溝側の側面外角は、面取りさ
れてテーパ面となっていること。
(ウ) 平面図において、背部の長さ方向に、一定間隔で、左右対称に千鳥足状に
多数個の小孔が設置されていること。
(2) 被告意匠(六)は、次の点において、本件意匠と相違している。
(ア) 被告意匠(六)は、脚片の長さが全高の約三分の二程度であるのに対し、
本件意匠は、約三分の一・五強(二分の一強)であって、約一五%程度の差がある
こと。
(イ) 被告意匠(六)は、背部の小孔のうち、クリップ体端部から第一、三、
五、七及び九列目の小孔が左右対称に対になって配置され、その余の列の小孔が左
右対称に三個配置されているのに対し、本件意匠は、背部の小孔のうち、クリップ
体端部から第一、三、五、六、八及び一〇列目の小孔が左右対称に対になって配置
され、その余の列の小孔が中心線上に一個配置されていること。
(ウ) 被告意匠(六)は、背部の小孔のうち、クリップ体端部から第二、四、六
及び八列目の小孔がその余の小孔より大きいのに対し、本件意匠は、背部の小孔が
すべて同一の大きさの小孔であり、また、被告意匠(六)は、背部の小孔がクリッ
プ体の幅方向に細長く形成されるのに対し、本件意匠は、背部の小孔が円形である
こと。
(エ) 被告意匠(六)、脚片を九対有するのに対し、本件意匠は、脚片を一〇対
有し、また、被告意匠(六)は、クリップ体端部から第二、四、六及び八番目の脚
片に、背部の小孔のうち小さい方の小孔と同じ幅の長孔が形成されているのに対
し、本件意匠は、右のような長孔を有しないこと。
(オ) 被告意匠(六)は、クリップ体の幅及び高さが大きく、本件意匠よりずん
ぐりした形になっていること。
(3) 右(1)の共通部分は、極めて特異な意匠を提供している。そもそも、本
件意匠と同種の意匠は、本件意匠の意匠登録出願前に存在しなかったから、本件意
匠における物品の全体形状や小孔、
切込溝、脚片の基本的構成は、この種物品の主要部分を占めるとともに、本件意匠
の基本的な構成萎である、したがって、右共通部分が存在す限り、被告意匠(六)
は、本件意匠と類似する。
他方、右(2)の差異部分は、クリップ体全体の大きさに対してごく小さい部分を
占めるにすぎず、また右の共通部分による基本的な美観に対して全体の美観を左右
する程度の特異な美観を生じていないので、右共通部分から得られる美観に対して
ほとんど影響しない。
4 被告は、別紙目録1(一)ないし(三)記載のヘア・カーラー用クリップを製
造販売することが本件意匠権を侵害するものであることを知り、又は過失によりこ
れを知らないで、前2前段のとおり、右クリップを製造販売し、原告は、これによ
り、損害を被ったものであるところ、被告は、昭和六〇年四月一三日から同六一年
四月一二日までの間に、商品名を「ピナールモイスチャーカーラー」とするヘア・
カーラー装置を販売したことにより、二〇〇〇万円を下らない利益を受けた。そし
て、右利益のうち一〇〇〇万円は、被告が本件意匠権侵害の行為により受けた利益
であるから、意匠法三九条一項の規定により、原告が被った損害の額と推定され
る。
5 よって、原告は、被告に対し、本件意匠権に基づき、別紙目録1及び3の各
(一)ないし(三)記載のヘア・カーラー用クリップを製造販売することの差止
め、右クリップ及びその半製品の廃棄並びに損害賠償として1000万円及びこれ
に対する訴状送達の日の翌日から支払済みに至るまで民法所定の年五分の割合によ
る遅延損害金の支払いを求める。
(特許権に基づく請求)
1 原告は、昭和四八年七月一二日、次の特許権(以下「本件特許権」といい、そ
の発明を「本件発明」という。)に係る特許登録出願をし、同五三年一〇月一三
日、その特許権設定の登録を経由した。
発明の名称 ヘア・カーラー
出願 昭和四八年七月一二日
公告 同五三年三月一三日
登録 同年一〇月一三日
特許番号 第九二七八一四号
2 本件発明の特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)
の特許請求の範囲の記載は、
本判決添付の特許公報(以下「本件特許公報」という。)の該当項記載のとおりで
ある。
3 本件発明の構成要件は、次のとおりである。
A 蒸気源とともに使用するためのヘア・カーラーであること
B 長さ方向に沿って一つ又はそれ以上の穴、及び一端に蒸気を導入するための開
口を有する中空芯部材を設けること
C 芯部材の各端にその横断寸法より大きい横断寸法を有するハブを設けること
D 芯部材の周りに多孔質パッドを装着すること
E 三六〇度未満の円周を有する蒸気を通さない蒸気遮蔽体を設けること
F 多孔質パッドを装着した芯部材を、蒸気遮蔽体に対して十分な遊隙をもって並
置させること
G 遮蔽体をハブの一方に着脱自在に結合する手段を設けること
H 蒸気を端部開口を通して芯部材内へ導き、芯部材の穴及び多孔質パッドを通し
て半径方向に排出させるようにすること
I 以上よりなるヘア・カーラー
4 被告は、昭和五八年頃から、業として、被告装置(一)ないし(三)を製造
し、右各複数本を、これと組み合わせて用いる別紙目録l(一)ないし(三)記載
のヘア・カーラー用クリップ各複数本及び一個の蒸気発生器等とで一セットとし
て、商品名を「ビナールモイスチャーカーラー」とするヘア・カーラー装置を販売
している。
5 被告装置(一)ないし(三)は、大きさを異にするだけで、構造を共通にする
ものであるところ、被告装置(一)ないし(三)は、次のとおり、本件発明の構成
要件を充足するから、本件発明の技術的範囲に属する。
(一) 本件発明の構成要件Aは、「蒸気源とともに使用するためのヘア・カーラ
ーであること」であるところ、被告装置(一)ないし(三)は、蒸気源とともに使
用するヘア・カーラーであるから、本件発明の構成要件Aを充足する。
(二) 本件発明の構成要件Bは、「長さ方向に沿って一つ又はそれ以上の穴、及
び一端に蒸気を導入するための開口を有する中空芯部材を設けること」であるとこ
ろ、被告装置(一)ないし(三)は、長さ方向に沿って通孔1、1と一端に開口部
2を有する芯体3が設けられているから、本件発明の構成要件Bを充足する。
(三) 本件発明の構成要件Cは、「芯部材の各端にその横断寸法より大きい横断
寸法を有するハブを設けること」であるところ、被告装置(一)ないし(三)は、
芯体3の横断寸法より大きいリム4、ザが設けられているから、本件発明の構成要
件Cを充足する。
(四) 本件発明の構成要件Dは、「芯部材の周りに多孔質パッドを装着するこ
と」であるところ、被告装置(一)ないし(三)は、芯体3の周りに多孔質体5が
装着されているから、本件発明の構成要件Dを充足する。
(五) 本件発明の構成要件Eは、「三六〇度未満の円周を有する蒸気を通さない
蒸気遮蔽体を設けること」であるところ、被告装置(一)ないし(三)は、三六〇
度未満の円周を有する蒸気を通さないカバー体6が設けられているから、本件発明
の構成要件Eを充足する。
(六) 本件発明の構成要件Fは、「多孔質パッドを装着した芯部材を、蒸気遮蔽
体に対して十分な遊隙をもって並置させること」であるところ、被告装置(一)な
いし(三)は、多孔質体5を装着した芯体3をカバー体6の側面に設けた左右側部
7、7によって十分な遊隙をもって並置させているから、本件発明の構成要件Fを
充足する。
(七) 本件発明の構成要件Gは、「遮蔽体をハブの一方に着脱自在に結合する手
段を設けること」であるところ、被告装置(一)ないし(三)は、カバー体6を、
リム4、4に対して芯体3に着脱自在に結合する手段として係止クリップ(別紙目
録2(一)ないし(三)には記載していない。)を使用しているから、本件発明の
構成要件Gを充足する。
なお、被告装置H及び(二)の係止クリップは、リム4、4を支点としてカバー体
6を押圧的に支持している点で、本件発明の構成要件Gと差異があるが、結局は、
本件発明と同様に、芯体3とカバー体6との所定間隔を置いての結合関係を維持す
るためのものであるとともに、係止クリップが作用しているときは、カバー体6
は、該クリップ側の片方のリム4、4によって運動を拘束され、ハブとの結合関係
を維持しているのであるから、単なる設計変更にすぎない。
(八) 本件発明の構成要件Hは、
「蒸気を端部開口を通して芯部材内へ導き、芯部材の穴及び多孔質パッドを通して
半径方向に排出させるようにすること」であるところ、被告装置(一)ないし
(三)は、蒸気を芯体3の開口部2を通して中空芯内に導入し、その複数の通孔
1、1と多孔質体5を通して半径方向に排出するようにしたものであるから、本件
発明の構成要件Hを充足する。
(九) 被告装置(一)ないし(三)は、本件発明の構成要件1を充足する。
(一〇) 仮に、本件発明の構成要件Aの「蒸気源とともに使用するため」の意味
が、ヘア・カーラーの使用状態において、常に蒸気源と機械的物理的に連通してい
なければならないものと認められたとしても被告装置(一)ないし(三)は、別個
の蒸気源で加熱加水したヘア・カーラーをその熱エネルギーと水分を保有した状態
で毛髪に巻き付け、ヒートセットするというものであるから、被告装置(一)ない
し(三)と本件発明とは、ヘア・カーラーを毛髪に巻き付ける前に熱エネルギーと
水分をヘア・カーラーに供給するか(被告装置(一)ないし(三))、ヘア・カー
ラーを毛髪に巻き付けた状能で熱エネルギーと水分をヘア・カーラーに供給するか
(本件発明)の手順の違いにすぎず、ヘア・カーラー及びその多孔質パッドに水分
と熱エネルギーを共存の状態で供給蓄積し、これを同時的に拡散し、巻回状態の毛
髪に吸取させて短時間に所望の形態の毛髪のヒートセットを行うことにおいて、何
ら変わるところがない。したがって、別個の蒸気源で予め加熱加水するという被告
装置(一)ないし(三)の手段は、本件発明の目的、作用及び発明の構成全体から
みて、本件発明の「蒸気源とともに使用する」という要件と均等の手段と認められ
るべきものである。
6 被告は、被告装置(一)ないし(三)を製造販売することが本件特許権を侵害
するものであることを知り、又は過失によりこれを知らないで、前4のとおり、被
告装置(一)ないし(三)を製造販売し、原告は、これにより、損害を被ったもの
であるところ、被告は、昭和六〇年四月一三日から同六一年四月一二日までの間
に、
商品名を「ビナールモイスチャーカーラー」とするヘア・カーラー装置を販売した
ことにより、二000万円を下らない利益を受けた。そして、右利益のうち一00
0万円は被告が本件特許権侵害の行為により受けた利益であるから、特許法一〇二
条一項の規定により、原告が被った損害の額と推定される。
7 よって、原告は、被告に対し、被告装置ないしを製造販売することの差止め、
被告装置ないし(三)及びその半製品の廃棄並びに損害賠償として一〇〇〇万円及
びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みに至るまで民法所定の年五分の割
合による遅延損害金の支払いを求める。
二 請求の原因に対する認否
(意匠権に基づく請求)
一 請求の原因1のうち、原告が、本件意匠権の設定の登録を経由したことは認め
る。
2 同2は認める。
3 同3(一)ない(三)のうち、各(2)は認めるが、その余は否認する。同3
(四)ないし(六)否認する。
4 同4は否認する。
(特許権に基づく請求)
1 請求の原因1のうち、原告が、本件特許権の設定の登録を経由したことは認め
る。
2 同2は認める、
3 同3のうち、AないしD、G及びHは認めるが、E及びFは否認する。本件発
明の構成要件Eは、「使用者の頭皮を保護するために、三六〇度未満の円周を有す
る蒸気を通さない蒸気遮蔽体を設けること」と、同Fは、「毛髪を前記パッドに巻
きつけて、パッドと前記遮蔽体との間に位置させることができるように、十分な遊
隙をもって前記芯部材を蒸気蔽体に対し並置させること」とそれぞれ解するのが相
当である。
4 同4は認める。
5 同5のうち、(一)、(三)、(五)、ないし(七)、(一0)は否認する。
6 同6は否認する。
三 被告の主張
1 意匠権に基づく請求について
(一) 本件意匠と同一の意匠を有するセレステ・カンパニー・インコーポレイテ
ッドの商品が、昭和五六年(一九八一年)一二月二二日までには、米国内において
販売されていたのであって、本件意匠は、米国における意匠登録出願前に、米国内
において公然知れた意匠となっていた。したがって、本件意匠登録については、
無効原因意匠法四八条一項一号、三条項一号)があるから、このような場合には、
意匠権者たる原告は、業として本件意匠の実施をする権利を専有するにとどまり、
本件意匠に類似する意匠の実施をする権利を専有するものではないと解するのが相
当であり、そうであれば、被告による別紙目録1及び3の各(一)ないし(三)記
載のヘア・カーラー用クリップの製造販売行為が本件意匠権の侵害を構成するの
は、被告意匠(一)ないし(六)が本件意匠の範囲に属する場合に限られる。
(二) そこで、右のよう見地から、本件意匠と被告意匠(一)ないし(六)をそ
れぞれ対比すれば、次のとおりである。
(1) 本件意匠と被告意匠(一)との対比
本件意匠と被告意匠(一)とが、切込溝の幅に対する脚片の幅の割合、クリップ体
全体に対する脚片の長さ(溝の深さ)
の割合、脚片の形状、背部の小孔の形状及び脚片の細長円形孔の有無の点におい
て、その構成を異にすることは原告が自認するところであり(請求の原因(意匠権
に基づく請求)3(一)(2)(ア)ないし(ウ))、このように構成を異にする
ことよる外観の差異は、看者の美観に顕著な差異をもたらすものであるから、被告
意匠は、本件意匠の範囲に属しない。
この点について、原告は、右差異のある外観は、クリップ体全体の大ぎさに対して
ごく小さな部分を占めるにすぎず、基本的な美観に対して全体の美観を左右する程
度の特異な美観を生ぜしめない旨主張するが、クリップ体は、毛髪を巻きつけるカ
ーラーの補助具であって、それ自体決して大規模なものではなし、指先で軽くつか
んで仕事をする小規模な物品であるから、このような物品の形態からすれば、右差
異のある外観は、クリップ全体の大きさに対してごく小さな部分を占めるものでは
なく、全体の美観を左右する程度の特異な美観を生ぜしめるものである。したがっ
て、原告の右主張は、理由がない。
(2) 本件意匠と被告意匠(二)との対比
 本件意匠と被告意匠(二)とが、切込溝の幅に対する脚片の幅の割合、クリップ
体全体に体する脚片の長さ(溝の深さ)の割合、脚片の形状、背部の小孔の数、配
置、形状及び大きさ、
脚片の細長円形孔の有無並びに全体の形態の点において、その構成を異にすること
は、原告が自認するところであり(請求の原因(意匠権に基づく請求)3(二)
(2)(ア)同ない(エ))、このように構成を異にすることによる外観の差異
は、看者の美観に顕著な差異をもたらすものであるから・被告意匠(二)は、本件
意匠の範囲に属しない。この点について、原告は、右差異のある外観は、クリップ
体全体の大きさに対してごく小さな部分を占めるにすぎず、基本的な美観に対して
全体の美観を左右する程度の特異な美観を生ぜしめない旨主張するが、クリップ体
は、毛髪を巻きつけるカーラーの補助具であって、それ自体決して大規模なもので
はなく、指先で軽くつかんで仕事をする小規模な物品であるから、このような物品
の全体の形態から観察すれば、右差異のある外観は、クリップ体全体の大きさに対
してごく小さな部分を占めるものではなく、全体の美観を左右する程度の特異な美
観を生ぜしめるものである。したがって、原告の右主張は、理由がない。
(3) 本件意匠と被告意匠(三)との対比
本件意匠と被告意匠とが、切込溝の幅に対する脚片の幅の割合、クリップ体全体に
対する脚片の長さ(溝の深さ)の割合、脚片の形状、背部の小孔の数、配置、形状
及び大きさ、脚片の細長円形孔の有無並びに全体の形態の点において、その構成を
異にすることは、原告が自認するところであり(請求の原因(意匠権に基づく請
求)3(三)(2)(ア)ないし(エ)、このように構成を異にすることによる外
観の差異は、看者の美観に顕著な差異をもたらすものであるから、被告意匠(三)
は、本件意匠の範囲に属しない。この点について、原告は、右差異のある外観は、
クリップ体全体の大きさに対してごく小さな部分を占めるにすぎず、基本的な美観
に対して全体の美観左右する程度の特異な美観を生ぜしめない旨主張するが、クリ
ップ体は、毛髪を巻きつけるカーラーの補助具であって、それ自体決して大規模な
ものではなく、指先で軽くつかんで仕事をする小規模な物品であるから、このよう
な物品の全体の形態から観察すれば、右差異のある外観は、
クリップ体全体の大きさに対してごく小さな部分を占めるものではなく、全体の美
観を左右する程度の特異な美観を生ぜしめるものである。したがって、原告の右主
張は、理由がない。
(4) 本件意匠と被告意匠(四)との対比
 本件意匠と被告意匠(四)とが、背部の小孔の数、配置、形状及び大きさ、脚片
の数、脚片の細長円形孔の有無並びに全体の形態の点において、その構成を異にす
ることは、原告が自認するところであり(請求の原因意匠権に基づく請求)3
(四)(2)(ア)ないし(ウ))、このように構成を異にすることによる外観の
差異は、看者の美観に顕著な差異をもたらすものであるから、被告意匠(四)は、
本件意匠の範囲に属しない。この点について、原告は、右差異のある外観は、クリ
ップ体全体の大きさに対してごく小さな部分を占めるにすぎず、基本的な美観に対
して全体の美観を左右する程度の特異な美観を生ぜしめない旨主張するが、クリッ
プ体は、毛髪を巻きつけるカーラーの補助具であって、それ自体決して大規模なも
のではなく、指先で軽くつかんで仕事をする小規模な物品であるから、このような
物品の全体の形態から観察すれば、右差異のある外観は、クリップ体全体の大きさ
に対してごく小さな部分を占めるものではなく、全体の美観を左右する程度の特異
な美観を生ぜしめるものである。したがって、原告の右主張は、理由がない。
(5) 本件意匠と被告意匠(五)との対比
 本件意匠と被告意匠(五)とが、背部の小孔の数、配置、形状及び大きさ、脚片
の数、脚片の細長円形孔の有無並びに全体の形態の点において、その構成を異にす
ること」とは、原告が自認するところであり(請求の原因意匠権に基づく請求)3
(五)2(ア)ないし(ウ))、このように構成を異にすることによる外観の差異
は、看者の美観に顕著な差異をもたらすものであるから、被告意匠(五)は、本件
意匠の範囲に属しない。この点について、原告は、右差異のある外観は、クリップ
体全体の大きさに対してごく小さな部分を占めるにすぎず、基本的な美観に対して
全体の美観を左右する程度の特異な美観を生ぜしめない旨主張するが、
クリップ体は、毛髪を巻きつけるカーラーの補助具であって、それ自体決して大規
模なものではなく、指先で軽くつかんで仕事を生する小規模な物品であるから、こ
のような物品の全体の形態から観察すれば、右差異のある外観は、クリップ体全体
の大きさに対してごく小さな部分を占めるものではなく、全体の美観を左右する程
度の特異な美観を生ぜしめるものである。したがって、原告の右主張は、理由がな
い。
(6) 本件意匠と被告意匠(六)との対比本件意匠と被告意匠(六)とが、クリ
ップ体全体に対する脚片の長さ(溝の深さ)の割合、背部の小孔の数、配置、形状
及び大きさ、脚片の数並びに脚片の細長円形孔の有無並びに全体の形態の点におい
て、その構成を異にすることは、原告が自認するところであり(請求の原因(意匠
権に基づく請求)3(六)(2)(ア)ないし(オ))、このように構成を異にす
ることによる外観の差異は、看者の美観に顕著な差異をもたらすものであるから、
被告意匠(六)は、本件意匠の範囲に属しない。この点について原告は、右差異の
ある外観は、クリップ体全体の大きさに対してごく小さな部分を占めるにすぎず、
基本的な美観に対して全体の美観を左右する程度の特異な美観を生ぜしめない旨主
張するが、クリップ体は、毛髪を巻きつけるカーラーの補助具であって、それ自体
決して大規模なものではなく、指先で軽くつかんで仕事をする小規模な物品である
から、このような物品の全体の形態から観察すれば、右差異のある外観は、クリッ
プ体全体の大きさに対してごく小さな部分を占めるものではなく、全体の美観を左
右する程度の特異な美観を生ぜしめるものである、したがって、原告の右主張は、
理由がない。
2 特許権に基づく請求について
(一) 被告装置(一)ないし(三)は、次のとおり、本件発明の構成要件Aを充
足しない。
 本件発明の構成要件Aは、「蒸気源とともに使用するためのヘア・カーラーであ
ること」であるところ、本件発明の構成要件Aの「蒸気源とともに使用する」との
用語は、その使用状態において、常に蒸気源と機械的、
物理的に連通していなければならないことを意味するものである。けだし、本件発
明の目的、効果について、本件明細書には、「本発明は、ヘア・カーラーに関し、
特には、カーラーに巻かれた毛髪に熱い蒸気を当ててカール作用を行うように構成
されたヘア・カーラーに関する。熱蒸気は、約三秒間カーラーの内部に給与され、
その間に毛髪はカールされ乾燥する。そのあと、カーラーを取外すことができ
る。」(本件特許公報一頁欄三三行ないし2欄一行)、「低圧の蒸気によって数秒
間以内にカールできるように構成された本発明のヘア・カーラーは、従来のヘア・
カーラーに比べて幾つかの利点を有する。本発明のヘア・カーラーは、三秒以内に
カール作用を行うとともに、きめの細いカールを行う。」(同頁2欄一五行ないし
一九行)、
「約三秒間蒸気をかければ、カーラーを分解してよい。かくして、カール作業が完
了する。」(同二頁4欄三一行、三二行)、
「かくして、本発明のヘア・カーラーは、約三秒間という非常に短い時間で髪をカ
ールし、かつ、その後髪をドライヤにかける必要がない。」(同欄三九行ないし四
一行)との記載があり、本件発明の目的、効果が約三秒間という非常に短い時間で
毛髪をカールすることにあるのは明白である。このような効果を達成するために
は、必然的に毛髪にカーラーを巻付け、このカーラーを蒸気導入口から直接熱い蒸
気を噴出させるという構成を採らざるをえないのである。だからこそ、本件発明の
特許請求の範囲には、「使用者の頭皮を保護するために三六〇度未満の円周を有す
る蒸気を通さない蒸気遮蔽体を設け」との記載があるのである。実施例にも、「蒸
気は、先端にノズル46を有し、弁50のような蒸気流を制御するための選択的に
作動自在の装置を有する導管48によってヘア・カーラーヘ送給される。」(同欄
六行ないし九行)、「その後、ハブ16を通してノズル46を芯12の拡開端へ挿
入する。弁50を操作して蒸気を芯12内へ噴射させる。蒸気は約三秒間噴射され
る。」(同欄一九行ないし二一行)との記載がある。したがって、本件発明のヘ
ア・カーラーは、その使用状態において、
常に蒸気源と機械的、物理的に連通していなければ、その効果を達成できないので
ある。
 他方、被告装置(一)ないし(三)は、予め蒸気源から慈気をカーラー内部に蓄
積させ、しかる後に、蒸気源からこれを外して、単体として毛髪に巻き付けるもの
であって、蒸気源と分離して使用するものであるから、本件発明の構成要件Aを充
足しない。
(二) 原告は、仮定的に均等論を主張するが、本件発明は、約三秒間できめ細か
なカールと乾燥を行うことを作用効果とするものであるところ、被告装置(一)な
いし(三)は、そのような作用効果を有しないから、均等論の対象として論義すべ
き範疇に属しない。原告は、「約三秒間」を「極めて短い時間」という上位概念に
置き換えて、上位概念の共通性をもって、作用効果が均等であると主張するようで
あるが、このような主張は、許されるものではない。また、被告装置(一)ないし
(三)は、本件発明の直接噴射方式を採用せず、蒸気源と別個に使用するという方
法を採用することにより、原告主張の作用効果である約三秒間でのきめ細かなカー
ルと乾燥の達成までは求めない半面、安全面において本件発明をはるかに凌駕し、
その使用方法を簡明なものとし、かつ、本件発明にはない内巻き及び外巻きのカー
ル形成を可能にしているのであって、本件発明とは全く別個独立の技術的思想によ
る製品である。
四 被告の主張2(一)に対する原告の反論
 本件発明の「約三秒間」という時間自体は、本件明細書の発明の詳細な説明に、
「蒸気を約三秒以上当てた場合は、ヘア・カーラーの内部に水分がたまる傾向があ
るが、少量の水分は、パッド20によって捕集され、そこに保持される。」(本件
特許公報二頁4欄三五行ないし三八行)と記載されているとおり、本件発明のヘ
ア・カーラーによる熱固定のために十分な時間としての意味で使用されているので
あって、本件発明において重要な意味を持つものではない。
 本件発明は、従来の単純な加熱カーラーの代わりに、巻き付けられた毛髪に水分
と熱エネルギーを同時に供給することにより、極めて短い時間で強固なヒートセッ
トを完了することができ、しかも、
事後に毛髪を乾燥させる必要がないというヘア・カーラーを提供することを特徴と
するもので、本件発明の構成要件Aの「蒸気源とともに使用するための」との意味
は、右の特徴を前提として解釈されるべきであって、ヘア・カーラーが、その使用
状態において、常に蒸気源と機械的、物理的に連通していなければならないもので
はない。
第三 証拠関係(省略)
       理   由
一 意匠権に基づく請求について
1 請求の原因1のうち、原告が本件意匠権の認定の登録を経由したことは当事者
間に争いがなく、成立に争いのない甲第一号証の一によれば、その余の事実が認め
られる。
2 請求の原因2の事実は、当事者間に争いがない。
3 そこで、本件意匠と被告意匠(一)ないし(六)との類否について検討する。
(一) 前1及び2の事実によれば、本件意匠の構成は、本件意匠公報に表示され
たとおりのものであり、また、被告意匠(一)ないしの各構成は、別紙目l(一)
ないし(三)及び同目録3(一)ないし(三)に表示されたとおりのものであると
ころ、成立に争いのない甲第一号証の二、第三号証、第一〇号証(ただし、入手時
期を除く。)、第一一号証(前同)、乙第八号証、別紙目録1(一)ないし(三)
及び同目録3(一)ないし(三)記載のヘア・カーラ用クリップであることについ
て争いのない検甲第四号証ないし第九号証によれば、本件意匠及び被告意匠(一)
ないし(六)に係る物品は、いずれもヘア・力ーラー用クリップであって、毛髪を
巻き付けるカーラーの補助具として用いられるものであるところ、それ自体かなり
小さい物品であること及びその使用目的に照らし取引者又は需要者は、その取引に
当たっては、現物を手にとり、至近距離から当該物品の全体形状及び細部にわたっ
て観察し、かつ、その使い方などを検討して取引するのが通常であると認められ
る。
(二) そこで、右(一)認定の事実に基づき、本件意匠と被告意匠(一)ないし
(六)との類否について検討することにする。
(1) 本件意匠と被告意匠(一)との類否
 右(一)認定の想定される取引の実情のもとにおいて考察するに、
本件意匠及び被告意匠(一)は、主として、本件意匠公報の正面図及び平面図並び
に別紙目録1(一)の正面図及び平面図に示された外観に、特に看者の注意を引く
部分が現れるものということができるところ、右外観について両意匠を対比する
と、(ア)本件意匠は、背部の小孔が円形であるのに対し、被告意匠(一)は、背
部の小孔がクリップ体の幅方向に細長く形成されている、(イ)本件意匠は、一〇
本の脚片がU字形であって、これには孔が形成されていないのに対し、被告意匠
(一)は、一〇本の脚片のうちクリップ体端部の一本を除く九本がU字形の先端部
において切込溝の方へ切込溝の幅の約半分程度延び出した弧状突起を有しており、
また、クリップ体端部から第二、四、七及び九番目の脚片に背部の小孔と同じ幅の
長孔が形成されている、(ウ)本件意匠は、脚片の幅が切込溝の幅の約二・五倍で
あるのに対し、被告意匠(一)は、脚片の幅が切込溝の幅の約二倍であり、また、
本件意匠は、脚片の長さ(切込溝の深さ)がクリップ体の下側約二分の一強である
のに対し、被告意匠(一)は、脚片の長さ(切込溝の深さ)がクリップ体の下側約
三分の二弱である、以上のような差異がある。そして、右(ア)ないし(ウ)の差
異は、特に看者の注意を引く部分についての顕著な差異であって、両意匠を全体的
に観察した場合において、視覚を通じての美観を異にするものと認められるから、
被告意匠(一)は、本件意匠に類似するものではないと認められる。この点につい
て、原告は、本件意匠と同種の意匠は、本件意匠の意匠登録出願前に存在しなかっ
たから、本件意匠の全体形状や小孔、切込溝、脚片の基本的な構成が主要部分であ
り、このよう基本的な構成を共通にする限り、被告意匠(一)は、本件意匠に類似
するのであって、右のような差異ある外観は、クリップ体全体の大きさに対してご
く小さな部分を占めるにすぎず、基本的な構成から生ずる美観に対し、全体の譲差
右する程度の特異な美観を生ぜしめない旨主張する。しかしながら、仮に、本件意
匠と同種の意匠が本件意匠の意匠登録出願前に存在しなかったものであるとして
も、前(一)認定のとおり、"
両意匠に係るヘア・カーラー用クリップは、それ自体かなり小さいものであること
及びその使用目的に照らし、取引者又は需要者は、その取引に当たっては、現物を
手にとり、至近距離からその全体形状及び細部を観察するのが通常であるから、全
体形状や小孔、切込溝、脚片の基本的な構成のみが看者の注意を引くものというこ
とはできない。そして、(ア)ないし(ウ)の差異は、特に看者の注意を引く部分
についての顕著な差異であって、両意匠を全体的に観察した場合において、視覚を
通じての美観を異にするものであることは、右認定のとおりであるから、原告の右
主張は、採用の限りでない。
(2) 本件意匠と被告意匠(二)との類否
 前(一)認定の想定される取引の実情のもとにおいて考察するに、本件意匠及び
被告意匠(二)は、主として、本件意匠公報の正面図及び平面図並びに別紙目録1
(二)の正面図及び平面図に示された外観に、特に看者の注意を引く部分が現れる
ものということができるところ、右外観について両意匠を対比すると(ア)本件意
匠は、一〇列の背部の小孔のうち、クリップ体端部から第一、三、五、六、八及び
一〇列目の小孔が左右対称に対になって配置され、その余の列の小孔が中心線上に
一個配置されているのに対し、被告意匠(二)は、一〇列の背部の小孔がすべて左
右対称に対になって配置されている本件意匠は、背部の小孔が円形であって、すべ
て同一の大きさであるのに対し、被告意匠(二)は、背部の小孔がクリップ体の幅
方向に細長く形成されていて、クリップ体端部から第二、四、七及び九列目の小孔
がその余の列の小孔より大きい、(ウ)本件意匠は、一〇本の脚片がU字形であっ
て、これには孔が形成されていないのに対し、被告意匠(二)は、一〇本の脚片の
うちクリップ体端部の一本を除く九本がU字形の先端部において切込溝の方へ切込
溝の幅の約半分程度延び出した弧状突起を有しており、また、クリップ体端部から
第二、四、七及び九番目の脚片に背部の小孔のうち小さい方の小孔と同じ幅の長孔
が形成されている、(エ)本件意匠は、脚片の幅が切込溝の幅の約二・五倍である
のに対し、被告意匠(二)は、
脚片の幅が切込溝の幅の約二倍であり、また、本件意匠は、脚片の長さ(切込溝の
深さ)がクリップ体の下側約二分の一強であるのに対し、被告意匠(二)は、脚片
の長さ(切込溝の深さ)がクリップ体の下側約三分の二強である、以上のような差
異がある。
そして、右(ア)ないし(エ)の差異は、特に看者の注意を引く部分についての顕
著な差異であって、両意匠を全体的に観察した場合において、視覚を通じての美観
を異にするものと認められるから、被告意匠(二)は、本件意匠に類似するもので
はないと認められる。この点について、原告は、本件意匠と同種の意匠は、本件意
匠の意匠登録出願前に存在しなかったから、本件意匠の全体形状や小孔、切込溝、
脚片の基本的な構成が主要部分であり、このような基本点な構成を共通にする限
り、被告意匠(二)は、本件意匠に類似するのであって、右のような差異のある外
観は、クリップ体全体の大きさに対してごく小さな部分を占めるにすぎず、基本的
な構成から生ずる美観に対し、全体の美観を左右する程度の特異な美観を生ぜしめ
ない旨主張する。しかしながら、仮に、本件意匠と同種の意匠が本件意匠の意匠登
録出願前に存在しなかったものであるとしても、前(一)認定のとおり、両意匠に
係るヘア・カーラー用クリップは、それ自体かなり小さいものであること及びその
使用目的に照らし、取引者又は需要者は、その取引に当たっては、現物を手にと
り、至近距離からその全体形状及び細部を観察するのが通常であるから、全体形状
や小孔、切込溝、脚片の基本的な構成のみが看者の注意を引くものということはで
きない。そして、(ア)ないし(エ)の差異は、特に看者の注意を引く部分につい
ての顕著な差異であって、両意匠を全体的に観察した場合において、視覚を通じて
の美観を異にするものであることは、右認定のとおりであるから、原告の右主張
は、採用の限りでない。
(3) 本件意匠と被告意匠(三)との類否
 前(一)認定の想定される取引の実情のもとにおいて考察するに、本件意匠及び
被告意匠(三)は、主として、
本件意匠公報の正面図及び平面図並びに別紙目録1(三)の正面図及び平面図に示
された外観に、特に看者の注意を引く部分が現れるものということができるとこ
ろ、右外観について両意匠を対比すると、(ア)本件意匠は、一〇列の背部の小孔
のうち、クリップ体端部から第一、三、五、六、八及び一〇列目の小孔が左右対称
に対になって配置され、その余の列の小孔が中心線上に一個配置されているのに対
し、被告意匠(三)は、一〇列の背部の小孔のうち、クリップ体端部から第一、
三、五、六、八及び一〇列目の小孔が左右対称に対になって配置され、その余の列
の小孔が中心線上に一個と左右対称に対になった二個と合計三個配置されている。
(イ)本件意匠は、背部の小孔が円形であって、すべて同一の大きさであるのに対
し、被告意匠(三)は、背部の小孔がクリップ体の幅方向に細長く形成されてい
て、クリップ体端部から第二、四、七及び九列目の小孔がその余の列の小孔より大
きい、(ウ)本件意匠は、一〇本の脚片がU字形であって、これには孔が形成され
ていないのに対し、被告意匠(三)は、一〇本の脚片のうちクリップ体端部の一本
を除く九本がU字形の先端部において切込溝の方へ切込溝の幅の約半分程度延び出
した弧状突起を有しており、また、クリップ体端部から第二、四、七及び九番目の
脚片に背部の小孔のうち小さい方の小孔と同じ幅の長孔が形成されている、(エ)
本件意匠は、脚片の幅が切込溝の幅の約二・五倍であるのに対し、被告意匠(三)
は、脚片の幅が切込溝の幅の約二倍であり、また、本件意匠は、脚片の長さ(切込
溝の深さ)がクリップ体の下側約二分の一強であるのに対し、被告意匠(三)は、
脚片の長さ(切込溝の深さ)がクリップ体の下側約三分の二弱である、以上のよう
な差異がある。そして、右(ア)ないし(エ)の差異は、特に看者の注意を引く部
分についての顕著な差異であって、両意匠を全体的に観察した場合において、視覚
を通じての美観を異にするものと認められるから、被告意匠(三)は、本件意匠に
類似するものではないと認められる。この点について、原告は、本件意匠と同種の
意匠は、"
本件意匠の意匠登録出願前に存在しなかったから、本件意匠の全体形状や小孔、切
込溝、脚片の基本的な構成が主要部分であり、このような基本的な構成を共通にす
る限り、被告意匠(三)は、本件意匠に類似するのであって、右のような差異のあ
る外観は、クリッブ体全体の大きさに対してごく小さな部分を占めるにすぎず、基
本的な構成から生ずる美観に対し、全体の美観を左右する程度の特異な美観を生ぜ
しめない旨主張する。しかしながら、仮に、本件意匠と同種の意匠が本件意匠の意
匠登録出願前に存在しなかったものであるとしても、前(一)認定のとおり、両意
匠に係るヘア・カーラー用クリップはそれ自体かなり小さいものであること及びそ
の使用目的に照らし、取引者又は需要者は、その取引に当たっては、現物を手に取
り、至近距離からその全体形状及び細部を観察するのが通常であるから、全体形状
や小孔、切込溝、脚片の基本的な構成のみが看者の注意を引くものということはで
きない。そして、(ア)ないし(エ)の差異は、特に看者の注意を引く部分につい
ての顕著な差異であって、両意匠を全体的に観察した場合において、視覚を通じて
の美観を異にするものであることは、右認定のとおりであるから、原告の右主張
は、採用の限りでない。
(4) 本件意匠と被告意匠(四)との類否
 前(一)認定の想定される取引の実情のもとにおいて考察するに、本件意匠及び
被告意匠(四)は、主として、本件意匠公報の正面図及び平面図並びに別紙目3
(一)の正面図及び平面図に示された外観に、特に看者の注意を引く部分が現れる
ものということができるところ、右外観について両意匠を対比すると、(ア)本件
意匠は、一〇列の背部の小孔のうち、クリップ体端部から第一、三、五、六、八及
び一〇列目の小孔が左右対称に対になって配置され、その余の列の小孔が中心線上
に一個配置されているのに対し、被告意匠(四)は、九列の背部の小孔のうち、ク
リップ体端部から第一、三、五、七及び九列目の小孔が左右対称に対になって配置
され、その余の列の小孔が中心線上に一個配置されている、(イ)本件意匠は、背
部の小孔が円形であって、
すべて同一の大きさであるのに対し、被告意匠(四)は、背部の小孔がクリップ体
の幅方向に細長く形成されていて、クリップ体端部から第二、四、六及び八列目の
小孔がその余の列の小孔より大きい、(ウ)本件意匠は、一〇本の脚片には孔が形
成されていないのに対し、被告意匠(四)は、九本の脚片のうち、クリップ体端部
から第二、四、六及び八番目の脚片に背部の小孔のうち小さい方の小孔と同じ幅の
長孔が形成されている、以上のような差異がある。そして、右(ア)ないし(ウ)
の差異は、特に看者の注意を引く部分についての顕著な差異であって、両意匠を全
体的に観察した場合において、視覚を通じての美観を異にするものと認められるか
ら、被告意匠(四)は、本件意匠に類似するものではないと認められる。この点に
ついて、原告は、本件意匠と同種の意匠は、本件意匠の意匠登録出願前に存在しな
かったから、本件意匠の全体形状や小孔、切込溝、脚片の基本的な構成が主要部分
であり、このような基本的な構成を共通にする限り、被告意匠(四)は、本件意匠
に類似するのであって、右のような差異のある外観は、クリップ体全体の大きさに
対してごく小さな部分を占めるにすぎず、基本的な構成から生ずる美観に対し、全
体の美観を左右する程度の特異な美観を生ぜしめない旨主張する。しかしながら、
仮に、本件意匠と同種の意匠が本件意匠の意匠登録出願前に存在しなかったもので
あるとしても、前(一)認定のとおり、両意匠に係るヘア・カーラー用クリップは
それ自体かなり小さいものであること及びその使用目的に照らし、取引者又は需要
者は、その取引に当たっては、現物を手に取り、至近距離からその全体形状及び細
部を観察するのが通常であるから、全体形状や小孔、切込溝、脚片の基本的な構成
のみが看者の注意を引くものということはできない。そして、(ア)ないし(ウ)
の差異は、特に看者の注意を引く部分についての顕著な差異であって、両意匠を全
体的に観察した場合において、視覚を通じての美観を異にするものであることは、
右認定のとおりであるから、原告の右主張は、採用の限りでない。
(五) 本件意匠と被告意匠(5)との類否
 前(一)認定の想定される取引の実情のもとにおいて考察するに、本件意匠及び
被告意匠(五)は、主として、本件意匠公報の正面図及び平面図並びに別紙目録3
(二)の正面図及び平面図に示された外観に、特に看者の注意を引く部分が現れる
ものということができるところ、右外観について両意匠を対比すると、(ア)本件
意匠は、一〇列の背部の小孔のうち、クリップ体端部から第一、三、五、六、八及
び一〇列目の小孔が左右対称に対になって配置され、その余の列の小孔が中心線上
に一個配置されているのに対し、被告意匠(5)は、九列の背部の小孔がすべて左
右対称に対になって配置されている、(イ)本件意匠は、背部の小孔が円形であっ
て、すべて同一の大きさであるのに対し、被告意匠(5)は、背部の小孔がクリッ
プ体の幅方向に細長く形成されていて、クリップ体端部から第二、四、六及び八列
目の小孔がその余の列の小孔より大きい、(ウ)本件意匠は、一〇本の脚片には孔
が形成されていないのに対し、被告意匠(五)は、九本の脚片のうちクリップ体端
部から第二、四、六及び八番目の脚片に背部の小孔のうち小さい方の小孔と同じ幅
の長孔が形成されている、以上のような差異がある。そして、右(ア)ないし
(ウ)の差異は、特に看者の注意を引く部分についての顕著な差異であって、両意
匠を全体的に観察した場合において、視覚を通じての美観を異にするものと認めら
れるから、被告意匠(5)は、本件意匠に類似するものではないと認められる。こ
の点について、原告は、本件意匠と同種の意匠は、本件意匠の意匠登録出願前に存
在しなかったから、本件意匠の全体形状や小孔、切込溝、脚片の基本的な構成が主
要部分であり、このような基本的な構成を共通にする限り、被告意匠(5)は、本
件意匠に類似するのであって、右のような差異のある外観は、クリップ体全体の大
きさに対してごく小さな部分を占めるにすぎず、基本的な構成から生ずる美観に対
し、全体の美観を左右する程度の特異な美観を生ぜしめない旨主張する。しかしな
がら、仮に、
本件意匠と同種の意匠が本件意匠の意匠登録出願前に存在しなかったものであると
しても、前(一)認定のとおり、両意匠に係るへア・カーラー用クリップはそれ自
体かなり小さいものであること及びその使用目的に照らし、取引者又は需要者は、
その取引に当たっては、現物を手に取り、至近距離からその全体形状及び細部を観
察するのが通常であるから、全体形状や小孔、切込溝、脚片の基本的な構成のみが
看者の注意を引くものということはできない。そして、(ア)ないし(ウ)の差異
は、特に看者の注意を引く部分についての顕著な差異であって、両意匠を全体的に
観察した場合において、視覚を通じての美観を異にするものであることは、右認定
のとおりであるから、原告の右主張は、採用の限りでない。
(6) 本件意匠と被告意匠(六)との類否
 前(一)認定の想定される取引の実情のもとにおいて考察するに、本件意匠及び
被告意匠(六)は、主として、本件意匠公報の正面図及び平面図並びに別紙目録3
(三)の正面図及び平面図に示された外観に、特に看者の注意を引く部分が現れる
ものということができるところ、右外観について両意匠を対比すると、(ア)本件
意匠は、一〇列の背部の小孔のうち、クリップ体端部から第一、三、五、六、八及
び一〇列目の小孔が左右対称に対になって配置され、その余の列の小孔が中心線上
に一個配置されているのに対し、被告意匠(六)は、九列の背部の小孔のうち、ク
リップ体端部から第一、三、五、七、及び九列目の小孔が左右対称に対になって配
置され、その余の列の小孔が中心線上に一個と左右対称に対になった二個と合計三
個配置されている、(イ)本件意匠は、背部の小孔が円形であって、すべて同一の
大きさであるのに対し、被告意匠(六)は、背部の小孔がクリップ体の幅方向に細
長く形成されていて、クリップ体端部から第二、四、六及び八列目の小孔がその余
の列の小孔より大きい、(ウ)本件意匠は、一〇本の脚片には孔が形成されていな
いのに対し、被告意匠(六)は、九本の脚片のうち、クリップ体端部から第二、
四、
六及び八番目の脚片に背部の小孔のうち小さい方の小孔と同じ幅の長孔が形成され
ている、(エ)本件意匠は、脚片の長さ(切込溝の深さ)がクリップ体の下側約二
分の一強であるのに対し、被告意匠(六)は、脚片の長さ(切込溝の深さ)がクリ
ップ体の下側約三分の二程度である、以上のような差異がある。そして、右(ア)
ないし(エ)の差異は、特に看者の注意を引く部分についての顕著な差異であっ
て、両意匠を全体的に観察した場合において、視覚を通じての美感を異にするもの
と認められるから、被告意匠(六)は、本件意匠に類似するものではないと認めら
れる。この点について、原告は、本件意匠と同種の意匠は、本件意匠の意匠登録出
願前に存在しなかったから、本件意匠の全体形状や小孔、切込溝、脚片の基本的な
構成が主要部分であり、このような基本的な構成を共通にする限り、被告意匠
(六)は、本件意匠に類似するのであって、右のような差異のある外観は、クリッ
プ体全体の大きさに対してごく小さな部分を占めるにすぎず、基本的な構成から生
ずる美観に対し、全体の美感を左右する程度の特異な美観を生ぜしめない旨主張す
る。しかしながら、仮に、本件意匠と同種の意匠が本件意匠の意匠登録出願前に存
在しなかったものであるとしても、前(一)認定のとおり、両意匠に係るヘア・カ
ーラー用クリップは、それ自体かなり小さいものであること及びその使用目的に照
らし、取引者又は需要者は、その取引に当たっては、現物を手にとり、至近距離か
らその全体形状及び細部を観察するのが通常であるから、全体形状や小孔、切込
溝、脚片の基本的な構成のみが看者の中止を引くということはできない。そして、
(ア)ないし(エ)の差異は、特に看者の注意を引く部分についての顕著な差異で
あって、両意匠を全体的に観察した場合において、視覚を通じての美観を異にする
ものであることは、右認定のとおりであるから、原告の主張は、採用の限りでな
い。
4 以上によれば、原告の意匠権に基づく主張は、その余の点について判断するま
でもなく、理票ないものといわざるをえない。
二 特許権に基づく請求について
1 請求の原因1のうち・原告が本件特許権の設定の登録を経由したことは当事者
間に争いがなく、成立に争いのない甲第二号証の一によれば、その余の事実が認め
られる。
請求の原因2の事実は、当事者間に争いがない。
2 右当事者間に争いのない請求の原因2の事実に成立に争いのない甲第二号証の
二(本件特許公報)によれば、本件発明の構成要件は、次のとおりであると認めら
れる。
A 蒸気源とともに使用するためのヘア・カーラーにおいて、
B 長さ方向に沿って一つ又はそれ以上の穴、及び1端に蒸気を導入するための開
口を有する中空芯部材を設け、
C 芯部材の各端にその横断寸法より大きい横断寸法を有するハブを設け、
D 芯部材の周りに多孔質パッドを装着し、
E 使用者の頭皮を保護するために三六〇度未満の円周を有する蒸気を通さない蒸
気遮蔽体を設け、
F 毛髪を前記パッドに巻きつけてパッドと前記遮蔽体との間に位置させることが
できるように十分な遊隙をもって前記芯部材を遮蔽体に対して並置させ、
G 遮蔽体を前記ハブの一方に着脱自在に結合するための手段を設け、
H もって、蒸気を前記開口を通して芯部材内へ導入し、そこから芯部材の穴及び
多孔質パッドを通して半径方向に排出させるように構成された
I 以上を特徴とするヘア・カーラー。
4 請求の原因4の事実は、当事者間に争いがない。
5 被告装置(一)ないし(三)を示すものであることについて当事者間に争いの
ない別紙目録2の記載によれば、被告装置(一)ないし(三)は、大きさを異にす
るだけで、構造を共通にするものであるところ、被告装置(一)ないし(三)が本
件発明の技術的範囲に属するか否かについて検討する。
(一) そこで、被告装置(一)ないし(三)が本件発明の構成要件Aを充足する
か否かについて判断する。前掲甲第二号証の二(本件特許公報)によれば、本件発
明は、ヘア・カーラー、特には、カーラーに巻かれた毛髪に熱い蒸気を当ててカー
ル作用を行うように構成されたヘア・カーラーに関するものである、本件発明は、
低圧の蒸気によって数秒間以内にカールできるように、
前2で確定した特許請求の範囲のとおりの構成を採用し、これにより、(1)約三
秒間という非常に短い時間で毛髪をカールし、その後、毛髪を最高一時間も要する
ドライヤにかける必要がなくなる、(2)きめの細かいカールが達成される、
(3)ヘア・カーラーの構成部品は、簡単で、大量生産が可能であり、職業用にも
家庭用にも使用することができるという作用効果を奏するものであることが認めら
れる。そして、本件発明の構成要件Aの「蒸気源とともに使用するためのヘア・カ
ーラー」の意味について検討するに、当事者間に争いがない本件明細書の特許請求
の範囲には、「蒸気源とともに使用するためのヘア・カーラーにおいて、長さ方向
に沿って1つ又はそれ以上の穴、及び一端に蒸気を導入するための開口を有する中
空芯部材を設け、……使用者の頭皮を保護するために三六〇度未満の円周を有する
蒸気を通さない蒸気遮蔽体を設け、毛髪を前記パッドに巻きつけてパッドと前記遮
蔽体との間に位置させることができるように十分な遊隙をもって前記芯部材を遮蔽
体に対して並置させ、……もって、蒸気を前記開口を通して芯部材内へ導入し、そ
こから芯部材の穴及び多孔質パッドを通して半径方向に排出させるように構成され
た」と記載されていることが認められ、また、前掲甲第二号証の二によれば、本件
明細書の発明の詳細な説明には、「本発明は、ヘア・カーラーに関し、特には、カ
ーラーに巻かれた毛髪に熱い蒸気を当ててカール作用を行うように構成されたヘ
ア・カーラーに関する。熱蒸気は、約三秒間カーラーの内部に給与され、その間に
毛髪はカールされ乾燥する。そのあと、カーラーを取外すことができる。」(本件
特許公報、頁一欄三三行ないし2欄、行)、「蒸気が頭皮に当てられるのを防ぐた
めに遮蔽体が設けられる。」(同欄一〇行及び一一行)、「低圧の蒸気によって数
秒間以内にカールできるように構成された本発明のヘア・カーラーは、従来のヘ
ア・カーラーに比べて幾つかの利点を有する。本発明のヘア・カーラーは、三秒以
内にカール作用を行うとともに、きめの細いカールを行う。」(同欄一五行ないし
一九行)、"
「約三秒間蒸気をかければ、カーラーを分解してよい。かくして、カール作業が完
了する。」(同二頁4欄三一行及び三二行)、「かくして、本発明のヘア・カーラ
ーは、約三秒間という非常に短い時間で髪をカールし、かつ、その後髪をドライヤ
にかける必要がない。」(同欄三九行ないし四一行と記載されていることが認めら
れ、他方、前掲甲第二号証の二(本件特許公報)によれば、本件明細書及び願書添
付の図面には、蒸気源から予め蒸気が供給されたヘア・カーラーを使用す三る(髪
に巻きつける)という構成を採りうることを示唆するような記載は全くないことが
認められる。以上認定の事実によれば、本件発明の構成要件Aの「蒸気源とともに
使用するためのへア・カーラーとは、ヘア・カーラーを使用している毛髪に巻きつ
けている)ときに、蒸気源からへア・カーラーに蒸気が供給されるという構成のヘ
ア・カーラーを意味するものであって、蒸気源から予め蒸気が供給されたヘア・カ
ーラ一を使用する毛髪に巻きつける)という構成のヘア・カーラーを含むものでは
ないと認められる。この点について、原告は、本件発明の「約三秒間」という時間
自体は、本件明細書の発明の詳細な説明に、「蒸気を約三秒以上当てた場合は、ヘ
ア・カーラーの内部に水分がたまる傾向があるが、少量の水分は、パッド20によ
って補集され、そこに保持される(同二項4欄三五行ないし三八行)と記載されて
いるとおり、本件発明のヘア・カーラーによる熱固定のために十分な時間としての
意味で使用されているのであって、本件発明におい重要な意味を持つものではない
旨主する。前掲甲第二号証の二(本件特許公報)によれば、本件明細書の発明の詳
細な説明に原告主張の記載があることが認められるけれども、本件発明は、前認定
のとおり、低圧の蒸気によって数秒間以内にカールできるように、前2で確定した
特許請求の範囲のとおりの構成を採用し、これにより、約三秒間という非常に短い
時間で毛髪を力ールし、その後、毛髪を最高一時間も要するドライヤにかける必要
がなくなるなどと作用効果を奏するものであるから、本件発明は、"
右の作用効果を奏するようなものとして理解されるべきものであり、そうであれ
ば、原告の右主張は、採用の限りでないといわなければならない。また、原告は、
本件発明は、従来の単純な加熱カーラーの代わりに、巻き付けられた毛髪に水分と
熱エネルギーを同時に供給することにより、極めて短い時間で強固なヒートセット
を完了することができ、しかも、事後に毛髪を乾燥させる必要がないというヘア・
カーラーを提供することを特徴とするもので、本件発明の構成要件Aの「蒸気源と
ともに使用するための」との意味は、右の特徴を前提として解釈されるべきであっ
て、ヘア・カーラーが、その使用状態において、常に蒸気源と機械的、物理的に連
通していなければならないものではない旨主張する。しかしながら、本件発明の特
徴が原告主張のとおりのものであるとしても、前認定のとおり、本件明細書の記載
によれば、本件発明の構成要件Aの「蒸気源とともに使用するための」とは、ヘ
ア・カーラーを使用している(毛髪に巻きつけている)ときに、蒸気源からヘア・
カーラーに蒸気が供給されるということを意味するものであって、蒸気源から予め
蒸気が供給されたヘア・カーラーを使用する(毛髪に巻きつける)という構成のヘ
ア・カーラーを含むものではないのであるから、原告の主張は採用の限りでない。
(二) これに対し、前掲別紙目録2の記載に前掲甲第三号証、第一一号証及び乙
第八号証によれば、被告装置(一)ないし(三)は、蒸気源がヘア・カーラーとは
分離して存在し、ヘア・カーラーを右蒸気源の上に置いて、ヘア・カーラーを所定
時間温めて、予め蒸気源からの蒸気をカーラー内部に含有させ、その後に、右ヘ
ア・カーラーを蒸気源から外し、毛髪に巻きつけて使用し、約三分ないし八分で毛
髪を力ールするというものであると認められる。そうすると、被告装置(一)ない
し(三)は、本件発明の構成要件Aを充足しないものといわざるをえない。
6 原告は、被告装置(一)ないし(三)と本件発明とは、ヘア・カーラーを毛髪
に巻き付ける前に熱エネルギーと水分をヘア・カーラーに供給するか(被告装置
(一)ないし(三))、
ヘア・カーラーを毛髪に巻きつけた状態で熱エネルギーと水分をヘア・カーラーに
供給するか(本件発明)の手順の違いがあるにすぎず、ヘア・カーラー及びその多
孔質パッドに水分と熱エネルギーを共存の状態で供給蓄積し、これを同時的に拡散
し、巻回状態の毛髪に吸収させて短時間に所望の形態の毛髪のヒートセットを行う
ことにおいて、何ら変わるところがないから、別個の蒸気源で予め加熱加水すると
いう被告装置(一)ないし(三)の手段は、本件発明の目的、作用及び発明の構成
全体からみて、本件発明の「蒸気源とともに使用する」という要件と均等の手段と
認められる旨主張するが、仮に原告のいわゆる均等の主張が、特許権侵害訴訟にお
いて適用することができる理論であるとしても、以下に説示するとおり、右理論
は、本件においては、その適用を是認することが困難であって、原告の右主張は、
採用することができない。すなわち、本件発明は、前5(一)認定のとおり、ヘ
ア・カーラーを使用している(毛髪に巻きつけている)ときに、蒸気源からヘア・
カーラーに蒸気が供給されるという構成を採用することにより、約三秒間という非
常に短い時間で毛髪をカールし、その後、毛髪を最高一時間も要するドライヤにか
ける必要がなくなる、きめの細かいカールが達成される、ヘア・カーラーの構成部
品は、簡単で、大量生産が可能であり、職業用にも家庭用にも使用することができ
るという作用効果を奏するものであるのに対し、被告装置(一)ないし(三)は、
前5(二)認定のとおり、蒸気源から予め蒸気が供給されたヘア・カーラーを毛髪
に巻きつけ、約三分ないし八分で毛髪をカールするというものであって、本件発明
のように、約三秒間という非常に短い時間で髪をカールするという作用効果を奏す
るものではないのであるから、本件発明と被告装置(一)ないし(三)は、作用効
果において異なるのである。したがって、原告の右主張は、その前提を欠き、採用
することができないものといわざるをえない。
7 以上によれば、原告の特許権に基づく主張は、その余の点について判断するま
でもなく、理由がないものといわざるをえない。
三 そうすると、原告の本訴請求は、いずれも理由がないから、これを棄却するこ
ととし、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条の規定を適用して、主文のとお
り判決する。
別紙目録(省略、本書五三二頁以下参照)

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