弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
1被告は,別紙1取引先一覧表記載(番号102を除く。)の取引先と,平成
19年11月30日まで,自ら又は第三者のために歯科用合金スクラップ(撤
去冠,キャスト屑,研磨屑,集塵機屑)の買取りをしてはならない。
2被告は,原告に対し,金79万8903円及びこれに対する平成18年8月
29日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え
第2事案の概要
本件は,原告の元従業員であった被告が,入社時の誓約及び原告の就業規則
に規定する退職後の競業避止条項に違反して,原告の顧客である歯科医院など
から歯科用合金スクラップの買取りをしたとして,買取りの差止めと損害賠償
を求めた事案である。
1基礎となる事実(証拠等の摘示のない事実は,当事者間に争いがない。)
(1)ア原告は,歯科用合金スクラップ,電子材料,宝飾製造業からの排出屑
を買い取り,貴金属の回収をするリサイクル業及び産業廃棄物の無害化
処理等の環境保全事業を主たる目的とし,神戸市内に本店を有する株式
会社である。旧商号は,「株式会社X」である(弁論の全趣旨)。
イ被告(昭和▲年生)は,平成5年9月21日原告に入社し,平成17
年11月30日退社した。現在「Y」という屋号で,歯科医院や技工所
等(以下「歯科医院等」という。)から排出される歯科用合金スクラッ
プの買取業に従事している(甲1,弁論の全趣旨)。
(2)被告は,原告に入社するに際し,平成5年9月21日,原告に対し,
「在職中の会社の全取引に対して,退社後3年以内は会社と同一又は類似の
業務は致しません。上記各条項に反し万一会社に迷惑をかけたときは,その
損害を賠償致します。」などと記載された誓約書(甲1。以下「本件誓約
書」という。)を提出した。
(3)原告の就業規則には,平成15年6月1日の改訂時に,競業避止条項が
設けられた。
就業規則19条4項は,「社員は,退職後2年以内の期間において,会社
と同等の事業に直接又は間接を問わず従事してはならない」旨定める(甲2,
9)。
(4)被告は,退職後,別紙2「Y(A)被害算出」と題する書面(以下「別
紙2計算書」という。)の取引先名称欄に記載された歯科医院等のうち,番
号1,2,5,8,11,13,16ないし20,22,23,27,28
の歯科医院等から歯科用合金スクラップの買取りを行ったことを認め,その
余の歯科医院等については買取りを否認している。
2主たる争点
(1)本件誓約書に基づく合意の成否
(原告の主張)
原告と被告は,平成5年9月21日,上記1(2)の本件誓約書のとおり,
合意した(この合意を,以下「本件誓約書合意」という。)。
(被告の主張)
ア否認する。
イ本件誓約書は,被告が同書を差し入れなければ原告に採用されず,原告
から,同書の内容について特に説明されないまま,一方的に署名押印を求
められたのであって,被告の意思に基づいて作成されたものではない。
(2)本件誓約書合意及び就業規則19条4項は,公序良俗違反か。
(被告の主張)
ア本件誓約書合意及び就業規則19条4項は,被告の営業行為を包括的,
一般的に制約する内容を有し,被告の職業選択の自由,営業の自由を不当
に制約するものであるから公序良俗に違反して無効である。
すなわち,本件誓約書に記載される競業禁止期間は3年と長く,競業制
限区域に限定はなく,制限職種の範囲についても,会社と同一のみならず,
類似の業務にまで広汎にわたっている。
また,就業規則19条4項も,競業制限区域を何ら限定せず,制限職種
の範囲についても,会社と同等の事業に直接又は間接を問わず従事しては
ならないとしており,広範囲にわたっている。
さらに,原告は,被告の競業禁止について何らの代償措置を講じておら
ず,歯科用合金スクラップの買取業は,特殊技能を要するものではなく,
原告に企業秘密と言えるような保護に値する正当な利益が存在しない。
したがって,本件誓約書の内容及び就業規則19条4項は,職業選択の
自由を不当に制限するものであり,公序良俗に反することは明らかである。
イ後記原告の主張イについて否認する。
(原告の主張)
ア否認し,争う。
イ被告は,原告を退社する直前ころ,原告福岡営業所長のB(以下「B所
長」という。)との間で,「競業をしない。」と約束した。
ウ競業避止特約の原告の保護法益は,従業員が,従前担当した顔なじみの
顧客を勧誘し,簒奪することにより侵害されるいわゆる商権である(原告
第3準備書面4頁)。
原告において使用されている退社時の誓約書の書式は,競業制限区域を
従業員が在職時に担当した地域に限定し,競業禁止期間も,本件就業規則
により,退職後2年以内とし,さらに,競業が禁止される営業の種類につ
いても,会社と同一又は類似の営業行為としている。したがって,債務の
期間,区域,営業の種類は包括的ではない。
福岡県,佐賀県,長崎県の歯科医院等の数(被告の原告入社時ころ43
10軒,退社時ころ5306軒)に照らせば,本件で,被告に対し,別紙
1取引先一覧表記載(番号102を除く。)の254軒につき,退職後2
年間競業避止が求めても,被告の生存権が脅かされる状況にない。
代償措置の有無は,競業避止条項の有効性について,不可欠の判断要素
ではない。原告は,歯科医院等から排出される歯科用合金スクラップの個
別取引を経営基盤のひとつとしているところ,「顧客の名簿及び取引内容,
価格等に関わる事項」は,経営の根幹に関わる重要な情報である。被告は,
かかる情報を使用して同スクラップの買取業を現に行っており,原告の正
当な利益が侵害されている。
裁判例(①最高裁昭和44年10月7日第3小法廷判決・裁判集民事9
7号9頁,②奈良地裁昭和45年10月23日判決・判例時報624号・
78頁,③東京地裁平成5年1月28日判決・労働判例161頁,④同地
裁平成6年9月29日判決・判例時報1543号134頁,⑤同地裁平成
14年8月30日判決・労働判例838号32頁,⑥同地裁平成16年9
月22日決定・判例時報1887号・149頁)を踏まえても,本件誓約
書合意及び就業規則19条4項における競業避止条項は有効である。
(3)被告による競業避止義務違反行為の具体的内容及び原告の損害等につい

(原告の主張)
ア被告は,原告の従業員として,原告退職前3年間に,別紙1取引先一覧
表記載(番号102を除く。)の歯科医院等から,歯科用合金スクラップ
の買取りをしていた。
イ被告は,原告退職後,別紙2計算書の番号3,4,6,7,9,10,
12,14,15,21,24ないし26,29ないし32の歯科医院等
から,歯科用合金スクラップの買取りをしている。
ウ被告が別紙2計算書の番号1ないし32の歯科医院等と,原告在職中に
行った上記取引の状況は,別紙3「A被害先の過去取引一覧」のとおりで
ある。これを基礎として,被告と上記各歯科医院等との取引量を想定し,
原告の損害額を算定する過程を示したものが,別紙2計算書であり,被告
の行為によって原告に生じた損害額は79万8903円である。
エよって,原告は,被告に対し,本件誓約書合意及び就業規則19条4項
に基づき,次の請求をする。
(ア)別紙1取引先一覧表記載(番号102を除く。)の取引先との間に
おける,平成19年11月30日まで,自ら又は第三者のために歯科用
合金スクラップ(撤去冠,キャスト屑,研磨屑,集塵機屑)の買取りの
禁止
(イ)債務不履行に基づく損害賠償金79万8903円及びこれに対する
訴状送達日の翌日である平成18年8月29日から支払済みまで商事法
定利率年6分の割合による遅延損害金の支払
(被告の主張)
否認(原告主張の上記ウの取引量については,別紙2計算書の番号2,5,
13,16,18ないし20,24,29につき否認する。その余の取引量
について,被告は認否をしない。)又は争う。
第3争点に対する判断
1本件誓約書合意の成否について(争点(1))
弁論の全趣旨によれば,被告は,甲1に署名押印したことが認められるとこ
ろ,これによれば,本件誓約書合意の成立が認められる。
被告は上記第2の2(1)の被告の主張イのとおり主張するが,甲1は一枚
の用紙で,記載内容も平易であり,一般人をして説明なくして理解できないよ
うなものではなく,上記主張内容をもって上記認定を覆すことはできない。
2本件誓約書及び就業規則19条4項は,公序良俗違反か(争点(2))。
(1)アおよそ,退職後一定期間は使用者である会社と競業行為をしない旨の
入社時における特約や就業規則の効力は,一般に経済的弱者の立場にあ
る従業員の生計の方法を閉ざし,その生存を脅かすおそれがあるととも
に,職業選択や営業の自由を侵害することになるから,上記特約や就業
規則において競業避止条項を設ける合理的事情がない限りは,職業選択
や営業の自由に対する侵害として,公序良俗に反し,無効となるという
べきである。
したがって,従業員が,雇用期間中,種々の経験により,多くの知識
・技能を取得することがあるが,取得した知識や技能(以下「知識等」
という。)が,従業員が自ら又は他の使用者のもとで取得できるような
一般的なものにとどまる場合には,退職後,それを活用して営業等する
ことは許される。
イ(ア)しかしながら,当該従業員が会社内で取得した知識が秘密性が
高く,従業員の技能の取得のために会社が開発した特別なノウハウ
等を用いた教育等がなされた場合などは,当該知識等は一般的なも
のとはいえないのであって,このような秘密性を有する知識等を会
社が保持する利益は保護されるべきものであり,これを実質的に担
保するために,従業員に対し,退職後一定期間,競業避止を認める
ことは,合理性を有している。
会社との間で取引関係のあった顧客を従業員に奪われることを防
止するということのみでは,上記アに照らし,競業避止条項に合理
性を付与する理由に乏しい。顧客を奪われることを主として問題と
する場合でも,会社が保有していた顧客に関する情報の秘密性の程
度,会社側において顧客との取引の開始又は維持のために出捐(金
銭的負担等)した内容等の要素を慎重に検討して,原告に競業避止
条項を設ける利益があるのか確定する必要がある。
(イ)また,当該従業員が,会社において一定の重要な役職に就いて
いる等,他の従業員等に対し多大の影響力のある場合には,会社に
とって,退職した者に対し競業避止を求める必要性が大きいといえ
る。
(ウ)さらに,競業制限の程度(範囲,期間等)によっては,従業員
の生存権や職業選択の自由,営業の自由に対する侵害の程度が小さ
く,実質的に見て,これらに影響を与えない場合もありうる。
(エ)そして,会社側が従業員に対し十分な代償措置を図っている等
の事情があれば,従業員の利益は一定程度図られることになる。
(オ)上記(ア)ないし(エ)等の事情の存否を検討し,会社と従業
員との利益を総合的に考量した結果,競業避止条項を設ける合理的
事情が認められる場合,同条項が,公序良俗に反しないものとして,
有効となることもありうるというべきである。たとえば,従業員に
対し競業避止を求める会社の利益が小さいとしても,会社が従業員
に対し十分な代償措置を講ずることによって,従業員の生存権,職
業選択の自由,営業の自由が実質的に保護されれば,競業避止条項
が公序良俗に反しない場合もありうる。
そこで,これらの事情の存否等について,以下検討する。
(2)原告の利益に関する事情等について
上記第2の1の事実に加え,証拠等(甲1∼23(枝番を含む。),乙1,
弁論の全趣旨)によれば,次の事実等が認められる。
ア被告は,12年あまり原告福岡営業所に所属し,営業を担当していた。
被告は,いわゆる「一般社員」である。被告が,原告において役職等を有
していたとの証拠はない。
イ(ア)原告が被告に対し禁止等を求める歯科用合金スクラップ買取業は,
買取側が,歯科医院等から合金スクラップを一旦預り,含有貴金属
(金,銀,白金)量を分析し,含有貴金属量に相当する代金から分析
手数料を控除した金額を,歯科医院等に支払う取引である。
この取引については,歯科用合金が有価物として買い取られるため,
廃棄物の処理及び清掃に関する法律の規制対象にならず,買取業者に
ついて,収集・運搬・処分に係る同法の許認可は必要でない。
また,上記買取業務には,特殊技能は要しない(訴状4頁)。
(イ)原告と歯科医院等との間では,歯科用合金スクラップ買取りにつ
いて継続的な取引契約等を締結していない。上記買取りについて,原
告以外にも同業他社は多数あり,市場の独占はない。
原告の担当者が歯科医院等に訪れるのは,数か月に1回程度である。
被告が原告在職中,原告の担当者が歯科医院等に上記スクラップの回
収を行ったとき,他の業者により回収済みであったこともたびたびあ
った。
原告は,原告と歯科医院等との間で,医療用廃棄物の処理に関する
継続的な契約を,歯科用合金スクラップ買取りの契約とセットで行っ
ている旨主張するが(原告第3準備書面3頁),甲21の1ないし1
0,乙1(島原南高歯科医師会は,原告との契約は医療廃棄物関係の
契約であって,撤去冠については契約外であるとの認識を示してい
る。)を見ても,両契約が法的にセットであるとすることはできない。
(ウ)原告は,歯科医院等は貴金属分析工程などについて関心が高く,
担当従業員には知識と説明能力を要するから,担当従業員に必要な教
育を行うとするが(同準備書面3頁),その具体的内容(当該教育が
一般的に取得できる知識の習得を目的としているか等)を明らかにし
ない。
また,原告は,歯科合金の買取りと医療廃棄物の処理についての歯
科医院等との取引の開始は,専ら地域の歯科医師会の推薦や紹介者に
紹介料を払うこと等によって事実上可能となるとするが(同準備書面
3頁),上記(イ)のとおり,両契約は別個のものであり,原告が歯
科用合金スクラップ買取りにつき具体的にどのような出捐(金銭的負
担等)をしているかについては,原告の主張によっても明らかでない。
(エ)原告は,「顧客の名簿及び取引内容,価格等に関わる事項」は,
経営の根幹に関わる重要な情報であり,被告は,このような情報を使
用して歯科用合金スクラップの買取業を現に行っている旨主張する。
しかしながら,歯科医院等であれば,業務の過程で上記スクラップが
生じるのは通常であるところ,歯科医院等の所在は容易に調査可能で
あり(電話帳等にも掲載されている。),価格も貴金属の価格の相場
で決定されるから(原告の主張),原告主張の情報が,上記スクラッ
プの買取業務を遂行する上において,どのような重要性を有するかは
明らかでない。
(オ)原告は,歯科用合金スクラップの買取りの際,上記のとおり,歯
科医院等は業者に有価物を預託するから,業者に信用を要するといっ
た事情があり,新規参入のためには,顧客との従前からの取引により
顔なじみによって取引を認めてもらう以外ない旨主張する(原告第8
準備書面5頁)。しかしながら,歯科医院等は,被告が原告に在職し
ている間,原告への信用を基礎として,原告の従業員である被告に有
価物を預託したのであって,顔なじみであることから,直ちに被告に
信用が認められ,被告の新規参入を認めるという関係があるとはいえ
ない。
ウ被告は,原告退職前3年間,原告在職中,歯科用合金スクラップ買取り
について,別紙1取引先一覧表記載(番号102を除く。)の歯科医院等
と取引していた。その歯科医院等の中には,同表番号(取引は1回のみで,
取引額も小さい。)77,78のように,取引実績がほとんどないものも
含まれている。
被告の原告在職中の上記買取りについての具体的業務は,歯科医院等か
ら歯科用合金スクラップを預かり,原告に引き渡し,その後原告から渡さ
れた明細書を持って歯科医院等に代金を支払うことのみであり,査定は担
当外であった。被告は,そのほか,歯科医院等との間の医療用廃棄物の処
理についても担当していた。
エ被告は,原告退職後,別紙2計算書記載の歯科医院等から,歯科用合金
スクラップの買取りを行った。被告が,歯科医院等との間で,上記買取り
について継続的契約を締結するなど,原告と歯科医院等との間で上記スク
ラップの買取りができなくなるような形で契約等した証拠はない。
(3)競業避止の範囲等の事情等について
ア本件誓約書及び就業規則19条4項における規定内容は,上記第2の1
(2),(3)のとおりである。
競業避止の対象となる取引の種類は,本件誓約書が「在職中の会社の全
取引先につき会社と同一又は類似の業務」であり,上記就業規則は「会社
と同等の事業(直接又は間接を問わない。)」である。本件誓約書及び上
記就業規則において,競業が禁止される地域の限定はない。
本件誓約書記載の「在職中の会社の全取引先」とは,原告が担当者とし
て行った相手方に限定されるものではなく,原告の他の従業員が担当者に
なっているものも含むと解するのが自然である。競業避止の範囲は,規定
上,本件誓約書より上記就業規則の方が広い(「在職中の会社の全取引先
につき」との限定がない。)。
原告は,本件訴訟において競業避止の範囲を限定し,被告が原告従業員
として取引した福岡県,佐賀県,長崎県にある歯科医院等からの歯科用合
金スクラップの買取りの差止めを求めるとともに,退職前3年間に取引し
た歯科医院との間で行った上記買取りについて損害賠償請求をする。しか
しながら,本件誓約書や上記就業規則の文言からは,競業避止の対象とな
る取引の種類,区域,取引相手となる歯科医院等の範囲について,原告の
上記請求のように限定する解釈を導くのは困難である。
さらに,上記2年間又は3年間という期間は,被告が受給可能ないわゆ
る失業保険の給付期間(雇用保険法参照)に比し,長期に及んでいる。制
限期間は,本件誓約書合意で退職後3年間,上記就業規則で退職後2年間
とされるが,就業規則では,競業禁止の範囲が拡大されているため,競業
避止期間のみが同規則のとおり短縮されるか否かは疑義がある。
本件誓約書合意には,合意の違反には損害賠償する旨規定し,被告に対
し営業等を萎縮させる条項が規定されている。
イ原告は,被告の原告退社時ころの福岡県,佐賀県,長崎県の歯科医院等
の数は5306軒あり,被告担当であった254軒の歯科医院等からの歯
科用合金スクラップの買取りについて,退職後2年間競業避止が求められ
ても,被告の生存権が脅かされる状況にない主張する。
しかしながら,本件誓約書及び就業規則19条4項の解釈において競業
避止の対象等を制限できないことについては,上記アのとおりである。
(4)総合評価
原告が競業避止条項を設けた目的は,原告の主張によれば,被告によって
原告の顧客を奪われることを防止することにあるところ,上記(2),
(3)の事情に照らすと,顧客情報等の秘密性に乏しく,原告が被告に対し
競業避止を求める利益は小さいと言わざるをえない。他方,競業避止の対象
となる取引の範囲(種類,地域)は広範で,期間も長期に及び,競業避止条
項により,被告の生存権,職業選択の自由,営業の自由に対する侵害の程度
が大きいことが認められる。
そして,被告は,原告において役職等を有しておらず,退職後,原告従業
員に対し強い影響力を有する地位等にあったとはいえない。また,原告が被
告に対し競業避止に関する代替措置を講じた事実は認められない。
以上のほか,一件記録から認められる諸般の事情(原告は,B所長と被告
間でなされたとされる「競業をしない。」との約束も問題にする。)を総合
考慮しても,競業避止条項を設ける合理的事情は認められず,本件誓約書合
意及び就業規則19条4項における競業避止条項は,公序良俗に違反し,無
効である。
原告の指摘する種々の裁判例は,本件とは事案を異にし,これらの裁判例
により原告の主張を根拠付けることはできない。
3よって,その余の点を判断するまでもなく,原告の請求はいずれも理由がな
い。
福岡地方裁判所第2民事部
裁判官桂木正樹

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