弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人中村源次郎の上告趣意について。
 しかし、憲法第三七条第一項にいわゆる「公平な裁判所の裁判」とは、偏頗や不
公平のおそれのない組織と構成をもつた裁判所による裁判を意味するものであつて、
個々の事件につきその内容実質が具体的に公正妥当なる裁判を指すのではないこと
は既に当裁判所の判例とするところである(昭和二二年(れ)第一七一号、同二三
年五月五日宣告、同二二年(れ)第四八号、同二三年五月二六日宣告の各大法廷判
決)。従つて原判決が被告人に対し刑の執行猶予の言渡をしなかつたからといつて、
所論のように、これを目して同規定に違反するものとすることはできない。結局論
旨は原審がその自由裁量権に基き刑の執行猶予の言渡をしなかつたことを攻撃する
ものに外ならないから上告適法の理由とならない。
 弁護人池田門太の上告趣意第一点について。
 しかし、奪取罪は犯人が他人の所有物をその者の支配を侵して奪取するによつて
成立するものであるから、かゝる犯罪事実を判示するに際し、その被害者が数人あ
り、贓品の種類数量等も多種多様であるときは、必ずしもその詳細を遂一明示する
を要せず、被害者中或者の氏名を表示して他はその員数等を掲げるに止め、その種
類数量についても、その中比較的重要な物のみを示して他は雑品としてその総数を
概略表示する等これによつて他人の支配を侵してその者の所有物を奪取したことを
知り得べき程度に具体的に判示すれば充分であると解さねばならない。原判決によ
ると被告人等はA方において同人等に対し暴行脅迫を加えて「同人等所有の現金二
千七百円位其他衣類雑品四十余点を強奪し」云々と判示し、これにより被告人等の
強奪した金品中には右Aの外他の者の所有に属する物も含まれて居り、その種類数
量についても現金の外衣類その他の雑品が四十数点に上ることを示しているのであ
るから、本件強盗罪の事実の判示としては何等欠けるところはなく、又右の認定事
実は起訴記載の事実にも符合するものと認められる。しかも原判決挙示の証拠によ
つて右犯罪の事実は優にこれを認定し得るのであるから原判決には所論のような違
法はない。論旨は理由がない。
 同第二点(イ)について。
 しかし、証拠を取捨選択し、既に閉じたる弁論を再開するか否かは事実審裁判所
の専権に委ねられたことであるから、かりに弁論終結後被害弁償に関する示談書が
提出せられ、偶々その弁償額の多寡、示談成立の事情等その書面の内言に不明の個
所があつたとしても、他に特別の事情のない限りこれがため既に閉じたる弁論を再
開し示談関係者を訊問してその示談の内容を明確にした後でなければ審理を終結し
判決をするを得ないという理はない。憲法第三七条第二項は、所論の如く刑事被告
人はすべての証人に対して審問する機会を充分に与えられる旨を規定はしているが、
この規定あるがために裁判所としては不必要と思われる証人迄も訊問しなければな
らぬという訳のものではなく、裁判所が当該事件の裁判をなすに必要適切と思われ
る証人を喚問すればそれでよいものであることは既に当裁判所の判例とするところ
である(昭和二二年(れ)第二三〇号、同二三年七月二九日大法廷判決)。即ちこ
の規定と前記の如き事実審裁判所の自由裁量権とは互に抵触せず全くその趣旨を異
にするものであるから、原審が既に閉じたる弁論を再開して示談関係者たるAを証
人として喚問する手続をとらなかつたからといつて、直ちにこれを以て右憲法の規
定に違反するものとし所論の如く論じ去ることは当を得ない。しかも記録によると
原審は第二回公判期日において、弁護人から証人Aは病気のため出廷不能につきそ
の喚問申請を抛棄し、その代りに在廷証人としてBの喚問を申請する旨の申出があ
つたのに対し、これを許容し、右Bのみを証人として訊問し、被害弁償の事情等に
ついても或程度明瞭にした後弁論を終結した経緯を知ることができる。即ち原審は
本件被害弁償の事情についても或程度心証を得た後判決すべき段階に達したものと
して弁論を終結したことは明瞭であつて、その後判決言渡の二日前に示談書が提出
されたことは所論の通りであるが原審としては、更にその示談の内容を明かにする
がため既に閉じたる弁論を再開してAを証人として喚問する必要を認めなかつたも
のと思われる。これを要するに所論は原審の専権に属する証拠の取捨選択、弁論再
開の可否に関する裁量を非難するに帰し、固より上告適法の理由とならない。
 同第二点(ロ)について。
 しかし、上告審を以て純然たる法律審即ち法令違反を理由とするときに限り上告
をなすことを得るものとするか又は法令違反の外に量刑不当若しくは事実誤認を理
由とする上告を認め事実審理の権限をも上告審に与えるかは立法上の当否の問題で
はあるが憲法上の適否の問題ではないから、刑訴応急措置法第十三条第二項の規定
により刑事訴訟法第四百十二条の適用を排除し刑の量定甚しく不当なりと思料すべ
き顕蓍なる事由があるときでも上告の理由となすことができないと定めても憲法違
反でないことは既に当裁判所の判例とするところである(昭和二二年(れ)第五六
号、同二三年二月六日大法廷判決)。既に立法上の当否の問題であるとする以上新
刑事訴訟法が実施せられる迄はその公布の日の前後を問わず前記刑訴応急措置法の
規定が依然有効に適用せられるのは当然の事理であるから、新刑事訴訟法公布後に
おいては右規定憲法違反となるとして原審の量刑の不当を攻撃する論旨は上告適法
の理由となり得ない。
 よつて刑事訴訟法第四四六条に従い主文の如く判決する。
 この判決は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 十蔵寺宗雄関与
  昭和二三年一〇月一六日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    藤   田   八   郎
 裁判官小谷勝重は差支につき署名することができない。
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義

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