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金融商品取引法違反被告事件
平成30年3月22日宣告東京地方裁判所刑事第13部
主文
被告人を懲役2年6月及び罰金1000万円に処する。
未決勾留日数中100日をその懲役刑に算入する。
その罰金を完納することができないときは,金2万円を1日に換
算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判が確定した日から4年間その懲役刑の執行を猶予する。
被告人から金26億5864万4900円を追徴する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は
第1A1及びA2と共謀の上,財産上の利益を得る目的で,大阪市a区bc丁目
d番e号所在の株式会社B証券取引所が開設していた有価証券市場に上場され
ていたC株式会社が発行した株券について,その株価の高値形成を図ろうと企
て,平成24年2月15日から同年3月2日までの間,13取引日にわたり,
同市場において,同株券の売買を誘引する目的をもって,別表1(添付省略)
記載のとおり,被告人及びA2ほか2名の名義で,D証券株式会社ほか6社の
証券会社を介し,立会開始前に大量の成行買い注文等を入れ,立会時間に最良
買気配値近辺の値段及び最良買気配値から離れた下値に大量の買い注文を入れ
るなどの方法により,同株券合計296万5600株を買い付けるとともに,
別表2(添付省略)記載のとおり,同株券合計279万6600株の買付けの
委託を行う一連の取引をし,同株券の株価を871円から1297円まで上昇
させた上,同年2月17日から同年3月5日までの間,4取引日にわたり,同
市場において,当該上昇させた株価により,別表3(添付省略)記載のとおり,
同株券合計147万5400株を売り付け,もって,同市場における同株券の
相場を変動させるべき一連の株券売買及びその委託をし,当該上昇させた株価
により,同株券の売買を行い,
第2A1と共謀の上,財産上の利益を得る目的で,
1真実は,前記B証券取引所が開設していた有価証券市場に上場されていたC
株式会社が発行した株券につき,空売り残高の増加及び浮動株の減少による出
来高の減少に伴い,株券の調達が困難となった売り方が高値で買い戻すことに
より株価が上昇するいわゆる「空売りの踏み上げ相場」が形成されて株価が大
きく上昇する状況になく,同株券の保有を継続する意思もないにもかかわらず,
過去に株価が上昇した銘柄と同様に膨大な空売り残高が存在し,空売りの踏み
上げ相場により株価が大きく上昇する可能性がある旨の虚偽の情報に加え,自
己らが同株券を既に買い付けて保有しており,株価が1300円に上昇するま
での間,同株券の保有を継続する旨を示唆しつつ,他の投資家に対しても,自
己らと同様,同株券を買い付け,株価が1300円に上昇するまでの間,同株
券の保有を継続するよう推奨する旨の文章を公表して,同株券の株価を上昇さ
せた上,自己らがあらかじめ買い付けていた同株券を売り付けて利益を得よう
と企て,同株券の売買のため及び同株券の株価を上昇させる目的をもって,平
成23年11月1日から同年12月29日までの間,3回にわたり,東京都港
区fg丁目h番ij居室ほか1か所において,これら2か所に設置されたパー
ソナルコンピューターを使用し,A1が主宰する「般若の会」名義のインター
ネット上のウェブサイト「時々の鐘の音」に,「仲間が一つになってそれぞれ
が不動の心によって事に当たる時,不可能が可能になります。」「『昨日の今』
1995年,阪神・淡路大震災の後の株式相場は閉塞状況にありました。市場
には失望感が高まり,売りが売りを呼び,莫大な空売りが溜まりました。」「E
株は稀に見る大踏み上げ相場に発展し,300円台の株価が10倍以上の価格,
5000円台にまで達しました。」「そして『今日の今』2011年―東日本大
震災によって株価が200円台で低迷し,空売りが異常に膨らみ,Eのときと
同じように大相場になる雲行きを呈してきた銘柄があります。何百万株という
空売り残を抱えたその200円台の銘柄のマグマが爆発するのはいつか?」
「『空売り残の異常な膨らみ』という共通点の下,『昨日の今』阪神大震災にお
ける当時のEと同じ軌跡を『今日の今』東日本大震災後のその200円台の銘
柄が『明日の今』に向かって歩もうとしているかのように私には感じ取れま
す。」「私達は天が与えてくれた恩寵の中にいるのです。」「今,私もあなた達も
天から試されています。」「将来の出世株たるその銘柄を『未来の今』1300
円で売って実際に莫大な利益を得た人だけが天から合格証を与えられます。」
「240万株を超える空売りが隠れていると想定できます。この合計300万
株を超えたであろう日が10月5日であり,結果として,B証金を通さないで
株を借りるのが非常に困難になったことを私は予測できました」「200円台
で数百万株という膨大な空売り残を抱えているだけに,『遠くをはかる者は富
み』と尊徳の箴言にあるように,『天の時』・『地の利』・『人の和』が一つとな
ったその時より,空売りの踏み上げ相場が始まるような気がします。」「何十年
に一回の稀有の大相場に発展する可能性があるこの銘柄とのせっかくの縁を頂
いたのに,眼前の利に迷うては自らみすみす運を捨て去ることになります。」
「○○○○○は,200円台にあった株価が4.5倍以上の930円という高
値を付けました。現在も相場は続いており,いつ930円の高値を抜くかが注
目されます。」「B証券金融での400万株の空売り残に加えて,来年3月には
250万株以上の『隠れた空売り』の期日が到来します。そのため,この株式
のヤマ場は既に述べた通り来年の3月であると考えるのが妥当であると思いま
す。」などと記載した文章を掲載し,不特定かつ多数の者が閲覧可能な状態に
させて同株券の株価を上昇させた上,別表4(添付省略)記載のとおり,平成
23年11月2日から平成24年2月10日までの間,49取引日にわたり,
前記B証券取引所が開設していた有価証券市場において,F証券株式会社ほか
8社を介し,当該上昇させた株価により,被告人ほか2名名義の同株券合計2
93万株を代金合計16億834万4600円で売り付け,
2真実は,前記1記載のとおり,平成23年11月1日から同年12月29日
までの間,3回にわたり,前記C株式会社が発行した株券につき,空売りの踏
み上げ相場が形成されて株価が大きく上昇する旨の虚偽の情報を公表したほか,
前記第1記載のとおり,平成24年2月15日から同年3月2日までの間,同
株券の売買を誘引する目的をもって,立会開始前に大量の成行買い注文等を入
れ,立会時間に最良買気配値近辺の値段及び最良買気配値から離れた下値に大
量の買い注文を入れるなどの方法により,有価証券市場における同株券の相場
を変動させるべき一連の株券売買及びその委託をして,その株価を上昇させた
ものであったにもかかわらず,これらの事実を秘して,自己らが前記ウェブサ
イト「時々の鐘の音」に記載したとおり,同株券の株価が1297円まで上昇
したかのように装い,かつ,真実は,東京都中央区kl町m番n号所在の株式
会社G証券取引所が開設していた有価証券市場に上場されていたH株式会社が
発行した株券につき,空売りの踏み上げ相場が形成されて株価が大きく上昇す
る状況にないにもかかわらず,過去に株価が上昇した銘柄と同様,空売りの踏
み上げ相場により株価が大きく上昇する可能性がある旨の虚偽の情報に加え,
他の投資家に対して,同株券を買い付け,株価が少なくとも1000円以上上
昇するまでの間,同株券の保有を継続するよう推奨する旨の文章を公表して,
同株券の株価を上昇させた上,自己らがあらかじめ買い付けていた同株券を売
り付けて利益を得ようと企て,同株券の売買のため及び同株券の株価を上昇さ
せる目的をもって,同年4月17日,東京都豊島区op丁目q番r号室におい
て,同所に設置されたパーソナルコンピューターを使用し,前記ウェブサイト
「時々の鐘の音」に,「先細りの株式市場にあって,『買い』で取れた数少ない
銘柄として,2011年11月1日,『時々の鐘の音』のコラム『再びの邂逅』
の中で触れた200円台の銘柄,コード番号:4406○○○○○があります。
本銘柄は2012年3月2日に1,297円という高値を付けました。買いで
1,000円幅が取れた銘柄として大いに脚光を浴びたことには,まさしく天
の恩恵を感じざるを得ません。」「2012年4月16日引け値409円,コー
ド番号:8103○○○○は今年の出世株として大いなる輝きを放つかもしれ
ません。1,000円幅は勿論のこと,何年振りかに出現するであろう,『E』
のような大相場に発展する可能性も大いにあり得る,と私には思えてなりませ
ん。」「隠れた空売り残も相当数が既に積み上がっていることが窺えますから,
今後の取り組み次第では空売りの大踏み上げ相場に発展する可能性も大いに有
り得ます。」「現在の株価の水準があまりにも低すぎる○○○○は,現物で買っ
て長期に保有するのに最適の銘柄と言えます。今後,Eのような大相場に発展
する予感がしています。」「種を蒔いて『遠くを計る者』と,種を蒔かずに刈り
取ることのみに心を奪われる『近くを計る者』のいずれが多いかは,株価の成
長の軌跡軌道に大いに影響があります。4406○○○○○が200円台から
1,297円まで株価が成長し,そして452円という安値をつけたことは,
種を蒔かずして刈り取ることだけを考える『近くを計る者』が如何に多かった
かをはっきりと物語っています。」「売買益を得るのに50円から100円幅で
はなく,しっかりと1,000円幅,2,000円幅,3,000円幅がとれ
る株式投資が実現することが望まれます。8103○○○○はEのような大相
場に発展する可能性があるだけに,二宮尊徳の言う『遠くを計る者』が数多く
加われば今年の出世株に育つ可能性は大きいと思います。」などと記載した文
章を掲載し,不特定かつ多数の者が閲覧可能な状態にさせて同株券の株価を上
昇させた上,別表5(添付省略)記載のとおり,平成24年4月18日から同
年5月7日までの間,11取引日にわたり,前記G証券取引所が開設していた
有価証券市場において,D証券株式会社ほか6社を介し,当該上昇させた株価
により,被告人ほか2名名義の同株券合計463万4400株を代金合計32
億5363万400円で売り付け
もって,それぞれ,有価証券の売買のため及び有価証券の相場の変動を図る目
的をもって,風説を流布するとともに偽計を用いて相場を変動させた上,当該変
動させた相場により,有価証券の売買を行った。
(事実認定の補足説明)
第1本件の争点
本件の主たる争点は,①判示第1の事実について,被告人らのC株式会社の
株券の買付け又は買付けの委託を行う一連の取引が金融商品取引法159条2項1
号で禁止される相場操縦取引に該当するか,②判示第2の1及び2の各事実につい
て,被告人らが合計4日間にわたり後記ウェブサイト「時々の鐘の音」に文章を掲
載した行為が金融商品取引法158条で禁止される風説の流布及び偽計に該当する
か,③判示各事実について被告人に故意及び共謀が認められるか,の3点である。
なお,以下補足説明をするに当たり,以下のとおりの略称を用いる。
ア被告人の実父であるA1(相被告人であったが,本件の公判中に死亡し,公
訴棄却の決定がされている。)のことは「A1」,被告人の実母であるA2のことは
「A2」,A2の甥であるA3のことは「A3」,A2の弟であるA4のことは「A
4」,被告人の友人であるA5及びA6のことはそれぞれ「A5」,「A6」,A1が
過去に主宰していた株式投資研究会の会員であり,後記「時々の鐘の音」への掲載
を手伝ったA7のことは「A7」,C株式会社のことは「C」,同会社の株券のこと
は「C株」,H株式会社のことは「H」,同会社の株券のことは「H株」,B証券取
引所のことは「B証」,G証券取引所のことは「G証」,A1が主催していた「般若
の会」名義のウェブサイト「時々の鐘の音」は「時々の鐘の音」という。
イ「時々の鐘の音」に,平成23年11月1日に掲載された文章を「コラム
①」,同月17日に掲載された文章を「コラム②」,同年12月29日に掲載された
文章を「コラム③」,平成24年4月17日に掲載された文章を「コラム④」とい
う。
ウA4名義証券口座,A3名義証券口座,被告人名義証券口座,A2名義証券
口座を併せて「4名義証券口座」といい,A4名義証券口座,A3名義証券口座,
被告人名義証券口座を併せて「3名義証券口座」という。
エ証券金融会社が公表した融資貸株残高のことを「証金残」といい,証券取引
所が公表した信用取引残高を「信用残」という。
第2前提となる事実
関係証拠によれば,以下の事実が認められる。
1当事者等
被告人等事件関係者
ア被告人は,I大学理学部卒業後,同大学大学院数理科学研究科に進学し,確
率論を基礎とした数理ファイナンスを研究し,平成18年3月に博士課程を修了し
た。その後,被告人は,信託銀行のシンクタンクに研究員として就職し,金融工学
を研究するなどしていたが,平成22年3月頃から腰痛のため休職し,平成23年
3月に退職した。被告人は,同年4月から上記数理科学研究科の特任研究員となり,
平成24年4月にはJ大学大学院基礎工学研究科の助教に就任した。被告人は,休
職して自宅で療養していた平成22年3月頃から,A1の依頼を受けて,主に自己
名義証券口座で株を発注するなどしていた。
イA1は,証券会社で歩合外務員として稼働したり,投資顧問会社を設立して
株式投資のコンサルタント業を営むなどした後,株式研究会「新しい風の会」を発
足させ,株式投資に関する新聞を発行したり,会員を集めて講演会を開催するなど
していた。A1は,「新しい風の会」において,「E」の株式を手がけ,「E」の株
価は上昇したが,その後株価が急落し,「新しい風の会」の活動を終了させた。A
1は,その後,株式研究会「泰山」を発足させ,フォーラムを開催する形で推奨銘
柄などの情報を発信していたが,自身の病気の悪化などから,インターネット上に
「時々の鐘の音」を開設し,「時々の鐘の音」を通じて推奨銘柄などを発信するよ
うになった。A1は,東日本大震災後の平成23年6月頃,株式研究会「般若の会」
を設立し,会員に対し,電話や手紙で推奨銘柄を伝えるなどしていた。A1は,平
成7年頃から,自己名義で証券口座を開設することができなくなっていたため,A
4からA4名義の証券口座を借りて株取引を行っており,平成23年4月頃からは,
A3名義の証券口座も実質的に自己の証券口座として使用して株取引を行っていた。
ウA2は,A1が主宰する株式研究会の活動を手伝うとともに,A1の指示に
従い,主にA2名義の証券口座で株を発注していたほか,A1の代わりにA4名義
の証券口座で発注したり,被告人名義及びA3名義の証券口座でも株の発注をする
ことがあった。
エA3は,平成16年頃から,A1の依頼で同人宅のパーソナルコンピュータ
ーの設定等を行っていたが,平成23年4月にA1のために自己名義の証券口座を
開設して以降,A2や被告人を通じてA1の指示を受け,同証券口座を利用して株
の発注を行っていた。
Cの概要
Cは,油脂製品や石油化学製品の製造・販売等を業とする株式会社であり,昭和
24年に当時の商号「K株式会社」でB証に株式を上場し,本件当時も同取引所に
株式を上場していた。平成23年11月1日から平成24年3月31日までの間,
Cの発行済株式総数は,3800万8906株であった。
Cは,平成22年3月期には500万円の連結経常利益及び2億1600万円の
連結純損失を計上し,平成23年3月期には5億6500万円の連結経常利益及び
6億8700万円の連結純利益を計上したものの,平成24年2月には,「業績予
想の修正に関するお知らせ」と題する書面により,平成23年5月に公表した平成
24年3月期の連結業績予想(1株当たり純利益27.08円)を下方修正して1
株当たり純利益が20.65円となるとの発表を行っていた。
Cの株価は,平成23年4月はおおよそ1株100円前後で推移していたが,同
年5月に株価が上昇し,同年6月は1株140円前後で推移し,また同年7月から
9月に株価が上昇し,同年10月は1株270円前後で推移し,同年11月1日の
時点では最高値289円であった。
Hの概要
Hは,化学品,樹脂,燃料,食料及び機械等の各種原料・製品の販売及び輸出入
等を業とする株式会社であり,昭和48年にG証市場第二部に株式を上場し,昭和
50年にはG証市場第一部に指定替えされており,本件当時もG証市場第一部に上
場していた。平成24年4月時点でのHの発行済株式総数は,4178万株であっ
た。
Hは,平成22年3月期には23億8500万円の連結経常利益及び15億46
00万円の連結純利益,平成23年3月期には32億4700万円の連結経常利益
及び21億4400万円の連結純利益,平成24年3月期には38億6300万円
の連結経常利益及び23億800万円の連結純利益,平成25年3月期には28億
5700万円の連結経常利益及び16億8200万円の連結純利益を計上していた。
Hの株価は,平成24年1月上旬は1株215円前後で推移していたが,同年2
月には1株300円前後で推移するようになり,その後も株価は上昇したが,同年
4月16日の最高値は411円であった。
2事実経過の概要
A1は,平成23年7月上旬頃から,A4名義証券口座でC株の売買を始め,
同月上旬頃,A1又はA2は,A3に対し,C株について,株式会社Lが提供する
各日ごとの終値や出来高等が表示された画面(以下「M画面」という。)をまとめ
た資料を作成するよう指示した。また,A1は,同月下旬頃から,A2や被告人に
指示するなどしてA2名義証券口座,被告人名義証券口座でもC株の売買を始め,
同年9月初旬頃からは,A3に指示するなどして,A3名義証券口座でもC株の売
買を始めた。
A1,被告人,A7,A2及びA3は,同年10月上旬頃,A1の希望に基
づき,打合せをした結果,インターネット上のA1の偽物を否定し,本物のA1の
言葉を示すため,「時々の鐘の音」を更新することを決めた。同月下旬から,A1
が口頭で伝えた内容を基にA7が文案を作成し,A1がその文案に対して修正指示
を繰り返すなどして,コラム①の原稿が作成された。被告人は,A7から,メール
で文案の送信を受けていたが,それにコメントを付して返信したこともあり,コラ
ム①の原稿が完成した後,同年11月1日,コラム①を「時々の鐘の音」にアップ
ロードした。同日のC株の最高値は289円であったが,同月2日の最高値は36
7円となり,同日夜,A1は,A7に対し,Cの株価,ストップ高になったな,俺
の言うとおりになっただろうなどと言った。
Cの株価は同年11月2日以降も上昇し続け,同月16日には最高値が52
3円となった。
同年10月31日時点で,4名義証券口座合計でC株は232万1800株保有
されていたが,同年11月2日から同月16日までの間,4名義証券口座合計で2
8万5000株が買い付けられた一方,合計179万200株が売り付けられた。
A1とA7は,同月9日頃から,前同様の方法により,コラム②の原稿を作
成し,同月17日,被告人がA3に対し,コラム②のアップロードを依頼し,同日,
A3がコラム②を「時々の鐘の音」にアップロードした。
Cの株価は,同月17日に最高値614円を付け,同年12月12日には最
高値930円をつけたが,その後下落し,同月28日は最高値808円であった。
同日,被告人は,コラム③の掲載にあたり,A2からA1の言葉を書きとっ
たメモを受領し,これをパーソナルコンピューターで清書して推敲した。同月29
日早朝,被告人は,A3にメールを送信し,コラム③の原稿を作成したことを伝え,
A1の了解を得た後に,「時々の鐘の音」の更新作業をしてもらいたいなどと依頼
した。A3は,A2から指示を受けて,同日の寄付き前にコラム③をアップロード
した。
同日,C株は864円の最高値を付けた。
4名義証券口座では,同年11月17日以降は,同月25日に42万8000株,
同月28日に3万5000株のC株が買い付けられたほかは,C株は売り付けられ
ており,同年12月30日時点での4名義証券口座でのC株の保有残高は28万1
00株となっていた。
平成24年1月頃,A2は,A3に対し,H株についても,M画面をまとめ
た資料を作成するよう指示した。同月23日頃から,A1はA4名義証券口座でH
株の売買を始め,同年2月3日から被告人名義証券口座,同月13日からA3名義
証券口座でもH株の売買が始められた。
C株の株価は,同年1月10日は最高値790円であり,同月23日には最
高値1000円を付けたものの,その後,800円台から900円台で推移してい
た。同株価は,同年2月15日から同年3月2日までは,最高値は900円台から
1200円台まで上昇し,同日には1297円を付けたが,同月6日には最高値1
101円と大幅に下落した。
4名義証券口座では,同年1月初めから同年2月14日までの間は,C株の売付
けはあった一方,買付けはほとんどなかったものの,同月15日から同年3月2日
までの間は,毎日,1日4万株ないし45万5000株の買付けが行われ,同日に
は96万株,同月5日には44万株の売付けが行われた。その後も,4名義証券口
座ではC株の買付け,売付けが繰り返され,同月30日時点での4名義証券口座合
計保有株数は220万5800株であった。
同年3月下旬頃,A5がA1の指示を受けてコラム④の文案の作成作業をし
ていたが,同月末頃から,A1の指示で,被告人がコラム④の文章考案,作成,推
敲を担うことになり,被告人は,A6やA5の協力も得ながら,同年4月14日頃,
コラム④の原稿を作成した。その後,被告人がA3にコラム④の原稿を送るなどし,
同月17日,A3は,A2からの指示を受け,同日午前11時30分頃,コラム④
をアップロードした。
同月16日時点で,3名義証券口座で,H株は合計463万4600株保有
されていた。その後は,3名義証券口座でのH株の買いはなく,上記保有株は同年
5月2日まで売り続けられ,同月3日の時点で保有されていたのはA3名義証券口
座の200株のみとなっていた。
第3C株取引の相場操縦取引該当性について
平成24年2月15日から同年3月2日までの4名義証券口座でのC株の買い注
文が金融商品取引法159条2項1号で禁止される相場操縦取引に該当するかにつ
いて検討する。証拠によれば,4名義証券口座でのC株の買い注文は,A1が直接
又は被告人,A2若しくはA3に指示をして出した注文であると認められることか
ら,相場操縦該当性の検討に当たっては,以下,証券口座名義を問わず,買い注文
を出した主体をA1として記載する。
1A1のC株の買い注文状況
A1は,平成24年2月15日から同年3月2日までの間,4名義証券口座で,
C株の買い注文をおおむね数千株から数万株単位で合計600回以上発注し,判示
第1別表1及び2のとおり4名義証券口座でC株の買付け又はその委託を行ってい
たが,その中で,次の態様の買い注文を繰り返し行っていた。
寄付き前の大量の成行買い注文
成行注文とは,値段を指定しない注文で,証券取引所に発注された時の価格付近
で約定することを目的とする注文である。A1は,平成24年2月15日から同年
3月2日までの間,同年2月16日前場寄付き前の合計3万7000株,同日後場
寄付き前の合計3万4000株,同月20日前場寄付き前の合計4万株,同月24
日前場寄付き前の合計5万5000株,同日後場寄付き前の合計1万5000株,
同月27日前場寄付き前の合計11万7000株,同月28日前場寄付き前の合計
2万5000株,同月29日前場寄付き前の合計21万5000株,同年3月1日
前場寄付き前の合計5万株の成行買い注文を出していた。
なお,A1は,同年2月16日前場寄付き前には930円以下で買指値注文を出
しながらも,上記成行買い注文を出して寄前気配値を933円以上に上昇させるな
ど,同年2月29日,同年3月1日を除いて,前場寄付き前に,上記成行買い注文
を出すと約定が見込みにくい値段での買指値注文も出していた。
未約定の買指値注文を大量に残す最良買気配値近辺への買指値注文
指値注文とは,具体的な値段を指定して発注する注文である。A1は,平成24
年2月15日から同年3月2日までの間,その時々の最良買気配値に応じて,最良
買気配値近辺に数千株単位又は数万株単位での買い注文を連続して出し,その買い
注文は,発注直後に全部約定するものもあったが,大半は一部約定又は全く約定し
ないまま残り,当日の立会時間終了まで残り続けているものも多くあった。特に,
A1は,C株の株価が上昇している局面では,株価の上昇に伴って細かく値段を上
昇させて買指値注文を出している場合もあり,その場合には,ほぼ1円刻みで重畳
的に買い注文が残されていることも多かった。
最良買気配値から離れた下値への買指値注文
A1は,平成24年2月22日午前10時22分頃から午前10時24分頃まで
の間,最良買気配値が1014円であった時に,1009円,1007円,100
5円に1万7000株ずつ買い注文を出してそのまま約定させずに残すなど,最良
買気配値から離れた下値への買指値注文もしばしば行っていた。A1は,このよう
な注文を,最良買気配値近辺への買指値注文とは時期を別にして行う場合もあった
が,時期を同じくして行う場合もあった。
2上記各発注態様について
A8証言(以下「A8証言」という。)等によれば,A1の上記買い注文につい
て次のことが認められる(A8証人は,主に相場操縦,偽計及びインサイダー取引
といった不公正取引が行われていないかを監視し,調査審査を行い,不公正取引が
発見されれば証券取引等監視委員会に報告することなどを業務とする日本取引所自
主規制法人売買審査部において統括課長を務めるなど,長年にわたり株取引の審査
を行ってきた者であるから,本件におけるA1の株取引の分析に関するA8証人の
証言内容は基本的には信用できる。)。
寄付き前の大量の成行買い注文について
寄付き前の成行買い注文は,寄付き前の板の中心値段(寄付き前にその時点の板
状況で寄り付くとしたら幾らの値段で値が付くかということを示すもの)を上昇さ
せる方向に働くものであり,寄付き前において,成行売り注文よりも成行買い注文
を多くすることで,第三者に,その株について買い需要が旺盛であるという印象を
与えると考えられる。そして,立会時間中の成行買い注文の場合と異なり,寄付き
前の成行買い注文は,直ちに約定しないため,上記買い需要が旺盛であることを発
注時から寄付き時まで第三者に示すことができる上,誘引されて寄付き前に高値又
は成行で買い注文を出した第三者と共に始値を形成することが出来ることから,立
会時間中の成行買い注文よりも,少ない買付け資金で株価を上昇させることができ
る方法と考えられる。
未約定の買指値注文を大量に残す最良買気配値近辺への買指値注文
上記買い注文,特におおむね1円刻みに大量に残されている買い注文は,最良買
気配値近辺の買い注文の板を厚くすることになる。最良買気配値近辺の買い注文の
発注状況は第三者も見ることができるところ,そのような買い板の状況は,それを
見た第三者に対し,買いの需要が旺盛であるとの印象を与える。そして,買いの需
要が旺盛と考え,株を買う第三者は,当該買い注文が約定してしまわない限り,当
該買い注文の値段及びそれより下の値段で株を買うことはできないから,買いたい
と思う場合にはそれより高い値段での買指値注文又は成行買い注文を出す必要があ
る。そうすると,上記買い注文は,自己が買い付けることなく,上記誘引された第
三者の買い注文の約定によって株価を上昇させられることから,買付け資金を最小
限にとどめる一方で,株価を上昇させることができる買指値注文の方法であるとい
える。
加えて,その後株価が上昇した場合には,これらの買い注文は最良買気配値から
離れた下値への買指値注文として残るため,下記株価下落局面において,
株価が下落するのを防止する効果と第三者の買い注文を促進する効果があると認め
られる。
最良買気配値から離れた下値への大量の買指値注文
この下値への大量の買い注文は,株価が下落した際に売り注文と約定し,株価が
下落するのを防止するほか,株価下落局面において,厚い買い注文の板が最良買気
配値付近の下値に存在することを第三者に示すことで,売り注文が出ても当該買い
注文と約定して株価下落は防止され,株価は上昇に転じるとの印象を与えることが
でき,第三者の買い注文を促進する効果があると認められる。で触れた,寄
付き前の買指値注文で,寄付き時に約定しなかったが,取り消さずにそのまま残し
ていたものも,株価下落局面などにおいて同様の効果を持っていたと認められる。
3C株の株価の変動状況
Cの株価は,平成24年2月14日は始値915円,最高値924円,最安値8
76円,終値880円であったところ,同月15日は始値871円,最高値928
円,最安値857円,終値920円を付け,その後同年3月1日まで,始値,最高
値,最安値,終値いずれもおおむね上昇し,同月2日には,始値1260円,最高
値1297円,最安値1172円,終値1280円を付けたが,同月5日は始値1
250円,最高値1271円,最安値1010円,終値1075円を付け,同月6
日は始値975円,最高値1101円,最安値970円,終値1050円と下落し
た。
4相場操縦取引該当性
まず,金融証券取引法159条2項1号の「取引所金融商品市場における上
場金融商品等・・の相場を変動させるべき一連の」有価証券等売買等とは,相場を
変動させる可能性のある売買取引等をいうものと解されるところ(最高裁平成6年
7月20日第三小法廷決定・刑集48巻5号201頁参照),A1の買い注文は少
なくとも1000株以上,おおむね数千株単位から数万株単位と発注株数が多く,
約定すれば相場を変動させる可能性のある発注であるといえるし,その多くは上記
のとおり株価を上昇させる効果を有する買い注文であるから,相場を変動させる可
能性のある売買取引等と認められる。
ア次に,金融証券取引法159条2項柱書の「有価証券の売買・・のうちい
ずれかの取引を誘引する目的」(以下「誘引目的」という。)とは,人為的な操作を
加えて相場を変動させるにもかかわらず,投資者にその相場が自然の需給関係によ
り形成されるものであると誤認させて有価証券市場における売買取引に誘い込む目
的をいうものと解される(上記最高裁平成6年決定参照)。
イ上記のとおり,A1の買い注文はそれぞれ株価を上昇させる効果を有する買
い注文であるところ,A1は,上記のとおり,寄付き前に買指値注文を出す一方で,
成行買い注文を出して当該買指値注文よりも寄前気配値を上昇させ,当該買指値注
文を約定させにくくしたり,最良買気配値より離れた下値への買指値注文があるの
に最良買気配値近辺に買指値注文を出して下値の買指値注文を約定させにくくする
など,整合しない買指値注文の出し方をしていることに照らすと,A1の買い注文
は,C株を買い付けたいという意図の下での買い注文ではなく,自然の需給関係に
よるものと見せかけて人為的に株価を上昇させるための注文であると推認できる。
この発注態様に加え,A1は,平成23年10月頃から,周囲に,平成24年3
月頃にC株の株価が高騰する旨伝えていながら,自らは,後記のとおり,同年11
月以降,それ以前に大量に買い付けていたC株の大部分を売却し,平成24年2月
上旬まではほとんどC株の買付けをしなかったにもかかわらず,同月15日から突
如としてC株の買い注文を大量に出し始めたという経緯に照らせば,A1の買い注
文は,C株の株価が上昇するので安いうちに買っておきたいという経済的に合理的
な意図とは異なる何らかの意図があって行った行為であると推認できる。そして,
A1は,後記のとおり,「時々の鐘の音」に掲載したコラム①ないし③において,
平成24年3月にはC株の株価は1300円に上昇する旨公言していたものの,そ
れは,合理的根拠を欠くものであって,実際にはCの株価が自然に1300円まで
上昇するような事情はなかったことからすれば,A1には,人為的にCの株価を変
動させて上記の株価上昇を実現しようとする動機も認められる。そうすると,A1
の平成24年2月15日から同年3月2日までのC株の買い注文は,人為的な操作
を加えて相場を変動させるにもかかわらず,投資者にその相場が自然の需給関係に
より形成されるものであると誤認させて有価証券市場における売買取引に誘い込む
目的で行われたものと認められる。
これに対し,弁護人は,①30年近くにわたってプロのトレーダーとして株
式取引に携わってきたというA9証人の証言(以下「A9証言」という。)を引用
して,成行買い注文はある程度一定数の株数を買いたい場合に用いる注文方法であ
り,下値の買指値注文との併用によりコストを抑えて株数を取得できる,②A9証
言を引用して,買指値注文について,個人投資家がそれなりの株数を買おうとする
場合には,相場の変化に対応できるようにあらかじめ複数の指値注文を入れておく
しかなく,A1は,そのようにして株価が下がってきたところで買うために複数の
指値注文を入れていたのであり,見せ玉と評価されないために株価が上昇しても注
文を取り消さなかったため,未約定の買い注文が残ったままであったとしても,A
1の注文は経済合理性のある注文である,③A1による発注の取消しはなく,A1
の発注は株価が下落した際に買うことを意図した経済合理性のある発注である,④
A1の発注には相場操縦に典型的な終値関与がない,⑤平成24年2月15日から
同年3月2日までの間のA1による取引の関与率は低く,相場操縦を行うことは困
難である,⑥A8証言は,A1による発注の意思決定とその発注が証券取引所に通
るまでのタイムラグを無視しているなど,全く取引の経験がない者による,事実関
係の把握がすべてにわたっていない,独自の判断基準による証言であるから信用で
きないなどとして,A1の買い注文は相場操縦取引には該当しないと主張する。
しかしながら,①については,成行買い注文は一般的にはそのような場合に用い
る注文方法であるとしても,上記で述べたとおり,A1が7取引日にわたり,当初
より株価が上昇した時点においても成行買い注文を出したり,寄付き前に買指値注
文を出す一方で,同注文を約定させにくくする成行買い注文を出すなど,A1の発
注の全体的な態様等に鑑みると,A1の成行買い注文がC株を一定数得るという意
図からしたものとは考えられず,弁護人の主張は採用できない。
②についても,①と同様,A1が,上記のとおり,下値での買い注文があるにも
かかわらず,それより高値で大量に買い注文を出して当該下値での買い注文を約定
させにくくさせていることなど,A1の注文の全体的な態様等からすると,A1の
買指値注文が弁護人がいうような意図で行われた経済合理性のある注文とは到底考
えられない。
③については,発注行為の取消しは,結局株を買い付けることにはならないこと
から,それが多く認められる場合や,約定直前に取り消された場合には,買い注文
の存在を見せたいだけで株を買い付けたいという意思がない,すなわち,経済的に
合理性のない注文であると推認されるというものにすぎず,発注行為の取消しがな
いからといって,上記誘引目的の推認が妨げられるものではない。
④についても,終値関与は,相場に与える影響が大きいと考えられることから,
人為的に相場を変動させる意図が推認され,それが認められる場合には,誘引目的
の存在を推認させるというものにすぎず,本件において,終値関与が認められない
ことは,上記誘引目的の推認を妨げるものとはいえない。
⑤についても,関与率は,それが高い場合には,相場に与える影響が大きいこと
から,人為的に相場を変動させる意図が推認され,誘引目的の存在を推認させる方
向に働くというものであるところ,A1の関与率(A1の取引が出来高に占める割
合)は高くないものの,A1は,上記のとおり,最良買気配値近辺に大量の買い注
文を出し(A1の買い注文が最良買気配値下8本の値段における買い注文の中で占
める割合が5割を超えている場合は相当時間あり,時には8割,9割を占めている
こともある。),そのような発注状況を第三者に見せて,第三者の買い注文を誘引す
ることにより,自己の買付けに要するコストを抑えつつ,株価を上昇させるという
手法を採っていたと考えられるのであるから,A1の関与率が高くないからといっ
て,上記推認が妨げられるものではない。
⑥については,A8証人は,上記のとおり,日本取引所自主規制法人売買審査部
における長年の株取引の分析経験に基づいて本件取引を分析しているのであるから,
株取引の経験がないからといって,直ちにA8証言の信用性が減殺されるものでは
ない。そして,当裁判所は,A8証言に加え,弁護人のタイムラグに関する主張等
をも踏まえて上記の事実を認定したものであるから,A8証言ではタイムラグが考
慮されていないなどという弁護人の批判は当たらない。
その他,弁護人がるる主張するところを検討しても,A1が行った平成24
年2月15日から同年3月2日までの買い注文が誘引目的で行われたとの上記推認
を妨げるものはないから,上記A1の買い注文は誘引目的で行われた変動取引等で
あって,相場操縦行為に該当するものと認められる。
第4C株式会社の株券に係る偽計及び風説の流布について
1関係証拠によれば,次の事実が認められる。
コラム①ないし③の記載内容等
被告人及びA1は,前記のとおり,「時々の鐘の音」に,平成23年11月1日
にコラム①,同月17日にコラム②,同年12月29日にコラム③を掲載したが,
その内容は,次のようなものであった。
アコラム①
C株につき,「仲間が一つになってそれぞれが不動の心によって事に当たる時,
不可能が可能になります。」,「『昨日の今』1995年,阪神・淡路大震災の後の株
式相場は閉塞状況にありました。市場には失望感が高まり,売りが売りを呼び,莫
大な空売りが溜まりました。その空売りがバネとなり,Eの株価に爆発的な原動力
を与えました。E株は稀に見る大踏み上げ相場に発展し,300円台の株価が10
倍以上の価格,5000円台にまで達しました。」,「そして『今日の今』2011
年-東日本大震災によって株価が200円台で低迷し,空売りが異常に膨らみ,E
のときと同じように大相場になる雲行きを呈してきた銘柄があります。何百万株と
いう空売り残を抱えたその200円台の銘柄のマグマが爆発するのはいつか?」,
「『空売り残の異常な膨らみ』という共通点の下,『昨日の今』阪神大震災後におけ
る当時のEと同じ軌跡を,『今日の今』東日本大震災後のその200円台の銘柄が
『明日の今』に向かって歩もうとしているかのように私には感じ取れます。」,「こ
の銘柄は復興関連銘柄としても大きな魅力が持てます。またLED関連のテーマ株
でもあり,業績も著しく回復し,来年3月には5円の復配が予定されているとの事
です」,「私達は天が与えてくれた恩寵の中にいるのです。」,「今,私もあなた達も
天から試されています。いわば,試験をされている状態です。将来の出世株たるそ
の銘柄を『未来の今』1300円で売って実際に莫大な利益を得た人だけが天から
合格証を与えられます。50円や60円の幅しか取ろうとしない人は天から見放さ
れてしまうでしょう。小欲ではなく,1000円幅を取れる大欲をもった人こそが
天から認められるのです。」
イコラム②
「前回『時々の鐘の音』にて触れた200円台の銘柄」について,「10月5日
に(中略)241円の安値を付けるに至りました。当日の信用取引の新規貸株(売
り方)は19,100株で,融資返済(買い方)は76,400株です(これは毎
日5円,10円,空売りによって値段を下げられた結果,信用で買っていた人が投
げさせられたものと推測できます)。この19,100株と76,400株を足す
と10万株弱の売りがあったことが分かりますが,当日の出来高からこの10万株
を引いた残り40万が現物での売りになります。そのうち,証券ディーラーの取引
(手数料0円)が仮に半分あったとしても(3分の1がいいところですが)最低2
0万株は,B証金の新規売りに出ない『隠された空売り』が存在したことをはっき
りと示しています。」,「10月5日時点の三市場における空売り残高は83万株で
す。上のような分析に従うと,この3倍前後の240万株を超える空売りが隠れて
いると想定できます。この合計300万株を超えたであろう日が10月5日であり,
結果として,B証金を通さないで株を借りるのが非常に困難になったことを私は予
測できました」,「この日を境に空売りの叩き玉を調達するのが困難になり,人為的
に株価を下げられていたと思われるこの銘柄が,本来有している出世株としての潜
在能力によって自然と上昇波動を描く結果になりました。」,「『今日の今』11月1
6日-523円という高値を示現しましたが200円台で数百万株という膨大な空
売り残を抱えているだけに,『遠くをはかる者は富み』と尊徳の箴言にあるように,
『天の時』・『地の利』・『人の和』が一つとなったその時より,空売りの踏み上げ相
場が始まるような気がします。1995年,300円台の株価が10倍以上の50
00円台に大化けしたEと全く同じ様相を呈してきた感が漂います。」,「何十年に
一回の希有の大相場に発展する可能性があるこの銘柄とのせっかくの縁を頂いたの
に,眼前の利に迷うては自らみすみす運を捨て去ることになります。」,「目先だけ
の利益にとらわれ小利口に動くことは,せっかく天が与えてくれた恩寵の中にいる
強い運を自ら放棄することとなるのです。遠きをはかる者は富み―私達は二宮尊徳
のこの箴言を深く心に刻み込みたいものです。」
ウコラム③
「○○○○○は,200円台にあった株価が4.5倍以上の930円という高値
を付けました。現在も相場は続いており,いつ930円の高値を抜くかが注目され
ます。」,「以前お伝えしたように,B証券金融での400万株の空売り残に加えて,
来年3月には250万株以上の『隠れた空売り』の期日が到来します。そのため,
この株式のヤマ場は既に述べた通り来年の3月であると考えるのが妥当であると思
います。」
コラム①ないし③掲載後のCの株価の推移状況等
Cの株価は,コラム①掲載当日の平成23年11月1日,終値が287円で,同
日の出来高は39万700株であったものの,翌2日には,出来高は329万50
00株と急激に増加し,終値(最高値)が367円となり,コラム②掲載前日の同
月16日には終値が514円となった。さらに,同株価は,コラム②掲載当日の同
月17日,614円となり,その後も上昇し,同年12月12日に最高値が930
円,終値が918円となったものの,同日,B証券金融(B証金)がC株につき新
規信用売りに伴う貸株を停止した後,翌13日に終値が768円と大幅下落したが,
その後も700円台は維持し,コラム③の掲載前日の同月28日の出来高は312
万9800株,終値は777円となっていた。同株価は,コラム③掲載当日の同月
29日は,出来高658万7600株と,出来高の上昇を伴いながら上昇し,同日
の最高値は864円,終値は781円となった。同株価は,平成24年1月以降も
上昇傾向が続き,同月23日に1000円の高値を付けたが,同年2月10日の終
値は903円となった。
各コラム掲載後の4名義証券口座によるCの株券の売却状況等
被告人及びA1らは,平成23年11月1日時点において,4名義証券口座でC
株を合計232万1800株保有していたところ,コラム①掲載翌日である同月2
日以降,同株を買い付けた日はあったが,順次,同株を売却し,同月17日までに,
その保有株数が合計76万6600株に減少した。被告人及びA1らは,コラム②
掲載後も売却を継続し,コラム③掲載当時である同年12月29日時点で,その保
有株数が合計28万100株に減少していた。被告人及びA1らは,平成24年1
月以降も,C株の売却を継続し,同年2月10日時点における保有株数は,合計1
2万8400株となった。
踏み上げ相場の意義等について
ア空売りとは,株式を所有せずに,又は所有している場合であってもそれを用
いず,他人から借りてきた株券を用いて売却を行うことをいう。近い将来に株価の
下落を予想している場合において,現時点の株価で売却し,借りてきた株券で決済
を行い,株価が下落した時点で買戻しを行うと同時に貸主に株券を返却すると,結
果として売却時点での価格と買戻し時点での価格の差引分が利益となる。空売りを
行う方法には,信用取引を利用した空売りを行う方法と,信用制度の枠外で他者か
ら借りてきた現物株を使って空売りを行う方法があり,前者は更に制度信用取引に
よるものと一般信用取引によるものの2種類がある。
制度信用取引は,取引銘柄や返済期限(最長6か月),権利処理の方法等が取引
所によって制限されたルール内で行うものであり,一般信用取引は,これらの公的
な制限がなく,原則として全上場銘柄について,投資者と証券会社の間の合意によ
り行うことができるものである。信用取引では,証券会社が顧客に資金や株券を貸
すことにより売買の決済を行うが,証券会社は,顧客が信用取引で買い付けた株券
と売り付けた代金を担保として留保しており,これらを売付けに必要な株券や買付
けに必要な代金に充当し(社内対当。いわゆる「喰い合い」),その不足した部分に
ついて自ら調達できない場合には,制度信用取引においては,証券金融会社から融
資や借株を受けて対応する。この貸借取引において,証券金融会社も同様に内部で
対当を行い,貸株残高が融資残高を超過して株不足が発生した場合,株券を入札等
で調達するが,証券金融会社がその借入先に支払う借株料を品貸料(又は逆日歩)
といい,品貸料相当の負担は証券会社,更には投資者に転嫁されるため,制度信用
取引を行っている全ての売り顧客は品貸料相当の金額を支払わなければならない。
イ踏み上げ相場とは,一般的には,信用取引で株券を売り付けた売り方が,株
価が上昇しているにもかかわらず,損を覚悟で株を買い戻す(踏む)ことが積み重
なることにより,更に株価が上昇する相場のことをいう。
このような踏み上げ相場は,信用売りの増加及び浮動株ないし売り注文の減少に
よる出来高の減少に伴い,出来高の範囲で容易に市場で安い売り物を調達できない
程度に信用売り残が溜まり,売り方が信用売り残を保有し続けて反落するのを待つ
のに耐えられないほどに品貸料が高額になったり,株価上昇でいわゆる追証(信用
取引による売買成立後に相場変動による損失額等が発生した場合に,顧客が証券会
社に追加で差し入れる委託保証金)が発生したり,信用取引の返済期限が到来した
りするなどの要因により,信用売り残を抱えた売り方が損失を出してでも買戻しに
走る場合に発生する。
ウ取引所は,踏み上げ相場のような過熱相場の弊害に鑑み,信用取引の規制や
制限措置を設け,残高や信用取引売買比率について一定の基準値に達した場合には,
日々公表銘柄に指定して毎日の信用取引残高を翌営業日に公表したり,委託保証金
の率を引き上げるなどの措置を講じることとしており,証券金融会社においても,
証券会社に注意喚起として対象銘柄を通知したり,逆日歩の倍率適用措置等を実施
するなどしている。
エ個人投資家が貸借取引の動向を把握するのに有効な公表資料としては,次の
ものが存在する。すなわち,金融商品取引法施行令26条の5により,一定の数量
以上の空売り残高を持つ投資家は,その残高を証券会社を介して取引所に報告し,
取引所がその情報を公表することとされており,本件当時は,空売り残高が発行済
み株式総数の0.25パーセント以上で,かつ,50単位を超えていることが基準
とされていた。また,同法27条の23により,株券等保有割合が5パーセントを
超える大量保有者については,大量保有報告書や保有株数についての変更報告書の
提出が義務付けられており,これらの報告書は財務局で閲覧の対象となるとともに,
金融庁のインターネット上の情報公開システムにおいて公開されていた。さらに,
日本証券業協会は,毎週末,全ての個別銘柄について,貸付残数,自己利用目的の
借入残数,転貸目的の借入残数をインターネットで公表しており,この貸借週末残
高を見ることにより,個別銘柄の貸株取引の規模,空売り残の増減を大まかに把握
できるようになっていた。
コラム①ないし③の掲載時におけるC株の空売り残高等
アC株は平成23年9月5日に日々公表銘柄に指定されていたところ,B証が
公表していたCの信用取引残高によれば,コラム①掲載の前日である平成23年1
0月31日時点では,信用売り残は74万1300株,信用買い残は380万75
00株で,同年11月1日時点では,信用売り残は81万3000株,信用買い残
は391万7000株であった。また,同年5月1日から同年10月31日までの
信用取引に該当しない空売り(純空売り)の累計数量は,最大限に見積もっても1
3万3100株であった。さらに,同年5月1日からコラム①掲載前日までの6か
月間に提出された空売り残高報告は,同年10月11日提出の9万6200株(空
売り残高割合0.25パーセント)と同月13日提出の7万3200株(空売り残
高割合0.19パーセント)の2件のみであった。
また,コラム①の掲載前日である同年10月31日においては,C株の出来高は
15万6100株(コラム①の掲載当日の出来高は39万700株)であり,逆日
歩は発生していなかった。
イコラム②の掲載前日である同年11月16日においては,C株の信用売り残
は198万6400株,信用買い残は444万2100株(コラム②の掲載当日で
ある同月17日の信用売り残は274万3600株,信用買い残は532万410
0株)で,出来高は501万9200株(コラム②の掲載当日の出来高は892万
9200株)であり,逆日歩は発生していなかった。また,コラム②で指摘された
同年10月5日についてみても,出来高は50万6000株,同年5月1日から同
年10月5日までの信用取引に該当しない空売り(純空売り)の累計数量は,最大
限に見積もっても,6万1300株であり,前記のとおり,空売り残高報告もされ
ていなかった。
2検討
金融商品取引法158条にいう「風説を流布し」とは,虚偽であることを要
しないが,合理的な根拠を有しない事実を不特定又は多数の者に伝達することをい
い,「偽計を用いる」とは,他人に誤解を生じさせる詐欺的あるいは不公正な策略
や手段を用いることをいうものと解される。
以下,前記1の認定事実に基づき,被告人及びA1が「時々の鐘の音」にコ
ラム①ないし③を掲載した行為が,「風説を流布し」「偽計を用い」た行為に該当す
るかについて検討する。
アC株の大量の空売り残高がある旨の記載について
コラム①は,「200円台の銘柄」「来年3月には5円の復配が予定」「復興
関連銘柄」「LED関連のテーマ株」と記載しているところ,その記載内容に照ら
せば,一般投資家は,当該銘柄がCであると特定することができたと認められ,ま
た,コラム②及び③はそれぞれ前のコラムを受けて記載されたものであるから,一
般投資家は,同様に,コラム②及び③がC株について記載されたものと理解するこ
とができたと認められる。
コラム①には,当該銘柄について,「空売りが異常に膨らみ,Eのときと同
じように大相場になる雲行きを呈してきた」「何百万株という空売り残を抱えた」
などと記載されている。
しかしながら,前記のとおり,コラム①の掲載前日である平成23年10月31
日時点では,C株の信用売り残は74万1300株であり,同年5月1日から同年
10月31日までの純空売りの累計数量も,最大限に見積もっても13万3100
株であった上,同日までの6か月間に提出された空売り残高報告は,同月11日提
出の9万6200株と同月13日提出の7万3200株の2件のみであったから,
コラム①の掲載当時,C株の空売り残高が何百万株も存在する旨の記載は,客観的
事実に反するものと認められる。
また,コラム②は,当該銘柄について,「平成23年10月5日の出来高5
0万株から新規貸株及び融資返済の合計10万株を差し引いた40万株が現物売り
であり,その半分の最低20万株はB証金の新規売りに出ない『隠された空売り』
であり,このような分析に従うと,同日時点では三市場における空売り残83万株
の3倍前後の240万株を超える空売りが隠れている」「空売り残高が合計300
万株を超えたであろう日が同日であり,数百万株という膨大な空売り残を抱えてい
る」ことなどを内容とするものである。
しかしながら,上記記載の前半部分は,1日の出来高から差し引く信用売りの数
について,証券会社の社内対当によって処理された株数を考慮しておらず,実際に
は信用売りは13万4400株であったこと,1日分の新規貸株及び融資返済の合
計と「隠された空売り」の売買高の比率を同日までの信用売り残と「隠された空売
り」の残高の比率と同じとしており,しかも,前者は2倍としながら後者は3倍と
していることなど,合理的根拠がない算出方法に基づくものである。また,上記記
載の後半部分についても,「隠された空売り」として現実的に考えられるのは信用
取引に該当しない純空売りであるところ(A10証人尋問調書52頁以下。同証人
は,B証に勤務し,相当年数にわたって信用取引の規制等を担当していた者であり,
その証言は信用できる。),平成23年5月1日から同年10月5日までのC株の純
空売りの累計数量は最大限に見積もっても6万1300株にとどまり,その間空売
り残高報告もされていなかったのである。そうすると,コラム②の記載内容は,合
理的根拠に基づかず,客観的事実に反するものと認められる。
さらに,コラム③には,「以前お伝えしたように,B証券金融での400万
株の空売り残に加えて,平成24年3月には250万株以上の『隠れた空売り』の
期日が到来する」などと記載されている。コラム③の記載は,「以前お伝えしたよ
うに」とあることからすれば,上記コラム②から数字を引いてきたと考えられるが,
上記で指摘してきたとおりコラム②の記載は客観的事実に反するものである上,何
の説明もなくコラム②で提示した事実とも異なる事実を記載していることからすれ
ば,合理的な根拠がある事実とは到底認められない。
以上によれば,C株の大量の空売り残高がある旨の上記各コラムの記載内容
は,客観的な事実に反し,合理的な根拠に基づかないものと認められる。
イC株について踏み上げ相場が生じる旨の記載について
コラム①には,C株について,「何百万株という空売り残を抱え,空売り残
が異常に膨らみ,大踏み上げ相場に発展したEのときと同じように大相場になる雲
行きを呈してきた」旨が記載されている。
しかしながら,前記のとおり,コラム①の掲載当時,C株の空売り残が何百万株
も存在するという上記記載の前提自体,客観的事実に反するものである。のみなら
ず,コラム①の掲載前日である平成23年10月31日時点においては,C株の信
用売り残は74万1300株(同年11月1日時点は81万3000株)であった
のに対し,信用買い残は380万7500株(391万7000株。前同。)と信
用買い残がはるかに多く,逆日歩も発生していなかったことなどが認められ,これ
らの事情に照らすと,A10証人が供述するとおり,C株については,コラム①の
掲載当時,Eとは異なり,空売りの踏み上げ相場が形成される状況にはなかったと
認められる。
コラム②には,C株について,平成23年10月5日時点において,240
万株を超える空売りが隠れており,数百万株という膨大な空売り残を抱えているた
め,空売りの踏み上げ相場が始まるなどと記載されている。
しかし,C株の「隠された空売り」の残高に関するコラム②の記載内容が客観的
事実に反することは前記のとおりである。また,コラム②の掲載前日である同年1
1月16日においては,C株の信用売り残は198万6400株(同月17日は2
74万3600株)であったのに対し,信用買い残は444万2100株(532
万4100株。前同。)と信用買い残がはるかに多く,出来高も501万9200
株(892万9200株。前同。)と信用売り残を上回っており,逆日歩は発生し
ていなかった。さらに,「隠れた空売り」は純空売りを指すものと考えられるとこ
ろ,純空売りについては,売り方に買戻しを迫る要因となる品貸料や追証の制度は
存在しない。以上に照らすと,コラム②の掲載時点において,C株につき,空売り
の踏み上げ相場が開始する状況にはなかったものと認められる。
コラム③には,B証券金融での400万株の空売り残に加えて,平成24年
3月には250万株以上の「隠れた空売り」の期日が到来し,その頃に空売りの踏
み上げ相場が形成される旨記載されているが,前記のとおり,その前提となる「隠
れた空売り」の数量についての記載は合理的な根拠に基づくものではないし,上記
のとおり平成23年12月12日にB証金が新規貸株の申込みを停止したが,その
後も月末にかけて終値は700円台のまま横ばいであり,信用売り残高,信用買い
残高がいずれも減少し,出来高は相当程度ある状態が続いていたのであるから,コ
ラム③の掲載時点においても,C株について,空売りの踏み上げ相場が形成される
状況にはなかったものと認められる。
以上のとおり,コラム①ないし③の掲載時点において,C株につき,空売り
の踏み上げ相場が形成されるような状況にはなかったのであるから,この点に関す
る上記各コラムの記載内容も合理的な根拠がないものであったと認められる。
ウC株の保有継続に関する記載について
前記のとおり,コラム①には,「200円台の銘柄」(C)について,「仲間が一
つになってそれぞれが不動の心によって事に当たる時,不可能が可能になります。」,
「私達は天が与えてくれた恩寵の中にいるのです。」,「今,私もあなた達も天から
試されています。いわば,試験をされている状態です。将来の出世株たるその銘柄
を『未来の今』1300円で売って実際に莫大な利益を得た人だけが天から合格証
を与えられます。50円や60円の幅しか取ろうとしない人は天から見放されてし
まうでしょう。」などと記載され,コラム②には,「『遠くをはかる者は富み』と尊
徳の箴言にあるように,『天の時』・『地の利』・『人の和』が一つとなったその時よ
り,空売りの踏み上げ相場が始まるような気がします。」,「何十年に一回の希有の
大相場に発展する可能性があるこの銘柄とのせっかくの縁を頂いたのに,眼前の利
に迷うては自らみすみす運を捨て去ることになります。」,「目先だけの利益にとら
われ小利口に動くことは,せっかく天が与えてくれた恩寵の中にいる強い運を自ら
放棄することとなるのです。遠きをはかる者は富み―私達は二宮尊徳のこの箴言を
深く心に刻み込みたいものです。」などと記載され,コラム③には,コラム①②の
記載を受け,平成24年3月には250万株以上の『隠れた空売り』の期日が到来
するため,C株のヤマ場は同月であると考えるのが妥当である旨が記載されている。
このような上記各コラムの記載は,自己らがC株を買い付けて保有しており,空
売りの踏み上げ相場によってその株価が200円台から1300円まで上昇するま
での間,同株の保有を継続することを示唆しつつ,「あなた達」,すなわち,他の投
資家に対しても,自己らと同様に,C株を買い付け,その保有を継続することを推
奨するものといえる。しかるに,A1らは,前記のとおり,コラム①掲載時点では
C株を約232万株保有していたが,上記各コラムの掲載後,同株の株価が上昇し
た(ただし,1300円には達しない)局面において,同株を大量に売却し(平成
24年2月10日時点では保有株数が13万株足らずとなっていた。),利益を得て
いたのであるから,上記各コラムを「時々の鐘の音」に掲載した行為は,「偽計」,
すなわち,他人に誤解を生じさせる詐欺的で不公正な策略,手段を用いたことに当
たるというべきである。
エ小括
以上のとおり,C株について,大量の空売り残高があり,踏み上げ相場が形成さ
れる旨のコラム①ないし③の記載内容は,客観的事実に反し,合理的な根拠がない
ものであり,また,A1らは同株の保有を継続する意思がないのに,上記各コラム
には,上記の踏み上げ相場に係る記載内容を前提として,A1らが同株の保有を継
続することを示唆し,他の投資家らにも同株の保有の継続を推奨する内容が記載さ
れていたものと認められる。そうすると,被告人及びA1がこのような内容の文章
を「時々の鐘の音」に掲載し,一般の投資家等不特定多数の人が閲覧可能な状態に
置いたことは,「風説を流布」し,「偽計を用い」たことに当たるというべきである。
そして,コラム①ないし③の掲載後,C株の株価は上昇し,A1らは当該上昇し
た株価で同株を売り付けているのであるから,被告人及びA1の行為は,判示第2
の1のとおり,利得目的による風説の流布,偽計の罪に該当すると認められる。
第5H株式会社の株券に係る偽計及び風説の流布について
1関係証拠によれば,次の事実が認められる。
コラム④の記載内容等
被告人及びA1は,前記のとおり,平成24年4月17日,「時々の鐘の音」に
コラム④を掲載したが,その内容は,次のようなものであった。
「先細りの株式市場にあって,『買い』で取れた数少ない銘柄として,2011
年11月1日,『時々の鐘の音』のコラム『再びの邂逅』の中で触れた200円台
の銘柄,コード番号:4406○○○○○があります。本銘柄は2012年3月2
日に1,297円という高値を付けました。買いで1,000円幅が取れた銘柄と
して大いに脚光を浴びたことには,まさしく天の恩恵を感じざるを得ません。」,
「その○○○○○も3月2日の1,297円という高値から2012年4月9日に
は大幅に下落して452円という安値を付けてしまいました。しかしそうは言うも
のの,目先の日柄・値幅調整を経た後,1,297円という3月2日の高値をあっ
さりと抜いて,空売りの踏み上げ相場へと発展する可能性は大いに残っていると私
には思えます。」,「2012年4月16日引け値409円,コード番号:8103
○○○○○は今年の出世株として大いなる輝きを放つかもしれません。1,000
円幅は勿論のこと,何年振りかに出現するであろう,『E』のような大相場に発展
する可能性も大いにあり得る,と私には思えてなりません。」,「隠れた空売り残も
相当数が既に積み上がっていることが窺えますから,今後の取り組み次第では空売
りの大踏み上げ相場に発展する可能性も大いに有り得ます。」,「現在の株価の水準
があまりにも低すぎる○○○○は,現物で買って長期に保有するのに最適の銘柄と
言えます。今後,Eのような大相場に発展する予感がしています。」,「種を蒔いて
『遠くを計る者』と,種を蒔かずに刈り取ることのみに心を奪われる『近くを計る
者』のいずれが多いかは,株価の成長の軌跡軌道に大いに影響があります。440
6○○○○○が200円台から1,297円まで株価が成長し,そして452円と
いう安値をつけたことは,種を蒔かずして刈り取ることだけを考える『近くを計る
者』が如何に多かったかをはっきりと物語っています。」,「売買益を得るのに50
円から100円幅ではなく,しっかりと1,000円幅,2,000円幅,3,0
00円幅がとれる株式投資が実現することが望まれます。8103○○○○はEの
ような大相場に発展する可能性があるだけに,二宮尊徳の言う『遠くを計る者』が
数多く加われば今年の出世株に育つ可能性は大きいと思います。」
コラム④掲載後のHの株価の推移状況等
H株は,平成24年4月16日,最高値411円であったが,コラム④の掲載当
日である同月17日には,出来高が前日の18万3100株から179万3900
株と大幅に増加し,終値は489円となった。Hの株価は,その後もおおむね上昇
を続け,同月25日及び26日は最高値888円を付け,同年5月7日には終値が
816円となっており,同月末頃までは700円台から800円台で推移していた
が,同年7月下旬には最高値400円台に戻った。
コラム④掲載後の3名義証券口座によるHの株券の売却状況等
被告人らは,同年4月17日時点において,3名義証券口座でH株を合計463
万4600株保有していたところ,コラム④掲載翌日の同年4月18日から同年5
月7日までの間,11取引日にわたり,H株の売付けを継続し,同日取引終了時点
においては,A3名義の200株しか保有していなかった。
コラム④の掲載時におけるH株の空売り残高等
H株については,平成24年4月20日までは,信用残について週間単位でしか
残高計量されていなかったため,コラム④の掲載前日である平成24年4月16日
(及びコラム④の掲載当日である同月17日)当日の信用売り残は不明であるが,
同月16日の出来高は18万3100株(同月17日の出来高は179万3900
株)であり,直近の同月13日時点では,信用売り残は31万9300株,信用買
い残は429万6700株,出来高は18万4100株で,逆日歩も発生していな
かった。
2検討
以下,前記1の認定事実に基づき,被告人及びA1らが「時々の鐘の音」にコラ
ム④を掲載した行為が,「風説を流布し」「偽計を用い」た行為に該当するかについ
て検討する。
C株の株価上昇に関する記載について
コラム④は,その対象がC株であることが理解できるようなコード番号等を記載
した上,同株について,1297円という高値を付けたことは「天の恩恵」であり,
同株の保有を継続しない者が多かったことから,その後452円という安値を付け
たものの,いまだ空売りの踏み上げ相場に発展する可能性は大いに残っていること
などを記載したものであるが,前記のとおり,C株の株価上昇は,実際には,被告
人らが,コラム①ないし③に同株について空売りの踏み上げ相場が形成される旨の
内容虚偽の記載をした上,相場操縦行為に及んだことにより,人為的かつ一時的に
生じさせたものであったから,コラム④の上記記載内容は,合理的根拠を欠き,客
観的事実に反するものと認められる。
H株について踏み上げ相場が生じる旨の記載について
コラム④には,その対象がH株であることが理解できるようコード番号等を記載
した上で,同株について,隠れた空売り残が相当数積み上がっていることがうかが
われるから,Eのように空売りの踏み上げ相場に発展する可能性も大いにあり得る
などと記載されている。しかし,前記のとおり,コラム④の掲載の2取引日前であ
る平成24年4月13日時点では,H株は,信用売り残は31万9300株,信用
買い残は429万6700株であり,信用売り残より信用買い残がはるかに多く,
逆日歩も発生していなかったことや,「隠れた空売り」が指すと考えられる純空売
りには,売り方に買戻しを迫るような逆日歩や追証の制度がないことに照らすと,
A10証人が供述するとおり,コラム④の掲載当時,H株について,空売りの踏み
上げ相場が形成される状況にはなく,上記記載は合理的根拠がなく,客観的事実に
反するものであると認められる。
H株の保有継続に関する記載について
コラム④には,H株について,空売りの大踏み上げ相場が生じる可能性が大いに
あり,現物で買って長期に保有するのに最適の銘柄であり,1000円幅の利益が
取れる投資が望まれるなどとして,買付け及びその後の保有継続を推奨する内容が
記載されている。しかし,前記のとおり,H株について空売りの踏み上げ相場が形
成される旨の記載には合理的な根拠がない上,A1らは,コラム④の掲載前に同株
を買い付けて保有していたものの,コラム④の掲載後,11日間にわたり,上昇し
た(ただし,1000円以上は上昇していない)株価によって同株を大量に売り付
け,利益を得ていたことに照らすと,A1らは同株の株価が1000円以上上昇す
るまでの間同株の保有を継続する意思がなかったことが強く推認されるから,コラ
ム④の上記記載内容は,その根拠に合理性がなく,これを閲読する者に誤解を生じ
させるような詐欺的で不公正なものと認められる。
小括
以上のとおり,コラム④のC株の株価上昇に関する記載,H株について空売
りの踏み上げ相場が形成される旨の記載及び同株の保有継続に関する記載は,
客観的事実に反し,合理的根拠がなく,他人に誤解を生じさせる詐欺的あるいは
不公正なものであり,被告人及びA1が,このような内容の文章を「時々の鐘
の音」に掲載し,一般の投資家等不特定多数の人が閲覧可能な状態に置いたこ
とは,「風説を流布」し,「偽計を用い」たことに該当するというべきであ
る。そして,コラム④の掲載後,H株の株価は上昇し,A1らは当該上昇した
株価で同株を売り付けているのであるから,被告人及びA1の行為は,判示第
2の2のとおり,利得目的による風説の流布,偽計の罪に該当すると認められ
る。
第6判示第2の1の事実につき,被告人に財産上の利益を得る目的,故意及び
A1との共謀が認められるか否かについて
1被告人の株取引に関する知識,経験等について
被告人の父のA1は,数多くの銘柄で大規模な仕手戦を仕掛けてきた大物の
仕手筋として有名な人物であり,兜町の風雲児などと呼ばれ,A1が仕手戦を仕掛
けた銘柄は「K氏銘柄」などと呼ばれていた。被告人は,そのようなA1の下で,
A1が上記のとおりの人物であることを認識しつつ,株取引に興味を持って育ち,
I大学大学院数理科学研究科で数理ファイナンスを専攻していた平成14年7月頃
には,自己名義の証券口座を開設して自ら株取引を始めた。それ以後,被告人は,
A1の指示やアドバイスを受け,あるいは,自己の判断で,自己名義の証券口座に
おいて株取引を行っていた。
そして,被告人は,平成23年11月1日にコラム①を掲載する以前から,自己
名義の証券口座で,制度信用取引を利用しつつ,平成22年11月時点で株式会社
Nの株式売買により約3500万円の利益を,平成23年2月時点で株式会社Oの
株式売買により約2億円の利益を,平成23年4月時点でP株式会社の株式売買に
より約2500万円の利益を,Q株式会社の株式売買により約5000万円の利益
をそれぞれ得ていた。
被告人は,踏み上げ相場の意義について,空売りを行った投資家が,株価の
上昇による追証や逆日歩の発生,信用返済期日の到来などのために,買戻しをしよ
うとする際に,買い方が市場に流通する浮動株を買い占めておくことで,買い戻す
のに必要な株が減っていき,どんなに高値の売り注文でも買わざるを得なくなるこ
とによって株価が上昇していく相場のことであるという認識を有していた。
そして,被告人は,平成23年1月21日頃,被告人らが手掛けている銘柄が
日々公表銘柄に指定された際には,A6に対して,「ついに日々公表銘柄指
定・・・証金残でなく信用残で動きが見えるようになりました。」などと記載した
メールを送信していた。
このほか,被告人は,平成17年4月19日付けのA6に対するメールでは,
「当時は,学校がない日は引けまでパソコンの前に張り付いて,1日に50件くら
い注文を出してた。」と書いた後,A6の「一般銘柄でない銘柄を扱うのって素人
だと難しいことなんでしょうか?」との問いに対し,「どう答えていいか分からな
いけれども。ホームページに書いてるような銘柄でも,普通に買うのであれば,難
しいことは何も無いと思う。ただ,買う場合は,全て現物で・・・やっぱり値動き
は激しいし,信用の場合,追証となる可能性もある。また,信用取引に様々な規制
がかかる可能性もあるし。逆に,規制が相場を作ることもあるだろうし。」などと
答え,同年4月20日付けのA6に対するメールでは,A6の「50件ですか!す
ごい数ですねー」などというコメントに対し,「そんなに多くはないと思うよ。父
でさえ,多い日は250件くらい注文出すし。若手の本気のデイトレーダーはもっ
と多いんじゃないだろうか。ただIDやパスワードをクリップボードに貼り付ける
アプリケーションを作って,それを使って注文を迅速に出せるようにはしてる。」
などと答え,平成23年1月21日付けのA3(CCでA6)に対するメールでは,
「最近は,場中の板のチェックは株サーバーのRではなく主にSのTアプリUを使
用しています。これだと8本までしか表示されませんが,それでも十分な情報量で
す。」などと述べていた。
被告人は,かねて,平成17年4月18日付けで「時々の鐘の音」上に掲載
されたコラムにおいて,「強烈なマグマを内包している『活火山』」などと言及され
ているV株について,同月20日付けのA6に対する上記メールにおいて,「大台
超えたね。新高値達成。ホームページ,証券情報関係の掲示板であちこち書き込ま
れているようで,勝手に広まってるようです。また,月数万円で情報を有料で配信
してるようなサイト(恐らく個人サイトレベル)も多数発見した。」などと述べて
いた。そして,被告人は,平成23年11月1日のコラム①の掲載後間もない同月
16日には,知人に対し,C株につき,「御陰様で父の仕事も今のところ好調で,
200円台から買っている銘柄が今500円直前まで辿り着きました。そのきっか
けとして,何年も前に作成していたホームページhttp://(以下省略)/を復活させ
新たに更新を行った事が大きかったと思います(これの文章作成で自分自身相当の
時間を割くことになりましたが)。但しまだ『成功』というわけではなく,上で書
いているように1300円程度まで持って行き,本当の意味で出世株が誕生した時
点でようやく第一段階目のゴールという事になると思います。」という内容のメー
ルを送信し,同月17日には,知人に対し,「http://(以下省略)/の二回目の更
新を行いました。今回はかなり具体的な記述を行っており,200円前後からスタ
ートした銘柄でしたが早くも今日4度目のストップ高となり600円を突破しまし
た。目標の『年度末1300円』の可能性も見えてきたように思います。」という
内容のメールを送信していた。
被告人は,当公判廷において,被告人名義の証券口座で行われた従前からの
株取引につき,大半がA1の指示に機械的に従っていただけであり,株取引に関す
る経験・知識がほとんどなく,証券金融会社の融資残や貸株残の数字が何を表して
事実に照らせば,被告人は,コラム①の掲載以前から,制度信用取引の理解,踏み
上げ相場の理解も含め,株取引に関する知識及び経験を相当に有していたと認めら
「時々の鐘の音」に掲載されるコラムがこれを閲読する株式投資家の投資判断を左
右し,ひいては株価の変動に影響を及ぼすことを認識していたと認められ,コラム
①ないし③の掲載時においてもこのことを認識していたと認められる。
2被告人のC株の保有について
前記のとおり,A1,被告人,A2,A3は,コラム①の掲載に先立つ平成
23年7月上旬以降,4名義証券口座でC株の買付けを行い,コラム①掲載当日の
同年11月1日時点において,合計232万1800株を保有していたところ,こ
のうち被告人名義の証券口座の保有残高は96万7600株であった。
被告人は,当公判廷において,被告人名義の証券口座で取引をした利益はA
1に帰属するものとの認識であった旨の供述をしているが,被告人自身,同口座に
おける株取引による利益をマンション購入費用や投資に使っているし,A6に対す
る平成24年4月11日付けメールでは,C株に関し,「仕切りも,僕がやらない
事は両親と事前に話し合ってます。(中略)だから,僕がやらなくても許されるん
ですが,それで株の方で失敗するのは僕も嫌ですし(自分自身半端ない損失になり
ます)」と述べており,同口座の損失が被告人に帰属することを自認していること
に照らしても,被告人名義の証券口座による株取引の利益は被告人自身に帰属する
ものであり,被告人もその旨認識していたと認められる。
被告人名義口座で平成23年11月1日まで保有されていた96万7600
株ものC株は,コラム①の掲載直後の同株の株価が上昇局面にあった同月4日から
売却され始め,コラム②を掲載した同月17日の残高は31万4800株,コラム
③を掲載した同年12月29日の残高は17万9000株となり,更にコラム③掲
載後も売却が継続され,平成24年2月10日の残高は6万9300株になってい
た。これらの売り注文は,A1の指示に基づいて被告人の代わりにA2又はA3が
発注したものがあったにしても,A2が事前又は事後に被告人に了解をとっており,
被告人はA3が作成する保有株残高表で定期的に確認していたというのであるから,
被告人は被告人名義口座で保有されているC株の売却状況は把握していたと認めら
れる。そして,上記のとおり,被告人名義口座の利益は被告人に帰属するところ,
この売却により,被告人は2億円以上の売却益を得た。
3被告人のコラム①ないし③の作成・掲載への関与について
コラム①の掲載に先立つ平成23年10月,A1方において,一時休止して
いた「時々の鐘の音」の更新を再開させるための打合せが行われ,泰山会員であっ
たA7がその場に呼ばれ,被告人もこれに同席した。この打合せにおいて,A1は,
「これから1000円銘柄を4つ作る。キーワードは復興特需だ。」などと発言し
ていたところ,被告人は,その後,A1の意向に従ってコラム①の文案を作成して
いたA7に対し,「第一回目は,これと別にコラムを執筆される予定でしょうか?
それとも,挨拶文のみで一回目の更新を完結するイメージでしょうか。後者の場合,
4銘柄について等,絶対的に触れなければならないテーマがいくつかあると思いま
す。」などと記載したメールを送信し,さらに,A1からの指示として,「小欲では
なく1000円幅を取れる人が天から認められる。」などとする部分を「くどくリ
フレインして付け加える。」よう伝えるメールを送信するなどして,コラム①の文
案作成段階から関与していた。そして,被告人は,コラム①の掲載後の同年11月
その作成に関与したコラム①の掲載によって,事前に企図していたとおりC株の株
価が上昇したことに満足し,そのような株価の上昇を更に目指している旨を伝えた。
コラム②については,A1がA7から送られてくる原稿案を直接手直しして
いたため,被告人は,A7から送られてくる文案に対してA1からの修正指示を伝
えたり,意見したりすることはなかったが,A7から最後に送られてきた文案に対
して,更にA1が加えた修正を踏まえて原稿を完成させ,コラム②が掲載された直
後には,「時々の鐘の音」への掲示作業を担当していたA3(CCでA6)に対し
て,「HP更新ありがとうございます。御陰様でストップ高になりました。」と記載
したメールを送信し,コラム②の掲載の結果,C株の株価が上昇したことについて
伝えていた。
コラム③については,被告人は,A1が口述した内容をA2が筆記して作成
した原稿をパーソナルコンピューターで清書し,A1の了解を得ながらこれを推敲
するなどしていた。
4結論
以上のとおり,被告人は,株取引に関する豊富な知識と経験を有し,踏み上げ相
場が生じる機序についても十分に理解していた。そして,被告人は,「時々の鐘の
音」の記載が,不特定かつ多数人に閲覧され,株価の変動に影響を与えることを認
識した上で,A1がC株を高騰させようとしていることに協力するため,C株につ
いて踏み上げ相場が生じることについて合理的根拠がないにも関わらず,コラム①
ないし③の作成・掲載に関与した。被告人は,コラムの記載内容が嘘だと思わなか
った理由として,株取引のプロ中のプロであるA1が,長年の経験に基づく推測や,
人脈によって得た情報などに基づいて導き出したと思ったなどと述べているが(こ
の点は,後述のH株についても同様である。),A1にコラムの記載内容の根拠につ
いて尋ねたことはないというのであって,結局のところ,A1の言うことを信じた
という以上のものではない。加えて,被告人自身は,株価上昇の利益が自己の利益
となる自己名義証券口座でC株を大量に保有していたが,コラムの記載内容に反し
て,各コラム掲載後直ちにC株を売却しており,このことは,被告人自身,コラム
の内容を合理的なものとは考えておらず,これを閲読した株式投資家に錯誤を生じ
させうるものであることを認識していたことを示すものといえる。
そうすると,被告人には,判示第2の1の風説の流布・偽計の故意及びA1との
共謀があったことが認められ,被告人が,財産上の利益を得る目的で,有価証券の
売買のため及び有価証券の相場の変動を図る目的をもって犯行に及んだことも認め
られる。
第7判示第1の事実につき,被告人に財産上の利益を得る目的,故意及びA1
らとの共謀が認められるか否かについて
1故意及び共謀を推認させる事実について
被告人は,平成23年3月15日,かねてA1と共に買い付けていたP株及
びQ株について,A1の指示を受け,株価の下落を防止しあるいは上昇させるため,
最良買気配値かその少し下の値段に買い注文を小刻みに入れて,市場関係者に容易
に株価が下がることはないという安心感を与えるという手法で発注を行った。その
結果,実際に,P株の終値は前日終値及び当日始値から2円高の290円,Q株の
終値は前日終値から6円高,当日始値から10円高の163円となった。被告人は,
このことについて,同月31日,友人のA5に対し,「地震の二営後,どれもこれ
も株価崩壊状態の中,我が家関連の銘柄二つだけは俺のところでちょこっと何かや
って,株価を陽転させてみた。」とのメールを送信し(「地震の二営後」とは,東日
本大震災発生の2営業日後の意味),同年4月1日にも,A5に対し,「基本的には
今までの経験によるもの。今回やってる銘柄のうち片方は超低流動性銘柄だから,
100万円も投資すれば引値はいかようにもなった。要は,約定させないままに市
場参加者に安心感を与えるような発注をすればいいだけの話。もう片方の銘柄は3
000万円くらい投資したが(信用で1億円分位株を購入した,という意味で,資
金を失ったわけじゃ無くきっちり利益は出てる),こっちは元々沢山買いたかった
ので,証券会社の口座を3つ位併用して,コンプラ的な注意を受けないようにあれ
これ細工したけど。震災後の混乱の中,株価を支えるのはうちの使命なので。まあ,
本尊が病気なんだけど・・・早く治さなければ。」とのメールを送信していた。
このように,被告人は,相場操縦対象期間(平成24年2月15日から同年3月
2日までの間をいう。)以前に,A1の指示の下,自身の発注により人為的に株価
を変動させるという経験を有していた。
被告人は,A1が,C株の株価を平成24年3月までに1300円程度まで
上昇させることを企図していることを認識しており,A1の意向に沿って,同株の
株価を上昇させる内容であることを知りながらコラム①ないし③の作成・掲載に関
与していた。また,相場操縦対象期間の始期の段階でもなおC株を6万9300株
保有していた。そして,A1らは,4名義証券口座において,平成23年11月2
9日以降,平成24年2月3日に600株を買い付けたほかは買付けを行っていな
かったところ,同月15日,その買付けを本格的に再開した。このうち,被告人名
義証券口座では,同月14日時点でC株の保有残高は6万9300株であったのに,
同月3月1日時点では保有残高は92万4300株となっていた。
なお,被告人は,当公判廷において,捜査段階における供述と異なり,相場操縦
対象期間中にC株の発注をしたとしても,そのうちごく少数であり,ほとんどして
ないと考えている旨供述しているが,被告人は,自身が発注しない場合でも,被告
人名義の証券口座におけるC株の取引は,A1やA2に委ねていたのであり,また,
A1の指示で被告人名義証券口座で取引する場合にはA2が事前又は事後に被告人
の了解を得ており,被告人がこれに異を唱えたような事情も認められず,被告人の
意向に反した発注行為が行われていたとは認められないから,この点は犯罪の成否
には何ら影響しない。
そして,被告人は,相場操縦対象期間中,自身の証券口座も含めてA1がC
株の発注を大量に,頻回にわたり繰り返していることを認識していたと認められる
機序に照らせば,時期が来れば株価が高騰するはずであるにもかかわらず,A1が
上記のとおりコラム①ないし③掲載後に一旦株を売却した後,高値であった平成2
4年2月15日から買い注文を大量に出していることからすれば,C株の価格を人
為的に操作しようとしているということは容易に認識し得たと考えられる。
なお,相場操縦罪の故意ないし共謀があったというためには,相場操縦の方法自
体についての認識を要求する理由はないから(東京高裁平成16年7月14日判決
参照),被告人が,A1が具体的にどのような発注行為を行っていたかを知らず,
また自身が発注行為を行う際,板を見ておらず,A1の言うままに発注を行ってい
たとしても,このことが相場操縦罪の故意,共謀を認定するについて妨げとなるも
のではない。
以上によれば,被告人は,A1が相場操縦によってC株の株価を高騰させよ
うとしていることを認識した上で,自らもA1と共に平成24年3月頃までに同株
の株価を高騰させることを企図し,A1の指示の下,A2らと分担して,相場操縦
期間中,自己の発注が第三者に同株の買い注文を誘引してその株価を上昇させ,あ
るいは株価の下落を防止する効果を生ずるものであり,これが相場を変動させるべ
き取引であることを少なくとも未必的には認識した上で,その買い注文を繰り返し
ていた事実が認められ,相場操縦の故意及びこれについてのA1及びA2との共謀
があったことは優に認められる。
また,上記認定事実に照らせば,被告人に財産上の利益を得る目的があったこと
も明らかである。
2結論
以上のとおり,被告人は,A1らと共謀の上,財産上の利益を得る目的で,相場
操縦対象期間中,C株の取引を誘引する目的をもって,A1が行う取引手法が株価
を変動させるべきものであることを認識した上で,判示第1の犯行に及んだものと
認められる。
第8判示第2の2の事実につき,被告人に財産上の利益を得る目的,故意及び
A1との共謀が認められるか否かについて
1被告人のH株の保有について
A1,被告人,A3は,前記のとおり,平成24年1月23日頃から3名義
証券口座でH株の買付けを開始し,以後連日のようにH株を買い付け,C株の相場
操縦対象期間である同年2月15日から同年3月2日までの間,H株の買付けを一
時中断するなどしたものの,同月5日以降,再び連日のように同株を買い付け,コ
ラム④掲載前日の同年4月16日時点では,3名義証券口座合計の保有残高は46
3万4600株となっていた。このうち,被告人名義証券口座での保有残高は88
万600株であった。
A1らは,コラム④掲載翌日の同年4月18日から同年5月7日までの間,
11取引日にわたり,上昇させた株価でH株の売り付けを継続し,同年4月17日
時点では3名義証券口座のH株の保有残高が463万4600株であったのに,同
年5月7日時点の保有残高は200株となった。被告人名義証券口座で見ると,同
年4月17日時点で保有していた88万600株は同月25日までに全て売却され,
これにより被告人は,3億円以上の利益を得た。
2被告人のコラム④の作成・掲載への関与について
前記のとおり,A1は,被告人の友人であるA5に依頼してコラム④の文案を作
成させていたが,途中から,A1の指示の下,被告人が中心となってコラム④を作
成したのであり,コラム④の内容については確認していた。被告人は,コラム掲載
日の夜,「今回の更新の後二銘柄がストップ高買い気配(特別気配)となり,影響
度の大きさも確認出来,また父も気分的に落ち着いたというか嬉しかったんじゃな
いかと思います。」と記載したメールをA6とA3に対して送った。
3故意,共謀及び財産上の利益を得る目的について
被告人は,上記のとおり,風説の流布・偽計及び相場操縦によってC株の株
価を人為的に高騰させる犯行に関与していたのであるから,その後のコラム④の作
成・掲載の時点において,C株の株価高騰があたかも市場原理に基づいて形成され
たもののように装うコラム④の記載が合理的根拠を欠き,客観的事実に反すること
を認識していたことは明らかである。
また,被告人は,コラム①ないし③におけるC株と同様に,空売りの踏み上
げ相場については合理的根拠があるかどうかを確かめることなく,コラムの作成・
掲載に関与していた。そして,被告人自身は,コラムの記載内容に反して,コラム
掲載直後に保有するH株の売却により利益を上げており,このことは,C株につい
て述べたのと同様に,H株について踏み上げ相場が生じる旨のコラムの内容が合理
的なものとは考えていなかったことを示している。
そうすると,被告人は,コラム④につき,その重要ないし核心となる記述が
客観的事実に反し,あるいは合理的根拠に欠け,これを閲読した株式投資家に錯誤
を生じさせるものであることを認識した上で,A1の指示の下,その作成・掲載に
関与していたと認められるから,被告人には,判示第2の2の風説の流布・偽計の
故意及びA1との共謀があったことが認められる。そして,被告人が前記の認識を
もってコラム④の作成・掲載に関与し,現実に多額の利益を得ていた事実に鑑みれ
ば,被告人が財産上の利益を得る目的で,有価証券の売買のため及び有価証券の相
場の変動を図る目的をもって犯行に及んだことも認められる。
(追徴に関する補足説明)
1必要的没収・追徴に関する金融商品取引法198条の2(以下「本条」とい
う。)は,相場操縦や風説の流布等の犯罪行為により得た利益を犯人から残らず剥
奪し,不公正な取引を抑止するという趣旨の規定である。他方,同条1項ただし書
は,全部の財産を没収・追徴することが,犯人に過酷な結果をもたらす場合などに
は,例外的に没収・追徴の対象から除外することを許容するものであると解される。
2まず,判示第1の罪(C株の相場操縦)については,個々の売買取引それぞ
れが相場操縦行為に該当するものである以上,個々の取引により得た買付け株式及
び株式の売却代金全てが同条所定の必要的没収・追徴の対象となるというべきであ
り,これを前提として(二重取りを避けるため,相場操縦行為の一環として買い付
けた株式については,その売却代金のみを没収・追徴の対象として)計算すると,
没収・追徴の対象となる財産は合計27億1292万6500円となるが,判示第
1の犯行においては,相場操縦のために膨大な数の株式の買付けや売付けが繰り返
されており,被告人らが上記相場操縦取引により上昇させた価額で株式を売り付け
たことにより現実に得られた利益(売買差益相当額)は合計4億1667万390
0円にとどまること(甲49,52。なお,その後,C株の株価は下落したため,
その後に売り付けた相場操縦取引により得た株式については合計8億1845万7
00円の売買差損となっている。)などに照らすと,上記相場操縦が財産上の利益
を得る目的で行われたものであることなど,検察官の主張を考慮しても,上記の財
産全部を没収・追徴の対象とすることは被告人にとって過酷であると考えられるか
ら,本条1項ただし書を適用し,上記売買差益相当額である合計4億1667万3
900円について没収・追徴の対象とすることが相当であり,それにより本条の趣
旨は十分に達成することができると考える。
3次に,判示第2の1の罪(C株の風説の流布等)については,判示のとおり,
コラム①ないし③によって上昇させたC株の株価で売り付けた売却代金合計16億
834万4600円が,判示第2の2の罪(H株の風説の流布等)については,判
示のとおり,コラム④によって上昇させたH株の株価で売り付けた売却代金合計3
2億5363万400円が,それぞれ犯罪行為により得た財産であり,これらのす
べてが本条所定の必要的没収・追徴の対象となるというべきであるが,これらの犯
罪行為により被告人らが現実に得ることのできた利益は,判示第2の1の罪につい
ては合計5億8365万5000円(甲107),判示第2の2の罪については合
計16億5831万6000円(甲109)にとどまることなどに照らすと,前同
様の検察官の主張を考慮しても,上記各財産全額を没収,追徴の対象とすることは
被告人にとって過酷であると考えられるから,同条1項ただし書を適用し,上記各
売買差益相当額に限り,没収,追徴の対象とするのが相当である。
4以上の合計26億5864万4900円が,被告人から没収すべき金額であ
るが,これらはいずれも既に費消されるなどして没収することができないため,同
価額について被告人から追徴することとする。
(量刑の理由)
1本件は,被告人が,「兜町の風雲児」などと呼ばれ,大物仕手筋として
有名であった実父A1と共謀の上,財産上の利益を得る目的で,①実母とも共謀
の上,Cの株券について,相場操縦を行い,株価を上昇させた上,同株券の売買を
行った(判示第1),②Cの株券について,空売りの踏み上げ相場が形成されるの
で,保有継続を推奨することを内容とする風説を流布し,偽計を用いて株価を上昇
させた上,同株券を売り付けた(判示第2の1),③Hの株券について,同趣旨の
風説を流布し,偽計を用いて,株価を上昇させた上,同株券を売り付けた(判示第
2の2)という金融商品取引法違反の事案である。
2被告人らは,相場操縦の犯行に当たっては,複数名義の証券口座かつ複数の
証券会社を用いて,被告人らによる取引の全体像を証券会社や規制当局に察知され
ないようにするとともに,これらの証券口座による取引を同時に行うことができる
システムを構築した上,豊富な資金力を背景にして,複数人が連携し,買い上がり
買付け等の典型的な手法を用いずに,これと同様の効果が得られる手法を駆使して
犯行に及んでいたものと認められ,その態様は非常に巧妙かつ悪質である。また,
被告人らは,風説の流布・偽計の各犯行においては,株券の保有を継続する意思が
ないのに,広く一般の投資家が閲覧できるウェブサイトに,C株及びH株につき,
A1がその株価騰貴に関与したと吹聴しているEと同様に踏み上げ相場が形成され
るとして,株券の保有継続を推奨する文章を掲載しており,その態様も悪質であ
る。
本件各犯行により,C及びHの株価はいずれも乱高下しており,株式市場が大き
く混乱して,多くの投資家を惑わせ,証券市場に対する信頼を揺るがす結果が生じ
たことも看過できない。そして,被告人らは,このように高騰させた株価でC及び
Hの株券を売り付けることにより甚だ多額の利益を得ており,その利欲目的の強さ
も顕著である。
以上に照らすと,本件各犯行の犯情は甚だ悪質というべきである。
3被告人は,相場操縦の犯行においては,自己名義の証券口座をA1らに
使用させていただけでなく,一部の株式取引については自ら発注をするなどし
ており,また,風説の流布・偽計の各犯行においても,A1らとの打合せに参
加したり,A1が口述した内容を基に作成された掲載原稿の修正作業を行うな
どしていたのであって,本件各犯行において重要な役割を果たし,多額の利益
も得ている。もっとも,本件各犯行は,いずれもA1の指示に基づいて行われ
たもので,A1の長年にわたる株取引の経験やA1の前記のような知名度なく
しては実行困難であったとみられるものである上,被告人は実父であるA1の
意向,指示がなければ本件各犯行に関わらなかったと考えられることに照らす
と,被告人の本件各犯行への関与は従属的なものであったというべきである。
そうすると,被告人の刑事責任を軽視することはできないものの,被告人に対
して直ちに懲役刑の実刑を科すことは相当とはいえない。
そして,被告人は,不合理な弁解を述べてはいるものの,前科前歴はなく,
保釈されるまで相当期間身柄拘束を受けたことなども考慮すると,被告人につ
いては,主文の懲役刑に処した上で,その刑の執行を猶予し,併せて,主文の
罰金刑を科すのが相当と判断した。
(求刑-懲役4年及び罰金1000万円,追徴75億7490万1500円)
東京地方裁判所刑事第13部
裁判長裁判官家令和典
裁判官吉戒純一
裁判官須藤晴菜

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