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平成30年1月31日判決言渡同日原本領収裁判所書記官
平成28年(ワ)第24747号検索結果削除請求事件
口頭弁論の終結の日平成29年12月8日
判決
主文
1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は,原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求の趣旨
被告は,日本向けグーグル検索サービスにおいて,別紙検索結果目録記載1
ないし242のURL等情報(表題,URL及び抜粋)を削除せよ。
第2事案の概要
1本件は,原告が,①被告が管理運営する日本向けグーグル検索サービスにお
いて,「A」で検索すると,別紙検索結果目録記載1ないし242のURL等
情報(表題,URL及び抜粋)(以下「本件検索結果」という。)が表示され
る,②本件検索結果は,原告ないし原告の代表取締役が原告の事業として詐欺
商材を販売し,詐欺行為をしているとの事実を摘示している,③②の事実摘示
は原告の社会的評価を低下させるものであり,名誉毀損が成立する,④したが
って,被告は,本件検索結果を削除する義務を負う,と主張して,被告に対し,
人格権に基づき,日本向けグーグル検索サービスにおいて,本件検索結果の削
除を求める事件である。
2本件の前提となる事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠及び弁論
の全趣旨により容易に認められる事実)は,以下のとおりである。
⑴原告は,インターネット上における広告業務及び広告代理業務等を目的と
する株式会社である(弁論の全趣旨)。
⑵被告は,インターネットで検索サイト「Google」(http://
www.google.co.jp)を管理,運営する米国法人である(争
いのない事実)。
⑶被告の日本向け検索サービスとしてインターネットで提供する検索サイト
(以下「本件サイト」という。)において,「A」で検索すると,本件検索
結果が表示される。本件検索結果は,それぞれ,「タイトル」,「引用元」
及び「スニペット」(3行程度のサイトの抜粋)で構成される(甲1の1及
び2,争いのない事実)。
⑷被告が本件サイトにおいて提供する検索サービスは,本件サイトの利用者
が入力した任意の文字列に応じて,一定のアルゴリズムに従い自動的かつ機
械的にインターネット上にある60兆個に及ぶウェブサイトから,関連性の
あるリンクのリストを作成し,瞬時に検索結果として表示するサービスであ
る(乙11,13の2,弁論の全趣旨)。
⑸被告は,本件検索結果につき,削除権限を有している(争いのない事実)。
⑹原告は,被告に対し,本件検索結果について削除を求める仮処分を申し立
て(東京地裁平成27年(ヨ)第3224号,同第3709号事件),東京
地方裁判所は,平成28年4月11日,本件検索結果の一部について,削除
を命ずる仮処分を発令した(乙1から3(枝番を含む。),弁論の全趣旨)。
3本件の争点は,以下のとおりである。
⑴本件検索結果による事実の摘示の有無(争点1)
⑵本件検索結果による社会的評価の低下の有無(争点2)
⑶違法性阻却事由の有無(争点3)
⑷本件検索結果の削除請求の可否(争点4)
第3争点に関する当事者の主張
1争点1(本件検索結果による事実の摘示の有無)及び争点2(本件検索結果
による社会的評価の低下の有無)について
⑴原告の主張
ア同定可能性
「A」は,原告の商号の重要な一部であり,「B」は,原告の代表取締
役であり,「C」は,同人のニックネームであり,「Aアフィリエイトセ
ンター」は,原告の事業の名称であり,「D」は,原告の商品である。こ
れらの属性の幾つかを知る者には,本件検索結果が原告に関するものであ
ると同定することは可能である。
イ事実の摘示
まで(数字は別紙検索結果目録記載の番号を示す)は,本
件検索結果のタイトル又はスニペットとして表示された単語の一部であり,
これらの単語が並列していることにより,原告ないし原告の代表取締役が
原告の事業として詐欺商材を販売し,詐欺行為をしているとの事実を摘示
している。
A詐欺
5,6,9,11,12,25,26,29,31,32,34,3
5,37,38,44,45,46,47,52,55,56,58,
59,63,67,73,74,79,81,83,88,98,12
1,124,135,172,193,195,196,198,20
5,237
A詐欺師
10,18,71,82,84
A詐欺商材
1,7,21,28,30,33,41,42,48,51,54,
64
Aアフィリエイトセンター詐欺
8,14,15,19,27,36,49,53,61,66,80,
90,91,92,93
Aアフィリエイトセンター詐欺商材
4,22,23,24,77,85
B詐欺
2,3,13,17,20,40,57,60,62,65,68,
69,70,72,75,78,86,87,89,100,103,
107,109,110,111,112,113,116,117,
118,122,123,125,126,128,130,140,
141,142,143,146,147,149,151,152,
153,154,156,158,159,163,164,165,
166,167,168,170,171,175,176,183,
184,185,186,187,188,189,190,192,
194,197,199,200,201,204,207,208,
211,212,213,214,215,216,217,218,
219,220,221,222,223,224,225,226,
227,229,230,231,232,233,234,238,
239,240,241
B詐欺師
16,43,50,76,94,95,96,97,99,115,
139,169,191,206,242
B騙された
39,105,132,179,210,235
C詐欺
101,102,106,119,120,127,134,136,
137,138,144,145,150,161,174,177,
180,209,228,236,
C詐欺師
104,108,114,129,133,148,155,160,
162,173,182
C騙された
131,157,178,181
D詐欺
202,203
ウ社会的評価の低下
上記イの摘示事実によれば,原告が詐欺行為をしているとの印象を与え
るものであるから,原告の社会的評価を低下させる。
⑵被告の主張
ア原告は,「A」という単語が「詐欺」,「詐欺師」,「詐欺商材」,「
アフィリエイトセンター詐欺」又は「アフィリエイトセンター詐欺商
材」という単語,「B」又は「C」という単語が「詐欺」,「詐欺師」又
は「騙された」という単語とそれぞれ並列されて表示されていることを問
題にするが,いずれも,単に単語がぶつ切りに並べられているだけであり,
一般人の通常の注意と読み方を基準として,これらの表示が,原告が詐欺
を行ったり,詐欺商材を売っているとの事実を摘示するものであるとはい
えない。
イ別紙検索結果目録記載1,3~7,9~16,18,19,21~25,
28,29,31,33,34,36~49,51,52,54~58,
61,62,64,65,67~73,75~77,79~83,85,
88,91,92,95,99,101~108,110~115,11
9~123,125~127,129,131,133~146,148
~171,173~194,196~217,228~242の検索結果
には,「販売」という文字すら表示されておらず,原告が情報商材を販売
していると読み取られる余地はない。
ウ本件検索結果のリンク先のウェブサイトは,情報商材をレビューしてい
るものや,そのレビューサイトを引用するものが大半であり,原告が詐欺
商材を販売していると断定するものではない。例えば,別紙検索結果目録
記載1,31,53,58,65,90~94,160,162の検索結
果は,「詐欺?」等と断定的な表現を避けており,原告が詐欺商材を販売
しているとの事実を摘示するものではない。
エ上記アからウまでのとおり,原告が主張する事実の摘示があるとは認め
られず,社会的評価を低下させるものであるともいえない。
2争点3(違法性阻却事由の有無)について
⑴被告の主張
ア情報商材とは,一般に広告宣伝どおりの効能が発揮されないという点で
は,詐欺まがいのものである点は真実であるから,「詐欺」の重要な部分
については真実であるということができる。
国民生活センターに原告についての相談事例が25件もあり,その内容
は,①簡単に稼げると信じて実際には稼げなかった,②稼げなかった際に
返金保証すると言われたのに返金に応じもらえなかった,③原告が提供す
る情報商材について24時間サポートの役務提供がなかった,④覚えのな
い情報商材の代金を支払わされたといったものであって,これらの相談事
例からすれば,原告が取り扱う情報商材が詐欺又は詐欺まがいに該当する
ことは真実である又は真実と信じるについて相当な理由がある。
イ上記のとおり,原告が取り扱う情報商材には,詐欺又は詐欺まがいのも
のが含まれているところ,こうした情報は,社会一般に広く共有して,新
たな被害を防止するよう消費者に警鐘を鳴らす必要がある。これらの情報
が削除されてしまえば,消費者は正しい情報にアクセスすることができず
に,情報商材の購入に関する判断を誤ることになり,消費者被害が拡大す
ることになるから,本件検索結果による摘示は公共の利害に関わるもので
あり,公益目的を有する。
ウ以上によれば,本件検索結果による表現には違法性阻却事由が認められ
る。
⑵原告の主張
ア詐欺まがいが真実であるからといって,詐欺や詐欺師であることが真実
ということにはならない。原告は,アフィリエイトサービスプロバイダ(
以下「ASP」という。)であり,ウェブサイトで商品を販売したい第三
者に代わってアフィリエイターの募集や広告宣伝をする事業を営んでおり,
原告自身が詐欺的な情報商材を販売しているわけではない。原告が販売す
る商品である「D」及び「アルティメットD」並びに原告のASP事業で
ある「Eアフィリエイトセンター」について国民生活センターへの相談は
ない。原告が販売する商品である「D」は,アフィリエイトの方法を教え
る教材であり,購入者をだます目的の商品ではない。国民生活センターの
相談事例25件のうち,1件は,自動車販売のE株式会社に関するもので
あり,その余は,原告の商品ではなく,他社が販売する商品である可能性
が高い。第三者が販売する商品が詐欺まがいであったとしても,ASPの
詐欺やASPの社長が詐欺師ということにはならない。
したがって,本件検索結果による摘示事実は真実ではない。
イ「真実と信じるにつき相当な理由」は,違法性阻却事由ではなく責任阻
却事由であるから,削除請求権を否定する根拠とはならない。
3争点4(本件検索結果の削除請求の可否)について
⑴原告の主張
ア公共の利害に関する事実でないか,若しくは専ら公益目的を図るもので
ないことが明らかか,又は摘示事実が重要部分において真実でない場合に
おいて,被害の軽微性,回復容易性をも総合的に考慮し,その結果,公表
の利益に対し名誉権の優越が明らかな場合には,検索結果の削除請求が認
められる。
イ本件検索結果において摘示された,原告が詐欺会社であるという事実及
び原告代表者が詐欺師であるという事実は,重要部分において真実ではな
く,原告の社会的評価を著しく低下させるから,上記各事実の摘示による
被害の程度は重大である。
また,原告や原告代表者の信用が確固たるものであるとはいえないし,
本件検索結果を見た者に対し,原告が幾ら本件検索結果について嘘である
旨を発信したとしても,容易に信用を回復することはできないし,本件検
索結果を見て原告との取引を事前に中止した者について信用を回復するこ
とは不可能であるから,被害の回復は極めて困難である。
そうすると,公表する利益に比して原告の名誉権の優越は明らかである
から,被告は,本件検索結果の削除義務を負う。
⑵被告の主張
ア被告が管理しているのは,任意の文字列に応じて検索結果を表示するプ
ログラムであり,被告は,インターネット上に存在するウェブサイトの内
容については一切関知していない。
イ特定のウェブサイトの検索結果を検索サービスから削除すれば,当該ウ
ェブサイトへの到達が不可能となるから,当該ウェブサイト上で行われた
他の表現に関する表現の自由や当該ウェブサイトから情報を取得しようと
する閲覧者の知る権利を著しく制約することになる。また,当該ウェブサ
イト上で行われた表現に関する表現者には当該ウェブサイトの検索結果の
削除について一切の手続保障がされていないから,表現者に対する表現の
自由の制約も大きい。
ウ検索エンジンは,インターネットの利用が不可欠となった現代社会にお
いて,言論の自由市場を形成するために不可欠なインフラであり,表現の
自由及び知る権利の保護に貢献するという公益的な役割を果たしている。
エ原告は,権利侵害表現を行った表現者又はウェブサイトの運営,管理者
に責任を追及するべきである。
オ以上の各事情からすれば,検索結果の削除請求が認められるためには,
当該検索結果の表示が一見して明白な権利侵害を構成する場合に限られる
というべきである。
本件では,本件検索結果に一見して明白な権利侵害があるとはいえない
から,原告の検索結果削除請求は棄却されるべきである。
第4当裁判所の判断
1争点1(本件検索結果による事実の摘示の有無)及び争点2(本件検索結果
による社会的評価の低下の有無)について
⑴本件検索結果は,いずれも,原告名ないしは原告の代表者名と,「詐欺」,
「詐欺商材」,「詐欺師」,「騙された」といった単語が「タイトル」又は
「スニペット」に含まれているところ,これらは,一般人の通常の注意と読
み方として,①原告ないしは原告代表者が詐欺行為をしているという事実(
以下「本件摘示事実①」という。),②原告ないしは原告代表者が詐欺行為
をしている可能性があるという事実(以下「本件摘示事実②」という。)を
摘示しているものとみるのが相当である。
なお,原告代表者を表す「C」については,原告名で検索をするような一
般人を基準とすれば,原告についての知識があることが推測されるから,C
が原告代表者を表していることは容易に理解できるというべきである。
⑵被告は,検索結果の中には断定的な表現を避けているものがあると指摘す
る。しかし,別紙検索結果目録記載1,31,53,58,65,90~9
4,160,162の検索結果は,「詐欺」又は「詐欺師」といった単語の
後に「?」が付いているものの,「タイトル」又は「スニペット」の内容と
合わせ読んでも,本件摘示事実①を摘示しているとしか読めなかったり,本
件摘示事実②を摘示しているとしか読めなかったりするのであり,原告の主
張に係る事実が全く摘示されていないという訳ではない。
⑶そして,本件摘示事実①及び②は,その内容に照らし,原告の社会的評価
を低下させるということができる。
2争点4(本件検索結果の削除請求の可否)について
⑴最高裁昭和61年6月11日大法廷判決(民集40巻4号872頁参照。
以下「最高裁昭和61年判決」という。)は,裁判所の行う出版物の頒布等
の事前差止めにつき,「その対象が公務員又は公職選挙の候補者に対する評
価,批判等の表現行為に関するものである場合には,そのこと自体から,一
般にそれが公共の利害に関する事項であるということができ,前示のような
憲法21条1項の趣旨…(略)…に照らし,その表現が私人の名誉権に優先
する社会的価値を含み憲法上特に保護されるべきであることにかんがみると,
当該表現行為に対する事前差止めは,原則として許されないものといわなけ
ればならない。ただ,右のような場合においても,その表現内容が真実でな
く,又はそれが専ら公益を図る目的のものでないことが明白であつて,かつ,
被害者が重大にして著しく回復困難な損害を被る虞があるときは,当該表現
行為はその価値が被害者の名誉に劣後することが明らかであるうえ,有効適
切な救済方法としての差止めの必要性も肯定されるから,かかる実体的要件
を具備するときに限つて,例外的に事前差止めが許されるものというべきで
あり,このように解しても上来説示にかかる憲法の趣旨に反するものとはい
えない。」と判示する。
⑵最高裁昭和61年判決は,公共の利害に関する事項について差止めの可否
を判断した事案である。公共の利害に関する事実とは,専らそのことが不特
定多数人の利害に関するものであることから,不特定多数人が関心を寄せて
しかるべき事実であると解される。
本件検索結果において摘示された事実は,本件摘示事実①,すなわち,原
告ないしは原告の代表者が詐欺行為をしているという事実,及び本件摘示事
実②,すなわち,原告ないしは原告の代表者が詐欺行為をしている可能性が
あるという事実であり,原告が販売している商品や,原告がASPとして関
与している商品について詐欺行為又はその可能性があることが問題となって
いる。実際に詐欺行為が行われているとすれば,これらに関する情報を社会
一般に広く共有して,新たな被害を防止するよう消費者に警鐘を鳴らす必要
があるから,検索事業者がこれらの情報をインターネット上において提供し
続け,インターネット利用者がいつでもこれにアクセスすることができるこ
とは,社会にとって必要欠くべからざる措置というべきであることに鑑みれ
ば,これらに関する情報は,その商品を購入しようとする者らにとってだけ
でなく,それ以外の者にとっても重要であって,不特定多数人が関心を寄せ
てしかるべき事実であるということができるから,公共の利害に関する事実
であるということができる。
そして,検索事業者は,インターネット上のウェブサイトに掲載されてい
る情報を網羅的に収集してその複製を保存し,同複製を基にした索引を作成
するなどして情報を整理し,利用者から示された一定の条件に対応する情報
を同索引に基づいて検索結果として提供するものであるが,この情報の収集,
整理及び提供はプログラムにより自動的に行われるものの,同プログラムは
検索結果の提供に関する検索事業者の方針に沿った結果を得ることができる
ように作成されたものであるから,検索結果の提供は検索事業者自身による
表現行為という側面を有する。また,検索事業者による検索結果の提供は,
公衆が,インターネット上に情報を発信したり,インターネット上の膨大な
量の情報の中から必要なものを入手したりすることを支援するものであり,
現代社会において,インターネット上の情報流通の基盤として大きな役割を
果たしている。そして,検索事業者による特定の検索結果の提供行為が違法
とされ,その削除を余儀なくされるということは,上記方針に沿った一貫性
を有する表現行為の制約であることはもとより,検索結果の提供を通じて果
たされている上記役割に対する制約でもあるといえる(最高裁平成29年1
月31日第三小法廷決定・民集71巻1号63頁参照)。
そうすると,本件摘示事実①及び②をインターネット上において提供し続
ける表現行為は,私人の名誉権に優先する社会的価値を有しているというこ
とができる。
⑶しかし,本件検索結果の削除請求は,検索事業者が利用者に検索結果を提
供した後に当該検索結果の削除を求めるものであり,事前差止めではなく,
事後差止めであるから,最高裁昭和61年判決の事案と比べて,差止めによ
る弊害は少ないということができる。
また,差止めの対象が,最高裁昭和61年判決は,公務員又は公職選挙の
候補者に対する評価,批判等の表現行為であり,立憲民主制の根幹に関わる
事項に関する表現行為として,憲法21条1項の趣旨に照らし、憲法上特に
保護されるべきである(最高裁昭和61年判決参照)であるのに対し,本件
は,公共の利害に関する事項ではあるものの,最高裁昭和61年判決の事案
の場合と同様に,憲法上特に保護されるべきものであるとはいえない。
したがって,最高裁昭和61年判決の判示することが本件にそのまま当て
はまるということはできない。
⑷以上を総合考慮すると,本件検索結果の削除,すなわち,本件摘示事実①
及び②による表現行為に対する事後差止めは,①本件摘示事実①及び②によ
る表現行為が専ら公益を図る目的のものでないか,又は,②本件摘示事実①
及び②が真実でない場合であつて,かつ,被害者が重大にして回復困難な損
害を被るおそれがあると認められる場合には,上記表現行為の価値が被害者
の名誉に劣後するということができ,有効適切な救済方法としての差止めの
必要性も肯定されるから,検索結果削除請求が認められると解するのが相当
である。
なお,最高裁平成29年1月31日第三小法廷決定(民集71巻1号63
頁)は,プライバシー侵害に係る事案において検索結果削除請求の可否につ
いて判示したものであり,本件とは事案を異にするから,削除の可否の要件
に関する同決定の説示が本件に妥当するということはできない。
⑸前記⑵で説示したことによると,本件摘示事実①及び②による表現行為は,
公益を図る目的のものであると認めることができる。
そして,本件全証拠を精査しても,本件摘示事実①及び②が真実でないこ
とを認めるに足りる的確な証拠はないから,本件摘示事実①及び②が真実で
ないと認めることはできない。
そうすると,その余の点について判断するまでもなく,本件検索結果の削
除請求を認めることはできない。
3結論
以上によれば,検索結果削除請求の要件を満たさないから,その余の争点に
ついて判断するまでもなく,原告の請求は,理由がない。
第5結語
よって,原告の請求を棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第10部
裁判長裁判官鈴木正紀
裁判官山口雅裕
裁判官山崎文寛
別紙省略

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