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H14,11,15東京地方裁判所
平成14年刑(わ)第950号,第1115号収賄等被告事件
        主文
被告人Aを懲役3年に,被告人Bを懲役1年6月に処する。
この裁判が確定した日から,被告人Aに対し4年間,被告人Bに対し3年間,それ
ぞれその刑の執行を猶予する。
被告人Aから金800万円を追徴する。
   理由
(罪となるべき事実)
 被告人Aは,平成5年10月5日から平成14年3月15日までO県知事とし
て,同県を代表するとともに,同県を統轄して同県職員を指揮監督し,予算の執
行,同県が発注する工事の契約に係る指名競争入札の参加者の指名,予定価格の決
定,請負契約の締結,施工の監督等の職務に従事していたもの,被告人Bは,土木
建設工事の請負等を業とする株式会社Q建設の取締役として工事の受注等を担当し
ていたもの,訴外Cは,公共工事等に関する情報収集等の請負を業とする東京都千
代田区a町b丁目c番d号Rビル所在の株式会社S研究所の取締役として同社を実質
的に経営するものであるが
第1 被告人Aは,
1 平成9年6月5日ころ,前記Rビル付近路上において,訴外Cから,株式会社Q
建設が開発した道路舗装用路盤材をO県内の県道舗装工事に採用するとともに,同
県発注に係る道路工事を同社が受注できるよう有利便宜な取り計らいを受けたこと
などに対する謝礼の趣旨及び同県が将来発注する予定の工事に関しても同様の取り
計らいを受けたいなどの趣旨のもとに供与されるものであることを知りながら,現
金500万円の供与を受け
2 T後援会事務所長として被告人Aに代わって建設業者等からの陳情を受けるな
どしていた訴外Dと共謀の上,平成12年8月8日ころ,P市e町ホテルf内の喫
茶店「g」において,訴外Cから,O県発注に係る同県立文学館・書道美術館建築
工事に関し,株式会社Q建設が下請負人として工事を受注できるよう有利便宜な取
り計らいを受けたことなどに対する謝礼の趣旨及び同県が将来発注する予定の工事
に関しても同様の取り計らいを受けたいなどの趣旨のもとに供与されるものである
ことを知りながら,現金300万円の供与を受け
もって,自己の職務に関して賄賂を収受し
第2 被告人Bは,訴外Cと共謀の上,訴外Cにおいて,前記第1の2記載の日時
場所で,前記訴外Dを通じて被告人Aに対し,同記載の趣旨のもとに現金300万
円を供与し,もって被告人Aの職務に関して賄賂を供与し
第3 被告人Aは,平成13年5月10日ころ,東京都千代田区h町i丁目k番l
号所在の割烹「m」において,訴外Cから,O県が将来発注する予定のトンネル道
路改築工事等に関し,株式会社S研究所の顧客であるU建設株式会社ほか十数社が
受注できるなど有利便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨で現金1000万円を供
与する旨の申込みを受け,同趣旨のもとに供与されるものであることを知りなが
ら,その申込みを承諾し,もって,自己の職務に関して賄賂を約束し
たものである。
(証拠の標目)
省略
(法令の適用)
 被告人Aの判示第1及び第3の各所為はいずれも刑法197条1項前段(判示第
1の2の所為につき更に同法60条)にそれぞれ該当するところ,以上は同法45
条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により犯情の最も重い判示第
1の1の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役3年に処し,情
状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から4年間その刑の執行
を猶予し,同被告人が判示第1の各犯行により収受した賄賂は,費消して没収する
ことができないので,同法197条の5後段によりその価額合計金800万円を同
被告人から追徴することとする。
被告人Bの判示第2の所為は,刑法60条,198条に該当するところ,所定刑
中懲役刑を選択し,その所定刑期の範囲内で同被告人を懲役1年6月に処し,情状
により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から3年間その刑の執行を
猶予することとする。
(量刑の事情)
 本件は,公共工事に関して収集した情報を顧客に提供することなどを業とする会
社の実質的経営者であった訴外Cが,その顧客会社の営業担当役員であった被告人
Bと共謀して,O県が実施する公共工事の受注等に関して有利便宜な取り計らいを
受けたことに対する謝礼及び今後も同様の取り計らいを受けたいなどの趣旨で,O
県知事であった被告人Aに対して現金合計800万円を供与して被告人Aがこれを
収受し,さらに,被告人Aは,O県が発注予定の公共工事に関し,訴外Cが自己の
顧客に対する有利便宜な取り計らいを受けたいとの趣旨で供与するものであること
を知りながら,現金1000万円の賄賂を約束した,という事案である。
被告人Aは,県知事の職にあり県行政を統轄掌理する最高責任者の地位にありな
がら,訴外Cとかねてじっ懇の間柄であったことから同人の要請を毅然とした態度
で拒絶することができず,県知事選挙の選挙資金など政治資金の必要もあったた
め,安易に本件各犯行に及んでおり,その動機にはもとより酌量の余地がない。訴
外Cから賄賂を提供されるなどした期間が約4年にわたること,収受ないし約束し
た賄賂が多額であること,本件各犯行の態様,本件によって公正,廉潔であるべき
県知事の職務に対する国民の信頼を傷つけたことなどにも照らすと,犯情は芳しく
なく,その刑事責任を軽視することはできない。
また,被告人Bは,訴外Cからの指示があったとはいえ,自社の業績を上げよう
として,県知事に賄賂を提供するという大胆な犯行に及んだものであって,その刑
事責任は軽くない。
しかしながら,他方において,被告人らに有利とすべき以下のような事情も認め
られる。
 ①本件賄賂の収受は,被告人Aが要求して敢行されたものではなく,訴外Cが贈
賄の計画を立て,訴外Cの指示に従って被告人Bが賄賂金を準備して訴外Cに提供
し,これを訴外Cが被告人Aとの個人的関係を利用して供与したものであって,訴
外Cが本件の中心的役割を果たしているというべきである。
 ②判示第3の犯行は賄賂の約束にとどまり,訴外Cの会社が税務当局の調査を受
けたことが契機となっているにせよ,当事者間でその約束を解消している。
 ③被告人Aは,出納長や秘書課長らに訴外Cの要望を簡略に伝えたに過ぎず,こ
れにより公共工事の受注等に悪影響を与えたとは認め難い。
 ④被告人Aは,本件を除けば,知事としての職務を真面目に遂行し,県民の信頼
を得ていたことがうかがわれるが,本件による逮捕後は,その信頼を裏切ったこと
を真摯に反省し,自ら県知事の職を辞した上,本件約束にかかる賄賂金額に相当す
る1000万円を財団法人法律扶助協会に贖罪寄付するなどしており,法廷におけ
る供述態度に照らしてみても改悛の情が顕著である。
 ⑤被告人Bについては,真摯な反省の態度が認められる上,本件を機にその会社
は指名停止処分を受けて倒産状態に陥り,被告人B自身も取締役を辞さざるをえな
くなるなど一定の社会的制裁を受けている。
 以上の諸情状を総合考慮すると,被告人両名に対しては,その刑責に応じてそれ
ぞれ主文掲記の刑に処することとするが,直ちに実刑に処するのは酷と考えられる
ので,主文掲記の期間それぞれその刑の執行を猶予することとした。
 よって,主文のとおり判決する。
 平成14年11月15日
  東京地方裁判所刑事第13部
    裁判長裁判官八木正一
       裁判官松岡幹生
       裁判官鹿野暁子
         

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