弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
一 原判決を取り消す。
二1 被控訴人は「京都コトブキ」の営業表示を使用してはならない。
2 被控訴人は、包装その他の印刷物から「京都コトブキ」の表示を抹消せよ。
3 被控訴人は、控訴人に対し、京都地方法務局平成二年四月二日受付をもってし
た被控訴人の設立登記中、「株式会社京都コトブキ」の商号登記の抹消登記手続を
せよ。
三 訴訟費用は、第一、二審とも、被控訴人の負担とする。
       事   実
第一 当事者の求めた裁判
一 控訴人
1 主文同旨
2 仮執行宣言(主文第二項1、2、第三項につき)
二 被控訴人
 本件控訴を棄却する。
第二 当事者の主張
一 原審における当事者の主張
 原判決三頁三行目から一五頁九行目までに記載されているとおりであるから、こ
れを引用する(但し、原判決八頁六行目の「不正競争防止法二条一項一号」の次に
「、三条」を加える。)。
二 当審における当事者の主張
1 控訴人の予備的請求原因(原産地等誤認惹起行為)
(一) 控訴人は、昭和二二年三月に創業され、同四二年一〇月二三日に、菓子、
パン、冷菓等の製造、加工、販売等を業として設立された会社であるが、年商は平
成四年度には二一五億円に達し、京都地区の二四店舗を含み、店舗数も関東、関西
を中心に約五三〇店舗を有する日本有数の菓子営業者であり、一方、被控訴人は、
平成二年四月二日、本店を京都市<以下略>、商号を「株式会社京都コトブキ」、
営業目的を観光土産品の販売等として設立され、この商号を用いて、京都地区で菓
子を販売している。
(二) 被控訴人は、「株式会社京都コトブキ」の商号のもとに、「京都の名菓栗
づくし」「京都名菓抹茶の詩」及び「名菓京都もみじ饅頭」を販売している。
(三) 前項の商品は、被控訴人の親会社壽製菓株式会社(本店 鳥取県米子市)
が製造しているものであるにもかかわらず、これらに接した一般需要者は、「京都
の名菓」栗づくし、「京都名菓」抹茶の詩、「名菓京都」もみじ饅頭に加えて、
「株式会社京都コトブキ」の商号のゆえに、あたかもこれらが京都で製造された京
都名菓であるかのように誤認させられるものである。
(四) 前記(二)の行為は不正競争防止法二条一項一〇号に違反する不正競争行
為であり、控訴人は同業者としてそのイメージを減殺されるに加え、その営業上の
利益を害されるおそれがある。
(五) よって、控訴人は、予備的に、不正競争防止法二条一項一〇号、三条に基
づき、被控訴人に対して、被控訴人の営業表示の差止、被控訴人商品の包装等の印
刷物からの被控訴人の営業表示の抹消及び被控訴人の商号登記の抹消登記手続をそ
れぞれ求める。
2 予備的請求原因に対する被控訴人の認否及び反論
(一) 認否
(1) 予備的請求原因(一)のうち被控訴人に関する主張は認めるが、その余は
不知。
(2) 予備的請求原因(二)は認める。
(3) 予備的請求原因(三)のうち壽製菓株式会社が「京都の名菓栗づくし」
「京都名菓抹茶の詩」及び「名菓京都もみじ饅頭」を製造していることは認める
が、その余は争う。
(4) 予備的請求原因(四)は争う。
(二) 反論
 「名菓」の語義につき、広辞苑第四版では、「名のある菓子、すぐれた菓子」と
説明されている。そうすると、「京都名菓」とは「京都で名のある菓子、京都です
ぐれた菓子」の意であると解される。また、「京都の名菓」とは「京都の名のある
菓子、京都のすぐれた菓子」の意であると解される。
 「名菓京都もみじ饅頭」は「名菓」と「京都もみじ饅頭」に分けることができ、
「京都もみじ饅頭」は紅葉の名所が京都市及びその周辺に数多くある(例えば、嵐
山、竜田川、貴船等)ため、それに因んで「京都もみじ饅頭」と命名されたもので
あるが、この標章を付した饅頭が京都市及びその周辺若しくは京都府で製造される
か、その原材料が京都市及びその周辺若しくは京都府で生産されるものと一般需要
者の多くが認識しているとは到底考えられない。そうすると、被控訴人の使用して
いる「京都の名菓栗づくし」、「京都名菓抹茶の詩」及び「名菓京都もみじ饅頭」
なる標章は、いずれも、これらの標章を付した商品の製造地若しくは原材料の生産
地が京都市及びその周辺あるいは京都府であるとの認識を一般需要者のうちの多く
の者に抱かせるものとはいえず、したがって、被控訴人がこれらの標章を付した商
品を販売する行為は不正競争防止法二条一項一〇号の原産地誤認惹起行為には該当
しないものと思料される。
 控訴人は「京都」なる表示が付加されていない「栗づくし」「抹茶の詩」及び
「もみじ饅頭」なる各標章を使用して菓子類を販売しておらず、被控訴人が「京
都」なる表示を「栗づくし」、「抹茶の詩」及び「もみじ饅頭」なる各標章に付加
したからといってそのことによって控訴人との販売競争上優位に立つものではな
く、したがって、被控訴人が「京都」なる表示を付加した前記各標章を使用するこ
とによって控訴人の営業上の利益が害されるおそれなど存しないことは明らかであ
る(言い換えれば、仮に控訴人が不正競争防止法二条一項一〇号、三条に基づき被
控訴人に対し差止めを求めるとしても、その差止対象となる行為は営業表示「京都
コトブキ」の使用ではなく、標章「京都の名菓栗づくし」、「京都名菓抹茶の
詩」、「名菓京都もみじ饅頭」の使用であるべきである。)。
第三 証拠(省略)
       理   由
一 当裁判所は、被控訴人がその本店所在地において、看板に「京都コトブキ」と
いう営業表示を掲げて使用し、その販売に係る菓子の包装箱の裏面又は側面に貼ら
れた責任票に「京都コトブキ」あるいは「株式会社京都コトブキ」の営業表示を使
用することは不正競争防止法二条一項一号の不正競争行為(周知表示混同惹起行
為)に該当するものと判断する。その理由は次項以下に示すとおりである。
二 控訴人の沿革、控訴人の営業表示とその周知性、被控訴人の営業表示、両者の
営業表示の類似性について
 原判決一六頁一行目から二九頁五行目までに記載されているとおりであるから、
これを引用する(但し、原判決一六頁二行目の「二一、」の次に「二五、」を挿入
し、一九頁三行目の次に改行して「控訴人の平成七年度の総売上は一八五億円で、
全国で一四位であり、うち洋菓子は一一五億円であり、その実績は八位である。」
を加え、二一頁末行の「特徴のないものになっている。」を「左に傾いた斜体とな
っている。」と改める。)。
三 「混同のおそれ」の有無について
1(一) 不正競争防止法二条一項一号にいう「混同を生じさせる行為」には、他
人の周知の営業表示と同一又は類似の表示を使用する者が、自己と右他人とを同一
営業主体と誤信させる行為のみならず、両者間にいわゆる親会社、子会社の関係や
系列関係などの緊密な営業上の関係が存するものと誤信させる行為(いわゆる広義
の混同)をも包含し、かつ、右他人の周知の営業表示と同一又は類似の表示を使用
する者と右他人との間に競争関係があることは必ずしも必要ではなく(最高裁判所
昭和五八年一〇月七日第二小法廷判決・民集三七巻八号一〇八二頁、最高裁判所昭
和五九年五月二九日第三小法廷判決・民集三八巻七号九二〇頁各参照)、また、商
品の販売形態が異なるとしてもそのことによって当然に出所を混同誤認するおそれ
がない、とはいえないと解すべきである。
(二) しかるところ、控訴人と被控訴人の各商品及びそれらの販売場所、販売形
態など販売活動の状況についてみるに、原判決二九頁七行目から三三頁四行目まで
に記載されているとおりの事実が認められる(但し、原判決二九頁九行目の
「六、」の次に「三二の1、2、三三の1ないし5、検甲五・七の各1ないし4、
八の1ないし6、一〇ないし一三、一四・一五の各1、2、一八の1ないし16、
一九の1ないし24」を挿入し、三〇頁三行目の次に改行して「右のほか、控訴人
は、和菓子(「花野点」、和三盆糖入り「ようかん」など)も販売している(甲二
三、検甲一八の1ないし16、一九の1ないし24)。」を加え、三〇頁六行目の
「その商品の販売は、」から一〇行目の「考えられる)。」までを「主としてフラ
ンチャイズ・チェーン店で商品の販売を行っているほか、イズミヤ、ジャスコ、ラ
イフ、ダイエー、イトーヨーカ堂、サティ、コープなどのスーパーマーケット内の
店やドライブイン(洲本市<以下略>所在)においても販売しており、ホテル内で
も販売している。」と改め、三〇頁一一行目の「そして、原告のフランチャイズ・
チェーン店は、」を「とりわけ控訴人のフランチャイズ・チェーン店について言え
ば、」と改め、三二頁末行、三三頁初行を削除する。)。
2 右認定のとおり控訴人の営業内容は洋菓子の販売を中心とするものであって、
かつ、特約店あるいはフランチャイズ・チェーン店による販売活動を展開している
ところ、「コトブキ」の周知性とも相俟って、その営業表示は洋菓子と強く結び付
いて一般消費者や需要者に認識されているものと認められる。しかしながら、他
方、右のとおりであるとしても、控訴人の商品といえば、洋菓子に限られ、和菓子
は控訴人のものではないとの認識が一般消費者や需要者の間に深く、広く浸透して
いるということを認めさせるに足りる証拠もない。
 そして、洋菓子も和菓子もともに同じ菓子類であって密接に関連する品目である
から、単に洋風か和風か、あるいは高級洋菓子か観光土産用の菓子かの差異で、両
者の出所が混同されるおそれがないとも言い難い。また、これらの商品を購入する
顧客についていうと、スーパーマーケットやフランチャイズ・チェーン店で購入す
る顧客と駅構内のキヨスクやホテルの売店で購入する顧客との間に、顧客層の差異
と言える程の顕著な違いがあるとは解されず、購入の動機が多分に機会的なものに
過ぎないという差異があるにとどまる(高級洋菓子店の顧客も、もとより旅行客の
立場になり得るものであって、その日常の商品志向が固定していて土産物店で観光
土産を購入する際にも右商品志向に左右されおよそ土産用として販売されている和
菓子を購入する余地がないとは断定することができない。)と解するのが相当であ
る。
3 そもそも不正競争防止法二条一項一号にいう「混同を生じさせる行為」とは、
一般世人をして誤認する危険を生ぜしめることをいい、現実に誤認の事態が発生し
たことを必要としないと解すべきであるが、原審証人【A】の、現実の混同事例が
存在した旨の証言(JR構内で販売されている被控訴人の商品を購入した知人が、
被控訴人の商品の包装に貼付されている被控訴人の営業表示を見て、当該商品を控
訴人の商品だと思い、控訴人はJR構内でも右商品を販売しているのかどうかにつ
いて問い合わせてきた旨の証言)も、消費者調査に関する調査報告書(甲二七)の
内容(駅の売店で「京都コトブキ」製造の和菓子を売っているとき、その「京都コ
トブキ」という会社は「コトブキ」の子会社、あるいは、関連会社かもしれないと
思うかという問いに対して、〈思う〉と回答したものが、二五九名中一七八名で、
六八・七%を占めた旨の調査結果。)と照らして考えてみると、首肯し得ないでは
ないというべきである。
4 被控訴人は「本店所在地において看板表示「京都コトブキ」を使用している
が、同所には倉庫(検甲一、二)があり、被控訴人の事務所はこの倉庫の中にあ
る。被控訴人は店舗を回って注文を聞き、あるいは電話で注文を取り、倉庫のなか
に在庫のないものについては米子の本社のほうに注文して、被控訴人の倉庫に一括
して納入してもらい、被控訴人のほうで各店舗へ配送する。したがって、一般消費
者はもちろん取引業者は被控訴人の事務所へ立ち寄ることはない。ワゴン車は被控
訴人の倉庫から取引先店舗へ被控訴人の商品を運搬する際に使用されているもので
あって、「京都コトブキ」なる営業表示が一般消費者の目に触れることはない。ま
た、被控訴人販売に係る菓子の包装された箱の裏面又は側面の責任票(検乙一二、
二四)に一文字の大きさが約三ないし四ミリメートル四方で「株式会社京都コトブ
キ」なる表示が付されているが、その使用形態からすると、右営業表示もほとんど
一般需要者の目にもとまることがないので、被控訴人販売に係る商品に接する取引
者及び一般需要者において被控訴人と控訴人を同一営業主体又は両者の間に親会
社、子会社の関係若しくは関連会社などの関係が存するものと誤認・混同するおそ
れはない。」と主張する。
 しかしながら、本店所在地に看板として「京都コトブキ」なる営業表示を掲げた
り、営業車にこれを表示している以上、その営業表示は被控訴人と取引する専門業
者のみならず、潜在的な最終需要者の目に触れる機会があり、これが需要者の目に
触れた場合、
営業表示の混同誤認が生ずるおそれがあるというべきであるし、また、当該商品が
人によって食されるものであることから、平均的な一般消費者や需要者を基準とし
て考えてみた場合においても、店頭に置かれた商品を購入する際、責任票に記載さ
れた賞味期限ないし品質保持期間を確認の上購入するということも十分考えられる
のであって、購入後商品の出所が他に告げられたり購答に供されるということもあ
り得ることである。なお、責任票が食品衛生の観点から行政取締法規上その貼付が
義務付けられているとはいえ、当該食品を販売する業者としての責任の帰属主体を
明らかにすることによって間接的に購入意思決定の一要因にもなり得るものである
から、責任票の法的性格やそこに記載された営業主体を示す文字が小さいというこ
とのみをもって平均的な一般消費者や需要者による混同のおそれを否定する理由に
はならないというべきである。
5 結局、被控訴人がその営業表示である「京都コトブキ」を使用する行為は、あ
たかも控訴人と業務上、組織上関連するものとの認識を一般消費者や需要者に生じ
させ、営業主体の混同誤認を惹起するおそれがあると解するのが相当である。
 さらに、不正競争防止法二条一項一号にいう混同の事実が認められる場合には特
段の事情がない限り営業上の利益を害されるおそれがあるものというべきである
(最高裁判所昭和五六年一〇月一三日第三小法廷判決・民集三五巻七号一一二九
頁)ところ、本件において右特段の事情の存在を認めるに足りる証拠はない。
四 先使用の抗弁
 控訴人の営業表示(「コトブキ」)は、前認定のとおり、遅くとも昭和四六、七
年ころには京都市及び同府下において周知であったと認めることができるところ、
被控訴人は平成二年四月二日に壽製菓株式会社の子会社として設立されたものであ
り、その営業表示である「京都コトブキ」は被控訴人の親会社が使用していた「壽
製菓株式会社」ないし「壽製菓」との間に営業表示としての同一性ないし類似性が
あるとは認め難いから、被控訴人の抗弁は既にこの点において理由がないというべ
きである。
五 以上の次第であるから、控訴人の請求は理由があり、これと結論を異にする原
判決は失当である。
 よって、原判決を取り消し、訴訟費用の負担につき民訴法六七条二項、六一条を
適用し、仮執行宣言は付さないこととし、主文のとおり判決する。
(裁判官 小林茂雄 小原卓雄 高山浩平)
参考
原審判決引用部分を組み込んだ本控訴審判決の事実及び理由
(注)原審判決が、本控訴審判決により付加、訂正されている部分には傍線を、削
除されている部分には(※)を付した。
       事   実
第一 当事者の求めた裁判
一 控訴人
1 主文同旨
2 仮執行宣言(主文第二項1、2、第三項につき)
二 被控訴人
 本件控訴を棄却する。
第二 当事者の主張
一 原審における当事者の主張
 原判決三頁三行目から一五頁九行目までに記載されているとおりであるから、こ
れを引用する。
〔付加の上、引用された原審判決部分〕
一 請求原因
1 控訴人会社の沿革
 控訴人は、昭和四二年一〇月二三日に、営業目的を菓子、パン、冷菓等の製造、
加工及び販売等として設立された会社である。
 控訴人の沿革は、昭和二二年三月に創立者【B】が神戸市<以下略>において、
「寿本舗」として創業した店舗に始まる。その後、寿本舗は、昭和二四年一一月九
日に株式会社(株式会社寿本舗)となり、昭和四六年四月一日には商号を「株式会
社お菓子のコトブキ」に変更した。
 そして、控訴人は、昭和五七年八月に、株式会社お菓子のコトブキの営業全部を
譲り受け、現在に至っている。
2 控訴人の営業表示及びその周知性
(一) 控訴人の商号は、株式会社コンフェクショナリーコトブキであるが、営業
表示としては、控訴人の前身会社である寿本舗の時代から、単に片仮名表記の「コ
トブキ」を使用しており、また他からも、「コトブキ」と称されてきた。なお、
「コンフェクショナリー」の用語は、「菓子商」を意味する識別力のない用語であ
り、控訴人の商号の要部は「コトブキ」である。
(二) 株式会社寿本舗は、昭和四三年四月から、既存の特約店販売網を再編して
フランチャイズシステムを採用し、商号を「株式会社お菓子のコトブキ」に変更し
た昭和四六年には、フランチャイズ店は、近畿地区を中心に二〇〇店を数え、ま
た、この年京都地区に進出し、翌四七年には京都における店舗数は一二店になっ
た。
その後、昭和四八年三月には関東地区に進出し、前記営業譲渡が行われた昭和五七
年までに、中部地区、東海地区などにも営業展開をした。
 そして、平成に入ると、控訴人の店舗数は関東、関西を中核として約五〇〇店舗
となり、さらに平成三年一〇月には国際事業部を設立し、中国の北京、上海、天津
等にも進出した。
(三) 控訴人は、昭和四三年ころから活発な宣伝活動を開始し、控訴人がこれに
費やした費用は、同年当時約三億円であったが、以後増加の一途をたどっている。
具体的にはテレビ、ラジオ、雑誌といった宣伝媒体を通じた宣伝、戸別訪問、イメ
ージタレントを起用した全国各地のフランチャイズ店でのサイン会等の地域に根ざ
した宣伝、及び業界紙への広告掲載による業界向けの宣伝等である。
(四) その結果、前記(二)のフランチャイズ店販売網と相まって、控訴人の営
業表示である「コトブキ」は、遅くとも昭和四六年ころまでには、全国的に需要者
の間に広く認識されるところとなり、京都地区においても、同年ころには広く認識
されるに至った。
3 被控訴人の営業表示
 被控訴人は、平成二年四月二日、本店を京都市<以下略>、商号を「株式会社京
都コトブキ」、営業目的を観光土産品の販売及び観光土産店の経営等として設立さ
れたものであるが、現在、その本店所在地において、看板に「京都コトブキ」とい
う営業表示を掲げて使用し、その販売にかかる菓子の包装に「京都コトブキ」の営
業表示を使用し、また「株式会社京都コトブキ」の商号を使用している。
4 営業表示の類似性
 控訴人の営業表示は、前記のとおり「コトブキ」である。
 そして、被控訴人の営業表示(営業表示としての商号を含む。以下同様)の「京
都コトブキ」のうち、「京都」は単に地名であっていわゆる識別力のない部分であ
り、その要部は「コトブキ」であるので、控訴人と被控訴人の各営業表示はその要
部が同一であって、両者は類似している。
5 混同のおそれの存在
 控訴人の営業表示である「コトブキ」は、前記2のとおり極めて高い周知性を有
していること、控訴人と被控訴人の各営業表示は前記4のとおり極めて類似するこ
と、控訴人と被控訴人は共に菓子類を販売しており競業関係にあること、控訴人は
菓子類の製造販売業者として、経営の多角化を図っており、将来的には、被控訴人
と同様に観光土産菓子を販売し、また、被控訴人と同様に観光ホテル等での販売を
しないというわけではないことなどからすると、被控訴人が、菓子類を「京都コト
プキ」の営業表示を用いて販売することは、控訴人または控訴人の子会社と何らか
の関係のある営業主体の営業であると混同されるおそれがあるのみならず、商品の
出所が同一ではないかと混同されるおそれがある。また、現に混同の事例も生じて
いる。
 なお、被控訴人は、被控訴人の営業表示は、包装箱の裏面に貼付された「責任
票」にしか記載されておらず、その表示も小さく、認知されることは希であるなど
と主張するが、賞味期限を確認するのはむしろ消費者の常識であり、混同を生じる
恐れを否定する事情とはいえない。
6 営業上の利益を侵害されるおそれの存在
 被控訴人がその営業表示を使用することが、控訴人の営業活動と被控訴人の営業
活動とを混同させるものであることは、前記5のとおりであり、このため控訴人が
営業上の利益を侵害されるおそれのあることは明らかである。
7 よつて、控訴人は、被控訴人に対し、不正競争防止法二条一項一号、三条に基
づき、被控訴人の営業表示の差止、被控訴人商品の包装等の印刷物からの被控訴人
の営業表示の抹消及び被控訴人の商号登記の抹消登記手続をそれぞれ求める。
二 請求原因に対する認否
1 請求原因1の事実は不知。
2(一) 同2(一)の事実は否認する。
 控訴人または控訴人の前身会社が使用してきた営業表示は、「お菓子のコトブ
キ」、「CONFECTIONERY KOTOBUKOI」、「コンフェクショ
ナリーコトプキ」、「おいしさ、愛。
<80113-001>コトブキ」等であって、これらの構成要素の一部である
「コトブキ」単独では、営業表示として機能していないというべきである。
(二) 同2、(二)(三)の各事実は不知。
(三) 同2(四)の事実は否認する。
 昭和四六年当時、京都地区において控訴人のフランチャイズ店が一二店あったと
しても、京都府の人口(平成六年統計で二五四万人)からすれば、控訴人の営業表
示が一般顧客の間で周知であったことの根拠にはならない。
3 同3のうち、被控訴人会社が、控訴人主張のとおり設立されたことは認める。
「株式会社京都コトブキ」の表示は、被控訴人商品の包装箱裏面右下部分に貼付さ
れた小さな「責任票」の下欄に発売元として記載されているだけである。したがっ
て、商品が陳列された状態では、顧客の目に溜まることはなく、「通常顧客が、商
品を裏返して右責任票を見た上で商品を購入するということはない。
4 同4の事実は否認する。
(一) 控訴人の営業表示は、前記2(一)のとおり、「お菓子のコトブキ」、
「CONFECTIONERY KOTOBUKI」、「コンフェクショナリーコ
トブキ」、「おいしさ、愛。<80113-001>コトブキ」等であって、「コ
トブキ」単独では営業表示として機能しておらず、普通名詞の寿(ことぶき)の片
仮名またはローマ字表記である「コトブキ」または「KOTOBUKI」の部分の
みでは識別力は弱く、その他の部分と一体としてみるべきであるところ、これらの
各営業表示と、被控訴人の商号である「京都コトブキ」を比較すると、外観、称
呼、観念のいずれの点からしても到底類似しているとはいえない。
(二) 被控訴人の商号のうち、「京都」は地名であるから識別力に欠けていると
いうのは妥当でない。被控訴人は、「京都」の部分と「コトブキ」の部分を区別す
ることなく、同じ大きさの同一形態の文字で一体的に表記しているのであるから、
その外観、称呼、観念は「京都コトブキ」を一体として考察する必要がある。そう
すると、仮に控訴人の営業表示が「コトブキ」であるとしても、「京都コトブキ」
とは外観、称呼、観念のいずれの点からも類似しているとはいえない。
4 同5の事実は否認する。
 控訴人と被控訴人の販売商品、販売場所、販売方法は、次のとおりそれぞれ全く
異なっており、控訴人の商品と被控訴人の商品が混同されるおそれはなく、その営
業主体が混同されるおそれもない。
(一) 販売商品の相違
 販売商品としては、控訴人の販売商品が洋菓子(九四パーセント)、和生菓子
(六パーセント)であるのに対し、被控訴人のそれは、観光土産菓子であって和菓
子が主体であり、和生菓子はほとんど販売していない。
(二) 販売場所の相違
 販売場所としては、控訴人はフランチャイズ店もしくは直営店で販売しているの
に対し、被控訴人は観光地の土産販売店、ホテル、旅館の売店、キヨスク、ドライ
ブイン売店で販売している。
(三) 販売方法の相違
 販売方法としては、控訴人は「お菓子のコトブキ」あるいは「CONFECTI
ONRY KOTOBUKI」と店舗名として大きく表示された洋風店舗(洋菓子
専門店)において販売しており、顧客は控訴人の店舗であることを認知した上で控
訴人商品を購入している。また、顧客は、もっぱら通勤、通学途中の勤労者、学生
及び買物目的の主婦等である。一方、被控訴人は、その商品を販売店の販売台に陳
列し、当該観光地にちなんだ土産菓子としての商標で購入方をアピールし、商品見
本を提示し、試食の機会を提供するなどしている。また、前記のとおり「京都コト
ブキ」の表示は商品の包装箱の裏面に記載してあるので、顧客は商品が被控訴人の
ものであることはほとんど認識せずに購入している。
 したがって、一般消費者が控訴人及び被控訴人の商品を混同し、あるいはその営
業主体を混同するおそれはない。また、控訴人の取引業者は、もっぱらフランチャ
イズ店またはこれになろうとする者であり、被控訴人の取引業者は、販売店(ホテ
ル、土産物店)もしくは販売店になろうとする者であるから、これらの取引業者が
控訴人と被控訴人の営業主体を混同するおそれがないことは明らかである。
6 同6の事実は争う。
三 抗弁(先使用の抗弁)
 被控訴人は、昭和二七年四月二五日、商号を壽製菓株式会社、本店を鳥取県米子
市<以下略>として設立された会社の子会社である。
 昭和三四年ころから壽製菓株式会社は観光土産菓子の製造・販売を手がけるよう
になり、これらの商品の販売は全国各地に設立した被告を含む子会社らが行ってい
る。ちなみに、京都地区には、昭和三五年ころから、約二五の販売店舗があった。
 被控訴人は平成二年四月二日に壽製菓株式会社の子会社として設立されたもので
あって、親会社の「寿」を訓読みした「ことぶき」の片仮名表示である「コトブ
キ」をその商号の一部に使用したものであり、不正競争防止法一一条一項三号の
「他人の商品等表示が需要者の間に広く認識される前からその商品等表示と同一若
しくは類似の商品等表示を使用するもの又は商品等表示に係る業務を承継した者」
に該当する。
 寿製菓株式会社及び被控訴人は、不正競争の目的なく「コトブキ」という表示を
使用しているものである。
四 抗弁に対する認否
 否認する。
 被控訴人の主張は、自らの営業表示の使用の主張ではなく、親会社である壽製菓
株式会社の先使用の主張であるので、理由が、ない。
 被控訴人は、その営業表示を被告の親会社である壽製菓株式会社から承継したと
いうが、被控訴人の親会社が使用していた営業表示は、「壽製菓株式会社」ないし
「壽製菓」であり、右営業表示は被控訴人の営業表示である「京都コトブキ」とは
同一性を欠くものである。
 また、控訴人の営業表示である「コトブキ」は、昭和四六年当時から周知だった
のであるから、同年以降、寿製菓株式会社が相次いで子会社に「コトブキ」の名を
使用しているのは、不正競争の目的があるといえる。
〔引用部分終了〕
二 当審における当事者の主張
1 控訴人の予備的請求原因(原産地等誤認惹起行為)
(一) 控訴人は、昭和二二年三月に創業され、同四二年一〇月二三日に、菓子、
パン、冷菓等の製造、加工、販売等を業として設立された会社であるが、年商は平
成四年度には二一五億円に達し、京都地区の二四店舗を含み、店舗数も関東、関西
を中心に約五三〇店舗を有する日本有数の菓子営業者であり、一方、被控訴人は、
平成二年四月二日、本店を京都市<以下略>、商号を「株式会社京都コトブキ」、
営業目的を観光土産品の販売等として設立され、この商号を用いて、京都地区で菓
子を販売している。
(二) 被控訴人は、「株式会社京都コトブキ」の商号のもとに、「京都の名菓栗
づくし」「京都名果抹茶の詩」及び「名果京都もみじ饅頭」を販売している。
(三) 前項の商品は、被控訴人の親会社壽製菓株式会社(本店 鳥取県米子市)
が製造しているものであるにもかかわらず、これらに接した一般需要者は、「京都
の各果」栗づくし、「京都名果」抹茶の詩、「名果京都」もみじ饅頭に加えて、
「株式会社京都コトブキ」の商号のゆえに、あたかもこれらが京都で製造された京
都名果であるかのように誤認させられるものである。
(四) 前記(二)の行為は不正競争防止法二条一項一〇号に違反する不正競争行
為であり、控訴人は同業者としてそのイメージを減殺されるに加え、その営業上の
利益を害されるおそれがある。
(五) よって、控訴人は、予備的に、不正競争防止法二条一項一〇号、三条に基
づき、被控訴人に対して、被控訴人の営業表示の差止、被控訴人商品の包装等の印
刷物からの被控訴人の営業表示の抹消及び被控訴人の商号登記の抹消登記手続をそ
れぞれ求める。
2 予備的請求原因に対する被控訴人の認否及び反論
(一) 認否
(1)予備的請求原因(一)のうち被控訴人に関する主張は認めるが、その余は不
知。
(2) 予備的請求原因(二)は認める。
(3) 予備的請求原因(三)のうち壽製菓株式会社が「京都の名果栗づくし」
「京都名果抹茶の詩」及び「名果京都もみじ饅頭」を製造していることは認める
が、その余は争う。
(4) 予備的請求原因(四)は争う。
(二) 反論
 「名果」の語義につき、広辞苑第四版では、「名のある果子、すぐれた果子」と
説明されている。そうすると、「京都名果」とは「京都で名のある果子、京都です
ぐれた果子」の意であると解される。また、「京都の名果」とは「京都の名のある
果子、京都のすぐれた果子」の意であると解される。
 「名果京都もみじ饅頭」は「名果」と「京都もみじ饅頭」に分けることができ、
「京都もみじ饅頭」は紅葉の名所が京都市及びその周辺に数多くある(例えば、嵐
山、竜田川、貴船等)ため、それに因んで「京都もみじ饅頭」と命名されたもので
あるが、この標章を付した饅頭が京都市及びその周辺若しくは京都府で製造される
か、その原材料が京都市及びその周辺若しくは京都府で生産されるものと一般需要
者の多くが認識しているとは到底考えられない。そうすると、被控訴人の使用して
いる「京都の名果栗づくし」、「京都名果抹茶の詩」及び「名果京都もみじ饅頭」
なる標章は、いずれも、これらの標章を付した商品の製造地若しくは原材料の生産
地が京都市及びその周辺あるいは京都府であるとの認識を一般需要者のうちの多く
の者に抱かせるものとはいえず、したがって、被控訴人がこれらの標章を付した商
品を販売する行為は不正競争防止法二条一項一〇号の原産地誤認惹起行為には該当
しないものと思料される。
 控訴人は「京都」なる表示が付加されていない「栗づくし」「抹茶の詩」及び
「もみじ饅頭」なる各標章を使用して菓子類を販売しておらず、被控訴人が「京
都」なる表示を「栗づくし」、「抹茶の詩」及び「もみじ饅頭」なる各標章に付加
したからといってそのことにようて控訴人との販売競争上優位に立つものではな
く、したがって、被控訴人が「京都」なる表示を付加した前記各標章を使用するこ
とによって控訴人の営業上の利益が害されるおそれなど存しないことは明らかであ
る(言い換えれば、仮に控訴人が不正競争防止法二条一項一〇号、三条に基づき被
控訴人に対し差止めを求めるとしても、その差止対象となる行為は営業表示「京都
コトブキ」の使用ではなく、標章「京都の名菓栗づくし」、「京都名菓抹茶の詩、
「名菓京都もみじ饅頭」の使用であるべきである。)。
第三 証拠(省略)
       理   由
一 当裁判所は、被控訴人がその本店所在地において、看板に「京都コトブキ」と
いう営業表示を掲げて使用し、その販売に係る菓子の包装箱の裏面又は側面に貼ら
れた責任票に「京都コトブキ」あるいは「株式会社京都コトブキ」の営業表示を使
用することは不正競争防止法二条一項一号の不正競争行為(周知表示混同惹起行
為)に該当すみものと判断する。その理由は次項以下に示すとおりである。
二 控訴人の沿革、控訴人の営業表示とその周知性、被控訴人の営業表示、両者の
営業表示の類似性について原判決一六頁一行目から二九頁五行目までに記載されて
いるとおりであるから、これを引用する。
〔付加、訂正の上、引用された原審判決部分〕
一 控訴人の沿革について
証拠(甲一、三ないし八、一七、二一、二五、証人【A】)によれば、次の事実が
認められる。
1 寿本舗時代
(一) 控訴人の現相談役である【B】は、昭和二二年三月、神戸市<以下略略>
に、寿本舗を創業した。その後、寿本舗は、昭和二四年に株式会社に組織変更し、
商号を「株式会社寿本舗」とした(以下、組織変更前の寿本舗及び株式会社寿本舗
をあわせて「寿本舗」という)。
(二) 寿本舗の当初の資本金は一〇〇万円であったが、その後、同社は、資本金
を昭和二六年に一八〇万円、同二八年に二七〇万円、同三〇年に八〇〇万円、同四
〇年に八四〇〇万円に増資している。
(三) 寿本舗は、特約店販売網による販売方法を採用していたところ、特約店の
数は、昭和三二年は一五店舗であったものが、次第に増加して大阪、兵庫の都市を
中心に同四三年には一五〇店舗になった。
(四) 寿本舗の当初の売上げは、和菓子七五パーセント、アイスクリームを含む
洋菓子が二五パーセントであったが、その後、食生活の洋風化に伴い、洋菓子を中
心とする商品構成への転換を図り、その一環として、既存の特約店販売網を再編
し、昭和四三年四月、フランチャイズシステムを正式採用した。
(五) その結果、寿本舗の年商は、昭和四一年に約一四億五〇〇〇万円、同四二
年に約一八億六〇〇〇万円であったものが、同四四年には約二八億六〇〇〇万円と
増加し、右販売網の再編は成果を見せた。
2 お菓子のコトブキ時代
(一) 寿本舗は、昭和四六年四月、
商号を「株式会社お菓子のコトブキ」に変更した(以下「(株)お菓子のコトブ
キ」という)。
(二) (株)お菓子のコトブキは、昭和四六年には近畿地区を中心にフランチャ
イズ・チェーン店(以下「店舗」ともいう)約二〇○店を有していたが、昭和四八
年三月に東京地区、同五四年九月に中部地区、同五五年一〇月に東海地区にそれぞ
れ進出している。
(三) 京都地区へは昭和四六年に進出したが、同四七年には京都地区における店
舗数は一二店舗となり、現在では約二四店舗となっている。
(四) (株)株お菓子のコトブキは、昭和五七年度には、資本金が七億〇五六〇
万円に増資されている。
3 コンフェクショナリーコトブキ時代
(一) 控訴人は、昭和四二年一〇月二三日に、菓子、パン、冷菓等の製造、加工
及び販売、レストラン、喫茶店の経営等を目的として設立された株式会社である
が、昭和五七年八月に(株)お菓子のコトブキの営業全部を譲り受けた(その結
果、(株)お菓子のコトブキは、平成三年九月に、商号を「株式会社コトブキホー
ルディング」と変更したが、同社は何ら営業活動はしておらず、いわゆる持株会社
として機能しているにすぎない。
(二) 控訴人は、その後も順調に業績を伸ばし、平成三年には国際事業部を設立
して中国やベトナムヘも進出し、年商も平成四年度には二一五億円に達するに至っ
ている。
(三) また、現在、控訴人の店舗数は関西、関東を中心に約五三〇店舗となって
おり、販売内容としては洋菓子約八五パーセント、和菓子約一五パーセントであ
る。
二 控訴人の営業表示及びその周知性について
1 営業表示の使用状況
 証拠(甲三ないし一二、一四、一六、証人【A】)によれば、次の事実が認めら
れる。
(一) 前記認定のとおり、寿本舗、(株)お菓子のコトブキ及び控訴人は、いず
れも主に特約店あるいはフランチャイズ・チェーン店による販売活動をしてきたも
のであるが、寿本舗時代の販売店の看板等には、「寿本舗」という表示とともに
「KOTOBUKI CONFECTIONERY」または「洋菓子のコトブキ」
(「コトブキ」の文字は、別紙1と同様に太字でやや丸みを帯びた字体であり、
「洋菓子の」は、別紙1の「お菓子の」と同様に、「コトブキ」の文字に比べる
と、これといった特徴もなく文字も小さい。)あるいは「コトブキ」(字体は別紙
1と同様)等の表示が付され、また、配送用のトラックの車体の側面には、「寿本
舗」の表示の上に、「お菓子のコトブキ」(別紙1のとおり)の表示が付されてい
る。
(二) (株)お菓子のコトブキ時代になると、ピンクとオレンジと白を共通カラ
ーとする一定のモデュールの店舗が見られ、その看板には「お菓子のコトブキ」
(全体としては、別紙2のとおりであり、「コトブキ」の文字は、別紙1よりもさ
らに丸みを帯びた太字になっている。また、「お菓子の」と「コトブキ」の間に
「KO」の字をイメージしたと考えられるマークが描かれているが、このマーク
は、「お菓子のコトブキ」の文字の上、あるいはその文字とは別に表示されている
場合もある。)という表示が付されるようになった。また、当時の配送用トラック
の車体の側面には、店と同様「お菓子のコトブキ」(別紙2)の表示が付されてい
た。
(三) そして、控訴人(コンフェクショナリーコトブキ)の時代になると、
(株)お菓子のコトブキ時代のピンクとオレンジと白を共通カラーとしたモデュー
ルの店舗の他にも、店舗のスペース、立地条件及び周囲の環境等に合わせた形態の
販売店が登場するようになった(控訴人は、これらの販売店を「都市型」と「郊外
型」に分けている)。そして、これらの販売店の看板には、「CONFECTIO
NERY KOTOBUKI」(全体としては別紙3のとおりであり、「KOTO
BUKI」の文字の方が大きく描かれている。)、「コンフェクショナリーコトブ
キ」(やや丸みのある文字で、「コトブキ」の文字は大きく書かれている。)、
「コトブキ」(字体は別紙4のとおりであり、別紙1や2に比べると字も細くな
り、左に傾いた斜体となっている。その左横にケーキをイメージした一<8011
3-001>のマークが表示されている。)、あるいは「おいしさ、愛。コトブ
キ」(全体としては別紙5のとおりであるが、「コトブキ」の字体は別紙4とほほ
同じであり、「おいしさ、愛。」の部分は、「コトブキ」の表示よりも小さな字で
表示されている。また文字の左横に<80113-001>のマークが表示されて
いる。)といった表示が付されている。
(四) また、いずれの時代においても、その会社案内(フランチャイズ・チェー
ン店勧誘用のパンフレットを含む)には、控訴人を「コトブキ」、または控訴人の
フランチャイズ・チェーン店を「コトブキ(の)FC店」とする表現が頻繁に使用
されている。
(五) さらに、昭和四六年一〇月には日本経済新聞に、昭和四九年ころには雑誌
「近代経営」に、それぞれ控訴人を「コトブキ」と称した記事が掲載され、昭和四
五年から同四六年ころの菓子業界の業界紙「製菓時報」は控訴人を「コトブキ」、
または控訴人のフランチャイズ・チェーンを「コトブキ・チェーン」と称して記事
を掲載している。
2 宣伝活動等
 証拠(甲三ないし一七、証人【A】)によれば、次の事実が認められる。
(一) 控訴人は、フランチャイズシステムを採用した昭和四三年ころから、宣伝
費を多額に費やして宣伝活動を行うようになった。
 控訴人の宣伝活動の方法としては、テレビ(関西テレビ、朝日放送、毎日放送、
読売テレビ、近畿テレビ)、ラジオ(ラジオ関西、朝日放送、ラジオ大阪)、新聞
(神戸新聞、朝日新聞、京都新聞、いずれも単発出稿)、雑誌(週刊読売、主婦と
生活、ノンノン、アンアン等)、新規開店する店の周辺の市町村へのチラシ、タレ
ントによるサイン会などであった。
 昭和四三年当時、これらの宣伝に要した費用は、約三億円であり、その後も増加
の一途をたどっている。
(二) 控訴人は、フランチャイズシステムの採用及びその急速な展開により、菓
子業界の中でも注目される存在であった。特に、昭和四六年に、京都を地元とする
株式会社タカラブネとの間で、タカラブネの販売店が控訴人とフランチャイズ契約
を締結したことから訴訟となり、このことは京都新聞等により大きく報じられた。
(三) また、控訴人は、昭和四七年六月から一〇月まで、京都進出の一周年記念
としてプレゼントセールを行い、そのころ京都新聞に、当時の一二店舗の場所等も
記載したそのセールの広告を掲載した。
3 控訴人の営業表示と周知性
(一) 右の事実を前提に、控訴人の営業表示とその周知性について検討するに、
控訴人は、片仮名表記の「コトブキ」が自己の営業表示であり、右営業表示が京都
地区はもとより全国的にも周知されていると主張し、被控訴人は、「コトブキ」
は、普通名詞でありそれのみでは識別力は弱く、したがって、「お菓子の」、「コ
ンフェクショナリー」等の言葉等と結合することによって初めて識別力が生ずると
主張している。
 確かに「コトブキ」という言葉自体は、寿(ことぶき)すなわち「めでたいこ
と」などを意味する普通名詞であり、その言葉自体の識別力はさほど強いものでは
ない。
(二) しかしながら、前記1のとおり、控訴人は、長年にわたり「コトブキ」単
独の表示、または「洋菓子の」、「お菓子の」、「コンフェクショナリー」、ある
いは「おいしさ、愛。」の文字またはケーキをイメージしたマークを付けた「コト
ブキ」を営業に使用してきたところ、「コトブキ」にこれらの言葉を付して看板等
に表示する場合にも、「コトブキ」の部分を引き立たせるように表示の大きさ及び
字体が工夫されていること、これらの表示のうち「洋菓子の」、「お菓子の」、
「コンフェクショナリー」等の部分は、単に控訴人の営業内容の説明等にすぎず、
それ自体で特に識別機能を有するものではないこと、「コトブキ」以外にどのよう
な表示を使用するかは、時代の違いとともに、各店舗によっても違いがみられ、そ
の立地条件または外観等によって使い分けられていること、会社案内においても控
訴人は自己を「コトブキ」とする記述を頻繁に使用しており、新聞、雑誌等でも控
訴人は「コトブキ」と称されていることがそれぞれ認められる。
(三) さらに、前記2のとおり、控訴人は、昭和四三年ころから積極的に宣伝活
動を展開してきたことが認められるところ、右の宣伝の例として「お菓子の」を付
した「コトブキ」(「お菓子のコトブキ」の字体等は、別紙1とほぼ同じ)の表示
をテレビ、新聞、雑誌、チラシによる宣伝等にも使用していることも認められる
(甲六、一七)。
(四) そうすると、「コトブキ」の表示は、寿本舗の時代から、多少の字体等の
変動はあるものの、常に、看板等に掲げられ、あるいは宣伝活動に使用ざれてきた
営業表示の要部をなすものと認めるのが相当である。
(五) これらの事実に、前記一の京都への進出を含めた控訴人のこれまでの発展
状況を総合すると、遅くとも昭和四六、七年ころには、京都において、「コトブ
キ」を要部とする控訴人の営業表示は、菓子業界に属する営業主体としては控訴人
を示すもの、すなわち、控訴人の営業表示として、周知であったと認めることがで
きる。
 なお、前記1のとおり、控訴人は「CONRFECTIONERY KOTOB
UKI」等のローマ字表記の表示も使用していることが認められるが、これらは
「コトブキ」の営業表示と併用していると認められるから、右認定を左右するもの
ではない(甲三)。もつとも、右のようなローマ字表記や前記の付加された文字や
マークは、顧客誘因性の強いフランチャイズ・チェーンの看板などにほとんど例外
なく使用されており、その使用状況をも考慮すれば、需要者において一体として印
象づけられ記憶される側面も否定できないのであり、被控訴人の営業表示との混同
を検討するにあたっては留意されなければならない。
ちなみに、控訴人自身、「コトブキ」ブランド(甲三)と称したり、ブランドを
「コンフェクショナリーコトブキ」(甲五)と表示したりしている。
三 被控訴人の営業表示について
 被控訴人は、本店所在地において看板に「京都コトブキ」の営業表示を掲げて使
用し、その販売にかかる菓子の包装に(株式会社)「京都コトブキ」の営業表示を
使用していることが認められる(甲二、一八ないし二〇、検甲一及び二、検乙五な
いし七、一一及び一二、一七及び一八)。
四 両者の営業表示の類似性について
 そこで、「コトブキ」を要部とする控訴人の営業表示と被控訴人の営業表示であ
る(株式会社)「京都コトブキ」とを比較すると、被控訴人の営業表示のうち、
地名を表示する「京都」の部分は、右営業表示が使用された結果広く認識されるに
至った等の特別の事情がない限り、「コトブキ」という部分に比して注意を引くこ
とは少ないといえるところ、そのような特別の事情は認められない(商号のうち、
「株式会社」は、単に会社の種類を表すのみである)。そうすると、「京都コトブ
キ」の要部は「コトブキ」であり、これは控訴人の営業表示の要部と同一である。
 したがって、両表示を現実の使用状況と離れて、それ自体において比較する限
り、両者は、全体としてみても、外観、称呼のいずれの点からも類似性を有すると
認めることができる。
〔引用部分終了〕
三 「混同のおそれ」の有無について
1(一) 不正競争防止法二条一項一号にいう「混同を生じさせる行為」には、他
人の周知の営業表示と同一又は類似の表示を使用する者が、自己と右他人とを同一
営業主体と誤信させる行為のみならず、両者間にいわゆる親会社、子会社の関係や
系列関係などの緊密な営業上の関係が存するものと誤信させる行為(いわゆる広義
の混同)をも包含し、かつ、右他人の周知の営業表示と同一又は類似の表示を使用
する者と右他人との間に競争関係があることは必ずしも必要ではなく(最高裁判所
昭和五八年一〇月七日第二小法廷判決・民集三七巻八号一〇八二頁、最高裁判所昭
和五九年五月二九日第三小法廷判決、民集三八巻七号九二〇頁各参照)、また、商
品の販売形態が異なるとしてもそのことによって当然に出所を混同誤認するおそれ
がない、とはいえないと解すべきである。
(二) しかるところ、控訴人と被控訴人の各商品及びそれらの販売場所、販売形
態など販売活動の状況についてみるに、原判決二九頁七行目から三三頁四行目まで
に記載されているとおりの事実が認められる。
〔付加、訂正、削除の上、引用された原審判決部分〕
1 控訴人商品の販売形態等
 控訴人の商品構成、販売形態は、先にもみてきたところであるが、さらに、証拠
(甲三、五、六、三二の1、2、三三の1ないし5、検甲五・七の各1ないし4、
八の1ないし6、一〇ないし一三、一四・一五の各1、2、一八の1ないし16、
一九の1ないし24証人【A】)によれば、以下の事実も認められる。
(一) 控訴人は、そのフランチャイズ・チェーンの勧誘パンフレット(甲六)に
も記載されているように、一流菓子店としての個性と特色を強く打ち出し、スーパ
ーでは買えない独自の魅力を持った商品の開発を目指しており、高級化志向に対応
して、「味」のファッション化を志向するなど、販売商品の大半を占めるショート
ケーキやデコレーションケーキなどの洋菓子を中心に、お菓子の味と品質の高さを
売り物にし、その商品の箱や包装などにも高級感のあるものを使用している(甲
五)。
 右のほか、控訴人は、和菓子(「花野点」、和三盆糖入り「ようかん」など)も
販売してしる(甲二三、検甲一八の1ないし16、一九の1ないし24)。
(二) 控訴人は、昭和四三年にフランチャイズシステムを採用して以来、フラン
チャイズ・チェーン店の拡大に取り組み、それによって業績を拡大してきたもので
あり、主としてフランチャイズ・チェーン店で商品の販売を行ってしるほか、イズ
ミヤ、ジャスコ、ライフ、ダイエー、イトーヨーカ堂、サティ、コープなどのスー
パマーケット内の店やドライブイン(洲本市<以下略>所在)においても販売して
おり、ホテル内でも販売してしる。
(三) とりわけ控訴人のフランチャイズ・チェーン店について言えば、前記のよ
うな商品志向に合わせ、主婦や若い女性の顧客層に向けて、しゃれたセンスで定評
のある洋菓子専門店といったイメージを目指し、店内は白を基調とした洗練された
統一的なデザインの下に、スペース、立地条件、周囲の環境に応じて、都市型、郊
外型などに分け、専門家がより意匠をこらしたハイグレードな店舗デザインをし、
ショッピングセンター内の店舗についても、コンパクトで効率のよい設計をするこ
とを方針としている(甲三、五)。
(四) これらの店においては、「コンフェクショナリーコトブキ」、「CONF
ECTIONERY KOTOBUKI」(別紙3)、「コトブキ」(別紙4)と
いった表示が掲げられ、控訴人の店であることが一目で分かるようになっている
(甲三、五、六)
2 被控訴人商品及びその販売形態等
 証拠(甲一八ないし二〇、検乙一ないし二九、証人【C】)によれば、以下のよ
うな状況が認められる。
(一) 被控訴人の商品は、観光土産菓子であり、饅頭等の和菓子が中心である。
そして、商品の入った箱もその商品に合わせた模様や観光地をあしらった図柄模様
の包装紙で包まれ、その表に観光地名を使った「京都の名菓 栗づくし」「京都名
菓抹茶の詩」「名菓 京都 もみじ饅頭」といった商品名が表示されている。
(二) 被控訴人は、主にホテルの売店、観光地の土産物店、JR駅構内のキヨス
クなどにおいて、販売活動を行っており、直営店での販売はされていない。そし
て、それらの販売店において、被控訴人の商品は、特別に被控訴人の販売コーナー
などを設けることなく、他社の土産品等と共に陳列台に積み上げて並べられ、一番
上にガラス見本を乗せて、商品がどういう内容の菓子であるかが分かるようにし、
店によっては試食ができるようにしている。
(三) 被控訴人商品には、包装された箱の裏面または側面の責任票に一文字の大
きさが約三ミリないし四ミリ四方で(株式会社)「京都コトブキ」と記載されてい
る以外には、陳列コーナーにも商品にも被控訴人の商品表示はされていない。
(※)
(四) したがって、観光客が大半を占めるといえる顧客は、商品名を見て、また
は、ガラス見本を見て、あるいは試食をして、商品を選択することが多いと推定さ
れる。
〔引用部分終了〕
2 右認定のとおり控訴人の営業内容は洋菓子の販売を中心とするものであって、
かつ、特約店あるいはフランチャイズ・チェーン店による販売活動を展開している
ところ、「コトブキ」の周知性とも相俟って、その営業表示は洋菓子と強く結び付
いて一般消費者や需要者に認識されているものと認められる。しかしながら、他
方、右のとおりであるとしても、控訴人の商品といえば、洋菓子に限られ、和菓子
は控訴人のものではないとの認識が一般消費者や需要者の間に深く、広く浸透して
いるということを認めさせるに足りる証拠もない。
 そして、洋菓子も和菓子もともに同じ菓子類であって密接に関連する品目である
から、単に洋風か和風か、あるいは高級洋菓子か観光土産用の菓子かの差異で、両
者の出所が混同されるおそれがないとも言い難い。また、これらの商品を購入する
顧客についていうと、スーパーマーケットやフランチャイズ・チェーン店で購入す
る顧客と駅構内のキヨスクやホテルの売店で購入する顧客士の間に、顧客層の差異
と言える程の顕著な違いがあるとは解されず、購入の動機が多分に機会的なものに
過ぎないという差異があるにとどまる(高級洋菓子店の顧客も、もとより旅行客の
立場になり得るものであって、その日常の商品志向が固定していて土産物店で観光
土産を購入する際にも右商品志向に左右されおよそ土産用として販売されている和
菓子を購入する余地がないとは断定することができない。)と解するのが相当であ
る。
3 そもそも不正競争防止法二条一項一号にいう「混同を生じさせる行為」とは、
一般世人をして誤認する危険を生ぜしめることをいい、現実に誤認の事態が発生し
たことを必要としないと解すべきであるが、原審証人【A】の、現実の混同事例が
存在した旨の証言(JR構内で販売されている被控訴人の商品を購入した知人が、
被控訴人の商品の包装に貼付されている被控訴人の営業表示を見て、当該商品を控
訴人の商品だと思い、控訴人はJR構内でも右商品を販売しているのかどうかにつ
いて問い合わせてきた旨の証言)も、消費者調査に関する調査報告書(甲二七)の
内容(駅の売店で「京都コトブキ」製造の和菓子を売っているとき、その「京都コ
トブキ」という会社は「コトブキ」の子会社、あるいは、関連会社かもしれないと
思うかという問いに対して、〈思うと回答したものが、二五九名中一七八名で、六
八・七%を占めた旨の調査結果。)と照らして考えてみると、首肯し得ないではな
いというべきである。
4 被控訴人は「本店所在地において看板表示「京都コトブキ」を使用している
が、同所には倉庫(検甲一、二)があり、被控訴人の事務所はこの倉庫の中にあ
る。被控訴人は店舗を回って注文を聞き、あるいは電話で注文を取り、倉庫のなか
に在庫のないものについては米子の本杜のほうに注文して、被控訴人の倉庫に一括
して納入してもらい、被控訴人のほうで各店舗へ配送する。したがって、一般消費
者はもちろん取引業者は被控訴人の事務所へ立ち寄ることはない。ワゴン車は被控
訴人の倉庫から取引先店舗へ被控訴人の商品を運搬する際に使用されているもので
あって、「京都コトブキ」なる営業表示が一般消費者の目に触れることはない。ま
た、被控訴人販売に係る菓子の包装された箱の裏面又は側面の責任票(検乙一二、
二四)に一文字の大きさが約三ないし四ミリメートル四方で「株式会杜京都コトブ
キ」なる表示が付されているが、その使用形態からすると、右営業表示もほとんど
一般需要者の目にもとまることがないので、被控訴人販売に係る商品に接する取引
者及び一般需要者において被控訴人と控訴人を同一営業主体又は両者の間に親会
社、子会杜の関係若しくは関連会社などの関係が存するものと誤認・混同するおそ
れはない。」と主張する。
 しかしながら、本店所在地に看板として「京都コトブキ」なる営業表示を掲げた
り、営業車にこれを表示している以上、その営業表示は被控訴人と取引する専門業
者のみなちず、潜在的な最終需要者の目に触れる機会があり、これが需要者の目に
触れた場合、営業表示の混同誤認が生ずるおそれがあるというべきであるし、ま
た、当該商品が人によって食されるものであることから、平均的な一般消費者や需
要者を基準として考えてみた場合においても、店頭に置かれた商品を購入する際、
責任票に記載された賞味期限ないし品質保持期限を確認の上購入するということも
十分考えられるのであって、購入後商品の出所が他に告げられたり贈答に供される
ということもあり得ることである。なお、責任票が食品衛生の観点から行政取締法
規上その貼付が義務付けられているとはいえ、当該食品を販売する業者としての責
任の帰属主体を明らかにすることによって間接的に購入意思決定の一要因にもなり
得るものであるから、責任票の法的性格やそこに記載された営業主体を示す文字が
小さいということのみをもって平均的な一般消費者や需要者による混同のおそれを
否定する理由にはならないというべきである。
5 結局、被控訴人がその営業表示である「京都コトブキ」を使用する行為は、あ
たかも控訴人と業務上、組織上関連するものとの認識を一般消費者や需要者に生じ
させ、営業主体の混同誤認を惹起するおそれがあると解するのが正当である。
 さらに、不正競争防止法二条一項一号にいう混同の事実が認められる場合には特
段の事情がない限り営業上の利益を害されるおそれがあるものというべきである
(最高裁判所昭和五六年一〇月一三日第三小法廷判決・民集三五巻七号一一二九
頁)ところ、本件において右特段の事情の存在を認めるに足りる証拠はない。
四 先使用の抗弁
 控訴人の営業表示(「コトブキ」)は、前認定のとおり、遅くとも昭和四六、七
年ころには京都市及び同府下において周知であったと認めることができるところ、
被控訴人は平成二年四月二日に壽製菓株式会社の子会社として設立されたものであ
り、その営業表示である「京都コトブキ」は被控訴人の親会社が使用していた「壽
製菓株式会杜」ないし「壽製菓」との間に営業表示としての同一性ないし類似性が
あるとは認め難いから、被控訴人の抗弁は既にこの点において理由がないというべ
きである。
五 以上の次第であるから、控訴人の請求は理由があり、これと結論を異にする原
判決は失当である。
 よって、原判決を取り消し、訴訟費用の負担につき民訴法六七条二項、六一条を
適用し、仮執行宣言は付さないこととし、主文のとおり判決する。

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激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
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