弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人大橋茂行の上告理由は別紙記載のとおりである。
 上告理由第一点について。
 論旨は、本件土地の前所有者Aは昭和三三年四月二四日上告人に対し、本件土地
の所有権に基づき建物収去土地明渡の訴を提起し、同三六年五月一二日勝訴の判決
を受け上告人からの控訴中同三七年五月一二日右訴を取下げたものであるから、民
訴法二三七条二項の規定により、当事者およびその承継人は同一の訴を提起するこ
とができないところ、本件訴は、右Aから右土地の贈与を受け、その所有権を承継
した被上告人がその所有権に基づいて上告人に対して、前訴と同一内容の建物収去
土地明渡を求めるものであるから、前記民訴法二三七条二項に違反し許されないと
いうのである。
 <要旨>民訴法二三七条二項は「本案ニ付終局判決アリタル後訴ヲ取下ケタル者ハ
同一ノ訴ヲ提起スルコトヲ得ス」と規定し、その趣旨とするところは、本案
につき終局判決があつた後に任意に訴を取下げることによつてひとたび判決を失効
させた当事者には、判決に至るまでに払われた裁判所の努力が当事者の行為によつ
て一方的に無意義に帰せしめられたことにかんがみ、国家は同一内容の紛争の解決
について再度協力の手をさしのべないという制裁的効果を付したものと解せられる
から、ここに「訴ヲ取下ケタル者」とは当事者およびその承継人のうち前記法条の
趣旨とする制裁的効果を当事者と同程度に受けるべき実質的理由あるものに限らる
べきものと解するを相当とする。けだしこの再訴禁止の制裁的機能は、既判力とは
自らその趣を異にし、前記の目的達成に必要の限度で適用せらるべきものであつ
て、不当に拡張せらるべきものでないからである。例えば相続人のごとき一般承継
人の場合は一般承継の本質から再訴禁止の制裁的効果を当事者と同程度に受けるべ
き実質的理由あるものと解すべきであるが、例えば訴訟の目的の譲渡をうけた譲受
人のごとき特定承継人のごときはむしろ原則として再訴禁止の制裁的効果を当事者
と同程度に受けるべき実質的理由に乏しいものと解することができる。もつとも特
定承継人が当事者と共謀して前訴を取下げたとか少くとも当事者の前訴の取下を知
りながらこれを認容していたとかの場合は前記法条の趣旨からして再訴禁止の制裁
的効果を当事者と同程度に受けるべき実質的理由を有するものというべきであるか
ら、かかる場合は特定承継人であつても前記法条の「訴ヲ取下ケタル者」に該当す
ると解すべきである。
 これを本件についてみるに、原審が確定した事実によれば、前記Aは本件土地に
関し贈与契約に基づいて被上告人のため所有権移転登記が経由された結果もはや訴
訟を継続していく必要がなくなつたと考え、被上告人にも、それまでその親権者で
あり訴訟遂行上の相談相手であつたBにも相談せず、独断で右訴を取下げたことが
認められるというのであるから、被上告人はAの特定承継人であつても、右Aの前
訴の取下についてはこれと共謀するとか、知りながらこれを認容していたとかの事
実があつたとはいえないのである。されば被上告人の本件訴えは民訴法二三七条二
項所定の再訴禁止の規定に牴触するものとはいえない。
 それゆえ原判決に所論の違法はなく、論旨は理由がない。
 (その余の判決理由は省略する。)
 (裁判長裁判官 小川善吉 裁判官 岡松行雄 裁判官 中平健吉)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛