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平成26年6月11日判決言渡
平成26年(行コ)第69号道路附属物損傷に伴う費用負担命令取消請求控訴事件
主文
1本件控訴を棄却する。
2控訴費用は,控訴人の負担とする。
事実及び理由
(前注)略称は,原判決の例による。
第1控訴の趣旨
1原判決を取り消す。
2東北地方整備局長が道路法58条1項に基づいて平成21年3月27日付け
で控訴人に対してした費用負担命令(本件費用負担命令1)を取り消す。
3東北地方整備局長が道路法58条1項に基づいて平成21年9月30日付け
で控訴人に対してした費用負担命令(本件費用負担命令2)を取り消す。
第2事案の概要
本件は,一般国道6号の歩道橋損傷事故について,東北地方整備局長が,事故を
起こした貨物自動車運転者(A)の使用者である控訴人に対してした道路法58条
1項に基づく本件各費用負担命令について,控訴人がその取消しを求める事案であ
る。原審は,控訴人の請求を棄却した。これに対し,控訴人が控訴した。
前提事実及び争点とこれに対する当事者の主張は,原判決の事実及び理由の第2
の1から4までに記載のとおりであるから,これを引用する。
第3当裁判所の判断
1当裁判所は,控訴人の請求は理由がないものと判断する。その理由は,以下
のとおり付加訂正するほかは,原判決の事実及び理由の第3に記載のとおりである
から,これを引用する。
2原判決29頁19行目の末尾に「道路は不特定多数の公衆の利用に供される
重要な公共用物であって,道路が毀損された場合には,修理その他の機能回復の迅
速な実現が必要であり,修理その他の機能回復に必要な費用の額が控訴人の主張に
係る道路の現存価値の額を上回る場合であっても,機能回復に必要な費用を速やか
に支出して道路の機能回復を実現することが,公共の福祉の観点からは強く求めら
れる。そうすると,機能回復費用額が道路の現存価値額を上回る場合であっても,
速やかに,機能回復費用額を確保した上でこれを支出し,道路の機能回復を速やか
に実現する必要がある。他方,道路の管理に要する費用支出のうち事前に道路管理
者に予期できないもの(他の行為により必要を生じた道路工事の費用など)は,国
や地方公共団体においてあらかじめ適正額を予算化しておくことが容易でなく,原
因者に対する工事施工命令(道路法22条)又は費用負担命令(同法58条)の制
度がないと仮定した場合には,競合する様々な道路管理工事の優先劣後の調整をし
ながら予算の確保と執行をしなければならず,道路の機能回復の実現が遅延して,
公共の利益に反する事態が生じることになる。以上によれば,機能回復費用額が道
路の現存価値額を上回る場合であっても,原因者には機能回復費用額を負担させて
速やかな道路の機能回復の実現をすることには合理性があるというべきである。」
を加える。
3原判決35頁14行目から同18行目までを「(2)控訴人は,前記認定事実
と異なる事実を主張し,被控訴人提出に係る乙号証の信用性を論難する。しかしな
がら,控訴人による乙号証の論難は推測の域を出ないものが多く,前記認定事実を
くつがえすに足りるものではない。また,控訴人提出の証拠(甲7ないし9)も前
記認定事実を左右するに足りず,他に前記認定事実をくつがえすに足りる証拠はな
い。」に改める。
4よって,原判決は正当であって,本件控訴は理由がないからこれを棄却する
こととして,主文のとおり判決する。
東京高等裁判所第20民事部
裁判長裁判官坂井満
裁判官野山宏
裁判官内田博久

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