弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人A同B両名弁護人坂本泰良の上告趣意は末尾添付の書面記載の如くであつ
て、これに対する判断は次のとおりである。
 第一点について。
 共同者の或る者が暴行脅迫をもつて財物を奪取することゝし、他の者がその間屋
外で見張りをすることを相談した上そのとおり実行した場合には、共同者は互に他
人の行為を利用して犯罪の実行を遂げたものであるから、いずれも刑法第六〇条の
共同正犯に当るものと言うべきである。本件について原審は被告人BがC等と共謀
の上D方で被告人B等は屋外で見張りをなし、C等は屋内でDの長女E等を脅迫し
て金品を強奪しようとしたが家人に騒がれてその目的を遂げなかつた事実を認定し
た上前法第二四三条第二三六条第一項第六〇条を適用したのであるから、前段説示
の理由によつて原判決には所論のような擬律齟齬の違法はなく論旨は理由がない。
 第二点について。
 適法に証拠調を経た数個の証拠を取捨選択して事実を認定することは事実審たる
裁判所の自由裁量に委ねられているところであるから、原審が所論の証拠中原審の
公判廷における被告人等の供述並びに押収物件の存在によつて原判示事実を認定し
たとしても証拠の判断を遺脱したものでもなく採証の法則を誤つたものでもない。
されば、論旨は理由がない。
 よつて刑事訴訟法第四四六条に従い主文のとおり判決する。
 以上は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 岡本梅次郎関与
  昭和二三年一〇月一九日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介

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