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平成一二年(ワ)第一三七五三号 実用新案権侵害差止等請求事件
口頭弁論終結の日 平成一二年一〇月二〇日
判      決
       原告 【A】
    右訴訟代理人弁護士  櫛田泰彦
    右補佐人弁理士大塚明博
同           小林 保
       被告 株式会社プロトコーポレーション
     右代表者代表取締役 【B】
     右訴訟代理人弁護士 辻巻健太
     同         辻巻 真
      同         辻巻淑子
        主      文
  一原告の請求をいずれも棄却する。
  二 訴訟費用は、原告の負担とする。
 事実及び理由
第一 請求
 一 被告は、別紙物件目録記載の中古車価格ガイド誌を製作、発行、頒布しては
ならない。
 二 被告は、別紙物件目録記載の中古車価格ガイド誌及びその半製品並びにこれ
に関する印刷用紙型、亜鉛板、フィルム、版下などの印刷用の原版を廃棄せよ。
 三 被告は、原告に対し、金一二〇〇万円及びこれに対する平成一二年七月一五
日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二 事案の概要及び本件の争点
一 争いのない事実
1(一) 株式会社日本自動車情報サービス(以下「日本自動車情報サービス」
という。)は、中古車価格ガイド誌「NAIS」(以下「NAIS」という。)
を、月刊誌として毎月一日付けで発行している。
   原告は、日本自動車情報サービスの代表者である。
 (二) 被告は、「ブルーブック」という名称の中古車基準価格ガイド誌(以
下「ブルーブック」という。)を発行している。
2(一) 原告は、次の実用新案権(以下「本件実用新案権」といい、その考案を
「本件考案」という。)を有している。
    (1) 考 案 の 名 称  中古車価額表
    (2) 出願年月日  昭和六一年四月二八日
    (3) 出願公告年月日  平成五年一二月九日
    (4) 登録年月日  平成六年一〇月六日
    (5) 登録番号  第二〇三四二〇八号
    (6) 実用新案登録請求の範囲
     「縦方向或は横方向のいずれか一方向に車種を表示する車種表示欄を設
け、他方向には新車当時の新車価額を表示する新車価額表示部と、ボディーカラー
を表示するカラー表示欄を設け、上記車種表示欄に表示する各々の車種項の延長線
と、新車価額表示部及びカラー表示欄に表示する各々のカラー項の延長線の交点
に、車種項に示される自動車の新車当時の新車価額と、カラー項に表示するカラー
をもつ車種項に表示される自動車の中古価額をそれぞれ表示する価額表示部を設
け、更に、車種項の一部として中古価額を左右するボディーカラー以外の要因を表
示するその他の要因表示部を設け、その他の要因表示部に表示された要因によって
前記価額表示部に表示された価額に対する加減額を表示する加減額表示部を上記価
額表示部に対応して設けてなる中古車価額表。」
   (二) 本件考案の構成要件を分説すると次のとおりである。
    A 縦方向或いは横方向のいずれか一方向に車種を表示する車種表示欄を
設け、
    B 他方向には新車当時の新車価額を表示する新車価額表示部と、ボディ
ーカラーを表示するカラー表示欄を設け、
    C 上記車種表示欄に表示する各々の車種項の延長線と、新車価額表示部
及びカラー表示欄に表示する各々のカラー項の延長線の交点に、車種項に示される
自動車の新車当時の新車価額と、カラー項に表示するカラーをもつ車種項に表示さ
れる自動車の中古価額をそれぞれ表示する価額表示部を設け、
    D 更に、車種項の一部として中古価額を左右するボディーカラー以外の
要因を表示するその他の要因表示部を設け、その他の要因表示部に表示された要因
によって前記価額表示部に表示された価額に対する加減額を表示する加減額表示部
を上記価額表示部に対応して設けてなる
    E 中古車価額表。
 二 本件は、原告が被告に対し、本件実用新案権及びNAISに係る著作権(編
集著作権)に基づいて、被告が発行しているブルーブックの製作等の差止め及び損
害賠償を求める事案である。
 三 本件の争点
  1 ブルーブックに掲載されている中古車価額表(以下「被告価額表」とい
う。)は、本件考案の技術的範囲に含まれるか
  2 被告価額表の製作、発行、頒布は、原告のNAISに係る著作権を侵害す
るか
  3 原告が被った損害の額
第三 争点に関する当事者の主張
 一 争点1について
 (原告の主張)
  1(一) 被告価額表の構成は、別紙物件目録記載のとおりである。
   (二) 被告価額表と本件考案とを比較すると、以下のとおりであるから、被
告価額表は、本件考案の構成要件をすべて充足している。
    (1) 被告価額表の、「年式、型式、グレード、シフト、タイプ、排気、新
車価格、最多流通、第2流通、第3流通の順でなされている項目表示の下方に、年
度毎に括られて、この括りの中で型式、グレード、シフト、タイプ、排気量を表示
して特定した車種が車種別に縦方向に配列表示されている」という構成は、本件考
案の構成要件Aと一致する。
    (2) 被告価額表の、「上部に表示されている新車価格、最多流通、第2流
通、第3流通」の項目は、本件考案の構成要件Bと一致する。
    (3) 被告価額表の、「各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示されて
いる新車価格の項目の縦方向の延長線との交点に、当該車種表示されている自動車
の新車当時の価額が表示されており、各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示
されている最多流通の項目の縦方向の延長線との交点に、特定の同一カラーと、こ
のカラーをもつ当該車種表示されている自動車の中古価額がそれぞれ表示され、同
様に各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示されている第2流通の項目の縦方
向の延長線との交点に、前記カラーと異なる特定の同一カラーと、このカラーをも
つ当該車種表示されている自動車の中古価額がそれぞれ表示され、同様に各車種表
示の横方向の延長線と、上部に表示されている第3流通の項目の縦方向の延長線と
の交点に、前記カラーと異なる特定の同一カラーと、このカラーをもつ当該車種表
示されている自動車の中古価額がそれぞれ表示されている」という構成は、本件考
案の構成要件Cと一致する。
 なお、ブルーブックの「用語説明」の箇所には、「最多流通」は、該
当車種中、最も流通量が多い車両のボディーカラーと基準価額を表示し、「第2流
通」は、該当車種中、二番目に流通量が多い車両のボディーカラーと基準価額を表
示し、「第3流通」は、該当車種中、三番目に流通量が多い車両のボディーカラー
と基準価額を表示しているとされている。右各欄には具体的なカラー表示はないも
のの、いずれも特定のカラーを指定するものである。その特定されるカラーは、右
各欄の下方に、縦方向に並んで表示されている同一カラーにより認識できる。した
がって、「最多流通」、「第2流通」、「第3流通」はそれらの下方に縦方向に並
んで表示されている同一カラーによりカラーが特定されるものであるから、本件考
案の「カラー表示欄」及び「カラー項」と実質的に同一であって、右のとおり本件
考案の構成要件Cを充足し、本件考案と同様の作用効果を奏する。
    (4) 被告価額表の、「年度毎に括られた括りの中で、上部に、標準、走
行、車検残、OP加算、SR、シフト等の文字と、距離、月、加減算額を表す数字
が表示されている」という構成は、本件考案の構成要件Dと実質的に同一である。
    (5) 被告価額表は、本件考案の構成要件Eと一致する。
  2 均等について
    本件考案における「その他の要因表示部及び加減額表示部」と、被告価額
表における「その他の要因表示部及び加減額表示部」は、わずかな差異が存在する
が、以下のとおり、均等の範囲に含まれるというべきである。
   (一) 異なる部分が本件考案の本質的部分でないこと
    (1) 本件考案の本質的部分は、中古車の価額をボディーカラーにより細分
化して表示し、更にボディーカラー以外の要因により前記価額を加減する加減額を
表示したところにある。
    (2) 被告価額表の構成をみると、中古車の価額をボディーカラーにより細
分化して表示し、更にボディーカラー以外の要因により前記価額を加減する加減額
を表示した点で、本件実用新案の本質的な部分と一致している。
    (3) 前記「その他の要因表示部及び加減額表示部」の表示方法の差異の部
分は本件考案の本質的な部分ではない。
   (二) 異なる部分を対象製品、すなわち、被告価額表におけるものと置き換
えても、本件考案の目的を達成することができ、同一の作用効果を奏すること
    (1) 本件考案の目的は、中古車の価額をボディーカラーにより細分化して
表示し、更に、ボディーカラー以外の要因により前記価額を加減する加減額を表示
することによって、中古車価額の基準となる価額の適正化を図ることにある。ま
た、その作用効果は、ボディーカラー毎の各々の中古価額を認識でき、この価額に
その他の要因により表示された額を加減することにより、中古車の適正な価額を認
識できることである。
    (2) 本件考案の「その他の要因表示部及び加減額表示部」を被告価額表に
おける「その他の要因表示部及び加減額表示部」と置き換えても、本件実用新案の
目的を達成することができ、同一の作用効果を奏する。
   (三) 置換容易性について
     本件考案と同一の目的を達成し、同一の作用効果を奏させるために、本
件考案の「その他の要因表示部及び加減額表示部」を、被告価額表における「その
他の要因表示部及び加減額表示部」に置き換えることに何ら困難性は認められない
から、この置き換えは容易に想到できたものである。
   (四) 被告価額表は、本件実用新案の出願時における公知技術と同一又は当
業者が容易に推考できたものではなく、被告価額表が本件実用新案の出願手続にお
いて、実用新案登録請求の範囲から意識的に除外されたものであるなどの特段の事
情もない。
  (被告の主張)
  1 原告が被告価額表について主張する別紙物件目録は、不正確である。すな
わち、原告は、別紙物件目録において、「年度毎に括られた括りの中で」という限
定を付した上で、「特定の同一カラーと、このカラーをもつ当該車種表示されてい
る自動車の中古車価額が」縦に並べて表示されているとしているが、被告価額表で
は、年度毎に括られた括りの中でも縦方向の同一列に異なったカラーが混在してい
る。
  2 本件考案の構成要件と被告価額表の構成には、以下の相違点があるから、
被告価額表は、本件考案の技術的範囲に属さない。
(一) 被告価額表にはカラーを表示するカラー表示欄又はカラー項がない。
(二) 被告価額表は、車種表示欄の車種項の延長線とカラー表示欄のカラー項
の延長線の交点に中古車価額を表示する価額表示部を設けていない。
(三) 被告価額表では、中古車価額を左右するボディーカラー以外の要因を表
示するその他の要因表示部と加減額表示部を別々に設けるのではなく、両者を一体
として表示している。また、その他の要因表示部を車種項の一部として設けている
わけではなく、加減額表示部を価額表示に対応して設けているわけでもない。
  3 均等について
    原告の均等の主張は争う。 
二争点2について
  (原告の主張)
  1(一) NAISの中古車価額表(以下「原告価額表」という。)は、別紙原
告書籍目録記載のとおりである。
(二) 原告は、NAISの著作権者である。
2(一) これまで中古車価額を設定するに当たり重要な基盤となるボディーカ
ラーを表示した中古車価額表はなかったところ、原告価額表は、中古車価額をボデ
ィーカラーにより細分化して表示し、更にボディーカラー以外の要因によって前記
価額を加減する加減額を表示することによって、中古車の基準となる価額の適正化
を図るようにしたものであって、このような点において、原告価額表には独創性が
あるから、編集著作物として保護されるということができる。
   (二) 被告価額表は、原告価額表に依拠して、右の独創的な部分をそのまま
用いている。
 本件における編集著作物の素材は、単に中古車の業者間取引価額ではな
く、具体的な年式、型式、グレード、シフト、タイプ、排気量等によって特定され
た車種が素材の中心を占めているというべきであるところ、原告価額表と被告価額
表では、この素材は一致している。また、被告価額表における中古車の価額は、原
告価額表とは正確に一致していないが、近似しており、実質的に一致している。
(三) したがって、被告が被告価額表を製作、発行、頒布する行為は、原告
のNAISに係る著作権(編集著作権)を侵害したものというべきである。
  (被告の主張)
 1(一) ブルーブックとNAISには素材である中古車価額情報の共通性がな
い。すなわち、両者は、いずれも中古車の業者間取引価額という素材を一定の方針
に従って編集したものであるが、それぞれに掲載されている中古車価額は、同一年
式の同一車種であっても、異なっている。また、掲載されているボディーカラーも
異なっていることが少なくない。
    したがって、ブルーブックを製作、発行、頒布する行為は、原告のNA
ISに係る著作権(編集著作権)を侵害しているとはいえない。
   (二) ブルーブックとNAISの中古車価額表のフォーマットは異なってい
る。すなわち、両者は、いずれも業者向けの中古車価額表という共通の機能に由来
する一定の類似性はあるが、著作権の観点から重要な価額表のデザイン、外観、表
記方法などは全く異なっている。
 2 被告がブルーブックを作成するについては、NAISに全く依拠していな
い。
三 争点3について
(原告の主張)
1 逸失利益一〇〇〇万円
    被告は、平成一一年一〇月以降、ブルーブックを月刊誌として製作発行
し、一冊三〇〇〇円(年間購読料三万円)で、現在まで、少なくとも二万冊販売し
ており、一冊当たりの利益は少なくとも五〇〇円と考えられるから、合計で少なく
とも一〇〇〇万円の利益を得ている。
  2 弁護士費用及び補佐人費用   各一〇〇万円
  (被告の主張)
   原告の主張はすべて争う。
第四 当裁判所の判断
 一 争点1について
  1 まず、本件考案の構成要件B及びCにおける「カラー表示欄」及び「カラ
ー項」が、被告価額表に存在するかどうかという点について検討する。
   (一) 証拠(甲三の一ないし九、甲四の一ないし一〇、検甲一、二)及び弁
論の全趣旨によると、以下の事実が認められる。
    (1) 被告価額表には、特定の車種毎に、年式、型式、グレード、シフト、
タイプ、排気、新車価格、最多流通、第二流通、第三流通等の項目が存在するが、
自動車のボディーカラーを明示した項目は存在しない。
    (2) 右各項目の用語説明欄中には、「最多流通」とは、「該当車種中、最
も流通量が多い車両のボディーカラーと基準価額を表示」するもの、「第2流通」
とは、「該当車種中、2番目に流通量が多い車両のボディーカラーと基準価額を表
示」するもの、「第3流通」とは、「該当車種中、3番目に流通量が多い車両のボ
ディーカラーと基準価額を表示」するものであるとそれぞれ記載されている。
    (3) 被告価額表内には、同一車種について年式によって括られた括りの中
においても、縦方向の同一列に異なったカラーが混在している。
   (二) 右認定の事実に照らすと、別紙物件目録の記載のうち、各車種表示の
横方向の延長線と、上部に表示されている最多流通の項目の縦方向の延長線との交
点に、「特定の同一カラー」が表示されている点、各車種表示の横方向の延長線
と、上部に表示されている第二流通の項目の縦方向の延長線との交点に、前記カラ
ーと異なる「特定の同一カラー」が表示されている点及び各車種表示の横方向の延
長線と、上部に表示されている第三流通の項目の縦方向の延長線との交点に、前記
カラーと異なる「特定の同一カラー」が表示されている点は、認められない。
(三) 原告は、被告価額表中の「最多流通」、「第2流通」、「第3流通」
の各欄は、具体的なカラー表示はないが、いずれも各欄の下方に縦方向に並んで表
示されている同一カラーにより認識できるから、本件考案の構成要件B及びCにい
う「カラー表示欄」及び「カラー項」に該当する旨主張する。
 しかし、右認定のとおり、「最多流通」、「第2流通」、「第3流通」
の各欄の下方に縦方向に並んで表示されているのは、特定の同一カラーではなく、
同一列に異なったカラーが混在しているのであって、右(一)認定に係る当該項目の
名称、用語説明をも併せ考えると、右各流通欄は、あくまでも特定車種の流通量の
多寡を区分するために設けられていると認められるから、右各流通欄が本件考案の
構成要件B及びCの「カラー表示欄」及び「カラー項」に該当すると認めることは
できず、被告価額表中のその他の欄が構成要件B及びCの「カラー表示欄」及び
「カラー項」に該当するとは認められない。したがって、被告価額表には、本件考
案の構成要件B及びCの「カラー表示欄」及び「カラー項」が存在しない。
  2 なお、念のため、被告価額表が、本件考案の均等の範囲に含まれるかどう
かについて検討するに、前記争いのない事実に証拠(甲二)を総合すると、(1)本件
考案の目的は、中古車の価額をボディーカラーにより細分化して表示し、更にボデ
ィーカラー以外の要因により前記価額を加減する加減額を表示することによって、
中古車の基準となる価額のより適正化を図ることにあること、(2)本件考案の作用効
果は、車種表示欄の特定の車種項に表示された自動車の新車当時の新車価額を新車
価額表示部により認識でき、そして、車種表示欄に表示された特定の車種項を、カ
ラー表示欄に表示されたカラー項方向に示される自動車のカラー毎の各々の中古価
額を認識できると共に、その他の要因表示部に表示された要因の有無を確認し、前
記価額に対し、加減額表示部に表示された額を加減することにより、中古車の適正
な価額を認識できるということにあること、以上の事実が認められる。
    右事実に本件考案の実用新案登録請求の範囲の記載と弁論の全趣旨を総合
すると、本件考案の本質は、車種表示欄とボディーカラーを表示するカラー表示欄
を設け、車種表示欄の車種項とカラー表示欄のカラー項の交点にそのカラーを持つ
自動車の中古車価額を表示すると共に、カラー以外の要因による加減額を表示する
ようにした点にあると解するのが相当である。
 前記のとおり、被告価額表における「最多流通」、「第2流通」、「第3
流通」の各項目は、車両の流通量の順序を表すものであり、右各項目は、ボディー
カラーを表示する「カラー表示欄」及び「カラー項」とはいえない。
    以上によると、本件考案と被告価額表は、その本質的な部分が異っている
から、被告価額表が、本件考案の均等の範囲に含まれるとはいえない。
 二 争点2について
  1 前記一で述べたところに前記争いのない事実並びに証拠(甲三の一ないし
九、甲四の一ないし一〇、検甲一、二)及び弁論の全趣旨を総合すると、以下の事
実が認められる。
   (一) NAISの価額表(原告価額表)は、別紙原告書籍目録の(4)の部分を
「年度毎に括られた括りの中で、前記各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示
されている流通相場値第一の項目の縦方向の延長線との交点に、主体のボディーカ
ラーと、このカラーをもつ当該車種表示されている自動車の中古価額がそれぞれ表
示され、同様に各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示されている第二の項目
の縦方向の延長線との交点に、第一の項目とは異なるボディーカラーと、このカラ
ーをもつ当該車種表示されている自動車の中古価額がそれぞれ表示され、同様に各
車種表示の横方向の延長線と、上部に表示されている第三の項目の縦方向の延長線
との交点に、第一、第二の項目とは異なるボディーカラーと、このカラーをもつ当
該車種表示されている自動車の中古価額がそれぞれ表示されている。」と変更した
内容(他の部分については、別紙原告書籍目録記載のとおりの内容)のものである
と認められる。
(二) ブルーブックの価額表(被告価額表)は、別紙物件目録の(4)の部分を
「前記各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示されている最多流通の項目の縦
方向の延長線との交点に、最も多く流通しているボディーカラーと、このカラーを
もつ当該車種表示されている自動車の中古価額がそれぞれ表示され、同様に各車種
表示の横方向の延長線と、上部に表示されている第2流通の項目の縦方向の延長線
との交点に、二番目に多く流通しているボディーカラーと、このカラーをもつ当該
車種表示されている自動車の中古価額がそれぞれ表示され、同様に各車種表示の横
方向の延長線と、上部に表示されている第3流通の項目の縦方向の延長線との交点
に、三番目に多く流通しているボディーカラーと、このカラーをもつ当該車種表示
されている自動車の中古価額がそれぞれ表示されている。」と変更した内容(他の
部分については、別紙物件目録記載のとおりの内容)のものであると認められる。
  2 右1(一)認定の事実によると、原告価額表は、型式、排気量仕様、グレー
ド、ミッション、定員、装備等によって特定された車種、車のボディーカラー、中
古車の取引価額等を素材として、一定の方針に従って編集したものであると認めら
れる。
 証拠(甲四の一ないし一〇、検甲二)及び弁論の全趣旨によると、右の素
材のうち、車種については、日本国内外で販売されている車を、網羅的に、会社
名、車名、タイプ別に掲載しているにすぎないから、素材の選択又は配列に創作性
があるとは認められない。
 右1(一)認定の事実に証拠(甲四の一ないし一〇、検甲二)を総合する
と、原告価額表は、ボディーカラー及び取引価額については、主体のボディーカラ
ーとそのカラーの車の取引価額を、流通相場値第一の項目に、右1(一)認定のとお
り掲載し、これとは異なる二種類のボディーカラーとそれぞれそのカラーの車の取
引価額を、流通相場値第二の項目と第三の項目にそれぞれ右1(一)認定のとおり掲
載していること、右の二種類のボディーカラーは、人気色や不人気色など価額に影
響を与えるボディーカラーが選択されていること、以上の事実が認められる。
 そして、以上のようにして、ボディーカラーを選択した上で、そのカラー
の車の取引価額を掲載したことについて、素材の選択又は配列に創作性があるとし
ても、被告価額表は、右1(二)認定のようなものであって、ボディーカラー及び取
引価額については、最も多く流通しているボディーカラーと、そのカラーの車の取
引価額、二番目に多く流通しているボディーカラーとそのカラーの車の取引価額、
三番目に多く流通しているボディーカラーとそのカラーの車の取引価額を掲載して
いるから、素材の選択又は配列の方法が異なるばかりか、証拠(検甲一、二)及び
弁論の全趣旨によると、原告価額表と被告価額表では、同一年式の同一車種の車で
同一のボディーカラーであっても掲載されている中古車価額は異なっていることが
認められるから、素材も異なるということができる。
 なお、原告価額表と被告価額表を比べた場合、ボディーカラーと取引価額
を組み合せて表形式で表示するという点では共通しているが、それのみでは、アイ
デアにすぎず、著作権侵害を生じさせるものではない。
 その他、原告価額表について、素材の選択又は配列に創作性があるとか、
それを被告価額表が利用しているというべき事実は認められない。
  3 したがって、原告の著作権に基づく請求は、その余の点について判断する
までもなく、理由がない。
 三結論
   以上の次第で、原告の本訴請求は、いずれも理由がないから、主文のとおり
判決する。
東京地方裁判所民事第四七部
 
       裁判長裁判官森 義之
 裁判官内藤裕之
 裁判官岡口基一
(別紙)
             物件目録
  中古自動車価格ガイド誌「ブルーブック」に掲載されている中古自動車価格表
   (1) 上部に、左側から横方向に、年式、型式、グレード、シフト、タイプ、
排気、縦方向に車種を表示する車種表示欄を設け、新車価格、最多流通、第2流
通、第3流通の順で項目表示されている。
   (2) 前記項目表示の下方に、縦方向に年度毎に括られて、この括りの中で前
記型式、グレード、シフト、タイプ、排気の項目に対応するように、型式、グレー
ド、シフト、タイプ、排気量を表示して特定した車種が、車種別に縦方向に配列表
示されている。
   (3) 前記各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示されている新車価格の
項目の縦方向の延長線との交点に、当該車種表示されている自動車の新車当時の価
額が表示されている。
   (4) 前記各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示されている最多流通の
項目の縦方向の延長線との交点に、特定の同一カラーと、このカラーをもつ当該車
種表示されている自動車の中古価額がそれぞれ表示され、同様に各車種表示の横方
向の延長線と、上部に表示されている第2流通の項目の縦方向の延長線との交点
に、前記カラーと異なる特定の同一カラーと、このカラーをもつ当該車種表示され
ている自動車の中古価額がそれぞれ表示され、同様に各車種表示の横方向の延長線
と、上部に表示されている第3流通の項目の縦方向の延長線との交点に、前記カラ
ーと異なる特定の同一カラーと、このカラーをもつ当該車種表示されている自動車
の中古価額がそれぞれ表示されている。
   (5) 年度毎に括られた括りの中で、上部に、標準、走行、車検残、OP加
算、SR、シフト等の文字と、距離、月、加減算額を表す数字が表示されている。
(別紙)
             原告書籍目録
  中古車価格ガイド誌「NAIS」に掲載されている中古車価格表
   (1) 上部に、左側から横方向に、小売価格、型式、排気量仕様、グレード、
ミッション、定員、新車価格、装備、流通相場値第一、第二、第三、燃費、馬力、
類別区分、車両重量の順で項目表示されている。
   (2) 前記項目表示の下方に、縦方向に年度毎に括られて、この括りの中で、
前記型式、排気量仕様、グレード、ミッション、定員の項目に対応するように、型
式、排気量仕様、グレード、ミッション、定員を表示して特定した車種が、車種別
に縦方向に配列表示されている。
   (3) 年度毎に括られた括りの中で、前記各車種表示の横方向の延長線と上部
に表示されている新車価額の項目の縦方向の延長線との交点に、当該車種表示され
ている自動車の新車当時の価額を表示している。
   (4) 年度毎に括られた括りの中で、前記各車種表示の横方向の延長線と、上
部に表示されている流通相場値第一の項目の縦方向の延長線との交点に特定の同一
カラーと、このカラーをもつ当該車種表示されている自動車の中古価額がそれぞれ
表示され、同様に各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示されている第二の項
目の縦方向の延長線との交点に、前記カラーと異なる特定の同一カラーと、このカ
ラーをもつ当該車種表示されている自動車の中古価額がそれぞれ表示され、同様に
各車種表示の横方向の延長線と、上部に表示されている第三の項目の縦方向の延長
線との交点に、前記カラーと異なる特定の同一カラーと、このカラーをもつ当該車
種表示されている自動車の中古価額がそれぞれ表示されている。
   (5) 年度毎に括られた括りの中で、前記各車種表示の横方向の延長線と、上
部に表示されている小売価額、燃費、馬力、類別区分、車両重量の項目の延長線と
の交点にそれぞれの内容が表示されている。
   (6) 年度毎に括られた括りの中で、上部に、AT、MT、S/R有、A/C
無等の文字と、加減算額を表す数字が表示されている。

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採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
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