弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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       主   文
一 本件各控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人らの負担とする。
       事実及び理由
第一 控訴の趣旨
一 控訴人A
1 原判決中、控訴人Aに関する部分を取り消す。
2 被控訴人の同控訴人に対する訴えを却下する。
二 その余の控訴人ら
1 原判決中、同控訴人ら敗訴の部分を取り消す。
2 被控訴人の同控訴人らに対する請求をいずれも棄却する。
第二 事案の概要
一 本件は、徳島県に居住する住民である被控訴人が、全国都道府県議会議長会及
び大阪府議会が主催する第五二回国民体育大会協賛第四九回全国都道府県議会議員
軟式野球大会に徳島県議会議員及び同議会事務局職員が参加・随行するための旅費
を徳島県が公費により支出したことが違法な公金の支出であると主張して、控訴人
B(同議会事務局長)及び同C(同事務局次長兼総務課長)に対しては地方自治法
二四二条の二第一項所定の当該職員として当該支出に係る旅費相当額全額の損害賠
償を求め、控訴人D(徳島県議会議員)及び同A(同事務局総務課課長補佐)に対
しては怠る事実の相手方として、徳島県に代位し、それぞれ旅費として支給を受け
た金額相当の損害賠償又は不当利得の返還を求めた住民訴訟である。原審は被控訴
人の請求を一部認容したため、控訴人らが控訴した。
二 争いのない事実は、原判決「事実及び理由」第二の一ないし四(四頁一行目か
ら七頁六行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決
四頁四行目の「事務局次長」の次に「兼総務課長」を加え、同五頁二行目の「【甲
二、二〇】」及び同六頁一行目の「【甲二】」をいずれも削る。
三 争点
1 被控訴人の控訴人Aに対する本件訴えは、適法な監査請求を経由したものであ
るか。
【控訴人Aの主張】
 控訴人Aは、本件野球大会への徳島県議会事務局職員の随行旅費の支出について
財務会計上の行為を行う権限を有しない。ところで、被控訴人の控訴人Aに対する
地方自治法二四二条一項所定の監査請求は、同控訴人が違法かつ不当に公金を支出
したことのみをその対象としており、怠る事実の相手方として不当利得したことに
ついてはその対象としていない。したがって、被控訴人の控訴人Aに対する本件訴
えは、監査請求を経由していない訴えとして不適法であり、却下を免れない。
【被控訴人の主張】
 監査請求は、限られた情報、特に議会関係は不当にも情報公開がされない中で
、一〇〇〇字の範囲内で記載して行わなければならないのであり、控訴人Aが違法
な公金支出をした者であり、その支出を受けた者(怠る事実の相手方)として表示
されていないからといって、監査請求の対象を制限的に捉えるのは適当ではない。
2 本件野球大会への参加及び随行のための旅費の支出は、違法な公金の支出に当
たるか。
【被控訴人の主張】
 原判決「事実及び理由」第二の(当事者の主張)二1(九頁一〇行目から一六頁
四行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決一二頁
八行目の「野球大会」を「野球」に改める。
【控訴人らの主張】
 原判決「事実及び理由」第二の(当事者の主張)二2(一六頁六行目から二二頁
四行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、次のとおり補
正する。
(一) 原判決二二頁二行目の「有しているのであり」の次に「(最高裁昭和六三
年三月一〇日第一小法廷判決・判例時報一二七〇号七三頁)を加える。
(二) 同頁三行目の「派遣する」から同四行目の「であって」までを「派遣し、
議会事務局職員を随行させることも、その裁量の範囲内に属するのであって、右派
遣及び随行に要する旅費を公金から支出することは」に改める。
第三 当裁判所の判断
一 争点1(被控訴人の控訴人Aに対する本件訴えは、適法な監査請求を経由した
ものであるか)について
 普通地方公共団体の住民が当該普通地方公共団体の長その他の財務会計職員の財
務会計上の行為を違法、不当であるとしてその是正措置を求める監査請求をした場
合には、特段の事情が認められない限り、右監査請求は当該行為が違法、無効であ
ることに基づいて発生する実体法上の請求権を当該普通地方公共団体において行使
しないことが違法、不当であるという財産の管理を怠る事実についての監査請求を
もその対象として含むものと解するのが相当である(最高裁昭和六二年二月二〇日
第二小法廷判決・民集四一巻一号一二二頁)。これを本件についてみるに、証拠
(甲一、二)によれば、被控訴人のした監査請求は、控訴人Aが徳島県議会事務局
総務課課長補佐として控訴人Dら二〇名の議員及び随行職員に対し旅費・日当・宿
泊料を支出した行為につき、右支出行為は、あくまで議員間の親善・慰楽のための
催しに出席するためのもので、違法であり、徳島県に損害を被らせたとしてその補
填を求めたものであることが認められる。右事実
によれば、右監査請求の対象とした行為は、徳島県において、控訴人Aに対して違
法に支出された旅費・日当・宿泊料相当の損害賠償請求又は不当利得返還請求をし
ないことが違法、不当であるという財産の管理を怠る事実についての監査請求を含
むものと解される。そうすると、控訴人Aに対する本件訴えを適法な監査請求を経
ていないとの理由で不適法であるとする同控訴人の主張は理由がない。
二 争点2(本件野球大会への参加及び随行のための旅費の支出は、違法な公金の
支出に当たるか)について
1 当裁判所の認定した事実は、原判決「事実及び理由」第三の二1(二四頁三行
目から二九頁七行目まで)と同じであるから、これを引用する。ただし、次のとお
り補正する。
(一) 原判決二四頁三行目の「証拠」の前に「前記争いのない事実、」を加え
る。
(二) 同二五頁八行目の「なみはや大会」を「なみはや国体」に改める。
(三) 同二六頁五行目の「大阪府知事」の次に「、大阪市長、堺市長、八尾市長
がそれぞれ顧問に」を加え、同行目から同六行目にかけての「大阪府議会議長らの
ほか」を「大阪府議会議長が会長にそれぞれ就任したほか」に改める。
2 地方自治法二〇三条三項は、地方議会の議員が「職務」を行うために要する費
用の弁償を受けることができる旨を規定し、同法二〇四条一項は、地方議会事務局
の常勤の職員に対し旅費を支給すべき旨を規定している。本件野球大会への参加又
は随行のために控訴人らに支給された旅費は、いずれも右規定に基づくものである
ことが明らかである。
 地方議会は、普通地方公共団体の議決機関として、その機能を適切に果たすため
に広範な権能を有しているものと解されるから、地方議会が普通地方公共団体の施
策を適切に実現するため、他の普通地方公共団体の実情を把握し、意見交換をし、
又は相互交流等を目的として、議員を他の地方公共団体に派遣することも、議会の
権能を適切に果たすために合理的な必要性がある場合には許されることはいうまで
もない。右の場合における議員の旅行は、費用支出の根拠となる議員の「職務」の
ための旅行に当たり、これに要する費用の弁償を受けることができるものと解され
る。また、右のとおり議員が「職務」のため旅行するに際し、その間の事務を取り
扱うために地方議会事務局職員が同議員に随行することも「職務」ないし「公務」
であって、同事務局職員に対して旅費を支出する
正当な根拠となり得ることが明らかである。そして、右の議員派遣決定に合理的な
必要性があるか否かの判断は、当該地方議会の合理的な裁量に委ねられているもの
であるが、派遣の目的、態様等に照らして右派遣決定等に必要性がある旨の地方議
会の判断が著しく妥当性を欠くと認められるときは、裁量権の行使に逸脱又は濫用
があるものとして違法と解すべきである。そして、右裁量権の逸脱又は濫用がある
か否かは、本件野球大会の意義、徳島県議会議員が本件野球大会へ参加することの
目的、参加と目的達成との関連性、本件野球大会の実態、参加による具体的な効果
などを総合的に勘案し、本件野球大会への参加が、地方議会の機能を適切に果たす
ための権限の行使と合理的に関連するかどうかにより判断されるべきである。ま
た、県議会事務局職員の随行決定も、その必要性の有無の判断は旅行命令権者(本
件では徳島県議会事務局長である控訴人B及びその代決者である控訴人C)の合理
的な裁量に委ねられているというべきであるが、議員を派遣すべき旨の地方議会の
判断が正当であることを前提とするものであって、同判断が著しく妥当性を欠き裁
量権の逸脱又は濫用と認められる場合には、特段の事情のない限り違法になると解
すべきである。
3 前記1で原判決の補正引用により示した認定によれば、全国野球大会の内容
は、結局のところ、各都道府県議会議員が自ら選手となってトーナメント方式によ
る対抗試合を行い、優勝を競い合うものにほかならない。議員が選手となって野球
の対抗試合を行うこと自体は、その性質上、原則として、当該議員個人の娯楽又は
議員相互間の親睦ないしレクレーションの域を出るものではないというべきであっ
て、それ自体としては、地方議会議員の職務ないし公務とは関わりを持たないこと
が明らかである。ところが、控訴人らは、原判決「事実及び理由」第二の(当事者
の主張)二2(一)の各事由を挙げて本件野球大会への県議会議員の参加及び県議
会事務局職員の随行が公務性を有すると主張するので、以下、順次検討する。
(一) 控訴人らは、まず、次のとおり主張する。全国野球大会は、都道府県が国
体の主催団体に加わった第四回国体(昭和二四年)を契機として、全国の地方議会
議員が相提携して、国家再建のため体育の振興に協力する目的をもって計画された
国体の協賛行事であり、その後も毎年一回国体開催地の都道府県において開催
され、本件野球大会をもって四九回目を数える公式行事として行われてきたもので
ある。また、全国野球大会の主催者は、国体開催地の都道府県議会であり、昭和五
二年から新たに議長会が主催団体として加わったところ、本件野球大会の主催者で
ある議長会及び大阪府議会は、本件野球大会の目的を「第五二回国民体育大会(な
みはや国体)に協賛し、あわせて議員相互の親睦とスポーツ精神の高揚を図り、地
方自治の発展に寄与する」と定め、国体開催地の大阪府、大阪市、堺市、八尾市が
協賛自治体となり、大会顧問には国体開催地の大阪府知事等、名誉会長には議長会
議長、会長には大阪府議会議長が就任したほか、大会参与には全国都道府県議会議
長らがそれぞれ委嘱され、大会事務局には大阪府議会事務局長ほか管理職がそれぞ
れ指名されている。これらのことから、本件野球大会への議員の派遣は、議会活動
の一環としての公式行事としての派遣である、と。
 前記認定のとおり、議長会及び大阪府議会により、本件野球大会の目的は、第五
二回国民体育大会への協賛、議員相互の親睦、スポーツ精神の高揚及び地方自治の
発展に対する寄与と定められたものである。そこで、まず、本件野球大会の開催が
これらの目的とどのような関連性を有するか(目的達成のために有効であるか)に
ついて検討する(「議員相互の親睦」の点は、後記(二)で検討する。)。
 国体は、我が国最大のスポーツイベントとして、スポーツの振興、青少年の健全
育成や地域の活性化に大きく貢献してきたものである(公知の事実)。そして、全
国野球大会の発足当初(昭和二四年)においては、国民の間に国体を浸透させ、ス
ポーツを奨励するため、地方議会としてこれに協賛するということも有意義なとこ
ろもあったと考えられる。しかし、今日においては、国体は国民の間に広く浸透し
ており、スポーツの意義や利点も広く理解されていることからすれば、国体協賛と
いう目的の下に地方議会議員が自ら選手となって野球大会を行うこととスポーツ振
興との関連性は希薄であるといわざるを得ない。さらに、全国野球大会について、
一般国民の多くが関心を持っていることを認めるべき証拠もない。したがって、地
方議会議員が全国野球大会に参加することが国民の「スポーツ精神の高揚」につな
がるものとはたやすく考え難い。
 なお、控訴人ら主張のように、全国野球大会が発足以来本件野球大会に至るまで
公式行
事として扱われ、議長会及び開催都道府県議会が主催団体となり、本件野球大会役
員に大阪府知事、大阪府議会議長等が就任したなどの事実が認められる。しかし、
本件野球大会を含む全国野球大会が単に外形上公式行事の体裁をとって開催されて
きた実績を有するものであるとしても、それだけで同大会への参加が公務性を有す
ることになるということができないのは当然であり、前記判断を左右するものでは
ない。
(二) 次に、控訴人らは、次のとおり主張する。全国野球大会は、全国の都道府
県議会議員が一堂に会する唯一貴重な機会であり、参加議員は相互に交流し、意見
交換をするなどし、スポーツを通じて情報収集ができる。そして、最新の競技施設
で行われ、その運営にもその時々のノウハウが結集される国体は、スポーツ振興法
や社会教育法に定めるところの諸施策を地方自治の場で政策に反映させる際の真の
意味での生きた、最も新しい情報源であり、そこでの実体験を通じて、スポーツ振
興法が定める青少年スポーツの振興、職場スポーツの振興、野外活動の普及奨励、
施設の整備等が検討できる、と。
 前記2で説示したとおり、地方議会が普通地方公共団体の施策を適切に実現する
ため、他の普通地方公共団体の実情を把握し、意見交換をし、又は相互交流等を目
的として、議員を他の地方公共団体に派遣することも、議会の権能を適切に果たす
ために合理的な必要性がある場合には許される。そして、前記(一)のとおり、本
件野球大会の目的の一つに「議員相互の親睦」が掲げられている。ところで、本件
野球大会の参加者の日程、行事計画の上で、例えば、各都道府県議会議員が相互に
県政上の課題について意見交換をし、相互交流を図るために、一堂に会する機会が
設けられているとか、その他の機会を通じて現実にもそのような意見交換や相互交
流等が行われているのであれば、各地方公共団体間の連携・協力関係の形成という
観点で、地方議会の権能を適切に果たすために合理的な必要性があると解する余地
もある。しかし、前記認定のとおり、本件野球大会の日程、行事計画の上で、その
ような機会が設けられているとは認められず、現実に各地方公共団体間の連携・協
力関係の形成に役立つような意見交換や相互交流等が行われたと認めるに足りる証
拠はない(本件野球大会に際して行われる主将会議、開会式、閉会式は、そのよう
な意見交換や相互交流が行われる場としてふ
さわしくないことは明らかである。前記認定のとおり、本件野球大会開催の翌年に
開催された全国野球大会に際しては、試合に先立って記念講演会や交流パーティが
行われている。)。また、仮に、本件野球大会の目的である「議員相互の親睦」が
同一地方議会内の議員(徳島県議会議員)相互間の親睦を含むと解されるとして
も、そうであれば、日常の議員活動を通じて実現することが十分に可能であって、
わざわざ旅費を費やして野球をする一部の議員だけが参加するような本件野球大会
に議員を派遣する必要性はないというべきである。
 また、毎年開催される国体が、最新の競技施設で行われ、その運営にもその時々
のノウハウが結集されており、これらに関する情報収集が各地方公共団体における
スポーツ振興施策を検討する上で有意義であるということはいえる。しかし、それ
は各議員が本件野球大会に選手として出場することを通じてしか得られないという
ものではなく、直ちに本件野球大会の公務性を肯認すべき理由にはならない。もっ
とも、これらの競技施設を選手として実体験することが、スポーツ施設に関する見
識をより深め、ひいてスポーツ関連の施策に生かされることになるということも全
くないとはいえない。しかし、前記認定のとおり、本件野球大会の前記目的にはこ
のような目的は掲げられておらず、本件野球大会の内容は、文字どおり各都道府県
議会議員が野球の対抗試合を行って優勝を競うというものであり、少なくともそれ
が主たる目的とされていることは否定できないところであり、本件野球大会での選
手体験がスポーツ振興施策に役立つ度合いは極めて低いものといわざるを得ない。
現に、本件野球大会の日程・行事予定の上で、選手として野球競技を行うという以
上に、競技施設の視察等は公式行事としては予定されていなかった。のみならず、
本件野球大会に参加した徳島県議会チームが福島県議会チームに敗退した日の翌日
である平成九年八月二五日に秋季国体の公開競技である高等学校硬式野球の会場と
して使用される大阪ドームを視察したが、参加議員は二六名中八名にすぎず、同チ
ームに参加した議員らの主観的意識の上でも、同議員らがスポーツ振興施策に役立
つ情報収集を主たる目的として本件野球大会に参加したのかは極めて疑問である。
(三) また、控訴人らは、国体は国民が体育やスポーツに関心を持つ絶好の機会
であり、その開催地において国体の
競技種目であり、かつ国民にとって最も身近なスポーツの一つである野球を議員が
チームを編成して競うことによって国体を盛り上げ、国民にスポーツを自ら行うこ
とを奨励することは、住民福祉の向上を目的とする地方自治の発展に寄与すること
になると主張する。しかし、右主張に理由がないことは、前記(一)に説示したと
おりである。
4 以上のとおり、控訴人らの主張によっても、本件野球大会への徳島県議会議員
の参加が、地方議会の機能を適切に果たすための権限の行使と合理的に関連すると
は認められない。そして、他にこれを肯定すべき事情は本件証拠上認められない。
したがって、右参加の必要性があるとして、徳島県議会議員に対して旅行命令を発
した徳島県議会議長の判断は、著しく妥当性を欠き、その裁量権の行使を逸脱し、
又は濫用したものであって、違法というべきである。したがって、右徳島県議会議
長の判断が正当であることを前提として、同議会事務局職員を本件野球大会に随行
させるべきものとして、同職員に対して旅行命令を発した同議会事務局次長兼総務
課長である控訴人C(本来の旅行命令権者は控訴人Bであるが、同控訴人差支えに
より控訴人Cが代決した。)の判断も著しく妥当性を欠き、その裁量権の行使を逸
脱し、又は濫用したものであって、違法である。そうすると、右各旅行命令に基づ
き、控訴人Cが同Bの代決者として行った同議会議員及び同議会事務局職員に対す
る旅費の支出も違法であり、法律上の原因を欠くものである。
三 控訴人らの責任
 当裁判所は、控訴人B(同議会事務局長)及び同C(同事務局次長兼総務課長)
に対しては地方自治法二四二条の二第一項所定の当該職員として前記支出に係る旅
費相当額合計一八三万二七六一円の損害賠償を命じ、控訴人D(徳島県議会議
員)、同A(同事務局総務課課長補佐)に対しては怠る事実の相手方として、徳島
県に代位し、それぞれ旅費として支給を受けたと認められる金額(控訴人Dは三万
七二七九円、同Aは六万四四〇八円)相当の金員を不当利得としてその返還を命ず
るのが相当と判断する。その理由は、原判決「事実及び理由」第四の一ないし四
(四一頁九行目から四五頁七行目まで)の理由説示と同じであるから、これを引用
する。ただし原判決四三頁五行目文頭から同一〇行目の「しかしながら、」まで、
同四四頁七行目文頭から同四五頁一行目の「しかしながら、」までをそれぞれ
削る。
第四 結論
 よって、被控訴人の請求を一部認容した原判決は相当であって、本件各控訴は理
由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。
高松高等裁判所第二部
裁判長裁判官 小田耕治
裁判官 田中俊次
裁判官 松本利幸

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