弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     本件を仙台高等裁判所に差戻す。
         理    由
 上告人及び上告代理人河鰭彦治郎の上告理由第一乃至第四点、上告代理人丁野暁
春の上告理由第一乃第第五点について。
 原判決によれば原審において、被上告組合は、その総会において本件三筆の山林
(総面積三六五町歩余)に生立する赤松立木を売却することに決し、買受人を物色
してきたが、昭和二四年八月二六日の組合総会において、D(組合監事)とE(組
合員)の両名が山林についての知識経験を有するところから売却交渉委員に選任さ
れ一任されたこと、被上告組合は、昭和二五年五月上旬上告人に対し、前記山林に
生立する赤松立木三万石を売つてもよいと申向け、同年六月右Dが上告人を右山林
に案内したこと、被上告組合は、上告人の要請に基づいて同年八月一三日から三日
間、本件山林中赤松立木一万石が生立すると目される一部の区域を区画したこと。
同年九月上告人の依頼により、F株式会社の技術員が右地域に生立する赤松立木(
甲立木、五〇五五石)の石数を調査した際、被上告組合の組合長代理として同組合
の嘱託事務員であるGが立会つたこと、上告人は、同月二二日被上告組合の組合長
であるHに対し、甲立木を石一〇〇円で買受けたい、代金は福島県知事から伐採許
可があつた時に支払う旨申向けて交渉したこと、これより先同年八月初、本件山林
を含む裏磐梯山林一帯が国立公園に指定され、その立木伐採には県知事の許可を要
することとなつたので、右Dは上告人にこれが許可をうるように依頼し、上告人は、
自己の費用を使つて手続をし九月三〇日福島県知事から伐採許可をうけたことを認
定している。以上は、これを綜合すれば、所論売買予約成立の蓋然性を推定せしむ
るに足る間接事実となさざるを得ない。
 然るに、原審は、以上の各事実を認定しながら、本件については手附金、内金の
授受がなく、契約書が作成されていないこと、成立に争のない乙二号証(Dの供述
調書)乙四号証(Iの供述調書)乙六号証(Hの供述調書)、第一審並びに控訴審
証人Dの証言、前認定の事実を綜合して考察するときは、当事者は、本件山林に生
立する赤松立木三万石(甲立木を含む)について売買契約を締結すべく逐次その折
衝を重ね、その成立を予期して立木伐採許可を得たりしたのであるが、その間に上
告人主張のような売買予約(いわゆる双務予約または民法五五六条所定の売買一方
の予約)は成立していなかつたものと認められる旨判断していること、所論のとお
りである。
 しかしながら、原判決に、予約不成立の証拠として挙示せられている右各供述調
書および各証言は、前示原審確定の事実と矛盾する証言或は予約の成否に無関係な
ものが大部分であり、また、原審の確定する如く、内金、手附金の授受がなく契約
書が作成されていないとしても、これを以つて原審の確定した前記間接事実から推
定しうる予約成立の蓋然性を否定しうるものとは解せられない。すなわち、原審は、
一方において売買予約の成立を推定させるに足る間接事実を認定しておきながら、
他方首肯するに値する根拠を示すことなくこれを否定したものであつて、審理不尽、
理由不備の違法があるといわざるを得ない。それ故、原判決を破棄し、更に右の点
について審理を尽すため本件を原審に差戻すべきである。
 よつて、その余の論旨に対する判断を省略し、民訴四〇七条一項に従い、裁判官
全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛