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平成14年(行ケ)第567号 審決取消請求事件
平成15年10月23日判決言渡,平成15年10月9日口頭弁論終結
     判    決
 原   告     ジェンテックス・コーポレーション
 訴訟代理人弁護士  鈴木修,岡本義則,弁理士 狩野剛志,松本謙,末吉剛
 被   告     特許庁長官 今井康夫
 指定代理人     藤井昇,鈴木法明,高木進,林栄二,八日市谷正朗,大橋
信彦
     主    文
 原告の請求を棄却する。
 訴訟費用は原告の負担とする。
 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日と定める。
     事実及び理由
 以下において,「および」は「及び」と統一して表記した。その他,引用箇所に
おいても公用文の表記方式に従った箇所がある。
第1 原告の求めた裁判
 「特許庁が訂正2001-39168号事件について平成14年7月22日にし
た審決を取り消す。」との判決。
第2 事案の概要
 1 特許庁における手続の経緯
 原告は,本件特許第2930202号「自動車用可変反射率ミラー」の特許権者
である。本件特許は,昭和62年3月31日に出願された原出願である特願昭62
-79562号(優先権主張日・昭和61年3月31日,優先権主張国・米国)の
一部を,平成9年8月28日に特許法44条1項に規定の新たな特許出願(特願平
9-232379号)としたものに係り,平成11年5月21日設定登録となっ
た。
 平成12年2月3日,本件特許の特許請求の範囲第1ないし第16項,第17な
いし第25項,第26ないし第34項に記載の発明につき特許異議の申立てがあり
(2000-70474号),平成13年1月31日,本件特許の上記項に記載さ
れた発明についての特許を取り消すとの決定があり,この決定に対する取消訴訟
(平成13年(行ケ)第272号)が当部に係属中である。
 原告は,平成13年9月20日,本件特許に関して訂正審判の請求をしたが(訂
正2001-39168号),平成14年7月22日で,同審判の請求は成り立た
ないとする審決があった。本訴はこの訂正拒絶審決の取消訴訟である。
 2 本件発明の要旨
 特許請求の範囲第1ないし第16項,第17ないし第25項,第26ないし第3
4項に記載の発明は,それぞれ特許請求の範囲の構成に欠くことのできない事項を
記載した第1項,第17項,第26項に記載された次のとおりのものである。
 (1) 特許請求の範囲第1項記載の発明(訂正前)
「自動車類用可変反射率エレクトロクロミックミラーであって,可変反射率が単一
区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスである可逆的可変透過率を
持つ構成成分によって与えられ,ここで,当該エレクトロクロミックデバイスの透
明な電極層のシート抵抗が1~40オームパースクエアであることを特徴とし」
(構成要件(a)),
 ただし,上記単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスから,
次の
「(A)溶剤;」(構成要素(A))
「(B)上記溶剤中で室温において行われたボルタモグラムにおいて少なくとも2
種の化学的可逆還元波を表示し,これらの還元のうち第1のものが可視領域の少な
くとも1種の波長において分子吸光係数の増大を伴う,カソードエレクトロクロミ
ック化合物;」(構成要素(B))
「(C)上記溶剤中で室温において行われたボルタモグラムにおいて少なくとも2
種の化学的可逆酸化波を表示し,これらの酸化のうち第1のものが可視領域の少な
くとも1種の波長において分子吸光係数の増大を伴う,アノードエレクトロクロミ
ック化合物;」(構成要素(C))
及び
「(D)カソード化合物及びアノード化合物がすべてそれらのゼロ電位平衡状態で
該溶液中でイオン性でない場合は,不活性の電流搬送電解質」(構成要素(D))
を含む自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスを除く,
前記自動車類用可変反射率エレクトロクロミックミラー。
 (2) 特許請求の範囲第17項記載の発明(訂正前)
「自動車類用可変反射率エレクトロクロミックミラーであって,可変反射率が単一
区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスである可変透過率を持つ構
成成分によって与えられ,当該エレクトロクロミックデバイスが,最高反射率が7
0%を超え,最低反射率が10%未満でなければならないような反射率範囲を与え
ることを特徴とし」(構成要件(b)),
 ただし,上記単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスから,
次の:
「(A)溶剤;」(構成要素(A))
「(B)上記溶剤中で室温において行われたボルタモグラムにおいて少なくとも2
種の化学的可逆還元波を表示し,これらの還元のうち第1のものが可視領域の少な
くとも1種の波長において分子吸光係数の増大を伴う,カソードエレクトロクロミ
ック化合物;」(構成要素(B))
「(C)上記溶剤中で室温において行われたボルタモグラムにおいて少なくとも2
種の化学的可逆酸化波を表示し,これらの酸化のうち第1のものが可視領域の少な
くとも1種の波長において分子吸光係数の増大を伴う,アノードエレクトロクロミ
ック化合物;」(構成要素(C))
及び
「(D)カソード化合物及びアノード化合物がすべてそれらのゼロ電位平衡状態で
該溶液中においてイオン性でない場合は,不活性の電流搬送電解質」(構成要素
(D))
を含む単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスを除く,
前記自動車類用可変反射率エレクトロクロミックミラー。
 (3) 特許請求の範囲第26項記載の発明(訂正前)
「自動車類用可変反射率エレクトロクロミックミラーであって,可変反射率が単一
区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスである可変透過率を持つ構
成成分によって与えられ,自己消去式溶液相媒質が空間をおいて離れた二つの電極
層により画定された空間中に保持され,当該エレクトロクロミックミラーは反射層
を有し,当該反射層が,前記エレクトロクロミックデバイスの溶液を通り,前記溶
液を通過した後当該反射層に到達する光を反射し,ここで,前記エレクトロクロミ
ックデバイスが,印加した電位差の関数として反射率の全範囲にわたって連続的に
変化可能な反射率を与えることを特徴とし,」(構成要件(c))
 ただし,当該単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスから,
次の:
「(A)溶剤;」(構成要素(A))
「(B)上記溶剤中で室温において行われたボルタモグラムにおいて少なくとも2
種の化学的可逆還元波を表示し,これらの還元のうち第1のものが可視領域の少な
くとも1種の波長において分子吸光係数の増大を伴う,カソードエレクトロクロミ
ック化合物;」(構成要素(B))
「(C)上記溶剤中で室温において行われたボルタモグラムにおいて少なくとも2
種の化学的可逆酸化波を表示し,これらの酸化のうち第1のものが可視領域の少な
くとも1種の波長において分子吸光係数の増大を伴う,アノードエレクトロクロミ
ック化合物;」(構成要素(C))
及び
「(D)カソード化合物及びアノード化合物がすべてそれらのゼロ電位平衡状態で
該溶液中においてイオン性でない場合は,不活性の電流搬送電解質」(構成要素
(D))
を含む単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスを除く,
前記自動車類用可変反射率エレクトロクロミックミラー。
 (4) 訂正の要旨
 a.特許請求の範囲の第1項,第17項及び第26項の
「単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイス」
という記載を,
「少なくとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物及び少なくとも1種のア
ノードエレクトロクロミック化合物を含む単一区画型自己消去式溶液相エレクトロ
クロミックデバイス」
と訂正する。
 b.特許請求の範囲の第26項の
「印加した電位差の関数として反射率の全範囲にわたって連続的に変化可能な反射
率を与える」
という記載を,
「デバイスの電極層間に0.1Vと,前記デバイスにおいて有意の程度に不可逆反
応が起こる電位よりも若干低い電位との間に入る範囲の電位差をかけることにより
印加した電位差の関数として反射率の全範囲にわたって連続的に変化可能な反射率
を与える」
と訂正する。
 3 審決(訂正拒絶審決)の理由の要点
 (1) 審決は,以下の理由により,訂正後の発明が,次の引用例との対比におい
て,独立特許要件を充足するものではないと判断した。
  引用例1(特開昭57-208530号公報,本訴甲第3号証)
  引用例2(特開昭60-247226号公報,本訴甲第4号証)
  引用例3(特開昭57-208531号公報,本訴甲第5号証)
 (2) 特許請求の範囲第1~第16項に記載された発明(訂正第1群発明)の独立
特許要件
 (2)-1 訂正第1群発明
 訂正明細書には,カソードエレクトロクロミック化合物に関し,「本発明の溶液
に適したカソードエレクトロクロミック化合物には式II既知の化合物(バイオロゲ
ン)
【化2】
       
 式中,R21及びR22は・・・それぞれ,1~10個の炭素原子を有するアルキ
ル基・・・,X

23及びX

24は・・・それぞれクロリド,ブロミド,ヨージ
ド・・・から選ばれる}・・・が含まれる。」(【0056】欄)との記載があ
り,溶剤に関し,「溶剤として適したものは,・・・,メタノール,・・・,アセ
トニトリル,N,N-ジメチルホルムアミド,・・・が含まれる。」(【005
3】欄)との記載がある。
 (2)-2 引用例1に記載されたものとの対比
 引用例1のミラー装置は,「本発明は,後続車のヘッドランプ等の光線によって
運転者が眩惑するのを防止すべくなした防眩ミラー装置に関する」の記載(1頁右
欄7~9行)から,自動車類用ということができ,「すなわち,電解液の発色濃度
の度合と電気量とが相対的な比例関係にあるので,第8図に示すように電気量に応
じて透光率が減少する。その結果反射ミラー1の反射率を無段階にかつ連続的に変
更させることができる。」の記載(3頁右上欄12~16行)から,可変反射率ミ
ラーであるといえ,引用例1の発明における不活性溶媒及び電解液14を構成する
構造式(1)
 を有する前記有機物質が,それぞれ,第1項に記載の発明における溶剤及び式II
 のカソードエレクトロミック化合物と一致しており,3頁左上欄13行~右上欄
5行の記載から,構造式(1)の有機物質が不活性溶媒に溶解された「電解液14
は,酸化還元反応を起こすが,その還元反応のときに発色(青色)現象が生じ」る
ものであることから,引用例1の構造式(1)の有機物質も,「可視領域の少なく
とも1種の波長において分子吸光係数の増大を伴うカソードエレクトロクロミック
化合物」といえ,また,請求項1及び3頁右上欄12~16行の記載と3頁左上欄
13行~右上欄5行の「減光状態からスイッチ機構2をオフさせると,電解液14
は可逆反応が起こって速やかに透明状態に戻るので,高い反射率を維持することが
できる」の記載から,引用例1のものも自己消去式溶液相エレクトロクロミックデ
バイスであって,可逆的可変透過率を持つものといえ,更に,請求項1の記載及び
2頁右上欄8~19行の記載から,単一区画型ということができる。
 そして,引用例1の発明における不活性溶媒及び電解液14を構成する構造式
(1)
を有する前記有機物質は,ゼロ電位平衡で該溶液中でイオン性であるといえるが,
引用例1に記載されたものは,アノードエレクトロクロミック化合物を含まないの
で,両者は,
「自動車類用可変反射率エレクトロクロミックミラーであって,可変反射率が少な
くとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物を含む単一区画型自己消去式溶
液相エレクトロクロミックデバイスである可逆的可変透過率を持つ構成成分によっ
て与えられ,ただし上記単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイ
スから次の前記構成要素(A)(B)(C)(D)を含む自己消去式溶液相エレク
トロクロミックデバイスを除く,前記自動車類用可変反射率エレクトロクロミック
ミラー」である点で一致し,以下の2点で相違している。
【相違点1】
 単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスの溶液が,訂正第1
群発明では,少なくとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物及び少なくと
も1種のアノードエレクトロクロミック化合物を含むのに対して,引用例1に記載
されたものは,少なくとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物を含むにと
どまり,該カソードエレクトロクロミック化合物が,アノード成分及びカソード成
分として酸化還元される機能を有する点。
【相違点2】
 訂正第1群発明においては,「透明な電極層のシート抵抗が1~40オームパー
スクエアである」のに対して,引用例1に記載されたものにおいては,透明な電極
層のシート抵抗値について言及されていない点。
 (2)-3 相違点1についての検討
 少なくとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物と少なくとも1種のアノ
ードエレクトロクロミック化合物を含む溶液を有し,可逆性のある自己消去式溶液
相エレクトロクロミックデバイスは,本件優先権主張日前に周知である。(必要が
あれば,特公昭57-35741号公報の記載事項及び特公昭60-8069号公
報の記載事項を参照のこと。)
 そして,このような周知のエレクトロクロミックデバイスは,変色によって可視
光線に対して透過率が変化していることは明白であり,このエレクトロクロミック
デバイスのエレクトロクロミック化合物の溶液を引用例1に用いられるエレクトロ
クロミック化合物の溶液に代えて用いることによって,反射鏡における反射率が変
更できることは容易に予測し得ることである。
 さらに,上記周知のエレクトロクロミックデバイスが,溶剤中で室温において行
われるボルタモグラムにおいて,カソードエレクトロクロミック化合物が少なくと
も2種の化学的可逆酸化波を表示し,かつアノードエレクトロクロミック化合物が
少なくとも2種の化学的可逆酸化波を表示することを含むエレクトロクロミックデ
バイスを除くものか否か明瞭でなくとも,少なくとも1種の化学的可逆酸化波又は
1種の化学的可逆還元波を表示して可視光領域において分子吸光係数が増大するも
のであれば可逆的可変透過率が得られることが明らかであるので,上記周知のエレ
クトロクロミックデバイスのエレクトロクロミック化合物の溶液を引用例1に用い
られるエレクトロクロミック化合物の溶液に代えて用いたものから,構成要素
(A)(B)(C)(D)を含む自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイス
を除く点については,技術的に格別の意義はなく,当業者が容易に想到し得ること
である。
 したがって,相違点1における訂正第1群発明の構成は,上記周知技術を引用例
1に記載されたものに適用することにより当業者が適宜なし得たものである。
 (2)-4 相違点2についての検討
 引用例2には,エレクトロクロミック調光体に反射層を設けた調光ミラーにおい
て,「表基板1上に形成する透明電極2として酸化インジウム・酸化錫(ITO)
や酸化錫・・・等を用いる。この透明電極2は,例えばITOを材質として用いた
場合には,・・・表基板1上に表面抵抗値が20Ω以下程度に形成することが望ま
しい。」との記載(2頁左上欄17行~同右上欄3行)があり,この記載によれ
ば,基板1上に20Ω/□以下の程度の透明電極2を形成することが実質的に開示
されているものと認められる。
 そして,引用例2において従来技術として提示されている特公昭57-7418
号公報及び特開昭57-208530号公報の調光ミラーは,自動車のバックミラ
ーとして利用されるものであるので,引用例2は自動車用ミラーの電極への応用が
予測し得るものであり,また,引用例1及び引用例2に記載されたものはいずれ
も,「2つの電極間に電圧を印加することにより,反射率が変化するエレクトロク
ロミック調光体を設けた調光ミラー」という点で共通しており,そして,引用例1
には透明電極の素材について特に言及されてはいないが,透明電極として酸化イン
ジウム・酸化錫(ITO)が用いられることは従来周知の技術事項(例えば,特開
昭50-128197号公報,特開昭60-216333号公報,特開昭61-3
2037号公報を参照のこと)でもあるので,引用例1に記載の透明電極の素材と
して,引用例2に記載されている酸化インジウム・酸化錫(ITO)を用い,基板
上に形成する透明電極層の面抵抗を20Ω/□以下程度のものとすることは当業者
が容易に想到することができるものというべきである。
 したがって,相違点2に係る訂正第1群発明の構成は,引用例1及び引用例2に
記載の技術的事項に基づいて当業者が容易になし得たものといえる。
 (2)-5 作用効果
 訂正第1群発明の作用効果も,引用例1及び引用例2及び周知技術から予測され
る範囲内のものである。
 したがって,訂正第1群発明は,引用例1,引用例2にそれぞれ記載されたもの
及び周知技術から当業者が容易になし得たものである。
 (3) 特許請求の範囲第17~第25項に記載された発明(訂正第2群発明)の独
立特許要件
 (3)-1 引用例1に記載されたものとの対比
 訂正第1群発明についてした引用例1に記載のものとの対比と同様の理由によ
り,両者は,
「自動車類用可変反射率エレクトロクロミックミラーであって,可変反射率が少な
くとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物を含む単一区画型自己消去式溶
液相エレクトロクロミックデバイスである可逆的可変透過率を持つ構成成分によっ
て与えられ,ただし上記単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイ
スから次の前記構成要素(A)(B)(C)(D)を含む単一区画型自己消去式溶
液相エレクトロクロミックデバイスを除く,前記自動車類可変反射率エレクトロク
ロミックミラー」である点で一致し,以下の2点で相違している。
【相違点1′】
 単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスの溶液が,訂正第2
群発明では,少なくとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物及び少なくと
も1種のアノードエレクトロクロミック化合物を含むのに対して,引用例1に記載
されたものは,少なくとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物を含むにと
どまり,該カソードエレクトロクロミック化合物が,アノード成分及びカソード成
分として酸化還元される機能を有する点,
【相違点3】
 エレクトロクロミックデバイスが,訂正第2群発明においては,「最高反射率が
70%を超え,最低反射率が10%未満でなければならないような反射率範囲を与
える」のに対して,引用例1に記載されたものにおいては,この点について言及さ
れていない点。
 (3)-2 相違点1′についての検討
 訂正第1群発明における相違点1について説示した理由と同様の理由により,相
違点1′における訂正第2群発明の構成は,当業者が容易に想到し得ることであ
る。
 (3)-3 相違点3についての検討
 エレクトロクロミック化合物を用いるものではないが,防眩ミラーにおいて,最
高反射率が70%を超え,最低反射率が10%未満とすることは従来周知(例え
ば,社団法人自動車技術会編「自動車工学便覧」,昭和51年12月1日,第2
刷,社団法人自動車技術会発行,第3編,2-110における「12・1・3イン
サイドミラー,(2)防眩ミラー」,特開昭54-66158号公報参照)であ
る。
 そして,引用例1には,「電解液14は,電気化学的に酸化還元可能な有機物質
が不活性溶媒に溶解されたものである。そして,この電解液14は,常態では透明
であるが,透明電極12及び12′に電圧又は電流を印加することにより発色する
とともに,その発色濃度が電気量に対応して変化することにより透光率を減少でき
るようになっている」との記載(2頁左下欄4行~10行)があり,この記載によ
れば,引用例1に記載のエレクトロクロミック化合物を溶かした電解液が常態では
透明であることを示している。
 そうすると,自動車ミラーにおいて昼間には後方の状況を確認し得る程度の反射
率にすることは当然のことであり,引用例1に記載の防眩ミラーにおいては,透明
導電ガラス及び常態におけるエレクトロクロミック化合物を溶かした電解液はほぼ
透明であるので,引用例1の防眩ミラーについて最高反射率が70%を超え,最低
反射率が10%未満となるようなエレクトロクロミック化合物を用いてみようとの
目標設定自体は,当業者が容易に想到し得る設計事項であるといえる。
 (3)-4 作用効果
 訂正第2群発明の作用効果も,自己消去式溶液層エレクトロクロミックデバイス
に最高反射率が70%を超え,最低反射率が10%未満となるようなエレクトロク
ロミック化合物を用いることが可能となった時に奏する効果であるから,引用例1
及び周知技術から予測される範囲内のものといえる。
 したがって,訂正第2群発明は,当業者が引用例1に記載されたもの及び周知技
術から容易になし得たものである。
 (4) 特許請求の範囲第26~第34項に記載された発明(訂正第3群発明)の独
立特許要件
 (4)-1 引用例1に記載されたものとの対比
 引用例1の2頁右上欄8~19行の記載から引用例1のものも「自己消去式溶液
相媒質が空間をおいて離れた二つの電極層により画定された空間中に保持され,当
該エレクトロクロミックミラーは反射層を有し,当該反射層が,前記エレクトロク
ロミックデバイスの溶液を通り,前記溶液を通過した後当該反射層に到達する光を
反射」するものといえ,引用例1の請求項1の記載,2頁右上欄8行~19行と3
頁左上欄13行~右上欄5行の記載及び「すなわち,電解液の発色濃度の度合と電
気量とが相対的な比例関係にあるので,第8図に示すように電気量に応じて透光率
が減少する。その結果反射ミラー1の反射率を無段階にかつ連続的に変更させるこ
とができる。」の記載(3頁右上欄12~16行)があり,第8図には,「透光率
の示される全範囲にわたって,印加した電気量の関数として連続的に変化可能な透
光率を与えるもの」が示されている。そして,反射率は,透光率に対応して変化す
るものであることから,「エレクトロクロミックデバイスが,印加した電気量の関
数として反射率の全範囲にわたって連続的に変化可能な反射率を与える」ものであ
るといえ,さらに透明電極に印加する電気量に関し「電気量(電圧又は電流)可変
装置23」(3頁右上欄8~9行)の記載があるので,電気量として電圧又は電流
を選択できることが示唆されており,電圧すなわち電位差を選択できることが示さ
れていることから,引用例1には,電解液の発色濃度の度合いと電気量との関係に
関して,エレクトロクロミックデバイスが,印加した電位差の関数として反射率の
全範囲にわたって連続的に変化可能な反射率を与えることが実質上開示されている
ものと認められる。
 したがって,訂正第3群発明と引用例1に記載されたものを対比すると,両者
は,
「自動車類用可変反射率エレクトロクロミックミラーであって,可変反射率が少な
くとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物を含む単一区画型自己消去式溶
液相エレクトロクロミックデバイスである可変透過率を持つ構成成分によって与え
られ,自己消去式溶液相媒質が空間をおいて離れた二つの電極層により画定された
空間中に保持され,当該エレクトロクロミックミラーは反射層を有し,当該反射層
が,前記エレクトロクロミックデバイスの溶液を通り,前記溶液を通過した後当該
反射層に到達する光を反射し,ここで,前記エレクトロクロミックデバイスが,印
加した電位差の関数として反射率の全範囲にわたって連続的に変化可能な反射率を
与える上記単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスであって,
ただし上記単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスから,構成
要素(A)(B)(C)(D)を含む単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロ
ミックデバイスを除く前記自動車類用可変反射率エレクトロクロミックミラー。」
である点で一致し,以下の2点で相違している。
【相違点1″】
 単一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスの溶液が,訂正第3
群発明では,少なくとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物及び少なくと
も1種のアノードエレクトロクロミック化合物を含むのに対して,引用例1に記載
されたものは,少なくとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物を含むにと
どまり,該カソードエレクトロクロミック化合物が,アノード成分及びカソード成
分として酸化還元される機能を有する点,
【相違点4】
 エレクトロクロミックデバイスが,印加した電位差の関数として反射率の全範囲
にわたって連続的な変化可能な反射率を与えるのにあたり,訂正第3群発明におい
ては,デバイスの電極層間に0.1Vと,前記デバイスにおいて有意の程度に不可
逆反応が起こる電位よりも若干低い電位との間に入る範囲の電位差をかけることに
より与えたのに対して,引用例1に記載されたものでは,そのような記載がない
点。
 (4)-2 相違点1″についての検討
 訂正第1群発明における相違点1について説示した理由と同様の理由により,相
違点1″における訂正第3群発明の構成は,当業者が容易に想到し得ることであ
る。
 (4)-3 相違点4についての検討
 引用例3には,エレクトロクロミックデバイスの電極間に化学的な副反応等が生
じない程度に電圧を印加することにより電解液の特性及び寿命等に及ぼす悪影響等
を取り除くことができ,印加した電圧の電位差の関数として反射率を自動的に変更
できるものが記載されており,化学的な副反応等が生じない程度に電圧を印加する
ことにより電解液の特性及び寿命等に及ぼす悪影響等を取り除くことは,「有意の
程度に不可逆反応が起こ」らないように電位差をかけることを示唆するものと認め
られるから,相違点4における訂正第3群発明の構成は,引用例3に記載されたも
のに基づいて当業者が容易になし得たものである。
 (4)-4 作用効果
 訂正第3群発明の作用効果も,引用例1,引用例3にそれぞれ記載されたもの及
び上記周知技術から予測される範囲内のものである。
 したがって,訂正第3群発明は,当業者が引用例1及び引用例3にそれぞれ記載
されたもの及び周知技術から容易になし得たものである。
 (5) むすび
 したがって,訂正第1~3群の発明は,特許法29条2項の規定により特許出願
の際独立して特許を受けることができないため,本件審判の請求は,平成6年法律
第116号附則第6条1項の規定により「なお,従前の例による。」とされる同法
律による改正前の特許法126条3項の規定に適合しない。
第3 原告主張の審決取消事由
 1 取消事由1(引用例1の認定の誤り)
 (1) 「カソードエレクトロクロミック化合物」について
 本件明細書においては,「カソード化合物」と「アノード化合物」とはそれぞれ
別の化合物であって,対になって用いられる概念であるのに対し,引用例1は,電
解液を構成する構造式(I)を有する有機物質を,アノードエレクトロクロミック
化合物と対にして用いているわけではなく,一つの化合物で酸化と還元がなされる
酸化還元可能な有機物質として用いているにすぎないから,構造式(I)を有する
有機物質は,「カソード化合物」という概念には当たらない。したがって,引用例
1における電解液を構成する構造式(I)を有する有機物質はカソードエレクトロ
クロミック化合物といえるとした審決の認定は,誤りである。
 (2) 「自動車類用」について
 訂正第1~第3群発明において「自動車類用」とは「自動車類に用いられるのに
特に適した」ものである(明細書【0008】~【0014】において,自動車用
ミラーとして商業的に使用するのに適切な条件が詳細に検討されている。)とこ
ろ,引用例1に記載のミラーは,デバイスを作動させるのに必要な電位の範囲内に
おいて不可逆反応を起こすなど,自動車類用に用いられるにふさわしい性能も安全
性も備えていない(甲第7号証の供述書,甲第6号証の宣言書)から,引用例1
は,自動車類用に適さないミラーを開示しているにすぎない。したがって,引用例
1のミラー装置は自動車類用ということができるとした審決の認定は,誤りであ
る。
 2 取消事由2(相違点1についての判断の誤り)
 審決は,「少なくとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物と少なくとも
1種のアノードエレクトロクロミック化合物を含む溶液を有し,可逆性のある自己
消去式溶液相エレクトロクロミックデバイス」が周知技術であることの根拠とし
て,特公昭57-35741号公報(甲第13号証),特公昭60-8069号公
報(甲第14号証)を挙げるにすぎず,周知性を示す証拠はない。これらの公報
は,いずれもディスプレイデバイスを開示するもので,ディスプレイデバイスは,
特定の状況において動作するものにすぎず,自動車用ミラーには使えないから,審
決が引用する文献に記載された技術を引用例1に適用して訂正第1~第3群発明に
至ることはできない。
 ディスプレイデバイスを自動車用ミラーに使えない理由は以下のとおりである。
 ① ディスプレイデバイスにおいては,赤,青,緑など様々な色に着色されるか
らこそ,ディスプレイになるのであり,全面が全部同じ色になっても,ディスプレ
イとしては意味をなさないのに対し,自動車用ミラーでは視認面全体が均一に着色
しなければならない。
 ② ディスプレイデバイスでは,RGB方式のように,色のついた状態から別の
色のついた状態に変わるものが使われており,実際に,上記公報のほとんどの実施
例も,色のついた状態から,別の色のついた状態への変化を記載しているのに対
し,自動車用ミラーとしては,まず対象物が正確に視認し得る透明状態になること
が大前提であり,彩度が非常に低く(モノクロ状態で)光の透過量を広い範囲で変
えることが求められているのであって,特定の色を発色させるようなものは自動車
用ミラーとして使いものにならない。また,ディスプレイデバイスでは,エネルギ
ーを外部(電池,AC電源など)から供給し,光源からの光は,溶液を1回しか通
過しないので,溶液における透過率はそれほど厳しく要請されないのに対して,単
一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックミラーの場合,外部光をエネルギ
ー源とし,光が溶液を最低でも往復2回通過し(光に往路と復路があるからミラー
になる),溶液における透過率は,最終的な反射率に2乗で効いてくるので,高く
なければならない。
 ③ ディスプレイデバイスのドットは,On-Offの2値に着色すれば足りる
のに対し,自動車類用ミラーでは外部光の強さに応じて反射率のグレースケール制
御をすることが好ましい。
 ④ 周知技術として引用された文献のディスプレイデバイスの溶液は,自動車類
用ミラーにおける使用に耐える可逆性を有するかどうか不明である。
 ⑤ 周知技術として引用された文献のエレクトロクロミック媒体は高度に不安定
で,自動車における使用条件を念頭に置いていない。
 3 取消事由3(相違点2についての判断の誤り)
 審決は,相違点2について,「引用例2に記載されている酸化インジウム・酸化
錫(ITO)を用い,基板上に形成する透明電極層の面抵抗を20Ω/□以下程度
のものとすることは当業者が容易に想到することができる」とするが,以下の理由
で誤りである。
 ① 引用例2は,自動車用ミラーへの応用を予測させるものではない。
 ② 引用例2の多区画型の固体デバイスは,単一区画型とは原理が異なる。
 ③ 引用例1と引用例2とでは,透明電極を光が通過する回数が異なるため要求
される特性が異なる。透明電極の性能として,透過率とシート抵抗との間にはトレ
ードオフの関係があるから,透過率が高くなおかつシート抵抗が低い透明電極を作
ることは難しい。
 ④ 電極層のシート抵抗を小さくすることには,デメリットが伴う。特定のシー
ト抵抗以下で,自動車用に適した均一な着色性とクリアリングの速さが実現される
という顕著な効果が生じるものである。
 ⑤ 赤塚隆夫編「エレクトロニクス用語事典」トヨタ自動車株式会社昭和61年
12月26日発行305頁(甲第10号証)には,光透過率が90%以上ある透明
電極は,面抵抗数十Ω/□(すなわち40~50Ω/□程度)が限界であったこと
が示されており,40オームパースクエア以下のシート抵抗を自動車類用ミラーに
用いることは当時の技術常識を超えていた。
 4 取消事由4(相違点3についての判断の誤り)
 審決は,相違点3について,引用例1の電解液14が常態で透明であることを根
拠に,「引用例1の防眩ミラーについて最高反射率が70%を超え,最低反射率が
10%未満となるようなエレクトロクロミック化合物を用いてみようとの目標設定
自体は,当業者が容易に想到し得る設計事項であるといえる。」とするが,引用例
1の電解液14がどの程度の光の透過率を有するかは不明で,引用例1は単一の酸
化還元可能な化合物を開示するのみである。最高反射率が70%を超え,最低反射
率が10%未満とするために実現不能と考えられていた自己消去式溶液相エレクト
ロクロミックデバイスを採用することは,当業者が容易に発明し得るものではな
い。
 被告は「本件請求項17に係る発明に対応する実施例が,記載されていないので
あるから,このような発明の構成を具体的に開示せずに特許請求の範囲に単なる願
望を記載したものを特許することはできない。」と主張するが,甲第6号証の宣言
書のサンプル2は,訂正明細書に記載されたものであるし,訂正明細書の例7の表
1の4番目の化合物の組合せは,本件特許請求の範囲の除外要件である(C)の
「少なくとも2種の化学的酸化波を表示し」の要件を満たさない(甲第21号
証(JournaloftheAmericanChemicalSociety,Vol.123,No.37,2001,
pp.9112-9118),甲第18号証の宣言書)から,本件特許に対応する実施例であ
り,この組合せを使用したミラーは最高反射率が70%を超え,最低反射率が10
%未満であった(甲第19号証,甲第26号証の各宣言書)。
 5 取消事由5(相違点4についての判断の誤り)
 審決は,相違点4について,「引用例3・・・は,「有意の程度に不可逆反応が
起こ」らないように電位差をかけることを示唆するものと認められるから,相違点
4における訂正第3群発明の構成は,引用例3に記載されたものに基づいて当業者
が容易になし得たものである」と判断するが,引用例1記載のものは,反射率を下
げると不可逆反応が起こることが深刻で(甲第7号証の供述書,甲第6号証の宣言
書),引用例3に記載のものは引用例1に記載のものと同じ化合物を使っているの
で,不可逆反応が起こることは同じであり,引用例1と引用例3を組み合わせて
も,不可逆反応の問題を解決できないことは明らかである。なお,引用例3記載の
ものは,不可逆反応が起こらないことをいうものではない。
第4 当裁判所の判断
 1 取消事由1(引用例1の認定の誤り)について
 (1) 「カソードエレクトロクロミック化合物」について
 審決は,訂正第1~第3群発明と引用例1記載の発明との相違点1として,「単
一区画型自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスの溶液が,訂正第1群発
明では,少なくとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物及び少なくとも1
種のアノードエレクトロクロミック化合物を含むのに対して,引用例1に記載され
たものは,少なくとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物を含むにとどま
り,該カソードエレクトロクロミック化合物が,アノード成分及びカソード成分と
して酸化還元される機能を有する点」を認定し,引用例1記載の発明における「少
なくとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物」を「少なくとも1種のカソ
ードエレクトロクロミック化合物及び少なくとも1種のアノードエレクトロクロミ
ック化合物」に置き換えることが容易であるか否かについての検討を加えている。
 したがって,取消事由1(1)における審決の誤りの有無は,相違点1の判断誤りに
関する取消事由2において検討する。
 (2) 「自動車類用」について
 本件特許請求の範囲1,17,26の「自動車類用可変反射率エレクトロクロミ
ックミラー」との記載は,単にエレクトロクロミックミラーの用途を自動車類に限
定したことを意味すると解するのが相当であり,「自動車類用」との文言が記載さ
れているというだけで,「自動車類に用いられるのに特に適した」との技術的意味
を有するとまで認めることはできない。原告が指摘する訂正明細書(甲第29号
証)の【0008】~【0014】には,自動車類用ミラーに必要な条件が記載さ
れてはいるものの,これらの記載は,特許請求の範囲に記載された構成要件によっ
て特定された訂正第1~第3群発明が,これらの条件を実際に達成したことを意味
するものではない。引用例1(甲第3号証)にはこれに対応して,「本発明は,後
続車のヘッドランプ等の光線によって運転者が眩惑するのを防止すべくなした防眩
ミラーに関するものである。」(1頁右下欄)と記載されているから,引用例1に
記載されたミラーは自動車類に用いられるものであると解することができる。
 したがって,引用例1のミラー装置は自動車類用ということができるとした審決
の認定に,誤りはない。
 2 取消事由2(相違点1についての判断の誤り)について
 (1) 原告は,「少なくとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物と少なく
とも1種のアノードエレクトロクロミック化合物を含む溶液を有し,可逆性のある
自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイス」は周知ではなく,ディスプレイ
デバイスの分野で公知であるにすぎず,ディスプレイデバイスは自動車用ミラーに
は使えないと主張する。
審決が周知技術を示す文献として引用した特公昭57-35741号公報(甲第
13号証)には,「本発明は可逆的エレクトロクロミック表示装置に係る。この装
置は,トリアリール・ピラゾリン化合物とその相補型酸化還元材料とを用いて達成
されるエレクトロクロミック効果を用いている。」(2欄7~11行),「本発明
においては,エレクトロクロミック着色反応は,トリアリール・ピラゾリン化合物
が陽極において酸化されそしてそれと同時に適当な酸化還元材料が陰極において還
元されることによって生じる。」(3欄33~36行),「この電気化学的な釣合
はセル動作に好ましい可逆性を生じる。」(4欄4~5行),「像の消去は,対称
的なセルにおいて,セルを短絡させることにより又は逆の極性の電位を瞬間的に加
えることによって達成される。」(4欄14~16行)と記載され,また,特公昭
60-8069号公報(甲第14号証)には,「この発明はエレクトロクロミック
(電気変色性,EC)デイスプレイ装置に関する。この発明の目的は,酸化並びに
還元の両状態で長期間安定しているECデイスプレイ装置を提供すること,並びに
比較的長時間顕著なEC可逆性を有するECデイスプレイ装置を提供するこ
と・・・である。」(2欄7~15行),「本発明のEC反応は,陽極における置
換フルオレン化合物の酸化と,陰極における他の第二の物質の還元が同時に発生し
て起こる。・・・上記第二の物質は電子を受けとる性質のあるアクセプタ化合物
で・・・ある。上記のアクセプタ化合物が置換フルオレン化合物の酸化の際,還元
して,溶液全体の電気化学的なバランスを保つ。アクセプタ化合物の還元の際に変
色が発生して,置換フルオレン化合物の変色に加わって,合体の変色を強化するこ
ともある。変色を消去するには電極を短絡するか逆電位を与える。」(3欄24~
38行)と記載されていること,そして,この2つの公告公報に対応する公開公報
が,それぞれ,昭和53年(1978年),昭和54年(1979年)と,本件優
先権主張日の1986年の相当程度前に既に頒布されていたことを勘案すれば,
「少なくとも1種のカソードエレクトロクロミック化合物と少なくとも1種のアノ
ードエレクトロクロミック化合物を含む溶液を有し,可逆性のある自己消去式溶液
相エレクトロクロミックデバイス」は,少なくともディスプレイデバイスの分野で
は周知であったと認めるのが相当である。
 しかも,引用例1には,「反射ミラー1の電解液14が透明状態にある時,スイ
ッチ機構21をオンして電源22を反射ミラー1の透明電極12,12′に入力さ
せると,電解液14は,酸化還元反応を起こすが,その還元反応の時に発色(青
色)現象が生じて,第6図に示すように発色濃度が高まる。したがって,発色現象
によって電解液14の透光率が減少するので,反射ミラー1からの反射光を減光さ
せることができる。また,前記の減光状態からスイッチ機構2をオフさせると,電
解液14は可逆反応が起こって速やかに透明状態に戻るので,高い反射率を維持す
ることができる。」(3頁左上欄13行~右上欄5行),「以上の実施例より明ら
かなように,本発明は,酸化還元可能な有機物質を不活性溶媒に溶解させて電解液
を生成し,この電解液の発色現象を利用して反射率を変更できるように構成したの
で,・・・」(3頁右上欄18行~左下欄1行)と記載されており,引用例1の反
射ミラーは,電解液が透明状態と発色状態をとることにより反射率が変化するもの
であることが認められるところ,特公昭57-35741号公報(甲第13号証)
には「・・・2.1ボルトに設定された直流電源を用いて付勢され,その結果略無
色の溶液が橙色に変化した。」(実施例V),特公昭60-8069号公報(甲第
14号証)には「ディスプレイに応用するため,その片方か両方が透明につくられ
た一対の電極の間に,この化合物を溶媒にとかした液を入れ電位を加える。すると
陽極近辺で色吸収を起こす物質が形成され,無色から濃紺への変色(発色と称して
もよい)が発生する。」(3欄16~21行)と記載されているように,これらの
周知技術においても溶液が透明状態と発色状態をとり得るものであるから,これを
ミラーに用いれば反射率を変化し得るものであることは容易に予想できることであ
る。
 加えて,特開昭55-156901号公報(乙第7号証)には,「本発明はミラ
ー(例えば,ルームミラー,サイドミラー等を総称していう)に関し,主として自
動車,オートバイ等の乗り物のミラーに関する。」(1頁右下欄),「本発明電子
制御ミラーの鏡面を電子制御的にマスクする部材としては,主として液晶ディスプ
レイが使用されるが,この他に,例えばECU(ElectrochromicDisplay)あるいは
EPID(ElectrophoreticImageDisplay)を使用できる。」(2頁右上欄14~
18行)と記載され,特開昭55-6357号公報(乙第8号証)には,電圧印加
により可逆的な発消色を示すエレクトロクロミック素子に関し,「用途としては表
示装置以外にも,光変調ガラスとしてカーテンレスの窓,自動車用防眩ミラー,光
量可変のサンバイザー,光量を調節できる眼鏡等に利用できることはもちろんであ
る。」(3頁右下欄11~14行)と記載されていることから,エレクトロクロミ
ックディスプレイを自動車用ミラーに使用する例や,ディスプレイとしても自動車
用ミラーとしても使用できるエレクトロクロミック物質の存在が知られていたこと
も認められる。
 そうすると,ディスプレイの分野で周知であった「少なくとも1種のカソードエ
レクトロクロミック化合物と少なくとも1種のアノードエレクトロクロミック化合
物を含む溶液を有し,可逆性のある自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイ
ス」を,引用例1の可変反射率ミラーに適用してみようとする動機付けは十分に存
在すると認めることができる。
 (2) 原告は,自動車用ミラーには,均一な着色,高い透過率,グレースケール制
御,使用に耐える可逆性,高度な安定性が要求されるのに対し,ディスプレイデバ
イスは,このような条件を満たさないから自動車用ミラーに使用することができな
いとする。
 しかしながら,訂正第1~第3群発明において(A)~(D)の要件を満足する
ものを除いた構成要件によって定義されるミラーが,上記各条件を実際に達成した
ものであることを具体的に裏付ける記載は,訂正明細書(甲第29号証)には認め
られないから,このような条件を満足する高性能のミラーを作るのでなければ,デ
ィスプレイデバイスが上記の条件を満たさないということは,周知のディスプレイ
デバイス用のエレクトロクロミック化合物を自動車類用ミラーに適用することを阻
害する要因にはなり得ない。
 (3) したがって,相違点1に係る構成は,当業者が適宜なし得たものであるとし
た審決の判断に,誤りはない。
 3 取消事由3(相違点2についての判断の誤り)について
 (1) 訂正明細書(甲第29号証)には,シート抵抗について,「電極層の厚さは
好ましくは,これが100オームパースクエア以下,より好ましくは40オームパ
ースクエア以下の抵抗率を持つものである。」(19頁4~5行)と記載されてい
るのみで,シート抵抗を40オームパースクエア以下とすることの技術的意義につ
いては記載されておらず,「例」においても,シート抵抗の値は具体的に示されて
いない。
 なお,甲第6号証(Tの宣言書)において,ジオクチルビオロゲンと5-エチ
ル,10-メチルフェナジンとの混合物について,100オームパースクエアのサ
ンプル1と,12オームパースクエアのサンプル2とを作成し,自動車用ミラーと
しての特性を測定した結果,訂正第1群発明で規定されたシート抵抗の範囲内であ
るサンプル2のみが自動車用可変反射率ミラーとして使用できると結論づけている
が,甲第6号証の実験で使用された2つの化合物は,それぞれ訂正明細書に記載さ
れた式II,式Vの下位概念の化合物であることは認められるものの,この特定の2
成分の組合せは,訂正明細書に具体的に記載されていないばかりでなく,そもそ
も,前記のとおり,シート抵抗40オームパースクエア以下という範囲が特定の特
性を発揮する等の技術的意義を有するものであることについて,訂正明細書に記載
されていないのであるから,結局,甲第6号証は,明細書に記載されていない事項
を証明しようとするものであって,採用することはできない。
 シート抵抗の範囲の技術的意義が明らかでない以上,訂正第1群発明において規
定されたシート抵抗の範囲は,好ましい範囲を単に設定したという以上の意味は持
たないものと解するほかない。
 (2) 引用例2には,「エレクトロクロミック調光体に反射層を設けた調光ミラ
ー」に関して,「この透明電極2は,例えばITOを材質として用いた場合には,
蒸着法やスパッッター法により表基板1上に面抵抗値が20Ω以下程度に形成する
ことが望ましい。」(2頁左上欄下から2行~右上欄3行)と記載されていること
が認められる。引用例2に規定された面抵抗値20Ω以下という数値範囲を有する
電極を,引用例1に直接適用することが,原告が主張する両者の原理や特性の相違
などの理由により困難であるとしても,引用例2の上記記載からは,エレクトロク
ロミック物質を用いるミラーにおいて電極の面抵抗値を望ましい範囲に設定するこ
とが公知であったことが認められるから,引用例1のミラーにおいても電極の面抵
抗値を好ましい範囲に設定することは,当業者が容易になし得ることと認められ
る。
 原告は,透過率が高くてなおかつシート抵抗が低い透明電極を作ることは難しい
とか,特定のシート抵抗以下で自動車用に適した均一な着色性とクリアリングの速
さが実現されるなどと主張するが,訂正明細書には,透過率が高くてなおかつシー
ト抵抗が低い透明電極を実現したことや特定のシート抵抗値以下にすることによる
効果については記載されていないのであるから,原告の主張は明細書の記載に基づ
かないものであって採用できない。また,原告は,甲第10号証(赤塚隆夫編「エ
レクトロニクス用語事典」トヨタ自動車株式会社,昭和61年12月26日発行,
305頁)の記載を根拠に,シート抵抗値40オームパースクエア以下のシート抵
抗を自動車類用ミラーに用いることが当時の技術常識を超えていたとも主張する
が,甲第10号証の該当記載は「現在,光透過率90%以上,面抵抗数10Ω/□
の物が得られている。」というものであり,この記載が原告の主張を裏付けるもの
ということはできない。
 (3) したがって,相違点2に係る構成が容易推考であるとした審決の判断に誤り
はない。
 4 取消事由4(相違点3についての判断の誤り)について
 (1) 訂正第2群発明は,(A)~(D)の要件を満足するものを除くことによっ
て定義されるものであるところ,訂正明細書に記載されたいずれの「例」において
も,それぞれの例で使用された化合物が(B)あるいは(C)の要件を満足するも
のであるか否かについて具体的に記載されていないため,これらの「例」は訂正第
2群発明を具体化した実施例であるとは認められない。この点について原告は,甲
第6号証のサンプル2は訂正明細書に記載されたものであるし,訂正明細書の例7
の表1の4番目の化合物の組合せは本件特許に対応する実施例であり,この組合せ
を使用したミラーは,最高反射率が70%を超え,最低反射率が10%未満である
と主張する。
 しかしながら,訂正明細書には,前記のとおり,甲第6号証の実験で使用された
2つの化合物の組合せが具体的に記載されていないばかりでなく,この特定の組合
せをミラーに使用することや,ミラーに使用した場合にどのような反射率となるの
かについての記載がないから,甲第6号証は,明細書に記載されていない事項を証
明しようとするものであって,理由がない。
 また,原告は,甲第21号証(JournaloftheAmericanChemicalSociety,
Vol.123,No.37,2001,pp.9112-9118)及び甲第18号証(Tの第2宣言書)によ
って,例7の表1の4.の10-メチルフェノチアジンが一つの可逆的酸化波と一
つの不可逆酸化波を有するものであることを証明し,甲第19号証(Tの第3宣言
書)及び甲第26号証(Tの第6宣言書)によって,例7の表1の4.の組合せを
ミラーに適用すると,70%を超える反射率から10%未満の反射率が得られるこ
とを証明しようとしている。しかしながら,訂正明細書(甲第29号証)の例7に
は,「例3に示したデバイスと本質的に同じ方法で作成し,下記の表1に示すエレ
クトロクロミック化合物の炭酸プロピレン溶液を充填したデバイスは例1~6に示
したものと同様に自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスとして作動する
ことが認められた。」(【0122】)と記載され,例8において「多数の化合物
を本発明の単一区画型自己消去式溶液相デバイスにおいて,炭酸プロピレンを溶剤
として,アノード又はカソードエレクトロクロミック化合物としての受容可能性に
つき試験した。・・・炭酸プロピレンを溶剤としてこれらの受容可能性及び望まし
さの基準に適合することが認められた化合物はすべて,例1~7のいずれかに詳述
したもの,・・・であった。」(【0124】,【0129】)ことなどが記載さ
れているだけで,反射率の測定値についてはもちろん,ミラーとして作動すること
についての記載すらないのであるから,例7に記載された特定の化合物の組合せで
ミラーを作成してその反射率を測定することは,明細書に記載されていない事項を
証明しようとするものであって,採用することはできない。
 そうすると,訂正第2群発明において(A)~(D)の要件を満足するものを除
くことによって定義される,「最高反射率が70%を超え,最低反射率が10%未
満である」ミラーは,訂正明細書には具体的に記載されていなかったと認められ,
そうである以上,訂正第2群発明において規定された上記反射率の範囲は,発明の
詳細な説明において具体的に裏付けられていない範囲を,単に設定したにすぎない
ものである。
 (2) 2(1)で認定したとおり,引用例1記載のものは,電解液が透明状態と発色
状態をとることによりミラーの反射率が変化するものであることが認められ,少な
くともディスプレイデバイスの分野においては周知であったと認められる「少なく
とも1種のカソードエレクトロクロミック化合物及び少なくとも1種のアノードエ
レクトロクロミック化合物」の組合せも,透明状態と発色状態をとり得ることが認
められるから(特公昭57-35741号公報及び特公昭60-8069号公報,
甲第13及び第14号証),引用例1記載のものに当該周知技術を適用して得られ
るミラーにおいても,反射率は当然に変更可能なものと解され,このように変更可
能な反射率の望ましい範囲を設定することは,当業者が容易になし得ることと認め
られる。
 (3) 原告は,最高反射率が70%を超え,最低反射率が10%未満とするため
に,実現不能と考えられていた自己消去式溶液相エレクトロクロミックデバイスを
採用することは,当業者が容易に発明し得ないと主張するが,訂正明細書において
も,訂正第2群発明の構成要件によってこのような反射率が実現されたと認められ
る記載はないのであるから,原告の主張は理由がない。
 (4) したがって,「引用例1の防眩ミラーについて最高反射率が70%を超え,
最低反射率が10%未満となるようなエレクトロクロミック化合物を用いてみよう
との目標設定自体は,当業者が容易に想到し得る設計事項であるといえる」とした
審決の相違点3についての判断に,誤りはない。
 5 取消事由5(相違点4についての判断の誤り)について
 (1) 引用例1には,「第7図及び第8図は本発明による他の実施例を示してい
る。この実施例は駆動回路2のスイッチ機構21と電源22との間に,電気量(電
圧又は電流)可変装置23を介装させ,該電気量可変装置23によって電気量を任
意に調節することにより,電解液14の透光率を無段階に変更できるようになって
いる。すなわち,電解液の発色濃度の度合と電気量とが相対的な比例関係にあるの
で,第8図に示すように電気量に応じて透光率が減少する。その結果反射ミラー1
の反射率を無段階にかつ連続的に変更させることができる。」(3頁右上欄6~1
6行)と記載されるとともに,第8図に電気量と透光率との関係が連続した実線の
グラフで示されているところ,第8図は透光率の全範囲にわたって透光率が連続的
に変化可能であることを示すもので,反射率は透光率に対応して変化するものであ
ると解されるから,結局,引用例1には,電位差の関数として反射率の全範囲にわ
たって反射率が変化可能であることが示されているものと認められる。
 一方,引用例3(甲第5号証)には,「・・・増幅器22からの出力信号Vin
が規定レベルVmを超えた場合には,クリップ回路23は規定レベル値Vmに抑え
て,これに対応する電気量Vaを透明電極12,12′に印加する。すなわち,光
センサ21に著しく過度の光が入射しても,クリップ回路23によって過度の出力
信号が抑えられるので,電解液14は過大な電気量のために化学的な副反応等を生
じることがない。」(3頁左下欄15行~右下欄2行)と記載されており,引用例
3では過大な電気量を抑えることで,化学的副反応を抑えていることが認められ
る。そして,訂正明細書(甲第29号証)には「不可逆反応(たとえば溶剤の電
解,不活性な電流搬送電解質の還元又は酸化,エレクトロクロミック化合物の単分
子分解反応など)」(【0080】)と記載されており,ここで例示される反応は
いずれも,エレクトロクロミック化合物の酸化還元反応以外の反応であると認めら
れるから,訂正第3群発明における「不可逆反応」と引用例3でいう「化学的副反
応」とは同義であると認められる。
 そうすると,引用例1における電位差を変化させて反射率を連続的に変更するに
際し,引用例3に示された,不可逆反応が起こらないような電気量をかけるという
手段を適用することは,当業者が容易に想到する程度のものということができる。
 原告は,引用例3に記載のものは引用例1に記載のものと同じ化合物を使ってい
るので不可逆反応が起こることは同じであると主張するが,引用例3記載のもの
が,反射率を下げると不可逆反応が深刻だとされる引用例1記載のものと同じ化合
物を使っているとしても,引用例3記載のものでは過大な電気量を抑えることによ
り,不可逆反応が起こることを防止していると認められるのであるから,原告の主
張は理由がない。
 (2) したがって,相違点4についての審決の判断にも誤りはない。
第5 結論
 以上のとおりであって,原告主張の審決取消事由は理由がないので,原告の請求
は棄却されるべきである。
  東京高等裁判所第18民事部
      裁判長裁判官塚  原  朋  一
         裁判官塩  月  秀  平
裁判官古  城  春  実

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