弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役三月及び判示第一の罪について罰金千円に判示第二の罪に
ついて罰金二万円に判示第三の罪については罰金五千円に各処する。
     但し本裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
     右の罰金を完納することができないときは金二百円を一日に換算した期
間被告人を労役場に留置する。
     昭和二十五年六月二十六日大蔵事務官A差押にかゝる証第一号第三号第
五号第七号乃至第十五号はいづれもこれを沒収する。
     原審における訴訟費用は全部被告人の負担とする。
         理    由
 弁護人原定夫主張の控訴趣意は末尾に添附した別紙控訴趣意書と題する書面記載
のとおりで、これに対する当裁判所の判断は、次のとおりである。
 <要旨>第一点について、原判決挙示の証拠によれば、被告人は酒類密造の原料に
供する目的で原判示麹の製造をしたことが明らかである。ところで、酒類の
密造は酒税法の厳に禁止するところであるから、かような不法の目的に供するため
麹を製造することは、たとい密造酒類を他に販売しないで自家用に供する意図であ
つたとしても酒税法第十六条但書にいわゆる「自己又は同居の親族の用にのみ供す
る目的であるとき」に該当しないものと解するを相当とする。されば、原判決が、
原判示第三の無免許麹製造の所為に対し酒税法第十六条本文第六十条を適用処断し
たのは相当であつて所論のような事実の誤認は認められない。次に、免許を受けな
いで麹を製造する行為は、それが濁酒製造のためその手段としてなされたものであ
つても、未だ濁酒製造の原料に供せられないでその段階に止まつている限り、独立
の犯罪として処罰の対象となるものであることは、酒税法第十四条第十六条第六十
条第六十二条の各規定を対照することによりおのづから明瞭であり更にまた刑法第
五十四条第一項後段の「犯罪の手段たる行為」は犯罪の性質上通常他の種の犯罪の
手段として用いられるかどうかを標準として定めらるべきものであるところ、原判
示第三の麹の無免許製造行為はその性質上、通常、原判示第二の酒類無免許製造行
為の手段として用いられるものということはできないのである。されば原判示第三
の行為は原判示第二の行為に吸収せられ罪とならないか、少くとも右両者は牽連犯
を構成し併合罪の関係に立たないとの所論は当らない。それ故原判決には所論のよ
うな法令の適用を誤つた違法はない。
 第二点について、所論に鑑み、訴訟記録及び原裁判所において取り調べた証拠を
精査検討するに、原判決の科刑には量刑不当の点が認められるので、論旨は理由が
あり、原判決はこの点において破棄を免れない。そこで当裁判所は刑事訴訟法第四
百条但書に従い、更に本件について、次のとおり判決することゝする。原判決の認
定した事実を法律に照すと、被告人の原判示所為中第一(焼酎の無免許製造)、第
二(濁酒の無免許製造)の点は各酒税法第十四条第六十条第一項罰金等臨時措置法
第二条に、第三(麹の無免許製造)の点は酒税法第十六条第六十二条第一項罰金等
臨時措置法第二条にそれぞれ該当するので、判示第一の罪については所定刑中罰金
刑を選択し、判示第二、第三の罪については酒税法第六十三条の二を適用して情状
に因り懲役と罰金を併科すべきところ、以上は刑法第四十五条前段の併合罪である
から、懲役刑については同法第四十五条前段第四十七条第十条に則り重い判示第二
の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内において被告人を懲役三月に処し罰金刑に
ついては酒税法第六十六条に則り被告人を判示第一の罪について罰金千円に判示第
二の罪について罰金二万円に、判示第三の罪について罰金五千円にそれぞれ処すべ
く、なお情状に鑑み、刑法第二十五条を適用し本裁判確定の日から三年間右懲役刑
の執行を猶予すべく、右の各罰金不完納のときは同法第十八条により金二百円を一
日に換算した期間被告人を労役場に留置すべく、主文第五項掲記の物件は本件犯罪
により生じたもの又は本件犯罪の用に供したものであるから酒税法第六十条第四項
第六十二条第二項によりいづれもこれを没収し、原審における訴訟費用は刑事訴訟
法第百八十一条第一項に従い、その全部を被告人をして負担せしめる。
 よつて、主文のとおり、判決する。
 (裁判長裁判官 平井林 裁判官 久利馨 裁判官 藤間忠顕)

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