弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 検察官の上告受理申立理由第一点中時限爆弾に関する部分について。
 爆発物取締罰則にいわゆる爆発物とは、理化学上の爆発現象を惹起するような不
安定な平衡状態において薬品その他の資材が結合せる物体であつて、その爆発作用
そのものによつて公共の安全をみだし又は人の身体財産を傷害損壊するに足る破壊
力を有するものを指称すると解するのが相当であり、ここに理化学上の爆発現象と
いうのは、通常ある物体系の体積が物理的に急激迅速に増大する現象すなわち物理
的爆発竝びに物質の分解又は化合が極めて急速に進行し、かかる化学変化に伴つて
一時に多量の反応熱およびガスを発生して体積の急激な増大を来たす現象すなわち
化学的爆発を指すものであるとすることは、当裁判所の判例とするところである(
昭和二八年(あ)第二八七八号、同年一一月一三日第二小法廷判決、集七巻一一号
二一二一頁。同二九年(あ)第三九五六号、同三一年六月二七日大法廷判決、集一
〇巻六号九二一頁)。
 原審の維持した第一審判決の認定によれば、本件時限爆弾と称するものは、八五
粍×六五粍×四八粍の味の素の空罐に約七、八分目の黒色火薬を入れ、蓋に径約一
〇粍の穴をあけ、その穴から釣竿の継手部分を切断して作成した長さ七五粍、径一
二粍の竹筒を突つ込み、その内部に、黒色火薬を底部に塩素酸加里砂糖の混合物を
上部に各填入し、更に右筒内に底部にゴムサツク四枚を張つた長さ五〇粍、径五粍
の小試験管を差し込み、その内部に純度約九〇%の濃硫酸を充満させ、最後に全体
を径約二、三粍の鉄線で緊縛した構造であり、先づ右ゴム膜を浸透した硫酸が竹筒
内の塩素酸加里および砂糖と反応して発火し、更に罐内の黒色火薬に引火して爆発
させようとするものであるというのであつて、右認定は第一審判決挙示の証拠によ
りこれを肯認することができる。然るに右時限爆弾と称するものは、同判決がその
挙示する各鑑定人の鑑定書により認定している如く、その容器が脆弱な味の素の空
罐であり、かつ工作が稚拙であつて、火薬の燃焼により生成されたガスが上部の孔
から急速に噴出するため、(なお鑑定人A、同B、同C、同Dの各鑑定書によれば
内容物である黒色火薬もその成分の配合割合が不適当なため十分に性能を発揮し得
ないものであつたことが窺われる。)完全な爆発に至らず、右容器を破壊すること
さえできなかつたことが明らかである。
 然らば本件時限爆弾と称するものは、右の限度においては未だもつて公共の安全
をみだし又は人の身体財産を傷害損壊するに足る爆発力を有するものとは認め難い
から、たとえ被告人等がこれを時限爆弾として爆発せしめる目的で製造したもので
あつたとしても、爆発物取締罰則にいわゆる爆発物に該当しないものというべく、
所論は独自の見解に立つて右判断と相反する主張をするものであつて、これを採用
することができない。
 よつて、本件上告は理由がないから、刑訴四一四条、三九六条により裁判官全員
一致の意見で主文のとおり判決する。
 検察官 中村哲夫公判出席
  昭和三四年八月二八日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一
 裁判官藤田八郎は出張につき署名押印することができない。
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重

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