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平成13年(行ケ)第597号特許取消決定取消請求事件(平成15年10月8日
口頭弁論終結)
          判    決
       原    告     ミネベア株式会社
       訴訟代理人弁護士   清 永 利 亮
       同    弁理士   萼   経 夫
       同          宮 崎 嘉 夫
同          井 上 元 廣
       同          中 野 修 身
       同          小野塚   薫
被      告   特許庁長官 今 井 康 夫
指定代理人      村 本 佳 史
同          前 田 幸 雄
同          常 盤   務
同          伊 藤 三 男
同          大 野 克 人
同          宮 川 久 成
          主    文
      特許庁が異議2000-74405号事件について平成13年11月
20日にした決定を取り消す。
      訴訟費用は原告の負担とする。
          事実及び理由
第1 請求
   主文と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
 1 特許庁における手続の経緯
  (1) 原告は,名称を「軸受装置」とする特許第3054858号発明(平成9
年5月14日出願,平成12年4月14日設定登録。以下「本件発明」といい,そ
の特許を「本件特許」という。)の特許権者である。
    その後,本件特許につき特許異議の申立てがされ,同申立ては,異議20
00-74405号事件として特許庁に係属した。原告は,平成13年5月21
日,本件特許出願の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の特許
請求の範囲【請求項2】を削除し,同【請求項3】を繰り上げ,発明の詳細な説明
の記載について訂正する請求(以下「本件訂正請求」という。)をした。特許庁
は,上記事件につき審理した結果,同年11月20日,「訂正を認める。特許第3
054858号の請求項1及び2に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件
決定」という。)をし,その謄本は,同年12月8日,原告に送達された。
  (2) 原告は,同月28日,本件決定の取消しを求める本件訴えを提起した後,
平成15年6月27日,本件明細書の特許請求の範囲の【請求項2】及び【請求項
3】を削除した上,特許請求の範囲及び発明の詳細な説明等の記載の訂正(以下
「本件訂正」という。)をする訂正審判の請求をし,特許庁は,同請求を訂正20
03-39133号事件として審理した結果,同年9月8日,本件訂正を認める旨
の審決(以下「訂正審決」という。)をし,その謄本は,同月19日,原告に送達
された。
 2 本件明細書の特許請求の範囲【請求項1】及び【請求項2】の記載(以下,
その発明を「本件第1発明」及び「本件第2発明」という。
  (1) 本件訂正請求に係るもの
   【請求項1】シャフトに二つの転がり軸受を並べるようにして嵌装し,該転
がり軸受の内輪に予圧が付与される軸受装置であって,前記二つの内輪のうち少な
くとも一方の内輪の幅寸法を,転がり軸受の転動体を中心にして内輪の幅方向の両
側を短くして,外輪の幅寸法に比して小さく設定したことを特徴とする軸受装置。
   【請求項2】シャフトに二つの転がり軸受を並べるようにして嵌装し,該転
がり軸受の外輪に予圧が付与される軸受装置であって,前記二つの外輪のうち少な
くとも一方の外輪の幅寸法を,転がり軸受の転動体を中心にして外輪の幅方向の両
側を短くして,内輪の幅寸法に比して小さく設定したことを特徴とする軸受装置。
  (2) 本件訂正に係るもの(訂正部分には下線を付す。【請求項2】は,本件訂
正により削除された。)
   【請求項1】トップカバーを基台に取り付けるための固定ねじを挿通する孔
が貫通形成され,かつ,シャフト本体の一端側に基台側に位置させて基台に取り付
けられるフランジが形成された,フランジ部付きの筒状のシャフトに,一方の内輪
が前記フランジ部に接した状態で二つの転がり軸受を並べるようにして嵌装し,該
転がり軸受の内輪に予圧が付与されるカードタイプの超薄型のハードディスクドラ
イブ装置に備えられるスイングアーム用の軸受装置であって,前記二つの内輪とも
幅寸法を,転がり軸受の転動体を中心にして内輪の幅方向の両側を短くして,外輪
の幅寸法に比して小さく設定したことを特徴とする軸受装置。
 3 本件決定の理由
   本件決定は,本件訂正請求に係る訂正について,特許法120条の4第2項
及び第3項において準用する同法126条2項及び3項の規定に適合するとしてこ
れを認め,本件発明の要旨を,本件訂正請求に係るもののとおり認定した上,本件
第1発明は,実公平4-48120号公報に記載された発明であって,特許法29
条1項3号の規定により特許を受けることができないものであり,本件第2発明
は,特開平6-235419号公報及び特開平1-229114号公報に記載され
た発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって,同条2項
の規定に違反して特許されたものであるから,本件第1発明及び本件第2発明は,
同法113条2項に該当し,取り消されるべきものであるとした。
第3 原告主張の決定取消事由
   本件決定が,本件第1発明の要旨を本件訂正請求に係る本件明細書の特許請
求の範囲記載(第2の2(1))のとおり認定した点は,訂正審決の確定により特許請
求の範囲が上記(第2の2(2))のとおり訂正されたため,誤りに帰したことにな
る。したがって,本件決定は本件第1発明の要旨の認定を誤った違法があり,取り
消されなければならない。
第4 被告の主張
   訂正審決により本件明細書の特許請求の範囲が上記のとおり訂正されたこと
は認める。
第5 当裁判所の判断
   訂正審決により本件明細書の特許請求の範囲が上記のとおり訂正されたこと
は当事者間に争いがなく,本件訂正によって,本件明細書の特許請求の範囲は減縮
されたことが明らかである。
   そうすると,本件決定が本件第1発明の要旨を本件訂正請求に係る本件明細
書の特許請求の範囲記載のとおりと認定したことは,結果的に本件第1発明の要旨
の認定を誤ったこととなり,この誤りが本件決定の結論に影響を及ぼすことは明ら
かであるから,本件決定は取消しを免れない。
   よって,原告の請求は理由があるからこれを認容し,訴訟費用は、原告の申
立て等本件訴訟の経過にかんがみ,原告に負担させることとして,主文のとおり判
決する。
 東京高等裁判所第13民事部
     裁判長裁判官   篠  原  勝  美
        裁判官   岡  本     岳
        裁判官   長  沢  幸  男
  

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