弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件上告を棄却する。
当審における未決勾留日数中300日を本刑に算入する。
理由
1弁護人乘井弥生ほかの上告趣意のうち,刑訴法328条に関する判例違反を
いう点について
記録によれば,(1)第1審において,証人足立勝美の証言の後,弁護人が,消
防司令補北村輝夫作成に係る「聞込み状況書」(以下「本件書証」という。)を証
拠請求し,検察官の不同意意見を受けて,刑訴法328条による証拠採用を求めた
が,第1審裁判所が,提示命令によりその内容を確認した後,同条の書面には当た
らないとして請求を却下したこと,(2)本件書証には,上記北村が,上記足立か
ら火災発見時の状況について聞き取ったとされる内容が記載されており,その内容
には上記証言の内容とは異なる点が含まれていたこと,(3)本件書証は,聞き取
りの相手に記載内容を読み聞かせ,署名・押印を求める形式になっておらず,実際
上もそのような手続は取られていないことが認められる。
原判決は,第1審裁判所がした上記証拠請求却下に関する訴訟手続の法令違反の
主張に対して,刑訴法328条により許容される証拠は,現に証明力を争おうとす
る供述をした者の当該供述とは矛盾する供述又はこれを記載した書面に限られると
解されるところ,本件書証は,上記北村の供述を記載した書面であるから,同条の
許容する証拠には当たらないとして,第1審の証拠請求却下を是認する判断をし
た。
所論は,原判決は,供述の証明力を争う証拠としてであれば刑訴法328条によ
りすべての伝聞証拠が許容される旨の判断を示した福岡高等裁判所昭和24年
(つ)第908号同24年11月18日判決(高刑判決特報1号295頁)と相反
する判断をしたものである旨主張する。
確かに,所論引用の判例は,刑訴法328条が許容する証拠には特に限定がない
旨の判断をしたものと解され,これに限定があるとして本件書証は同条で許容する
証拠に当たらないとした原判決は,所論引用の判例と相反する判断をしたものとい
うべきである。
しかしながら,刑訴法328条は,公判準備又は公判期日における被告人,証人
その他の者の供述が,別の機会にしたその者の供述と矛盾する場合に,矛盾する供
述をしたこと自体の立証を許すことにより,公判準備又は公判期日におけるその者
の供述の信用性の減殺を図ることを許容する趣旨のものであり,別の機会に矛盾す
る供述をしたという事実の立証については,刑訴法が定める厳格な証明を要する趣
旨であると解するのが相当である。
そうすると,刑訴法328条により許容される証拠は,信用性を争う供述をした
者のそれと矛盾する内容の供述が,同人の供述書,供述を録取した書面(刑訴法が
定める要件を満たすものに限る。),同人の供述を聞いたとする者の公判期日の供
述又はこれらと同視し得る証拠の中に現れている部分に限られるというべきであ
る。
本件書証は,前記足立の供述を録取した書面であるが,同書面には同人の署名押
印がないから上記の供述を録取した書面に当たらず,これと同視し得る事情もない
から,刑訴法328条が許容する証拠には当たらないというべきであり,原判決の
結論は正当として是認することができる。
したがって,刑訴法410条2項により,所論引用の判例を変更し,原判決を維
持するのを相当と認めるから,所論の判例違反は,結局,原判決破棄の理由になら
ない。
2同上告趣意のその余の主張について
所論は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,事実誤
認,再審事由の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。なお,所
論にかんがみ調査しても,同法411条を適用すべきものとは認められない。
よって,同法408条,刑法21条により,裁判官全員一致の意見で,主文のと
おり判決する。
(裁判長裁判官上田豊三裁判官藤田宙靖裁判官堀籠幸男裁判官
那須弘平)

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