弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人本村善太郎、同森静雄の上告理由について。
 論旨は、要するに原判決が本件選挙における投票中漢字、平仮名、片仮名または
これらを混用して「D(平仮名)みちた」と読まれる投票二四五票及びこれと同様
の記載と認められる九票(以下併せてD道太票と称する。)を、候補者D道男の得
票と認めず、これを同候補者の長男D道太に宛てられた無効投票と解したのに対し、
右道太が本件選挙に立候補したと考えた選挙人はほとんどありえない実情にあつた
のにかかわらずかかる判断をしたのは、証拠を無視し、かつ経験則に反して事実を
確定し、ひいて公職選挙法の趣旨に反して投票の効力を判断したものというにある。
 本件においては、前記候補者のD家は八代地方における名家であり、道男及び道
太は上告人ら主張の経歴ないし地位にあつて、いずれも同地方の著名人であること
については、当事者間に争はないのであるが、原判決は、かかる事実及び本件にあ
らわれた全証拠によつても、上告人らの主張するように、地方民一般に、市長とい
えば父のD(道男)を意味し、代議士といえば子のD(道太)を意味するという程
度に、人物の区別が十分認識されていた事実、したがつてまた選挙人は、市長選挙
に立候補といえば直ちに父のDを想起し、子のDがこれに立候補したと考えるはず
のありえなかつた事実まではなお認めがたい旨を判示しているのである。そしてこ
の判断は、本件各証拠に徴しても、また氏名の近似する者についてはその人物に誤
認混同の生ずる虞れの考えられることからいつても、必ずしも所論のように証拠を
無視し経験則に反したものということはできない。論旨は、D道男の名が道太と誤
記されやすかつた事情を詳論するが、D道太票のすべてがD道男の名の誤記による
ものと推認するに足りない。したがつて、たとえD道太票のうちに道男の名を誤記
した投票の存在が推測されるにしても、どれだけがそのような投票であり、どれだ
けがその表示どおり道太に宛てられた投票であるかを判別できるだけの根拠の認め
がたい本件においては、結局、D道太票は、道太を選挙する意思をもつて投ぜられ
た疑のある投票と解するほかなく、D道太票のすべてを直ちにD道男の得票に算入
することが許されないことは、投票効力の判断としてやむをえないところである。
してみれば、仮に原判決がD道太票のすべてにつき候補者でない道太を表示したも
のと推認する強い事情のあるものと判断したのは妥当でないとしても、なお本件選
挙において道太に投票する意思の選挙人のありえなかつた事情が肯認しがたいかぎ
り、D道太票を無効と断じた原判決の結論は動かしがたく、論旨は採用しがたいも
のといわなければならない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    田   中   二   郎

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