弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人を懲役一〇月以上一年六月以下に処する。
         理    由
 仙台高等検察庁検察官検事醍醐政の上告趣意について。
 原判決は、本件公訴事実中、「被告人が普通貨物自動車を運転し、過つてAを、
続いてBを負傷させ、交通事故を起したのにかかわらず、右交通事故発生の日時、
場所等法令に定められた事項を警察官に報告しなかつた。」との点について、該公
訴事実の存在することを認定しながら、道路交通法七二条一項後段の報告義務は、
同条項前段の救護等の義務に対し、単に補充的意義を有するにすぎず、両者は別個
独自の義務として互いに並立するものではないとし、本件のようないわゆる「ひき
逃げ」の場合には、救護等の義務違反の罪のみが成立し、報告義務違反の罪は成立
しないとして、この点につき無罪の言渡をしたこと、及び同判決が、いわゆる「ひ
き逃げ」の場合に、右両義務の違反が成立するとした論旨引用の東京高等裁判所の
判例(東京高裁昭和三七年(う)第五五九号同年六月五日判決)と相反する判断を
したものであることは、所論のとおりである。
 よつて、審案するに、道路交通法七二条一項前段の救護等の義務と同条項後段の
報告義務は、その義務の内容を異にし、運転者等に対し各別個独立の義務を定めた
ものと解するのが相当であるから、本件のようないわゆる「ひき逃げ」の場合には
その双方の義務違反の罪が成立し、両者は併合罪の関係に立つものと解すべきであ
る(最高裁昭和三七年(あ)第五〇二号同三八年四月一七日大法廷判決、刑集一七
巻三号二二九頁参照)。
 されば、右と同趣旨に出でた所論引用の東京高等裁判所の判例は正当として支持
さるべきで、論旨は、理由があり、原判決は刑訴四〇五条三号、四一〇条一項本文
により破棄を免れない。
 よつて、同四一三条但書により被告事件につきさらに判決をすることとする。
 原判決の確定した事実に法律を適用すると、被告人の所為中、酒気帯び無免許運
転の点は、道路交通法六五条、同法施行令二七条、同法六四条、一一八条一項一号、
一二二条一項、罰金等臨時措置法二条に、酒気帯び酒酔い運転の点は、道路交通法
六五条、同法施行令二七条、同法一一八条一項二号、罰金等臨時措置法二条に、各
業務上過失致死傷の点は、各刑法二一一条前段、罰金等臨時措置法二条、三条一項
に、救護等の義務違反の点は、道路交通法七二条一項前段、一一七条、罰金等臨時
措置法二条に、報告義務違反の点は、道路交通法七二条一項後段、一一九条一項一
〇号、罰金等臨時措置法二条に、窃盗の点は、刑法二三五条に各該当するところ、
以上は同法四五条前段の併合罪であるから、各道路交通法違反罪についてはいずれ
も所定刑中懲役刑を、各業務上過失致死傷罪についてはいずれも所定刑中禁錮刑を
選択し、刑法四七条本文、一〇条により最も重い窃盗罪の刑に法定の加重をした刑
期範囲内で処断すべきところ、被告人は二〇才に満たない少年であるから少年法五
二条一項本文により被告人を懲役一〇月以上一年六月以下に処し、第一審及び当審
における訴訟費用は刑訴一八一条一項但書により被告人に負担させないこととし、
主文のとおり判決する。
 この判決は、裁判官全員一致の意見によるものである。
 検察官 高木一公判出席
  昭和三八年一二月六日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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