弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

 主文
原判決を破棄する。
本件を長崎地方裁判所厳原支部に移送する。
         理    由
 検察官の控訴趣意は、検察官提出の控訴趣意書記載のとおりであり、弁護人牟田
真の控訴趣意は、弁護人大曲実形提出の控訴趣意書記載のとおりである。
 右に対する判断。
 検察官の控訴趣意(訴訟手続の法令違反、法令適用の誤)について。
 原審が、被告人に対し、本件公訴にかかる傷害の罪にあたる事実を認定し、刑法
第二〇四条、同法第二五条を適用して、懲役四月、一年間刑執行猶予の言渡をした
事実は、記録によつて明白であり、原審の右措置が、裁判所法第三三条第二、三
項、刑訴第三三二条に違反することも明らかである。
 ところで、右の違法は、控訴理由として刑事訴訟法の定めるいずれの事由にあた
るものと解すべきかについては、いささか考究を要するものがある。傷害の罪にあ
たる事件が、地方裁判所の管轄に属するとともに、簡易裁判所の管轄に属すること
は、裁判所法第二四条第一号、第三三条第一項第二号によつて明らかである。そし
て、同法第三三条第二項は、簡易裁判所は禁錮以上の刑を科することができない。
但しこれこれの事件においては三年以下の懲役を科することができる旨を定めるの
であつて、直接的には、簡易裁判所が科することのできる刑の種類または範囲の制
限、すなわち、科刑の制限に関する規定であること明白ではあるが、同規定は、右
のように簡易裁判所における科刑を制限すると同時に、同条第一項第三項刑訴第三
三二条等との関連において、間接的には、右の制限を超える科刑を相当と認める事
件については、これを簡易裁判所の審判権の簡囲外とする趣旨、換言すれば、簡易
裁判所において相当と認めろ刑が、右の制限を超えるかどうかを標準として、その
事件に対する簡易裁判所の審判権の有無を定める趣旨をも包含するものと解するの
を相当とする。このことは、裁判所法第三三条第二項が管轄に関する規定でもある
という意味にほかならない。右が通常の管轄規定とやや趣きを異にするのは、後者
が法定刑もしくは罰条等をもつて事件区別の標準とすろのを常則とするのに対し、
前者が簡易裁判所において科するのを相当と認める刑をもつてその標準とする点で
あるが、この差異は、右の規定が管轄に関する規定であることを否定するに足りな
い。また同条第三項、刑訴第三三二条か、簡易裁判所は、所定の制限を超える科刑
を相当と認めるときは、事件を管轄地方裁判所に移送すべき旨を定め、移送の時期
を特に限定していないのも、所定の制限を超える科刑を相当と認めるときは、訴訟
進行の程度如何にかかわらず、その後においては、もはや、簡易裁判所にその事件
を審判する権限がないことを予定しているものと解せら中るのである。
 <要旨>要するに、裁判所法第三三条第二項は、簡易裁判所に対して科刑を制限す
ると同時に、右の制限を超える科刑を相当と認める事件については、これが
審判の権限、すなわち、管轄をも制限する趣旨であると解すべきであつて、右の制
限に違反する違法は、不法に管轄を認めた場合にあたるものと解するのを相当とす
る。論旨は結局理由があり、原判決は破棄を免かれみい。
 よつて、弁護人の控訴趣意に対する判断を省略し、刑訴第三七八条第一号により
原判決を破棄し、刑訴第三九九条に従い本件を管轄裁判所たる長崎地方裁判所厳原
支部に移送すべきものとし、主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 筒井義彦 判事 柳原幸雄 判事 岡林次郎)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛