弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人司波実の上告趣意第一点のうち、判例違反をいう点について。
 論旨は、原判決が、被告人の司法警察員および検察官に対する各供述調書の任意
性の有無について、被告人に賄賂を贈つたAの弁護人である弁護士岡崎耕三が、「
昭和三六年八月二八日岡山地方検察庁において本件の担当検察官である三笠検事に
面談した際、被告人のため陳弁したところ、同検事より、被告人が見えすいた虚構
の弁解をやめて素直に金品収受の犯意を自供して改悛の情を示せば、検挙前金品を
そのまま返還しているとのことであるから起訴猶予処分も十分考えられる案件であ
る旨内意を打ち明けられ、且つ被告人に対し無益な否認をやめ卒直に真相を自供す
るよう勧告したらどうかという趣旨の示唆を受けたので、被告人の弁護人である弁
護士楠朝男を伴つて児島警察署へ赴き留置中の被告人に面接し、『検事は君が見え
すいた嘘を言つていると思つているが、改悛の情を示せば起訴猶予にしてやると言
つているから、真実貰つたものなら正直に述べたがよい。馬鹿なことを言つて身体
を損ねるより、早く言うて楽にした方がよかろう。』と勧告したところ、被告人は、
同弁護士の言を信じ起訴猶予になることを期待した結果、その後の取調べ即ち同日
第二回目の取調べから順次金品を貰い受ける意図のあつたことおよび金銭の使途等
について自白するに至つたものである。」旨の事実を認定したうえ、「自白の動機
が右のような原因によるものとしても、捜査官の取調べそれ自体に違法が認められ
ない本件においては、前記各供述調書の任意性を否定することはできない。」と判
示したのが、所論引用の昭和二九年三月一〇日福岡高等裁判所判例(高裁刑事判決
特報二六号七一頁)に相反するというのである。
 よつて案ずるに、右福岡高等裁判所の判決は、所論の点について、「検察官の不
起訴処分に附する旨の約束に基く自白は任意になされたものでない疑のある自白と
解すべきでこれを任意になされたものと解することは到底是認し得ない。従つて、
かかる自白を採つて以て罪証に供することは採証則に違反するものといわなければ
ならない。」と判示しているのであるから、原判決は、右福岡高等裁判所の判例と
相反する判断をしたこととなり、刑訴法四〇五条三号後段に規定する、最高裁判所
の判例がない場合に控訴裁判所である高等裁判所の判例と相反する判断をしたこと
に当るものといわなければならない。そして、本件のように、被疑者が、起訴不起
訴の決定権をもつ検察官の、自白をすれば起訴猶予にする旨のことばを信じ、起訴
猶予になることを期待してした自白は、任意性に疑いがあるものとして、証拠能力
を欠くものと解するのが相当である。
 しかしながら、右被告人の司法警察員および検察官に対する各供述調書を除外し
ても、第一審判決の挙示するその余の各証拠によつて、同判決の判示する犯罪事実
をゆうに認定することができるから、前記判例違反の事由は、同四一〇条一項但書
にいう判決に影響を及ぼさないことが明らかな場合に当り、原判決を破棄する事由
にはならない。
 同第一点のその余は、単なる法令違反の主張であり、同第二、三点は、単なる法
令違反、事実誤認の主張であつて、いずれも上告適法の理由に当らない。
 弁護人小山昇の上告趣意第一、二、四ないし六点は、単なる法令違反、事実誤認
の主張であり、同第三、七、八点は、単なる法令違反の主張であつて、いずれも上
告適法の理由に当らない。
 また、記録を調べても刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて、同四〇八条により、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
  昭和四一年七月一日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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