弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件特別抗告を棄却する。
         理    由
 代理人柴田勇助特別抗告理由について。
 所論は被告人は保釈された者ではあるが大阪簡易裁判所で懲役一年の判決を言渡
されたので刑訴三四三条の規定によつて被告人に対する保釈はその効力を失うこと
になり、これによつて被告人は最早や保釈された者でなくなるから、被告人が納め
た保釈保証金の返還請求権を取得したわけである。されば大阪簡易裁判所が刑訴九
六条三項を被告人に適用して保釈保証金を没収する旨の決定をなし、原審がこの決
定を是認したのは法令の適用を誤つた違法を犯したものであるのみならず、被告人
の保釈保証金返還請求権の行使を妨害するものであるから、憲法二九条に違背する
ものであるというに帰する。しかし、刑訴九六条三項には「保釈された者が刑の言
渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しな
いとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部
を没収しなければならない。」と規定されているから、被告人が禁錮以上の刑の言
渡を受け、従つて刑訴三四三条の規定により保釈の効力を失つても、勾留状の効力
は消滅しないから保釈保証金は直ちに納付者にこれを返還すべきものではなく、同
条末段、九八条の規定により被告人が収監された後又はその判決確定後執行のため
呼出を受け出頭した後でなければこれが返還請求権がないものといわなければなら
ない。蓋し「勾留」の目的は審判のためにのみ被告人の身柄を保全するものではな
く、判決の効力すなわちその執行確保の目的をも有するものであるから、保釈保証
金は勾留状を執行された被告人が禁錮以上の刑の言渡を受けた場合においては確実
にその刑の執行に着手せらるべきことをも担保するものと解すべきであるからであ
る。しかるに記録によれば、被告人は所論のやうに昭和二四年四月一日保釈されて
いたところ同月二一日懲役一年の判決を大阪簡易裁判所において言渡されたので刑
訴三四三条により被告人に対する保釈はその効力を失つたわけではあるが、被告人
は右判決の言渡を受けるや直に所在をくらまし、検察当局が捜索しても行方が判明
せず、その間同年五月六日右判決は確定し、同年九月一五日に至つて大阪市警視庁
掏摸犯係員に逮捕されたものであるから、被告人の場合は明瞭に前記刑訴九六条三
項に該当しその保釈保証金の返還請求権を取得するいわれは毛頭ない。されば被告
人に対して右九六条三項を適用し保釈保証金を没収する旨の大阪簡易裁判所の決定
並びにこれを是認した大阪高等裁判所の決定は正当で何等の違法もなく従つて所論
はその前提において採るを得ない。
 よつて刑訴四三四条四二六条に従い主文のとおり決定する。
 この決定は裁判官全員の一致した意見である。
  昭和二五年三月三〇日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    沢   田   竹 治 郎
            裁判官    真   野       毅
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛