弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主   文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
被告は,原告に対し,金2,153,480円及びこれに対する平成13年2月1
日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 
第2 事案の概要
本件は,原告が,被告に対して,連帯保証債務の履行を請求する事案であ
る。
1 争いのない事実等
(1) 訴外Aは被告の子である。訴外Aは,平成12年2月当時被告宅に同居
はしていなかった(弁論の全趣旨)。
(2) 訴外Aは,B株式会社(以下「取扱店」という。)から下記車両を購入する
資金として,C保険相互会社(以下,「融資会社」という。)から,次の約定
で金員を借り受けた(甲1,弁論の全趣旨)。

ア 契約日 平成12年2月23日
イ 対象車両 トヨタランドクルーザー
ウ 借受金額 2,402,131円(内手数料502,131円)
エ 利   息 180,159円
オ 遅延損害金 年14.6パーセント
カ 弁済方法 上記元利金合計2,582,290円を平成12年4月から平
成17年3月まで毎月7日限り43,000円宛(ただし,初
回分のみ45,290円)の分割払い。
キ 期限の利益喪失
訴外Aは,次の各号のいずれかに該当した場合,融資会社からの通
知催告なしに当然に期限の利益を失い,直ちに残債務全額を融資会
社に弁済する。
① 分割金の支払を遅滞したとき。
② 自らが振り出した手形,小切手が不渡りになったとき,一般の支払
を停止したとき,又は銀行取引停止処分を受けたとき。
③ 差押,仮差押,仮処分の申立て又は滞納処分を受けたとき。
④ 破産,和議,営業の廃止,解散の決議およびみなし解散,会社整
理,特別清算,会社更生の申立てを受けたとき又は自らこれらの申
立てをしたとき。
⑤ 本契約各条項のいずれかに違反したとき。
(3) 原告は,訴外Aの委託を受け,平成12年2月23日,融資会社との間
で,訴外Aの融資会社に対する債務につき下記の約定で連帯保証した
(甲1,弁論の全趣旨)。

ア 訴外Aは,次の各号のいずれかに該当した場合で,原告が融資会社
に対する保証債務を履行したときには,その保証債務の額を直ちに原
告に支払う。
① 上記(2)に基づく分割金の支払いを遅延し,原告から20日以上の
相当な期間を定めてその支払を書面で催告されたにもかかわらず,
その期間内に支払わなかったとき。
② 上記(2)キ②ないし⑤のいずれかの事由に該当したとき。
イ 遅延損害金
訴外Aは,求償債務の履行を遅延した場合,支払期日の翌日から支
払日に至るまで年6パーセントの割合による遅延損害金を原告に支払
う。
  (4) 訴外Aは平成12年11月6日を最後に上記(2)の分割金の支払をしないた
め,原告は,訴外Aに,平成12年12月21日,同日から20日以内に支払
をするよう催告した(甲2,3の①ないし③,弁論の全趣旨,争いのない事
実)。
(5) 原告は,訴外Aの債務につき,融資会社に対し,平成12年11月30
日,同年12月29日に各43,000円,平成13年1月31日に未払額から
将来利息125,520円を差し引いた2,067,480円をそれぞれ代位弁
済した(合計2,153,480円。甲4)。
2 争点
上記1(3)の契約についての被告の連帯保証の成否
(原告の主張)
(1) 被告は,上記1(3)の契約に基づく訴外Aの債務について,原告に対して
連帯保証した。
(2) 被告の表見責任(予備的主張。民法110条,112条の類推適用)
ア 訴外Aは,被告の名で原告との間で上記1(3)の契約に基づく訴外Aの
債務について連帯保証契約を締結した。
イ 原告は,被告が連帯保証人として契約したと信じた。
ウ 基本代理権の存在
(ア) 訴外Aは,本件以前に,取扱店からBMW(車両)を購入する際
に,訴外Dとの間でローン契約を締結し,その際,被告の名で訴外D
との間で連帯保証契約を締結した。
(イ) 被告は,上記(ア)の訴外Aが締結した連帯保証契約を追認した。
エ 正当事由の存在
(ア) 上記ウの行為と本件連帯保証契約とは車両購入に当たってロー
ンを組む際の連帯保証の成立に関するものであり,相互の行為の間
の同質性,関連性がある。
(イ) 本件契約書(甲1)においては,購入者欄と連帯保証人欄を別の
人間が記入しており,印鑑も異にしており,契約書の体裁としては原
告が何ら疑問を差し挟む余地はなかった。
(ウ) 原告は,主債務者とは住所を異にする被告の自宅に電話をかけ
て意思確認を行っているのであり,原告には何らの落ち度も認めら
れない。
(被告の認否) 
(1) 原告の主張(1)を否認する。
被告名義の連帯保証契約書(甲1)は,訴外Aが訴外Eと共謀し,被告
の署名・押印を偽造して作成したものである。
(2) 表見責任の成立を争う。
第3 争点に対する判断
1 連帯保証契約の成立について
証拠(甲1,乙3ないし5,証人A,F,被告本人)によれば,原告と訴外Aと
の間のオートローン契約書(甲1)の連帯保証人欄の被告名義の署名は被
告が記載したものではなく,その名下の印影も被告の印鑑によるものとは認
められないから,同契約書の被告名義の部分は真正に成立したものとは認
められない。
また,原告の担当者であるFが平成12年2月21日午後12時26分ころに
被告宅に架電して被告を名乗る者との間で保証意思を確認した事実が認め
られるが,上記の証拠によれば,この相手方も被告ではなく訴外Aが被告と
名乗って応じたものであることが認められるのであるから,この保証意思の
確認により被告の保証意思を認めることもできない。
そして,これら以外に原告と被告との間で連帯保証契約が成立したことを
認めるに足る証拠はなく,したがって,原告と被告との間に連帯保証契約が
成立したことを認めることはできない。
2 表見責任の成立について
原告は,被告が従前にも訴外Aが被告の名を用いて締結した連帯保証契
約を追認したことを基本代理権として被告の表見責任の成立(外観理論の
適用)を主張する。
しかし,弁論の全趣旨によれば,原告は本件訴訟に至るまで上記の追認
の事実を知らなかったことが明らかであるから,上記の追認が原告との関係
で訴外Aに権限を付与した外観を与え,原告がその外観により訴外Aの被
告名義での連帯保証契約締結を権限に基づくものと信じたということはでき
ないのであって,そうすると,公平の原則に照らし,未だ,被告に訴外Aの行
為につき責に任ずべきものと解することはできない。
3 以上によれば,原告の請求は理由のないことが明らかである。
名古屋地方裁判所民事第3部
裁判官堀内照美

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛