弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 被告人本人の上告趣意について。
 所論は事実誤認、量刑不当の主張であつて(なお被告人の司法警察員に対する自
白は強制に基づくものである旨その任意性を争う点があるけれども、第一、二審判
決は、右自白はこれを証拠としていないこと各判文上明らかである)適法な上告理
由に当らない。
 弁護人佐藤淳の上告趣意第一点について。
 所論のうちには、判例違反をいう点があるが、所論引用の東京高等裁判所判例(
昭和三四年(う)第三五号、同三五年二月一六日言渡)は、刑法四五条後段の規定
の解釈を示したものであるところ、その点については既に最高裁判所判例(昭和三
三年(あ)第二二二六号、同三四年二月九日第二小法廷決定、集一三巻一号八二頁)
が示されているので、所論引用の東京高等裁判所判例は刑訴四〇五条三号の判例に
当らない。従つて右判例違反の主張は不適法であり、その余の論旨は単なる法令違
反の主張であつて適法な上告理由に当らない。
 同第二点について。
 所論は単なる法令違反の主張であつて適法な上告理由に当らない。
 しかし右弁護人の上告趣意にかんがみ職権をもつて調査するに、原判決は第一審
判決には判決に影響を及ぼすこと明らかな法令の適用の誤りがあるとして、同判決
中判示第二、第三、第四の(一)、(二)に関する部分を破棄している。即ち、第
一審判決は、判示第四の(一)、(二)の所為をいずれも盗犯等ノ防止及処分ニ関
スル法律二条四号の常習特殊窃盗と認定しながら、その中間に同判決判示の道路交
通法違反の確定裁判が介在するところから、該確定裁判前の常習特殊窃盗(判示第
四の(一))とそれ以後の常習特殊窃盗(判示第四の(二))とに二分し、右確定
裁判を経た罪とその確定裁判前に犯した判示第二、第三及び第四の(一)の罪との
間に刑法四五条後段の併合罪の関係があるとして同法五〇条によつて未だ裁判を経
ていない罪につき一個の刑を言渡し、判示第四の(二)の常習特殊窃盗罪について
は別個の刑を言い渡したのであるが、原判決は、数個の窃盗行為が常習としてなさ
れた場合には、その全部は包括して一個の常習犯をなすものであり、その一個の常
習犯の中間に別種の罪の確定裁判が介在しても、そのためにその常習犯が二個の常
習犯に分割されるものではないと解すべきであり、そして右の場合一個の常習犯が
別罪の裁判確定後に終了したのであるから、その終了時を基準として刑法四五条の
適用については、その常習犯は別罪の裁判確定後の犯罪と解するのが相当であると
して、第一審判決の常習特殊窃盗罪を判示第四の(一)と(二)とに分割した点を、
常習犯の個数に関する法律上の判断を誤り、ひいて併合罪関係に関する法令の解釈
を誤つた違法があるとした。その限りにおいて原審の右見解は正当であるとして是
認する。
 しかるに原判決は適条を誤つている。即ち以上の見解に従うときは、右確定裁判
を経た罪とその裁判確定前に犯した前記判示第二及び第三の罪とは刑法四五条後段
の併合罪の関係にあり、判示第四の(一)、(二)の包括した常習特殊窃盗は右裁
判確定後の犯罪として右確定裁判を経た罪とは何ら併合罪の関係に立つものではな
く、従つて二個の刑が言い渡されるべき筋合であるのに、原判決は右判示第二、第
三及び第四の(一)、(二)につきそれぞれ刑罰法規を適用した上、以上は刑法四
五条前段の併合罪であるとして同法四七条、一〇条等を適用して懲役五年の一個の
刑を言い渡していること原判文上明白であるから、原判決には理由のくいちがいな
いし法令適用の誤りがあり、その違法は判決に影響を及ぼすこと明らかであるけれ
ども、右は原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認められない。
 よつて刑訴四一四条、三八六条一項三号、一八一条一項但書により裁判官全員一
致の意見で主文のとおり決定する。
  昭和三九年七月九日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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