弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各再上告を棄却する。
         理    由
 被告人A同B両名の弁護人高垣憲臣の上告趣意について。
 記録によれば、第二審判決において被告人A同Bに対する犯罪事実認定の証拠に
供せられた同被告人等の自白は昭和二三年二月二四日の第二審第七回公判期日にお
いてなされたものであるが、当時被告人等は保釈出所してゐたものであることが認
められる(被告人等が保釈出所したのは昭和二一年七月一八日である)。従つて被
告人等の右自白と拘禁との間には因果関係が存しないこと極めて明かであるから、
たとえ所論のように、被告人等に対する勾引状の執行後引致迄の間に不法拘禁の事
実があつたとしても、第二審判決が右被告人等の自白を証拠としたことは憲法第三
八条第二項に違反するものではない。(昭和二二年(れ)第二七一号同二三年六月
二三日大法廷判決参照)。
 されば、結論において右と同趣旨に帰する原判決は相当であつて論旨は理由がな
い。
 被告人Cの弁護人中村高一の上告趣意について。
 本件記録を精査しても、所論の被告人C及びDの供述が司法警察官の強要又は誘
導の結果であるとの事実は到底認め得られない。
 従つて、右事実の存在を前提とする論旨は再上告の理由として採用することので
きないものである。
 よつて、刑訴施行法第二条旧刑訴法第四四六条により主文の通り判決する。
 右は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 岡本梅次郎関与
  昭和二四年一二月二四日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    粟   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎

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