弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件各抗告を棄却する。
         理    由
 弁護人森長英三郎、同松井康浩、同齊藤一好、同宮原守男、同黒田寿男、同森川
金寿、同海野普吉、同能勢克男、同毛利与一の抗告理由第一および同補充第五は、
違憲(三一条、三二条違反)をいうが、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張で
あり、同抗告理由第二および同補充第四のうち、違憲(前文、一三条、一九条違反)
をいう点は、原決定は、申立人ら提出の各証拠が、旧刑訴法四八五条六号所定の明
確なる証拠に当るか否かについて判断をしているだけで、所論のように原判決の事
実認定を支持しているものではないから、所論は前提を欠き、その余は、単なる法
令違反、事実誤認の主張であり、同抗告理由第三の一および同補充第二の一、二の
うち、違憲(前文、一三条、一九条、三一条、三七条一項、七六条三項、八二条違
反)をいう点は、原決定は、前記のとおり、申立人ら提出の各証拠が、旧刑訴法四
八五条六号所定の明確なる証拠に当るか否かについて判断をしているだけで、所論
のように原判決の訴訟手続を適法なものとして支持しているものではないから、所
論は前提を欠き、その余は、単なる法令違反、事実誤認の主張であつて、いずれも
日本国憲法の施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律(以下「応急措置法」
という。)一八条の抗告の適法な理由に当らない。
 同抗告理由第三の二、同補充第二の三および同第二補充について。
 所論は、判事上野敏が評議に関与していないことを根拠にして、原決定の違憲(
三七条一項違反)をいうが、当裁判所の事実取調の結果によると、原裁判所は、昭
和四〇年二月一日に、同判事を含む五人の裁判官により、本件について評議をした
ことが認められるから、所論は前提を欠き、応急措置法一八条の抗告の適法な理由
に当らない。
 もつとも、当裁判所の事実取調の結果によると、右裁判官のうち判事長谷川成二
に対しては、同年一月三〇日付で浦和地方裁判所長、同家庭裁判所長を命ずる旨の
発令があり、同日東京高等裁判所A事務局長より同判事に対し、電話で右発令のあ
つた旨を通知したことが認められるから、いまだ辞令書の交付前ではあるが、右転
補の発令は同日その効力を生じたものと解せられ、したがつて、前記評議は、右転
補後に行なわれたことになる。
 しかし、同じく事実取調の結果によると、同判事は、本件の処理を終えた後に転
補の発令がなされるものとの関係者間のあらかじめの了解のもとに終始本件の審理
に関与してきたものであり、右A事務局長の通知を単なる内報程度のもので正式な
通知ではないと考えていたこと、および本件の評議を前記のとおり二月一日にした
のは、原裁判所の構成員である前記上野判事が、一月二九日から翌三〇日にわたつ
て、他の事件の証拠調のため長野県下に出張していて、評議をすることができなか
つたことによるもので、同判事の帰庁を待つて、遅滞なく次の週の月曜日である右
二月一日に評議をしたものであることが認められる。そして、右事実によると、長
谷川判事が前記転補の発令後評議に関与したのはA事務局長の通知を正式のもので
はないと考えたためであつて、同判事に他意はなく、かつ、同判事は、いつでも東
京高等裁判所の判事の職務の代行を命ぜられうる資格のある者である(裁判所法一
九条一項参照)から、たまたま形式上職務代行の発令がなくても、右のような具体
的事情のもとでは、同判事が前記評議に関与したことをもつて、偏頗のおそれがあ
るものということはできず、また、全然評議に関与する資格のない者が裁判所を構
成したものともいうことができない。したがつて、原決定は、憲法三七条一項にい
う公平な裁判所の裁判でないということはできない。
 同抗告理由第四および同補充第三について。
 所論は、違憲をいうが、憲法八二条は、刑事訴訟についていうと、刑罰権の存否
ならびに範囲を定める手続について、公開の法廷における対審および判決によるべ
き旨を定めたものであつて、再審を開始するか否かを定める手続はこれに含まれな
いものと解すべきで、所論は理由がない。
 同抗告理由第五および同補充第六のうち、違憲(三一条違反)をいう点は、実質
は単なる法令違反の主張であり、判例違反をいう点は、応急措置法一八条が判例違
反を抗告理由としていないのみならず、同条による抗告については、現行刑訴法四
〇五条二号、三号の準用がなく(昭和二八年六月一〇日大法廷決定、刑集七巻六号
一四一九頁)、その余は、単なる法令違反、事実誤認の主張であり、同補充第一は、
単なる法令違反の主張であつて、いずれも応急措置法一八条の抗告の適法な理由に
当らない。
 よつて、刑訴施行法二条、旧刑訴法四六六条一項により、裁判官全員一致の意見
で、主文のとおり決定する。
  昭和四二年七月五日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外
            裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    田   中   二   郎
            裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    岩   田       誠
            裁判官    色   川   幸 太 郎
            裁判官    大   隅   健 一 郎
            裁判官    松   本   正   雄

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛