弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人菅生謙三の上告趣意について。
 第一点 所論は、原判決に掲げる証拠では強盗の犯罪事実は認められぬと主張す
るのであるが、原審の証拠として挙げている第一回公判調書(記録一〇三丁乃至一
〇五丁)によれば強盗の共謀の事実は認められ、その他原判決挙示の証拠によつて
原審認定の事実は認められる。それ故、論旨は理由がない。
 第二点 所論は、被告人の原審公判廷における供述及び所論Aに対する検事の聴
取書の供述記載を証拠としたことを、証拠の価値判断に関する裁判所の自由裁量権
を濫用したものであると主張するのである。しかし、原判決が被告人の原審公判廷
における供述を本件において証拠としたことは、何等物の合理性に反するところは
なくその自由な判断に基くもので、所論のように自由裁量権の濫用と認めるべきか
どはない。次に、所論Aに対する検事の聴取書は、公判廷で被告人又は弁護人から
供述者の訊問を請求し拒否された事実のない本件においては、これを犯罪事実認定
の一証拠として採ることは別段違法ではないし(刑訴応急措置法一二条)、またこ
れを本件において証拠として採つたからといつて、証拠の価値判断に関する裁判所
の自由裁量権の濫用と認めるべきかどはない。
 論旨は、それ故に、採るを得ない。
 よつて旧刑訴四四六条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 長部謹吾関与
  昭和二六年三月二二日
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    眞   野       毅
            裁判官    齋   藤   悠   輔
            裁判官    岩   松   三   郎

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