弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人安永沢太の上告理由第一点について。
 論旨は、原判決が訴外Dの選挙人または選挙運動者に対する金円の供与または交
付を同人の出納責任者就任後の行為と認定するにつき、それが何日頃か不確実な日
しか判明しない証拠に基づいたことをもつて、採証法則に違反するというにある。
 本件における訴外Dの選挙人または選挙運動に対する金円の供与または交付の日
時の認定について、原判決が、所論のように、それを昭和三八年四月二一日頃、二
五日頃、二二日頃、二七日頃といい何日と明確にされていない証拠を採用したとし
ても、それによれば、四月二一日頃、二五日頃、二二日頃、二七日頃のいずれにし
ても、前記Dの行為をその出納責任者に就任した昭和三八年四月二〇日以後と認め
ることのできないものではないから、なんら採証の法則に違反するところはないの
である。論旨は理由がない。
 同第二点について。
 論旨は、本件に適用された公職選挙法二五一条の二及び二一一条の規定は、憲法
一五条三項、四項、九三条二項及び一四条に違反するというにある。
 公職選挙法所定のいわゆる連座制による当選無効は、選挙運動者の不法な選挙運
動を抑止し、公職の選挙が選挙人の自由に表明する意思によつて公明かつ適正に行
われることを確保するため、きわめて効果的であるのみならず、買収等の悪質な運
動方法によつて選挙人の投票意思の決定を不純化してかちえた当選のごときは、こ
れを保持させるべきではないことにかんがみれば、決して不合理な制度ではなく、
なんら憲法の保障する選挙制度の本旨にもとるところはないのであるから、公職選
挙法二五一条の二及び二一一条の規定が憲法一三条、一五条、三一条、四三条及び
九三条二項の各条項に違反しないことは当裁判所大法廷の判決(昭和三六年(オ)
第一〇二七号事件及び同年(オ)第一一〇六号事件についての昭和三七年三月一四
日言渡判決、民集一六巻三号五三〇頁及び五三七頁参照)するところであり、右判
決の趣旨に徴すれば、右連座制は所論の憲法一四条にもまた違背するものでないこ
とは明らかである(なお公職選挙法二五一条の二と同法二一条との間に所論のよう
な矛盾のないことは、原判決の判示のとおりである。)。論旨は採用することがで
きない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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