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平成20年(あ)第2140号住居侵入,強盗殺人,出入国管理及び難民認定
法違反被告事件
平成24年10月19日第二小法廷判決
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人萱野一樹,同大熊裕起の上告趣意のうち,死刑制度につき憲法13条,3
1条,36条違反をいう点は,死刑制度がこれらの規定に違反しないことは当裁判
所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑
集2巻3号191頁,最高裁昭和26年(れ)第2518号同30年4月6日大法
廷判決・刑集9巻4号663頁,最高裁昭和32年(あ)第2247号同36年7
月19日大法廷判決・刑集15巻7号1106頁)とするところであるから,理由
がなく,その余は,憲法違反,判例違反をいう点を含め,実質は単なる法令違反,
事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
なお,所論に鑑み記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認め
られない。
1すなわち,本件は,中華人民共和国の国籍を有する外国人で,本邦に不法在
留していた被告人が,金品を奪う目的で,平成14年8月31日午前0時過ぎ頃,
当時居住していたアパートの大家で,ラーメン店と製麺所を経営する被害者方に侵
入し,サバイバルナイフで刺突するなどして,被害者夫婦を殺害した上,現金等在
中の財布や貴金属類を強取したという住居侵入,強盗殺人等の事案である。
2まず被告人の殺意の有無について検討すると,被告人は,殺傷能力の高い鋭
利なサバイバルナイフで,被害者らに対し,その前頸部を強い力でかき切って胸部
を数回刺突したり,背部等を多数回刺突したりして身体の枢要部に強烈な攻撃を執
ように加えている。このような犯行態様等に照らせば,被告人には被害者らに対す
る強固な殺意があったものと認められる。
所論は,押収したサバイバルナイフ1本が東京高等裁判所で保管中に紛失してお
り,原審においてこれを確認した形跡がないから,殺意を認定した原判決は,審理
をせずに判決をしたに等しい,などという。裁判所において保管中の証拠物が紛失
したということは,その管理態勢に問題があったといわざるを得ない。しかし,所
論の点については,押収してあったサバイバルナイフは,強盗殺人の犯行に供され
た凶器そのものではなく,捜査機関において同種品を購入して取調べ請求した物で
あるところ,同ナイフを撮影,計測した写真撮影報告書が併せて取り調べられてお
り,その形状は記録から明らかである。同ナイフ自体がなくても,他の証拠から被
告人の殺意を認定することは十分にできるから,原判決に事実誤認,審理不尽があ
るということはできない。
3量刑について検討すると,被告人は,思うような収入が得られず生活費や遊
興費に窮した挙げ句,被害者方に侵入して金品を奪おうとしたもので,犯行動機に
酌むべき点はない。犯行態様は,被告人が,1階がラーメン店と製麺所,2階及び
3階が居住部分となっている被害者方に侵入し,製麺所内で隠れて機会をうかがっ
ていたところ,同所にやってきて被告人の存在に気付き逃げようとした被害者Aに
対し,その前頸部をサバイバルナイフでかき切り,胸部を数回刺突するなどして殺
害し,1階で金品を物色した後,更に2階に上がり,その場にいた被害者Bに対
し,その背中等を多数回刺突するなどして殺害し,2階のみならず1階及び3階を
も物色し,前記金品を奪ったというもので,強固な確定的殺意に基づき被害者らを
次々と殺害し,冷徹に金品奪取という所期の目的を達しており,冷酷かつ残忍であ
る。しかも,同ナイフや覆面用のストッキング等を用意しており,被害者らの殺害
をも考えていた計画的な犯行といえる。そして,2名の尊い生命を奪った結果は,
極めて重大であり,遺族らの処罰感情はしゅん烈である。住宅街で夫婦が惨殺され
たという本件強盗殺人が,地域社会に与えた衝撃と影響も大きい。
以上のような事情に照らすと,被告人の刑事責任は,極めて重大であるといわざ
るを得ず,被告人は,被害者両名の遺族らに謝罪の意思を表明するなど,反省の態
度を示していること,本邦における前科がないことなど,被告人のために酌むべき
事情を十分考慮しても,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,当裁判所も
これを是認せざるを得ない。
よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員
一致の意見で,主文のとおり判決する。
検察官水野美鈴公判出席
(裁判長裁判官須藤正彦裁判官竹内行夫裁判官千葉勝美裁判官
小貫芳信)

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