弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成17年(行ケ)第10519号審決取消請求事件
口頭弁論終結日平成18年3月8日
判決
原告コーニンクレッカフィリップス
エレクトロニクスエヌヴィ
代表者
訴訟代理人弁理士沢田雅男
被告特許庁長官
中嶋誠
指定代理人片岡栄一
同山田洋一
同江畠博
同小池正彦
同小林和男
主文
1特許庁が不服2000-8025号事件について平成17年2月
2日にした審決を取り消す。
2訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
主文第1項と同旨
第2事案の概要
本件は,後記特許の出願人である原告が,特許庁から拒絶査定を受けたの
で,これを不服として審判請求をしたところ,特許庁が同請求は成り立たな
いとの審決をしたことから,原告がその取消しを求めた事案である。
第3当事者の主張
1請求の原因
(1)特許庁における手続の経緯
原告は,昭和63年4月14日出願に係る特願昭63-92609号(
パリ条約による優先権主張1987年4月21日,オランダ国)からの新
たな特許出願(分割出願)として,平成10年2月9日,名称を「記録担
体」とする発明につき特許出願(甲3。請求項の数5。以下「本願」とい
う。)をしたところ,特許庁は,拒絶査定をしたので,原告は,これを不
服として審判請求をした。
特許庁は,これを不服2000-8025号事件として審理したが,そ
の係属中の平成13年12月3日(甲5)及び平成14年7月11日(甲
6)に,特許請求の範囲の変更等の補正(以下「本件補正」という。)を
した(請求項の数は9となった。)。
そして特許庁は,平成17年2月2日,「本件審判の請求は,成り立た
ない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は平成1
7年2月17日原告に送達された。
(2)発明の内容
本件補正後の請求項は,前記のとおり1ないし9から成り,その内容
は,下記のとおりである(甲6。請求項2ないし8は省略。請求項1のA
ないしHは説明の便宜のために付したもの。下線部は後記のように「本願
発明」と無関係とされたもの)。

【請求項1】
A:所定の光物性を持つ記録層を有し,かつ変更された光学特性による
記録マークのパターンを,そこに記録することができる記録担体であ
って,
B:そのパターンが,同じ論理値のビットの連続するシーケンスの形で
情報信号を表し,かつ
C:前記記録担体の前記記録層に前記マークを記録するために,前記記
録マークが,前記情報信号を適合化可能な対応関係に準拠させて一連
の連続書込み信号に変換する制御回路を有する記録装置により,形成
され,
D:その記録担体が,前記情報信号を前記書込み信号に変換するために
必要な適合化を表すことが出来る読取り可能な適合化情報が設けられ
ている部分を有する,記録担体において,
E:前記制御回路が,前記情報信号における第一論理値のビットのシー
クエンスを検知し,かつ前記検知されたシーケンスにおけるビットの
数を表す検知信号を供給する検知回路を有し,
F:前記適合化可能な対応関係が,前記検知信号と前記書込み信号との
対応関係を有し,
G:前記記録担体に設けられた前記読取り可能な適合化情報が,前記記
録担体の前記記録層に前記マークを記録するために必要な前記検知信
号に対する書込み信号波形を示している
H:ことを特徴とする記録担体。
(3)審決の内容
ア審決の内容は,別紙審決写しのとおりである。
その理由の要旨は,請求項1に係る発明は,下記の引用例1,2に記
載された発明及び周知例に基づいて,当業者が容易に発明をすることが
できたから,特許法29条2項により特許を受けることができない等,
としたものである。

・引用例1特開昭61-260438号公報(甲1。以下,これに記
載された発明を「引用発明1」という。)
・引用例2特開昭61-137225号公報(甲2)
イなお,審決は,請求項1に係る発明は請求項1の記載から記録担体自
体と関係のない構成を除いてその要旨を認定すべきであるとし,これ
を「本願発明」と称して次のとおり認定し(前記(2)の下線部を除いたも
の),本願発明と引用発明1には,次のような一致点と相違点があると
した。
(本願発明)
「所定の光物性を持つ記録層を有し,かつ変更された光学特性による
記録マークのパターンを,そこに記録することができる記録担体であ
って,
そのパターンが,同じ論理値のビットの連続するシーケンスの形で
情報信号を表し,
その記録担体が,前記情報信号を書込み信号に変換するために必要
な適合化を表すことが出来る読取り可能な適合化情報が設けられてい
る部分を有する,
記録担体において,
前記記録担体に設けられた前記読取り可能な適合化情報が,前記記
録担体の前記記録層に前記マークを記録するために必要な書込み信号
波形を示している
ことを特徴とする記録担体。」
(一致点)
所定の光物性を持つ記録層を有し,かつ変更された光学特性による記
録マークのパターンを,そこに記録することができる記録担体であっ
て,その記録担体が,情報信号を書込み信号に変換するために必要な適
合化を表すことが出来る読取り可能な適合化情報が設けられている部分
を有する,記録担体。
(相違点a)
記録マークのパターンに関し,本願発明においては,同じ論理値のビ
ットの連続するシーケンスの形で情報信号を表すものであるのに対し,
引用発明1においては,このことについて特に示されていない点。
(相違点b)
読取り可能な適合化情報に関し,本願発明においては,記録担体の記
録層にマークを記録するために必要な(検知されたビットのシーケンス
におけるビットの数を表す)信号に対する書込み信号波形を示している
のに対し,引用発明1においては,上記書込み信号を示す波形について
は特に示されていない点。
(4)審決の取消事由
しかしながら,本件審決は,請求項1に係る発明(審決が認定する「本
願発明」と区別するために,請求項1に記載のとおりの発明を,以下「元
の本願発明」ということがある。)と引用発明1に別の相違点があること
を看過し,相違点bに関する判断も誤った結果,請求項1に係る発明の容
易想到性の判断を誤ったから,違法として取消しを免れない。
ア取消事由1(相違点の看過)
(ア)審決は,「請求項1に記載の発明が対象とする「記録担体」とい
う完成した物からみた場合,どのような記録装置を用いて情報信号と
対応した書込み信号を発生させて記録担体に記録マークを形成するか
ということ,及び,記録された記録マークをどのような検知回路を用
いて検知するかということは,記録担体自体の構成とは本来何ら関係
がなく,請求項1に係る発明の構成に欠くことができない事項とはい
えないことが明らかであるので,本願の請求項1に係る発明は,請求
項1の記載より記録担体とは関係のない構成を除き,次のとおりのも
のであると認める。」として,前記のとおりの本願発明を認定(2頁
15行~34行)している。
しかし,記録担体がどのように使用されるか等の前提条件を欠くと
記録担体の発明が意味をなさない場合には,その前提条件は発明の必
須の構成要件として含むものでなければならないから,ある構成要件
が,たとえ記録担体に直接関係のない構成要件であったとしても,そ
れが記録担体の発明の前提条件を構成する場合には,それを排除して
記録担体の発明の内容を認定することはできないというべきである。
この観点から,請求項1に係る発明をみると,本願発明から削除さ
れた部分(構成要件C,E,F及びGの一部。前記(2)の下線部)は,
請求項1の記録担体がどのような情報信号の記録システムに使用され
るかという前提条件を規定しているものであり,この前提条件を規定
しなければ,意味のない発明となるから,上記各構成要件は,請求項
1に係る発明の構成に欠くことができない事項である。
したがって,審決が,上記各構成要件を除いて本願発明を認定した
ことは誤りである。
(イ)そして,構成要件E,Fの記載によれば,請求項1に係る発明
は,「記録担体に設けられた読取り可能な適合化情報が,記録担体の
記録層に記録マークを記録するために必要な,情報信号において検知
されたシーケンスにおける第一論理値のビットの数を表す検知信号に
対する書込み信号波形を示している」ことを特徴とするのに対し,引
用発明1には,適合化情報が,情報信号において検知されたシーケン
スにおける第一論理値のビットの数を表す検知信号に対する書込み信
号波形を示すことは,全く開示されていない点で,両発明は相違す
る(相違点c)。
すなわち,請求項1に係る発明においては,①情報信号を記録する
ために,記録装置に記録担体が載置されると,この記録担体に記録さ
れている適合化情報が読み出される,②次いで,記録される情報信号
における第一論理値のビットのシーケンスが検知され,かつそのシー
ケンスにおけるそのビットの数(CDシステムの場合,3~11ビッ
ト)が検知される,③検知されたビットの数を示す検知信号と適合化
情報との対応により,検知されたビットの数に対応する書込み信号波
形(例えば,本願の図8)が選択され,この書込み信号波形に基づい
て記録マークが記録担体に記録される。このように請求項1に係る発
明は,「記録される情報信号の第一論理値のビットのシーケンスにお
けるビットの数を検知し,その数のシーケンスに固有の書き込み信号
波形により,情報信号を書き込む」ことによって,記録媒体の記録材
料及び情報信号のビット・シーケンスに対応した,適切な書込み信号
波形を自動的に発生させ,これにより信頼性の高い情報信号の書込み
を可能にする記録システムに使用される,記録担体を提供するもので
ある。
これに対し,引用例1は,適合化情報として,最適記録レーザーパ
ワー情報,最適磁界強度情報,最適消去パワー情報,最適再生パワー
情報等の記録媒体に対する光ビームの記録条件を光学的情報記録媒体
に記録することしか開示せず,書き込むべき情報信号と書込み信号波
形との関係を示す適合化情報を予め記録媒体に書き込んでおくことに
ついては,全く開示していない。
したがって,審決には,請求項1に係る発明(元の本願発明)と引
用発明1との上記相違点cを看過した誤りがある。
イ取消事由2(相違点bに関する判断の誤り)
(ア)審決は,引用例2について「この入力信号17は光ディスク(記
録担体)への「書込み信号」であり,入力信号17中に含まれる連続
するパルス列は「書込み信号の波形」ということができる(なお,こ
の点に関し,本願明細書には「書込み信号」とは・・・で示される信
号であり,その(書き込み信号の)「波形」はレーザーの書き込みパ
ルス13のことであることが示されているところである(段落【00
19】,【0020】)等を参照。)。」(7頁25行~32行)と
認定している。
しかし,請求項1記載の「書込み信号」の波形は,パルス(13)
そのものではなく,本願の図8(甲3)に示されるように,長さの異
なる書込み信号Vs3,Vs7,Vs11のそれぞれに対し,相互位置が変
更されているパルスの組合せにより構成されているパルス配列であ
り,請求項1に係る発明においては,書込み信号波形が,パルス配列
であるからこそ,書込み信号Vs3,Vs7,Vs11のそれぞれに対して
固有の書き込み信号波形が提供されるものである。
他方で,引用例2(甲2)における入力信号17は,同一のパルス
が等間隔で並んでいる単なるパルス列であり,入力信号17のパルス
配列は,1.5Tおよび4Tの長さの記録信号16に対して,全く同一
である。
そして,甲9,10に示されているように,パルスの「信号波形」
とは,パルス幅,パルス間隔を異ならせたパルスの集合を意味するも
のであるから,引用例2における入力信号17は「信号波形」という
ことはできない。
したがって,引用例2における入力信号17は,長さの異なる記録
信号16ごとに固有のパルス配列(書込み信号の波形)を提供するも
のではないから,入力信号17中に含まれる連続するパルス列が請求
項1の「書込み信号の波形」に相当するとした審決の上記認定は誤り
である。
(イ)そうすると,「引用例1に記載された発明においても,・・・所
望のレーザーパワーに関する記録条件(読み取り可能な適合化情報)
を,引用例2に記載された発明のような記録ピット(記録マーク)の
パターンを記録するために必要な連続するパルス列からなる入力信
号(書込み信号波形)とすることは当業者が容易に想到できたもので
ある。」とした相違点bに関する審決の判断(7頁33行~8頁3
行)は,誤りである。
2請求原因に対する認否
請求原因(1)ないし(3)の各事実は認めるが,同(4)は争う。
3被告の反論
(1)取消事由1に対し
ア原告主張の請求項1の構成要件C,E,F,及びGの一部がなくて
も,構成要件Gの残りの部分から「適合化情報」の技術的意義を理解す
ることができ,審決認定の本願発明は,意味のある発明として理解可能
である。
そして,構成要件C,E,F,及びGの一部は,次に述べるとおり「
記録担体」としての請求項1に係る発明の技術的範囲とは無関係である
から,それらを除外して本願発明を認定した審決に誤りはない。
(ア)構成要件Cについて
構成要件Cは,記録担体に記録マークを記録するため,情報信号を
適合化可能な対応関係に準拠させて一連の連続書込み信号に変換する
制御回路を有する記録装置に関するものであり,記録担体という完成
した「物」からみた場合,記録担体にどのようなマークが記録されて
いるかということに技術的意義があるとしても,どのような記録装
置(制御回路)を用いて情報信号と対応した一連の連続書込み信号を
発生させるかということは,記録担体自体の構成とは本来何ら関係が
ない。
(イ)構成要件Eについて
構成要件Eは,前記制御回路が有する,情報信号における第一論理
値のビットのシーケンスを検知し,この検知されたシーケンスにおけ
るビットの数を表す検知信号を供給する検知回路に関するものであ
り,構成要件Cと同様に,記録担体自体の構成とは本来何ら関係がな
い。
(ウ)構成要件F及びGの一部について
構成要件F及びGの一部は,「適合化可能な対応関係」に関するも
ので,その関係が「前記検知信号と前記書込み信号」との対応関係を
有するとするものであるが,構成要件C,Eが記録担体自体の構成と
何ら関係がない以上,構成要件F及びGの一部も記録担体自体の構成
と本来何ら関係がない。
イ次に,原告主張の相違点c中の「検知信号」なる文言は,審決におけ
る相違点bの表記中には使用されていないが,これは相違点bの「記録
担体の記録層にマークを記録するために必要な(検知されたビットのシ
ーケンスにおけるビットの数を表す)信号」なる文言により表現されて
いる事項にほかならないものであり,原告主張の相違点cは,審決も相
違点bとして取り上げているというべきであるから,審決に原告主張の
相違点の看過はない。
(2)取消事由2に対し
ア(ア)本願発明の具体的な「書込み信号波形」について,本願の当初の
明細書(甲3)には,以下の記載がある。
①「第17図は,「アブラティブ」型記録材料の記録層に記録を行う
場合の情報信号Vi,書き込み信号Vs及び記録用マーク10を示して
いる。・・・制御回路6は,書き込み信号Vsa,Vsb及びVscを発生さ
せる。各書き込み信号は,1個以上の書き込みパルス13からな
る。」(段落【0019】)。
②「第18図は,・・・「相変化」型記録材料に記録する際の情報信
号Viと書き込み信号Vsa,Vsb及びVscとの間の適格な対応関係を示し
ている。このような材料に書き込みを行う場合には,・・・記録用
マーク10を形成するために別の書き込み信号波形を使用すること
が望ましい。つまり第一番目のサブマークsを形成する前に,予備
加熱パルス20a及び拡張パルス20bをリーダーパルスとして追加
発生させる様な書き込み信号波形が望ましい。」(段落【0020
】)。
③「・・・この書き込み信号発生器は,当該検知信号によって表される
ビットセルの数に対応した長さを有する記録用マークを書き込むた
めに,各検知信号毎に書き込み信号Vsを発生させる。これ以降,
3,・・・,11個の連続するビットセルからなるシリーズを示す
記録用マークを形成するための書き込み信号を,各々,Vs3,・・
・,Vs11と記すことにする。これらの記録用マークは,簡単にI3
マーク,・・・,I11マークと記載される。3,・・・,11と記
載される各数字はこれらのマークによって表されるビットセルの数
を示している。」(段落【0027】)。
④「第15図は,制御回路110の3種類のセッティングの書き込み
信号波形を示す。信号Vsaは,マルチプレックス回路122の“a”
入力が選択された場合の書き込み信号である。信号Vsbは,マルチプ
レックス回路122の“b”入力が選択された場合の書き込み信号
で,信号Vscは,“c”入力が選択された場合の書き込み信号であ
る。パルス20aと20bはこの場合にも制御システムに於ける熱効
果の発生を補償するリーダーパルスである。」(段落【0047
】),「書き込み強度を正当な値にすることが出来ることと第15
図に示された3種類の波形を選択することができることから,非常
に多くの記録担体の型に対して記録中に発生する熱効果を補償する
ことが出来る。」(段落【0048】)。
(イ)上記①,②によれば,本願発明でいう「書込み信号」とは,アブ
ラティブ型記録材料,相変化型記録材料の記録層に記録を行う場合
の,それぞれ,第17図,第18図のVs(Vsa,Vsb,Vsc)で示される
波形(パルス13の列)の信号のことであり,第16図におけるビー
ム3を照射するヘッド4の入力信号であること,上記③によれば,「
書き込み信号Vs」とは,(図8,10における)Vs3,・・・Vs11
で示される波形(パルス)の信号のことであり,第4図の記録システ
ム(別の実施例)におけるヘッド30の入力信号であること,上記④
によれば,「書込み信号」とは,第15図の信号Vsa,Vsb,Vscで示さ
れる波形(パルス)の信号のことであり,第12図でマルチプライア
回路112に送られるセッティングされたパルス型の信号Vsであるこ
とを理解することができる。
これらを勘案すると,本願発明でいう「書込み信号」とは,少なく
ともレーザビームを照射するヘッドに対する入力信号のことを指して
おり,光ディスク(記録担体)へのパルス状の書込み信号のことであ
ることは明らかである。
しかも,本願発明においては,「書込み信号波形」に関し,単に「
前記記録担体の前記記録層に前記マークを記録するために必要な」「
書込み信号波形」と規定されているにすぎない。
イ一方,引用例2(甲2)には,光ディスク(記録担体)13に記録ピ
ット(記録マーク)18のパターンをパルス列15がゲートされたレー
ザー駆動回路11の入力信号17に従って光ディスク(記録担体)13
にレーザー光を照射することが記載されており(特に,第2図),その
パルス列からなる入力信号17は,光ディスク(記録担体)への「書込
み信号」という点において,本願発明にいう「書込み信号」と共通する
ものであり,入力信号17中に含まれる連続するパルス列は「書込み信
号の波形」ということができる。
ウ結局,原告の主張は,「書込み信号波形」について,本願発明の特許
請求の範囲(請求項1)の記載がそれ自体十分に明確であるにもかかわ
らず,特許請求の範囲には何ら規定されていない事項をも付加して「書
込み信号波形」を独自に限定的に解釈し,本願発明と引用発明1との相
違を新たに導き出そうするものであり,失当である。
したがって,引用発明1に引用例2を適用して相違点bに係る本願発
明の構成を当業者が容易に想到できたものであるとした審決の判断に誤
りはない。
第4当裁判所の判断
1請求原因(1)(特許庁における手続の経緯),(2)(発明の内容),(3)(審
決の内容)の各事実は,いずれも当事者間に争いがない。
そこで,原告主張の審決の取消事由(請求原因(4))について,以下,順次
判断する。
2取消事由1(相違点の看過)について
(1)原告は,審決には,請求項1に係る発明について,請求項1の構成要件
C,E,Fの全部及び構成要件Gの一部を除いて,これを本願発明として
要旨認定した誤りがあり,この本願発明の認定の誤りにより,請求項1に
係る発明と引用発明1との相違点cを看過した誤りがある旨主張する。
ア本願の明細書(ただし,本件補正後のもの)には,次のような記載が
ある。
①「米国特許明細書第4,473,829号により開示されている既知
のシステムの場合,記録用マークは,光学書き込みヘッドにより形成
される。この書き込みヘッドは,レーザービームを発生させて,放射
線に反応する物質からなる記録担体上の記録層にそれを走査する。記
録用マークを形成する際,レーザービームは,形成される記録用マー
クの寸法と物性に応じた信号波形を有する書き込み信号により変調さ
れる。この既知のシステムの欠点は,その書き込み信号が,レーザー
ビームの放射線エネルギーにより記録担体から記録用材料が除去され
る「アブラティブ」型の材料からなる記録層に記録する場合にしか適
合しないことである。しかしながら,別のタイプの放射線反応型記録
層に記録を行う場合には,別の書き込み信号波形を使用する事が望ま
しい。特開昭63-153726号に記載されているように,「相変
化」型及び「熱-光反応」型材料に記録を行うために必要な書き込み
信号波形は,書き込み中に記録層に生じる特有な熱効果の結果,「ア
ブラティブ」型材料に記録する場合のそれとは完全に異なったものと
なる。更に,同一型であっても材料毎に熱の影響も又互いに相違する
ので,同一型であっても材料毎に書き込み信号が異なる事も有り得
る。」(甲3の段落【0002】),「第18図は・・・「相変化」
型記録材料に記録する際の情報信号Viと書き込み信号Vsa,Vsb及びVsc
との間の適格な対応関係を示している。このような材料に書き込みを
行う場合には,書き込み中に発生する記録層内の熱の影響を考慮し
て,記録用マーク10を形成するために別の書き込み信号波形を使用
することが望ましい。つまり第一番目のサブマークsを形成する前に,
予備加熱パルス20a及び拡張パルス20bをリーダーパルスとして追
加発生させる様な書き込み信号波形が望ましい。リーダーパルスの位
置と数は,使用される「相変化」型記録材料に依存することに注意さ
れたい。」(同【0020】)。
②「本発明の目的は,書き込み形式に適合化させてありかつEFM信号
を記録するのに特に適している記録信号波形により,書き込み形式が
異なる記録層を有する記録担体への書込みを可能にするシステムを提
供する事である。」(同【0005】)。
③「本発明の第一観点によると,この目的は,前記制御回路が,同一の
前記第一論理値のビットセルのシークエンスを検知しかつ検知された
前記シークエンスのビットセルの数を表示する検知信号を供給する検
知回路と,前記検知信号に応じて前記書き込み信号と前記検知信号と
の間の特定関係の基に前記書き込み信号を発生させる書き込み信号発
生器とを有していることを特徴とする記録装置により達成される。こ
の実施例の場合・・・情報信号と書き込み信号との間の関係を,記録
担体の記録材料に極めて簡単に適合化させる事が出来ると言う利点を
有している。」(同【0006】),「この記録装置の別の実施例が
特徴とする点は,前記書き込み信号が,一連の重なった記録用サブマ
ークからなる記録用マークを形成するパルス列を有し,かつ前記書き
込み信号発生器が,パルスの配置が検知された前記シークエンスのビ
ットセルの数に基づいてパターン内にパルス列を発生させるように構
成されている点である。書き込み信号として使用されるパルス列を適
切に選択する事により,・・・どの様な記録担体についても熱効果の
影響を効果的に補償する事が可能になる。この様な書き込み信号波形
の利点は,その発生が極めて容易である事である。更に,その様な信
号波形の特性は,2値コードで簡単に表示する事が出来,それらをメ
モリに記憶させたり,ディジタル電子回路により処理する事が可能で
ある。」(同【0007】)。
④「このメモリには,検知されたシリーズの長さに対応した長さを有す
る記録用マークを形成するための書き込み信号が記憶されている。・
・・図8は,書き込み信号Vs3,Vs7及びVs11を示す連続バイト
Si.jの例を示している。ここで,iは当該バイトが属する書き込み信号
を示し,jはバイトからなるシークエンス内での当該バイトのシークエ
ンス番号である。・・・書き込み信号Vsは,上述した検知回路63と
書き込み信号発生器65によって,メモリ78に記憶された書き込み
信号Vsを用いることにより,非常に簡単な方法で記録材料を適合化す
ることが出来る。記録担体の各タイプ毎に,適合する書き込み信号を
CD-ROMフォーマットに基づいて,この目的のために確保されて
いるデータブロック50内のバイトS.i.jの配置の例を示してい
る。」(甲5の段落【0029】)。
イ以上の事実を前提に検討するに,①請求項1の構成要件C(「前記記
録担体の前記記録層に前記マークを記録するために,前記記録マーク
が,前記情報信号を適合化可能な対応関係に準拠させて一連の連続書込
み信号に変換する制御回路を有する記録装置により,形成され,」)の
記載から,請求項1の記録担体に記録されるマークは,「情報信号」
を「適合化可能な対応関係」に準拠させて一連の連続「書込み信号」に
変換することにより形成されるものであること,②構成要件D(「その
記録担体が,前記情報信号を前記書込み信号に変換するために必要な適
合化を表すことが出来る読取り可能な適合化情報が設けられている部分
を有する,記録担体において,」)の記載から,請求項1の記録担体
は,情報信号を書込み信号に変換するために必要な適合化を表すことが
できる読取り可能な「適合化情報」が設けられている部分を有するもの
であること,③構成要件E(「前記制御回路が,前記情報信号における
第一論理値のビットのシークエンスを検知し,かつ前記検知されたシー
ケンスにおけるビットの数を表す検知信号を供給する検知回路を有
し,」)及び構成要件F(「前記適合化可能な対応関係が,前記検知信
号と前記書込み信号との対応関係を有し,」)の各記載から,「適合化
可能な対応関係」とは,「情報信号を構成する第一論理値のビットのシ
ーケンスにおけるビットの数と書込み信号との対応関係」を意味するこ
と,④構成要件G(「前記記録担体に設けられた前記読取り可能な適合
化情報が,前記記録担体の前記記録層に前記マークを記録するために必
要な前記検知信号に対する書込み信号波形を示している」)の記載か
ら,請求項1の記録担体に設けられた読取り可能な「適合化情報」
は,「検知信号」と記録担体にマークを記録するために必要な「書込み
信号波形」との対応関係を示すものであることがそれぞれ認められる。
上記①ないし④を総合すると,請求項1の記録担体に設けられた読取
り可能な適合化情報は,記録担体の記録層に記録マークを記録するため
に必要とされる,情報信号において検知されたシーケンスにおける第一
論理値のビットの数を表す検知信号に対応する書込み信号波形を示して
いるものと認めることができる。このことは,本願の明細書の前記ア
③,④の記載からも明らかである。
ウそして,請求項1に係る発明においては,情報信号において検知され
たシーケンスにおける第一論理値のビットの数を表す検知信号に対応す
る書込み信号波形が「適合化情報」として記録担体の部分に設けられて
いることにより,書き込み信号として使用されるパルス列が適切に選択
され,どのような記録担体についても熱の影響を効果的に補償すること
を可能とするという発明の目的(前記ア③)が達成できるものと認めら
れるから,「記録担体に設けられた読取り可能な適合化情報は,記録担
体の記録層に記録マークを記録するために必要とされる,情報信号にお
いて検知されたシーケンスにおける第一論理値のビットの数を表す検知
信号に対する書込み信号波形を示している」との点(原告主張の相違点
cの構成)は,請求項1の記録担体を特徴づける構成であるものと認め
るのが相当である。
そうすると,審決がこの点を考慮せずに,請求項1から構成要件C,
E,Fの記載の全部及びGの一部を除いて,審決にいう本願発明を認定
したのは不適切であるといわざるをえない。
(2)しかし,本件審決は,審決にいう本願発明と引用発明1の相違点bとし
て,読取り可能な適合化情報に関し,本願発明においては,「記録担体の
記録層にマークを記録するために必要な(検知されたビットのシークエン
スにおけるビットの数を表す)信号に対する書込み信号波形を示してい
る」のに対し,引用発明1では,書込み信号波形を示す波形が特に示され
ていない点を認定しているところ,上記「(検知されたビットのシークエ
ンスにおけるビットの数を表す)信号に対する書込み信号波形」との記載
は,情報信号において検知されたシーケンスにおける第一論理値のビット
の数を表す検知信号に対応する書込み信号波形を意味するものと認めら
れ,原告主張の相違点cを相違点bとして実質的に認定しているといえる
から,審決にいう本願発明の認定に前記のとおり不適切な点があったこと
は審決の結論に影響を及ぼすものではなく,本件審決に原告主張の相違点
の看過があったものと認めることはできない。
したがって,原告主張の取消事由1は理由がない。
3取消事由2(相違点bに関する判断の誤り)について
(1)原告は,引用例2における入力信号17は,長さの異なる記録信号16
ごとに固有のパルス配列(書込み信号の波形)を提供するものではないか
ら,入力信号17中に含まれる連続するパルス列が請求項1の「書込み信
号の波形」に相当するとした審決の認定は誤りであり,「引用例1に記載
された発明においても,・・・所望のレーザーパワーに関する記録条件(
読み取り可能な適合化情報)を,引用例2に記載された発明のような記録
ピット(記録マーク)のパターンを記録するために必要な連続するパルス
列からなる入力信号(書込み信号波形)とすることは当業者が容易に想到
できたものである。」とした相違点bに関する審決の判断(7頁33行~
8頁3行)も誤りである旨主張する。
ア(ア)まず,引用例2(甲2)には,次のような記載がある。
①「第1図は本発明の一実施例における信号記録装置の構成を示すも
のである。第1図aにおいて,10はパルス信号を記録信号でゲー
トするゲート回路,11はゲート回路からの信号によりレーザーの
パワー制御を行うレーザー駆動回路,12は半導体レーザー,13
は記録媒体のディスク,14は記録信号に現われるレベル反転間隔
を整数等分する時間を周期として有するパルス信号を発生するパル
ス発生回路である。本実施例の説明に用いるパルス信号周期として
は,第2図に示すように,記録信号15が1.5Tから4Tまで,
0.5Tきざみで与えられるレベル反転間隔を有しているディジタ
ル記録変調方式である場合として,0.5Tを用いている。」(2
頁右上欄12行~左下欄5行)。
②「以上のように構成された本実施例の信号記録装置について以下に
その動作を説明する。
パルス信号発生回路14は上記のように0.5Tの周期を有する
パルス列15を記録信号16に同期して発生する。パルス幅は任意
に設定して良い。記録信号16がゲート回路10に供給され,この
信号により前記パルス列15をゲートし,レーザー駆動回路11へ
の入力信号として17の信号を作成する。レーザー駆動回路11は
この信号17に従ってレーザー12の発光パワーを変調し,記録媒
体13上にレーザー光を照射する。記録媒体上でレーザー光が照射
された部分は温度上昇し,温度があるしきい値を越えた部分の記録
媒体の状態が変化することによって信号の記録ピットが形成される
ことになる。このとき,レーザー光のパワー変化は信号17に従っ
た変化をするので,記録信号のHレベルの区間が長い部分でも,記
録ピットの幅は18に示したように広がることはない。」(2頁左
下欄6行~右下欄3行)。
(イ)上記(ア)の記載と第1図及び第2図(甲2)によれば,引用例2
に記載された発明においては,所定の周期(記録信号に現われるレベ
ル反転間隔を整数等分する時間)を有するパルス列を発生させ,これ
を所定の時間だけゲートさせたもの(出力させたもの)を書込み信号
としていること,すなわち,書込み信号は同一パルス幅のパルスの列
であることが認められる。
イ次に,引用例1(甲1)には,「ここで,トラックNo.は内周から
0トラック,1トラック・・・となっており,最内周の0トラックをデ
ィスクの管理情報を記録する領域として用い,通常のデータを記録する
領域と区別して使用する。この0トラック中のある1つの特定のセクタ
ーを記録媒体に対する光ビームの記録条件即ち,最適記録レーザーパワ
ー情報,最適バイアス磁界強度情報,最適消去パワー情報,最適再生パ
ワー情報の記録領域とし,各々8ビットのデータとし,第2図に示す様
にセクターのデータ領域の先頭から4バイトに光磁気効果を利用し記録
する。」(2頁右上欄末行~左下欄11行)との記載がある。
上記記載によれば,引用発明1においては,光ディスク(記録担体)
に管理情報を記録する領域が設けられており,この管理情報に基づい
て,光ディスクに情報を書き込むときの光ビームの記録条件が最適化(
適合化)されること,最適化される対象は,光ビームを発生させるレー
ザーのパワー,バイアス磁界強度等であることが認められる。
ウ前記ア,イの認定事実によれば,引用例2は,「長い記録ビットを形
成する場合に記録媒体上の記録ビットを形成する部分の温度上昇による
熱の広がりを少なくし,記録ビットがトラック幅方向に広がるのを抑え
る信号記録装置」を提供するものであり,引用発明1と引用例2を組み
合わせることにより,書込み信号のパルス列を構成する個々のパルスの
信号波形を適合化情報とすることは当業者(その発明の属する技術の分
野における通常の知識を有する者)であれば容易に想到しえたものと認
められるものの,一方で,引用例2における書込み信号は,同一幅の複
数のパルスを等間隔に配置したパルス列を前提とするものであって,引
用発明1に引用例2の上記技術を適用する場合には,それぞれのパルス
を構成する信号の波形を適合化すれば足り,この信号の波形は情報信号
における第一論理値のビットのシークエンスにおけるビットの数と結び
つくものではないというべきである。しかも,引用例2においては,上
記第一論理値のビットのシークエンスにおけるビットの数を表す信号に
対応する書込み信号波形を適合化情報とするとの着想を示唆する記載を
認めることはできない。
そうすると,引用発明1に引用例2を適用することにより,情報信号
における第一論理値のビットのシークエンスにおけるビットの数を表す
信号に対する書込み信号波形を適合化情報とする相違点bに係る請求項
1に係る発明の構成とすることは,当業者が容易に想到することができ
たとまで認めることはできない。
(2)これに対し被告は,本願発明でいう「書込み信号」とは,少なくともレ
ーザビームを照射するヘッドに対する入力信号のことを指しており,光デ
ィスク(記録担体)へのパルス状の書込み信号のことであることは明らか
であり,しかも,本願の特許請求の範囲(請求項1)には,単に「前記記
録担体の前記記録層に前記マークを記録するために必要な」「書込み信号
波形」と規定されているにすぎず,原告の主張は特許請求の範囲に規定さ
れていない事項をも付加して「書込み信号波形」を独自に限定的に解釈
し,本願発明と引用発明1との相違を新たに導き出そうするものであり,
失当である旨主張する。
しかし,前記2(1)イ,ウで説示したとおり,請求項1の記載から,「請
求項1の記録担体に設けられた読取り可能な適合化情報は,記録担体の記
録層に記録マークを記録するために必要とされる,情報信号において検知
されたシーケンスにおける第一論理値のビットの数を表す検知信号に対応
する書込み信号波形を示している」ことが認められ,この点は請求項1の
記録担体を特徴づける構成であって,原告の主張が特許請求の範囲の記載
に基づかないものとはいえないから,被告の上記主張は採用することはで
きない。
(3)したがって,原告主張の取消事由2は理由がある。
4結論
以上のとおり,審決は相違点bについての判断を誤ったものであり,この
誤りは審決の結論に影響を及ぼすから,審決は取消しを免れない。
よって,原告の本訴請求は理由があるから認容することとして,主文のと
おり判決する。
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官中野哲弘
裁判官大鷹一郎
裁判官長谷川浩二

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛