弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破毀する。
     本件を東京高等裁判所に差戻す。
         理    由
 弁護人松尾菊太郎の上告趣意は、末尾に添えた書面記載のとおりである。
 上告趣意第一点について。
 裁判所は、審判の請求を受けない事件について判決をすることができないことは
言うまでもないことであるが、裁判所はまた、検察官が公訴を提起するにあたつて
示した罪名に拘束されるものではないことも多言を要しない。されば、公訴にかゝ
わる犯罪事実の同一性を害しない限り公訴の罪名と判決の罪名とが異なり、従つて
多少事実を異にするところがあつたからとて判決を違法ならしめるものではない。
記録によると、本件公訴状に記載された事実は「被告人は、昭和二三年四月二二日
東京都中央区所在A病院別館において連合国占領軍所有のチウイングガム一千個を
窃取した」というのであり、原判決の認定した事実は「被告人は昭和二三年四月二
二日東京都港区a所在米軍補給部隊から東京都中央区bc丁目A陸軍病院別館へ米
軍用砂糖菓子類を貨物自動車で運搬する際、人夫B某からチウイングガム一千個入
一箱の運搬を委託されその盗賍品なる情を知りながらこれを貨物自動車で前記部隊
から右病院別館まで運搬した」というのである。
 この両者に共通する事実としては、昭和二三年四月二二日東京都中央区A病院別
館を関係場所として連合国占領軍所有のチウイングガム一千個が不法に領得された
ことに被告人が関与したその行為が中心問題とされているのであつて、公訴状では
被告人の行為を窃盗と認めたのに対し原判決においてはこれを賍物運搬と判断した
結果事実関係に多少の差異を生じたのであるが基本的事実には変動がないのである
から、公訴状記載の公訴事実と原判決認定の犯罪事実とは同一性を失わないものと
言うことができるのである。それゆえ、原判決には所論のような違法はないので、
論旨は理由がない。
 同第二点および第三点について。
 判決において賍物に関する罪の罪となるべき事実を説明するについては、必ずし
も被告人の行為の目的物がなにびとの、いかなる犯罪によつて不法に領得された賍
物であるかの具体的事実を明示することを必要とするものではないが、少くとも判
示事実の記載と引用の証拠と相まつてその目的物が賍物であることを知り得る程度
に明らかにしなければならないことは言うまでもないところである。ところが、本
件において原判決は被告人がチユウイングガム千個入一個を「盗賍品なる情を知り
ながら之を……運搬した」と判示しているのであるが、原判示事実と引用の証拠と
によつても被告人の運搬した目的物が盗罪によつて不法に領得された物であること
を知ることはできないのである。すなわち、原判決の引用する証拠からは、被告人
が本件物件を盗賍品であると思つていたという主観的事情は認められるが、右物件
が盗賍品であると認められる証拠はないのである。それゆえ、原判決には所論のよ
うに理由不備乃至採証法則違反の違法があるから論旨は理由があり原判決は破毀を
免かれない。
 よつて、旧刑訴法第四四七条第四四八条ノ二に従い主文のとおり判決する。
 この判決は、当小法廷裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 岡本梅次郎関与
  昭和二五年五月一六日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    穂   積   重   遠

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