弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1第1事件の訴えのうち,別紙物件目録記載1の土地の売却が違法
であることに基づいてP1に対して11億6000万円及びこれに
対する平成17年4月7日から支払済みまで年5分の割合による金
員の支払いを請求することを求める部分及び別紙物件目録記載1の
土地についての別紙登記目録記載1の所有権移転登記の抹消登記手
続請求を怠る事実が違法であることの確認を求める部分をいずれも
却下する。
2原告らのその余の請求及び参加人らの請求をいずれも棄却する。
3訴訟費用は原告ら及び参加人らの負担とする。
事実及び理由
第1請求
1第1事件
()被告は,P1に対し,43億6612万7170円及び内11億6001
0万円に対しては平成17年4月7日から,内32億0612万7170円
に対しては平成18年1月31日から各支払済みまで年5分の割合による金
員の支払いを請求せよ。
()被告が,P2株式会社に対し,別紙物件目録記載1の土地について,別2
紙登記目録記載1の所有権移転登記の抹消登記手続請求を怠ることは違法で
あることを確認する。
()被告が,P3株式会社,P4株式会社,P5株式会社,P6株式会社,3
P7株式会社及び特定目的会社P8に対し,別紙物件目録記載2ないし4の
各土地について,別紙登記目録記載2の所有権移転登記の抹消登記手続請求
を怠ることは違法であることを確認する。
2第2事件
()被告は,P1に対し,32億0612万7170円及びこれに対する平1
成18年1月31日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払いを請
求せよ。
()被告が,P3株式会社,P4株式会社,P5株式会社,P6株式会社,2
P7株式会社及び特定目的会社P8に対し,別紙物件目録記載2ないし4の
各土地について,別紙登記目録記載2の所有権移転登記の抹消登記手続請求
を怠ることは違法であることを確認する。
第2事案の概要
第1事件は,神戸市の住民である原告らが,被告に対して,①別紙物件目録
記載1の土地(以下「α跡地」という)の売却及び②別紙物件目録記載2な。
いし4の各土地(以下「P9高校跡地」という)の売却について,神戸市が。
採用した方法等が違法であり,①については11億6000万円の,②につい
ては32億0612万7170円の損害が神戸市にそれぞれ生じていると主張
して,上記各土地の売却当時の市長個人に対して合計43億6612万717
0円及びこれに対する年5分の割合による遅延損害金分(内11億6000万
円についての起算日は平成17年4月7日,内32億0612万7170円に
ついての起算日は平成18年1月31日)の損害賠償請求をすることを求める
とともに,被告がP9高校跡地及びα跡地についてそれぞれなされた所有権移
転登記抹消登記手続請求を怠ることが違法であることを確認することを求めた
住民訴訟である。
第2事件は,原告らによる第1事件提起後に,神戸市の住民である参加人ら
,,がP9高校跡地について原告らと同様の判決を求めて提訴した事件であるが
当裁判所は,これを第1事件の原告らへの共同訴訟参加の申立てとして適法と
認める。
1争いのない事実等
()当事者等1
ア原告ら,選定者ら及び参加人らは,神戸市の住民である。
イP1は,平成13年11月以降,現在まで引き続いて神戸市長の地位に
ある。
()α跡地の売却2
神戸市は,その所有するα跡地について,平成16年12月20日に開催
されたα跡地事業者選考審査委員会の答申を受けて,P2株式会社を買受事
業者とすることを決定した(買受価格20億円(乙1,3。神戸市とP))
2株式会社は,平成17年1月21日に同土地について売買契約を締結し,
同社は同年4月7日に売却代金の支払いを終え,同月8日に同土地の所有権
移転登記(別紙登記目録記載1)がなされた(甲2,11。)
()P9高校跡地の売却3
神戸市は,その所有するP9高校跡地について,平成17年11月7日に
開催されたP9高校跡地事業者選考審査委員会の答申を受けて,P3株式会
社を代表とする共同事業者(その他の構成員企業は,P4株式会社,P5株
式会社,P6株式会社,P7株式会社及び特定目的会社P8)を買受事業者
とすることを決定した(買受価格84億1587万2830円(甲2,乙)
4,5。神戸市と上記共同事業者は,平成17年12月22日に同土地に)
ついて売買契約を締結し,同共同事業者は平成18年1月31日に売却代金
の支払いを終え,同日に同土地の所有権移転登記(別紙登記目録記載2)が
なされた(甲2,12。)
()監査請求4
ア原告らは,平成18年4月28日(原告ら以外の選定者らについては,
同日以外に同年5月8日,同月9日,同月15日,同月30日,同月31
日及び同年6月2日)に,神戸市監査委員に対し,α跡地及びP9高校跡
地に関するP1への損害賠償請求等の措置を求める住民監査請求を行った
ところ,神戸市監査委員は,同年6月22日付けで,α跡地については監
査請求期間の徒過を理由に却下し,P9高校跡地については措置の必要を
認めないとして原告らの監査請求を棄却した(甲1,2。)
イ参加人らは,平成18年5月26日に,神戸市監査委員に対し,P9高
校跡地に関するP1への損害賠償請求等の措置を求める住民監査請求を行
ったところ,神戸市監査委員は,同年7月13日付けで,措置の必要を認
めないとして参加人らの監査請求を棄却した(丙1,2。)
()本訴提起5
ア原告らは,平成18年7月18日,第1事件について訴えを提起した。
イ参加人らは,同年8月11日,第2事件について訴えを提起し,同年1
0月24日の本件口頭弁論期日において,第2事件の「訴状」につき,標
題を「共同訴訟参加申立書」と「原告」とあるのを「参加人」とそれぞ,
れ訂正し「参加の趣旨」として「神戸地方裁判所平成18年(行ウ)第,,
45号事件に共同訴訟参加する」を加える旨記載した同年9月11日付。
けの「訂正申立書」を陳述した(当裁判所が,参加人らから適法な共同訴
訟参加の申立てがなされたものと認めることは前記のとおりである。。)
2争点
()α跡地に関する監査請求の適法性1
()監査請求期間徒過について正当な理由地方自治法242条2項ただし書
はあるか(争点1)
()P9高校跡地の売却について2
ア同土地売却についての違法性(争点2)
イ同土地売却時のP1の過失の有無(争点3)
ウ損害(争点4)
()α跡地の売却についての違法性,P1の過失及び損害(争点5)3
3争点に関する当事者の主張
()争点1について1
(原告らの主張)
ア原告らはα跡地について,α跡地事業者選考審査委員会による審査前に
P10市議が市幹部に圧力を加えて同審査を行ったことを,平成18年4
月17日付けのP11新聞の記事で初めて知った。そこで,原告らはP1
0市議らによる口利きの圧力があった違法な審査であったことを知ってか
ら66日以内に監査請求を行ったから,相当な期間内に監査請求を行った
ものである。
イ最高裁判決(最高裁平成14年9月12日判決・民集56巻7号148
1頁)は,正当な理由として「監査請求をするに足りる程度に当該行為の
存在又は内容を知ることができた」かどうかを要件としている。α跡地売
却の存在を市民が知ることができたとしても,それが違法不当であること
を知り得なければ,監査請求をなすことを市民に期待することはできない
から,監査請求をすることができたといえるためには,当該行為の存在の
みならず,当該行為が違法不当であることを基礎付ける事実を知り得るこ
とが必要というべきである。そして,α跡地の土地売却は,神戸市議会で
議題となっておらず,同議会を通じて市民が知ることになったのは,P9
高校跡地が低額で売られた事件の際である。まして,総合評価方式を採用
したにもかかわらず随意契約で買受人と契約したという神戸市の主張を知
ったのは,平成18年6月8日の神戸市議会,政治倫理確立委員会の場で
ある。
ウ被告は,価格点50点の事業者が落選したことを認識することが可能で
あるとか,最高譲受申出価格が31億6000万円となることは逆算でき
たなどと主張するが,神戸市が違法な総合評価方式を採用した上で,しか
も総合評価方式が随意契約であるとの言い逃れまでしていることをこの段
階では想像だにできないことは明らかである。
エなお,総合評価方式が随意契約であるという被告の主張を裏付ける書面
は,平成18年6月8日以前には存在せず,神戸市は,同日前に「随意契
約」という言葉を使用したこともなかった。
また,α跡地の売却について平成16年12月23日のP11新聞,同
日のP12新聞,同月25日のP13新聞に記事があるが,同土地の買受
事業者の選考方法についての記述はなく,買受人と価格1位グループに差
があることすら記述がない。これだけの報道では違法は想定できず,違法
の有無の調査の必要性さえ感ずることはできない。
(被告の主張)
ア本件の住民監査請求は平成18年4月28日に行われているが,α跡地
の売却は平成17年4月8日までに履行を終えており,住民監査請求は当
該行為が終わった日から1年を経過した後に行われている。
イ原告らは,平成18年4月17日の新聞記事によってα跡地売却に関す
る違法事由の存在を初めて知ったかのように主張する。
しかし,原告らがα跡地の売却が違法である根拠とする最高譲受価格申
出人を買受事業者として選定しなかった事実は,平成16年12月22日
に公表されているため「正当な理由」は認められない。,
ウα跡地の買受事業者は平成16年12月20日開催のα跡地事業者選考
審査委員会で決定され,選考方法及び決定結果は同月22日に報道機関に
公表されるとともに,記者発表資料は,神戸市のホームページの記者発表
資料の欄に掲載されている。そして,神戸市による発表に基づいて,同月
23日のP12新聞及びP11新聞の各朝刊,同月25日のP13新聞朝
,。刊に買受事業者の決定や買受事業者の事業計画の記事が掲載されている
同月22日に公表された記者発表資料では,買受事業者の価格点は31.
65,内容点は38.52であったのに対し,次点の事業者は価格点が4
2.72,内容点が26.67であることが公表されている。この記者発
表資料のみからでも,少なくとも,買受価格20億円を提示した事業者が
価格点31.65点で当選し,価格点50点満点を取得した事業者が落選
したことを認識することが可能である。
また,価格点の算定方法は,平成16年9月1日に一般に配布された事
業者募集要項に以下のとおり記載されているのだから,最高譲受価格申出
事業者の申出価格が約31億6000万円となることを逆算することがで
きた。
価格点=50点×当該応募者の譲受申出価格/全応募者中の最高譲受申
出価格
エまた,原告らは監査請求が遅れた理由として,α跡地の売却が議会で審
議対象とされなかったことにより売買契約の存在及び内容を知ることがで
きなかったことを主張する。しかし,上記ウに記載のとおり,買受事業者
の選考方法及び選考結果の記事がホームページ及び新聞紙上に掲載された
こと,平成17年4月8日受付の所有権移転登記によって売買契約締結及
び履行の事実が登記記録上で公開されていること並びにこれらの公開され
ている事実に基づいて公文書の公開請求を行うことが可能であったことか
らすれば,原告らが相当の注意力をもって調査を尽くしていれば,遅くと
も平成17年5月ころには監査請求をするに足りる程度に売却行為の存在
及び内容を知ることが可能であった。
オしたがって,監査請求が財務会計上の行為が完了してから1年以内に行
われなかったことについて「正当な理由」は存在しない。
()争点2について2
(原告らの主張)
アP9高校跡地売却を総合評価方式で行ったことは違法であること
P9高校跡地の売却については総合評価方式で行われたところ,総合評
価方式は支出の場合にのみ行われる競争入札であるから(地方自治法施行
令167条の10の2第1項,土地の売却に適用したのは違法である。)
そして,P9高校跡地の売却方式について,神戸市は度々「総合評価方
式」と明言しており,後になってから随意契約であると主張しだしたが,
これは従前の総合評価方式であるとする神戸市の主張と矛盾する。
イ本件は随意契約の要件を満たしていなかったこと
(ア)地方自治法施行令167条の2第1項2号は,随意契約ができる条
件として「不動産の買入れ又は借入れ」を挙げているが,不動産の売却
は挙げていない。すなわち,P9高校跡地の売却は「不動産の買入れ,
又は借入れ,普通地方公共団体が必要とする物品の製造,修理,加工又
は納入に使用させるため必要な物品の売払いその他の契約」にそもそも
当たらないため,随意契約の要件を満たさない。
(イ)仮に,土地売却が「不動産の買入れ又は借入れ,普通地方公共団体
が必要とする物品の製造,修理,加工又は納入に使用させるため必要な
物品の売払いその他の契約」に当てはまるとしても,本件のように貴重
な一等地における市有土地財産を売却する場合に「その性質又は目的が
」()競争入札に適しないもの地方自治法施行令167条の2第1項2号
に該当しないことは明らかである。
また,随意契約について規定している地方自治法施行令167条の2
の他の項目のいずれにも本件は当てはまらない。随意契約の要件に該当
しないのに随意契約が締結された場合は違法である。
(ウ)上記のように,随意契約が認められる例外規定のいずれにも当たら
ないことが何人の目にも明らかであり,当該契約の効力を無効としなけ
れば随意契約の締結に制限を加える法令の規定の趣旨を没却する結果と
なるから,P9高校跡地についての売却契約は無効になる。
ウ最高価格の応募者と契約をしなかったこと
(ア)収入の原因となるような土地売却には「予定価格の制限の範囲内,
で最高の価格をもって申込みをした者を契約の相手方とするものとす
る」との地方自治法234条3項が当てはまる。。
しかるに,P9高校跡地については116億円で購入を希望する企業
もあったにもかかわらず,応募者の中で最低の84億円を申し出た応募
者への売却を決めた。これは明らかに違法である。
(イ)本件の場合,随意契約ではないところ,違法な総合評価方式を導入
し,競争入札するなら,最高価での譲渡申出価格を落札価格としなけれ
ばならないのに,下位の価格申出者と契約したことは地方自治法の「適
正な対価」といえる価格ではない。
(参加人らの主張)
地方自治法施行令167条の2第1項2号の「その他の契約」には,その
前の例示で「不動産の売買」とせずに「不動産の買入れ」と限定しているこ
と,同じく「売り払い」の対象を「物品」に限定していること等からして,
「不動産の売却」を含まないと解すべきである。また,P9高校跡地の売却
は,同施行令同条項の他の各号のいずれにも該当しない。
したがって,P9高校跡地の売却は,随意契約の要件を欠くから違法であ
る。
(被告の主張)
アP9高校跡地の売却方法は随意契約であること
(ア)P9高校跡地の売却は,随意契約の方法によるものであり,随意契
約の相手方の選考方法として,買受希望者が提示した買受後の土地利用
方法の内容及び買受申出価格を総合評価する方式を採用した。
神戸市は,本件における売却先の選考方法を「総合評価方式」と呼称
することがあるが,これは,随意契約の方法による契約相手の選定方法
を,価格と内容を総合的に評価することによって決定したために,その
実体を表す呼称として用いたものであり,随意契約であることを殊更隠
ぺいしようとした事実はない。
本件の土地売却方法は,価格と提案内容を総合的に評価するという点
で,地方自治法施行令167条の10の2が規定する総合評価一般競争
入札と共通するが,支出原因となる契約締結の場合ではないから,法的
には別個の方法である。
(イ)不動産の売払いは地方自治法施行令167条の2第1項2号の「そ
の他の契約」に含まれるところ,随意契約の方式によって不動産の売払
いを行うためには,地方自治法施行令167条の2第1項2号の「その
性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」に該当する必要が
ある。
そして「その性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」,
とは「競争入札の方法によること自体が不可能又は著しく困難とはい,
えないが,不特定多数の者の参加を求め競争原理に基づいて契約の相手
方を決定することが必ずしも適当ではなく,当該契約自体では多少とも
価格の有利性を犠牲にする結果になるとしても,普通地方公共団体にお
いて当該契約の目的,内容に照らしそれに相応する資力,信用,技術,
経験等を有する相手方を選定しその者との間で契約の締結をするという
方法をとるのが当該契約の性質に照らし又はその目的を究極的に達成す
る上でより妥当であり,ひいては当該普通地方公共団体の利益の増進に
つながると合理的に判断される場合」を含み,そのような場合に該当す
るか否かは「契約の公正及び価格の有利性を図ることを目的として普,
通地方公共団体の契約締結の方法に制限を加えている前記法(地方自治
法)及び令(同法施行令)の趣旨を勘案し,個々具体的な契約ごとに,
当該契約の種類,内容,性質,目的等諸般の事情を考慮して当該普通地
方公共団体の契約担当者の合理的な裁量判断により決定されるべきもの
と解するのが相当である(最高裁判所昭和62年3月20日判決・民」
集41巻2号189頁)とされている。
イP9高校跡地売却後のより望ましい土地利用の実現及び利用方法の制限
が必要であったこと
,,(ア)P9高校跡地が所在する神戸市βはγ駅周辺を区の中心核として
δ駅周辺,ε駅周辺等を区の中心核に次ぐ生活拠点として位置づけてい
る。δ駅は特急停車駅であり,駅前のバスターミナルとともに主要な交
通結節点となっており,βは区別計画において,同駅周辺を区南西部の
中心的な商業ゾーンとして整備に努めることを目指している。
(イ)P9高校跡地は,δ駅の真正面に立地することから,駅前にふさわ
しい景観,デザインや駅へのアプローチが配慮されなければならないこ
とは当然であるし,ζ駅北側から国道2号線に至る24648.41平
方メートルもの広大な土地を一体として開発することで,商業,業務施
設等と住宅のバランスのとれた配置,構成によるにぎわいの空間を創出
することによって,η地域全体の活性化をもたらし,既存の周辺商業施
設とも共存を図ることが期待される。また,既存の樹木の活用等による
地域の環境との調和,高齢者に優しく,来街者を含めた市民の快適な暮
らしの実現,青少年の健全育成のためのコミュニケーションスペースの
整備,酒蔵,θ,だんじりなどの古き良きηの面影への配慮などが期待
される。
(ウ)平成12年10月11日,P9高校廃止に伴い,P14協議会が発
足し,神戸市と同協議会との間で跡地の利用方法について協議が行われ
るとともに,同協議会から跡地利用の方法に関する要望書が4通神戸市
に提出されている。神戸市は,平成16年12月2日付けの同協議会か
らの要望書に対し,平成17年2月7日付けで神戸市の考え方を説明し
ており,説明内容はP14協議会広報誌「○○」第9号に掲載され,周
辺住民に配布されている。
以上の経緯から,神戸市としては,買受事業者に対し,地元住民の意
向を踏まえて平成17年2月7日付けで説明した考え方に基づく土地利
用を求める必要があった。
ウ土地売却後のより望ましい土地利用の実現,利用方法の制限が必要な場
合の売却方法について
,,(ア)神戸市としては売却後のより望ましい土地利用を実現するために
より望ましい土地利用計画を有しており,当該計画内容を実現するため
,。の資金力実績等を有する事業者を売却先として選定する必要があった
売却した土地のより望ましい土地利用を実現する方法としては,神戸
市が土地の利用方法を特定した上で,当該条件を受諾する事業者のみで
競争入札を行う条件付一般競争入札があるが,神戸市が土地の利用方法
を考案するのでは発想内容に自ずと限界があるし,買受申出価格のみに
よって売却先を決めるため,事業計画・資金計画の健全性等を神戸市が
判断する機会がない。
(イ)P9高校跡地の売却については,競争入札の方法によることが絶対
。,,的に不可能又は著しく困難であるとまではいえないしかし同土地は
上記のように売却後の土地利用方法がまちづくりに与える影響が重大で
あるため神戸市が売却後の土地利用に関与せず,単なる価格競争のみに
よって又は民間の創意工夫を活用せずに売却の相手方を決定するのは相
当ではなく,多少とも価格の有利性を犠牲にしても,まちづくりにとっ
てより望ましい土地利用方法を提案した事業者を売却の相手方として選
定する必要があった。
したがって,P9高校跡地の売却は「その性質又は目的が競争入札,
に適しないものをするとき」に該当するため,神戸市が随意契約の方法
によったことは適法である。
エ本件における売却方法の適法性について
(ア)土地の利用方法を神戸市が示す指針及び条件の枠内で民間事業者の
自由な発想に委ねることによってより望ましい利用方法を実現するとと
もに,売却価格についても可及的に高額での売却を目指すという双方の
要請を満たす方法として考案されたのが,買受希望者が提示した買受後
の土地利用方法の内容及び買受価格を総合的に採点評価し,総合評価の
点数が最も高かった事業者を売却先に決定して,当該事業者と随意契約
の方式によって売却する方式である。地方公共団体が随意契約を行うに
は,契約の相手方として当該契約の目的,内容に照らしそれに相応する
資力,信用,技術,経験等を有する相手方を選定する必要があるが,随
意契約の相手方をどのような方式によって選定するかは法令上の制約は
存在せず裁量に委ねられており,上記のような総合評価一般競争入札と
類似する方法によって不動産売却の相手方を決定することも可能であ
る。
(イ)本件の選定方法は,選定方法の透明性を高めるために,①候補者を
公募制にしたこと,②価格及び内容の評価基準・点数配分を事前に作成
して公表したこと,③価格及び内容の評価のために学識経験者を中心と
した選考審査委員会を設置したことなどに特徴があるが,価格と内容を
総合的に評価するという手法自体は,複数の候補者から随意契約の相手
方を選定する場合に一般的に行われている方法である。
(ウ)土地利用計画の内容と買受価格とを総合評価して買受人を決定する
に当たっては,最高価での申出人に売却することになるとは限られず,
多少とも価格の有利性を犠牲にする結果になることが想定される。
そこで,土地利用方法を公平に審査するため,上記のとおり,審査基
準を定めて事前に公表するとともに,事業者選考審査委員会(審査委員
は6名の学識経験者と3名の神戸市職員で構成)を設置し,同委員会で
の審査によって当選者の選考を行っている。
また,神戸市は,買受事業者の募集に当たっては土地売却参考価格を
定め,同価格を最低価格と捉えるように求めている。この土地売却参考
価格は,不動産鑑定士による鑑定評価額を参考に,神戸市不動産評価審
議会に付議して評定を得た価格に基づいて設定した適正な価格である。
P9高校跡地については,鑑定評価額は63億3460万円であり,同
審議会の評定に基づいて75億円を土地売却参考価格と定めている。そ
して,土地売却参考価格は,P9高校跡地の時価として適正に評価され
た金額を基に設定したものであるから,買受事業者として決定された者
の買受申出額が土地売却参考価格を上回っておれば,最高価格を提示し
た事業者に売却されないことになったとしても,それによる価格面での
犠牲は許容される範囲内であり,最高価での提示額と売却価格との差額
を理由に随意契約の方法によって売却したことが違法とはならない。
(エ)神戸市は,売却後の土地利用計画をより望ましい方向へ誘導すると
ともに利用方法に最低限の制約を加えるために,土地利用指針及び土地
利用計画提案条件を定め,事業者募集要項に,土地利用指針及び土地利
用計画提案条件の内容並びに土地利用指針等に対応した審査項目及び配
点によって当選者を決定する旨を記載し,応募希望者に事業者募集要項
を配布している。なお,土地利用計画提案条件に合致しないものについ
ては,自動的に落選となり審査の対象とはしないこと,いずれかの審査
項目において著しく劣り「不適」と判断された提案は,総合得点のいか
んにかかわらず,失格とすることがあることを定めている。
(オ)P9高校跡地については6者の応募があり,審査の結果,P3株式
会社を代表とする共同事業者の提案概要は土地利用指針に最もよく合致
した内容となっており,内容点50点満点のうち44.44点を獲得し
た。一方,次点となった応募者の提案内容は,住宅の比重が高く,商業
施設の計画内容において,核となる店舗が小規模であり,商業施設全体
としての規模も小さいため,広域からの集客が見込めず,駅前の顔とし
ての魅力,にぎわいの点でP3株式会社を代表とする共同事業者の提案
より劣ると評価され,内容点は28.89点にとどまった。なお,P9
高校跡地事業者選考審査委員会においては,当選者の提案内容が当選者
と次点者の申出価格の差額を埋め合わせるだけの優れた計画であるかも
議論されたが,当該議論を踏まえた採点によっても,P3株式会社を代
表とする共同事業者が最高点を獲得している。
()争点3について3
(原告らの主張)
平成18年6月8日神戸市会政治倫理確立委員会で,P15行財政局財政
部主幹が「7月の初めに,最終的に市長に,こういうことでやらしていただ
きたいという方針説明を行いました」といっているように,P1はP9高校
跡地払下げを総合評価方式で行うとの報告を受けて知っていた。
また,同日の同議会でP16行財政局長も「本件の売却方法については市
長の決裁を得て決定した」と報告していることからも,P1はP9高校跡地
払下げの関係者の一連の違法行為を知り得る状況にあったにもかかわらず,
その財務会計上の違法行為を阻止せず神戸市に損害を与えた。
(参加人らの主張)
PFI契約は支出となる契約であり,収入となる土地売却契約と法的な性
格が全く異なるのに,P1は,神戸市の担当者とともに,土地売却について
もPFIと同様に総合評価一般競争入札が可能であると漫然と考えるという
重大な過失により,上記のとおり違法な契約を締結した。
(被告の認否)
争う。
()争点4について4
(原告ら及び参加人らの主張)
P9高校跡地の売却について,神戸市が被った損害は,最高入札価格11
6億2200万円と売却金額84億1587万2830円の差額である32
億0612万7170円である。
(被告の認否)
最高入札価格,売却金額及び差額は認め,その余は争う。
()争点5について5
(原告らの主張)
アP9高校跡地の売却と同様の理由により,総合評価方式で行ったα跡地
の売却は違法で,P1には過失による不法行為責任がある。
イP1の上記不法行為により,神戸市は,α跡地の最高入札価格31億6
000万円と売却金額20億円の差額11億6000万円の損害を被っ
た。
(被告の認否)
最高入札価格,売却金額及びその差額は認めるが,その余は争う。
第3争点に対する判断
1争点1について
()前提となる事実関係1
前記第2,1,()の事実,証拠(甲1,2,11,15,28ないし32
0,乙2ないし4)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。
ア(ア)神戸市は,その所有するα跡地を売却することとし,売却先の土地
利用事業者募集について,平成16年9月1日から募集要項の一般への
配布を開始した。
(イ)同募集要項には審査基準が掲載されており,同基準によれば,価格
点50点,内容点50点の合計を総合得点とし,買受事業者の選定をす
るα跡地事業者選定審査委員会は総合得点の高い者を当選者とし,神戸
市は,同審査委員会の審査結果に基づいて買受事業者を決定するとされ
ていたところ,価格点に係る点数化の計算式は
価格点=50点×当該応募者の譲受申出価格/全応募者中の最高譲受
申出価格
とされていた。
(ウ)また,同募集要項には,買受事業者決定後の予定として,契約締結
を平成17年1月21日に行うこと,売買代金の支払いを同年3月29
日に行うこと,売買代金完納と同時に同土地の所有権が買受人に移転す
ること等も記載されていた。
イ神戸市は,平成16年12月20日に開催されたα跡地事業者選考審査
,。委員会の答申を受けてP2株式会社を買受事業者とすることを決定した
なお,買受価格は20億円であったが,これは応募者7名の中で4位であ
り,応募者が提示した譲受申出価格の最高価格は31億6000万円であ
ったため,最高価格との差額は11億6000万円であった。
ウ神戸市は,平成16年12月22日ころ,同市のホームページに「α,
跡地土地利用事業者募集における買受事業者の決定について」と題して,
α跡地の買受事業者が決まったこと,買受価格,選定方法の概要,審査結
果(応募者全員の価格点,内容点及び総合点。ただし,当選者及び次点者
,。)。以外の応募者の結果については匿名で表示されている等を掲載した
この表示された結果は,次のとおりである。
価格点内容点総合得点
31.6538.5270.17A(当選者)
42.7226.6769.39B(次点者)
50.0017.0467.04C
39.9222.2262.14D
31.3724.0755.44E
27.3723.7051.07F
G27.3717.7845.15
エ同月23日のP12新聞及びP11新聞の各朝刊,同月25日のP13
新聞朝刊に,α跡地の買受事業者が決定したことや買受事業者の事業計画
の記事が掲載された。
オ神戸市とP2株式会社は,平成17年1月21日にα跡地について売買
契約を締結し,同社は同年4月7日に売却代金の支払いを終え,同月8日
に同土地の所有権移転登記がなされた。
カ原告ら及び選定者らは,平成18年4月28日から同年6月2日にかけ
て,神戸市監査委員に対し,α跡地の売却について最高額31億6000
万円に対し,20億円での売却を決定したこと,当選者の価格は応募した
7社の中で4番目であったこと等を理由として,P1への損害賠償請求等
の措置を求める住民監査請求を行ったところ,神戸市監査委員は,同年6
月22日付けで,監査請求期間の徒過を理由に監査請求を却下した。
()検討2
ア(ア)上記のとおり,α跡地の売却については,平成17年4月8日まで
に履行を終えているところ,監査請求は,原則として当該行為のあった
日又は終わった日から1年を経過したときは,これをすることができな
い(地方自治法242条2項本文)が,正当な理由があるときは,この
限りでない(地方自治法242条2項ただし書。原告らが,監査請求)
をしたのは,上記1年経過後の平成18年4月28日であるので「正,
当な理由」の有無について検討する。なお,原告ら及び選定者らのした
α跡地についての監査請求は,被告のした同土地の売却が財務会計法規
に違反して違法,無効であることに基づき発生する請求権の不行使を対
象とする,怠る事実についての監査請求と解されるところ,普通地方公
共団体の長の財務会計上の行為が違法,無効であることに基づいて発生
する実体法上の請求権の不行使をもって財産の管理を怠る事実とする住
民監査請求については,当該財務会計上の行為のあった日又は終わった
日を基準として地方自治法242条2項の規定を適用すべきであるから
(最高裁判所昭和62年2月20日第二小法廷判決・民集41巻1号1
22頁参照,上記監査請求については同条項の適用があり,監査請求)
期間の起算点は上記のとおりとなる。
(イ)地方自治法242条2項本文は,普通地方公共団体の執行機関,職
員の財務会計上の行為は,たとえそれが違法,不当なものであったとし
ても,いつまでも監査請求ないし住民訴訟の対象となり得るものとして
おくことが法的安定性を損ない好ましくないとして,監査請求の期間を
定めている。そして,当該行為が秘密裡にされた場合に限らず,普通地
方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみ
て監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在又は内容を知ることが
できなかった場合には,上記の趣旨を貫くのは相当でないというべきで
ある。したがって,そのような場合には,上記正当な理由の有無は,特
段の事情のない限り,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって
調査すれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内容を知るこ
とができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかに
よって判断すべきものである(最高裁判所平成14年9月17日第三小
法廷判決・裁判集民事207号111頁。)
(ウ)上記第3,1,()によれば,α跡地の売却については,平成161
年12月22日ころには,買受事業者,買受価格,選定方法の概要,審
査結果が神戸市のホームページ上で公表され,その翌日には各紙朝刊に
α跡地についての記事が掲載されていたのであるから,同月22日ころ
には,同土地売却の概要について,普通地方公共団体の住民は知り得べ
き状態にあったといえる。そして,審査基準の掲載された募集要項は,
平成16年9月1日から公表,配布され,そこに記載された計算式によ
れば,価格点50点の買受価格を簡易な計算によって算出することがで
きるのだから(20億円÷31.65×50≒31億5956万円,)
α跡地について普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査す
れば,平成16年12月22日ころには,最高譲受申出価格が約31億
6000万円であって,買受業者の申出価格は7名の応募者の中で4番
目であること等の事項を知り,同土地の売却の存在及び内容につき客観
的にみて監査が可能な程度に知ることができたといえる。
原告ら及び選定者らは,α跡地の売却につき,上記時点から相当期間
内に監査請求をしたとはいえないから,上記「正当な理由」があったと
は認められない。
イ(ア)この点,原告らは,監査が可能といえるためには,当該財務会計行
為が違法不当であることを基礎付ける事実を知り得ることが必要という
べきであるとし,①α跡地の違法な土地売却について神戸市民が議会を
通して知ることになったのは,P9高校跡地が低額で売られた事件に関
連して議会で話題になった際の平成18年4月17日ころであり,②総
合評価方式を採用したにもかかわらず随意契約で買受人と契約したとい
う神戸市の主張を知ったのは,同年6月8日(神戸市議会,政治倫理確
立委員会)であるから「正当な理由」があると主張する。
しかし,監査が可能といえるために,議会での審議があったことは必
要ではないところ,前記第3,1,()のとおり,α跡地が売却された1
ことが報道された時点で,募集要綱(甲15)が公表されており,同要
綱には(総合評価方式」という呼称で書かれている訳ではないが)審「
査基準及びα跡地事業者選考審査委員会を設置し,同委員会が審査基準
に基づいて先行審査を行い,価格点と内容点の総合得点の最も高い者を
当選者とする旨の審査方式が記載されており,相当の注意力をもって調
査を行えば,同要綱から監査請求が可能な程度に当該財務会計行為の存
在及び内容を知ることができたというべきである。したがって,原告ら
の主張に理由はない。
(イ)また,原告らは,α跡地について,①P10市議が神戸市幹部に圧
力を加えたことを平成18年4月17日付けのP11新聞の記事で知っ
てから66日以内に監査請求を行ったから,相当な期間内に監査請求を
行ったものであり,正当な理由がある旨主張する。
確かに,原告らは,監査請求時に,α跡地売却について,P10市議
の違法な圧力のかかった審査であった旨を主張しているが(甲1,そ)
の一方でα跡地の売却価格が不当に安い旨も主張しており,そうであれ
ば,上記(ア)のとおり,監査請求が可能な程度に当該財務会計行為の存
在及び内容を知ることができたというべきであるので,原告らの主張に
理由はない。
2争点2について
()前記第2,1,()の事実,証拠(甲2,16,乙5,8ないし10,丙13
,,,),。5151647及び弁論の全趣旨によれば次の事実が認められる
ア平成12年10月11日,P9高校廃止等に伴い,P14協議会が発足
した。
P9高校跡地は広大な土地であり(実測面積2万4648.41平方メ
ートル,その利用方法が近隣地域に与える影響が大きいことから,神戸)
市と同協議会との間で跡地の利用方法について協議が行われるとともに,
同協議会から同土地利用の方法に関する要望書が神戸市に提出された。
平成17年2月7日開催されたP14協議会全体会議において,地元の
要望を最大限反映させたものとして神戸市教育委員会がまとめた「神戸市
の考え方」が発表された。P14協議会からの要望事項に対する「神戸市
の考え方」は,①商業・住宅のバランスのある土地利用計画,②地域交流
スペースの確保,③公共・公益施設の整備,④景観デザイン等の整備,⑤
地元要望確保の確認システム等の各項目について記載されていた。
イ神戸市は,平成17年7月付けで「神戸市立P9高校跡地土地利用事業
者募集要項−神戸市ι−」を策定した。同募集要項には,事業者の募集要
項として大要次のような内容が記載されていた。
(ア)土地の売却条件
a土地売却参考価格
75億円(当該参考価格は,譲受価格の申出にあっては最低価格と
捉えること)
b土地利用指針
駅前という立地条件を活かしたηにふさわしいまちづくりを行って
いくため,以下の視点にたって,土地利用計画を提案すること。
①βの主要な交通結節点であるδ駅の北側に位置している当地域
は,神戸市総合基本計画(区別計画)では,区南西部の中心的な商
業ゾーンとして整備に努めるものとされている。P9高校跡地につ
いては,商業,業務施設等と住宅のバランスのとれた配置,構成に
よりにぎわい空間を創出するとともに,地域の環境とも調和するよ
うな土地利用計画を求める。土地利用及び施設整備に当たっては,
高齢者に優しく,来街者を含め市民の快適な暮らしの実現に資する
ものが望ましい。
また,η地域全体の活性化につながり,既存の周辺商業施設とも
共存を図る工夫を求める。
なお,後記により条件付けられた青少年の健全育成のためのコミ
ュニケーションスペースの整備に当たっては,利用しやすく魅力的
な配置,構造となることが望ましい。
②施設の建設計画に際しては,酒蔵,θ,だんじりなど古き良きη
の面影や,駅前にふさわしい景観,デザインに配慮するとともに,
駅へのアプローチ,周辺地域も含めた防災,既存の樹木の活用など
緑豊かな環境,すべての人に利用しやすいユニバーサルデザインへ
の配慮などを求める。
c土地利用計画提案条件
土地利用計画の提案に当たっては,必ず次の条件を遵守すること。
これを満たさない場合は,審査対象としない。
①P9高校跡地南東部に,δ駅前の玄関口として,また,市民の憩
える場所として,面積1000平方メートル以上の広場を確保する
こと。
なお,この広場については,防災機能をもたせ,地域の催物(だ
んじり等)の際にも提供できる形態とし,事業者において管理する
ものであること。
②商業,業務施設等及び住宅を必ず配置すること。
商業,業務施設等については,特定の者の利用に限定されず広i
く市民,来街者に開かれたにぎわいや集客性,利便性に配慮し
た機能を,少なくとも3000平方メートル(床面積の合計)
(,,以上必ず含むことただし上記床面積は容積対象床面積とし
他の機能と共用する部分及び(立体)駐車場の面積は,算入し
ない。また,後記③の面積500平方メートル程度は別途確保
を要する。。)
住宅については,世帯向けを中心とした住戸とし,駅前にふさii
わしい良質な共同住宅を少なくとも100戸以上配置するこ
。,,。とただし住宅にはワンルームマンションを含まないこと
③地域の方も利用できる青少年の健全育成のためのコミュニケーシ
ョンスペースを計画整備すること。
(主な条件)
用途:音楽スタジオ,多目的室,フリースペース等i
延べ床面積:500平方メートル程度ii
場所・階数:商業,業務施設区域内,一層iii
エレベーター:2階以上に計画整備する場合は,地上からエレiv
ベーター(エスカレーター)による利用を可能
とすること
運営:完成後は,神戸市の選定する運営主体(NPOv
法人等)に無償貸与すること
④主たる商業,業務施設への来客用自動車駐車場の出入口は,P9
高校跡地西側に面して計画整備すること。また,P9高校跡地の南
側からの車両の出入りはできないものとする。なお,駐車場は一般
にも利用できる形態とすること。
⑤風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条1項に定
める風俗営業,同条5項に定める性風俗関連特殊営業の用に使用し
。,,てはならないことまたいわゆるラブホテルに類する施設の設置
営業も行わないこと。
⑥暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律2条2号に定め
る暴力団その他の反社会的団体及びそれらの構成員がその活動のた
めに利用するなど公序良俗に反する利用を行わないこと。
⑦δ駅北地区地区計画に従うこと。
dその他の土地売却条件
①土地利用の用途
買受事業者は,申込時に提出した土地利用計画書等に従い,平成
22年3月31日までに必要な工事すべてを完了し,P9高校跡地
全体を土地利用計画に基づく用途に供しなければならない。
なお,事業を行うに当たって,やむを得ない事情により,申込時
に提出した土地利用計画案を変更する場合には,事前に文書により
申請し,市の承認を得ること。ただし,本事業者募集の趣旨を損な
うような変更は認めない。
また,開発許可,建築確認等の諸手続前には,建築計画の概要を
示す書類を提出すること。
②P9高校跡地南側の道路及び公共駐輪場等周辺整備について
(省略)
③青少年の健全育成のためのコミュニケーションスペースの運営に
ついて
(省略)
④既存校舎等の解体,撤去について
(省略)
⑤契約上の主な制限条項
平成22年3月31日までに必要な工事を完了し,選考されたi
土地利用計画に基づいた土地利用の用途(以下「指定用途」とい
う)に供すること。。
契約から10年間は,神戸市の承認を得ないでP9高校跡地及ii
びP9高校跡地の上に建築された建物に関する所有権,地上権,
使用貸借権,賃借権その他の使用及び収益を目的とする権利の設
定又は移転をしてはならないこと。ただし,土地利用計画,事業
計画で予定されている場合はこの限りではない。
風俗営業等の用に使用してはならないこと及びその承継義務iii
公序良俗に反する利用を行わないこと及びその承継義務iv
違約金及び契約解除v
上記制限条項に違反したときは,土地売買代金の30パーセン
トの金額を違約金として徴収する。その上で,契約を解除する場
合がある。
(イ)買受事業者の決定等
「」a買受事業者を選定するためにP9高校跡地事業者選考審査委員会
を設置する。同審査委員会は,学識経験者と神戸市職員10名以内で
構成する。
b同審査委員会は,後記審査基準により選考審査を行い,価格点と内
容点の総合得点の最も高い者を当選者,2番目に高い者を次点者とす
る。
c神戸市は,同審査委員会の選考結果に基づき,買受事業者を決定す
る。
d選考審査の結果については,公表するとともに,書面により応募者
全員に通知する。
(ウ)審査基準
別紙「審査基準」記載のとおり
,。,ウP9高校跡地売却について応募者は最終的には6者となったそこで
平成17年11月7日,P9高校跡地事業者選考審査委員会による第2回
審査委員会が開催された(なお,第1回審査委員会は,審査基準の設定を
行うものであり,ここで定まった審査基準は上記のとおり募集要項(甲1
6)で公開済みであった。審査委員会の委員は,神戸大学工学部教授。)
P17委員長を始めとして,大学の経営学部教授,不動産鑑定士,弁護士
等の委員6名及び神戸市職員の委員3名の合計9名から構成されていた。
(ア)応募者によるプレゼンテーション等も行われたところ,審査結果は
次のとおりとなり,応募者A(P3株式会社を代表とする共同企業体)
が当選した。
価格点内容点総合得点応募者
A36.21(84億1587万2830円)44.4480.65()当選者
B次点者50.00(116億2200万円)28.8978.89()
C41.64(96億7900万円)32.2273.86
D45.60(106億円)27.0472.64
E36.98(85億9657万4000円)24.0761.05
F38.77(90億1058万5000円)15.1953.96
(イ)応募者Aの提案概要は次のとおりである。
a施設内容
P18百貨店(売場面積約6000平方メートル)
物販,飲食,サービス店舗(売場面積約9000平方メートル)
カーショールーム(ショールーム面積約600平方メートル)
青少年の健全育成のためのコミュニケーションスペース(約800
平方メートル)
分譲住宅(408戸)
住宅型有料老人ホーム(98室)
だんじり広場(約1300平方メートル)
b施設規模
商業棟鉄骨造5階建延床面積約4万1000平方メートル
住宅棟鉄筋コンクリート造50階建延床面積約6万4000平
方メートル
(ウ)応募者Aは,価格点では他の応募者より劣っていたものの,次点者
と比べて次の10点が高く評価されたため内容点としては最高点を取得
して当選した。
①商業と住宅の配置,構成に優れ,提案全体としてバランスのとれた
計画となっていること
②百貨店を核店舗とし,多様な専門店を配置する商業施設は,広域か
らの集客が期待でき,区南西部の中心的な商業ゾーンとして,にぎわ
いの拠点を創出していること
③百貨店及び専門店からなる対面接客重視の商業施設は,周辺の既存
商業施設との共存が可能な計画となっていること
④駅前に商業施設を配置して空間的広がりを確保しつつ,ランドマー
クとしてタワー型マンションを北側に配置していること
⑤敷地北西部に地域住民の憩いの場となる緑地広場を設置するなど,
地域環境との調和にも配慮されていること
⑥青少年の健全育成のためのコミュニケーションスペースについて
も,利便性が高くアクセスしやすい位置に,適切な内容で計画されて
いること
⑦建築・外構計画では,御影石や水を効果的に利用しηのイメージの
継承を図るほか,モニュメントの設置や緑化等により優れた景観を創
出していること
⑧敷地南東部に整備を条件付けた広場は,屋根を備え,多様なイベン
トに対応しつつ防災機能も発揮することができること
⑨駅施設を始めとする周辺との連携にも積極的に取り組む計画で実現
性も高いと認められ,地域全体のポテンシャルを上げる工夫が見られ
ること
⑩地元商店街,NPOやグループ企業等とともにイベント開催や情報
発信を行うなど,竣工後の運営面についても工夫がなされていること
(エ)なお,応募者Aについては「全体の配置は一番良い「町のイメ,」
ージを上げる効果がある「駅前の構え,町の構えとして良い」などと」
内容においては委員全員から高く評価されたが,価格点では応募者の中
で最下位であった。この点については,後記の1回目の審査と2回目の
審査の間に,同委員会の委員から(次点者については「最高価格を提)
示していることには重みがあります。また,東側商店街に通路を抜く工
夫や,いろいろ多様な施設を含む提案をしていることなどを考えると,
内容点が少しマイナスに振れすぎているきらいも感じないではありませ
ん」との指摘があったが,他方「金額の低い応募者が高い応募者を。,
しのいでしまいますが,これだけ内容点で差がつくといかんともしがた
いでしょう」との意見も出された。同委員会では,2回の審査が行わ。
れたが,総合点での1位は2回とも応募者Aであった(次点者は,一次
審査では応募者Cであったが,二次審査では応募者Bとなった。。)
()ア(ア)P9高校跡地の売却は,上記のように募集要項に基づき,募集要2
項の条件を備えた一定の応募者の売却希望価格や土地の利用方法等を勘
案して相手方を選ぶものであり「総合評価方式」と呼称されることが,
あったとしても,総合評価一般競争入札及び総合評価指名競争入札(地
方自治法施行令167条の10の2,167条の13)とは異なり,随
意契約の一形態である。
(イ)この点,原告らは,P9高校跡地の売却は総合評価方式で行われた
ところ,総合評価方式は支出の場合にのみ行われる競争入札であるから
(地方自治法施行令167条の10の2第1項,土地の売却払下げに)
適用したのは違法であるなどと主張する。
地方自治法が認める地方公共団体の契約締結方法は,一般競争入札,
指名競争入札,随意契約及びせり売りであるが(同法234条1項,)
一般競争入札,指名競争入札及びせり売りは,競争を行わせて地方公共
団体に最も有利な価格の申込をした者を契約の相手方に選定する方法で
あるのに対し,随意契約は,競争の方法によらないで契約の相手方を選
定する方法である。換言すると,随意契約という特定の契約締結方法が
あるわけではなく,地方公共団体が締結する契約のうち競争入札又はせ
り売りでないものはすべて随意契約に属することになる(参加人らは,
以上のいずれにも含まれない契約締結方法があるかに主張するが,採用
できない。。)
本件で問題となる契約の相手方を価格とその他の条件の総合評価によ
り選定する方法は,競争入札的な要素を含むが価格のみを選定要素とし
ない点で当然に競争入札になるとはいい難い。しかし,随意契約の場合
は,随意契約によるための一定の要件が満たされれば,相手方選定のた
めの具体的方法の選択及び価格の決定等は,原則として,契約締結権者
の裁量に委ねられていると解されるところ,価格とそれ以外の条件を総
合評価して契約の相手方を選定する上記方法については,少なくともこ
れを随意契約として行うことが許されないと解する理由はない。したが
って,本来,支出原因契約又は収入原因契約のいずれであろうと,契約
の相手方を価格とその他の条件の総合評価で選定することは随意契約と
して許容されていたと解される。ただ,地方自治法及び同法施行令は,
支出原因契約については,価格とそれ以外の条件を総合評価して契約の
相手方を選定する方法を競争入札の一態様と位置付け,手続の透明化を
図り,不正を防止するため,その要件及び具体的手続等を法定した(同
法234条3項ただし書,同法施行令167条の10の2,167条の
13。したがって,現在,支出原因契約について随意契約として価格)
とそれ以外の条件を総合評価して契約の相手方を選定する方法を採るこ
とが許容されるかどうかはともかく,収入原因契約については,上記の
ような立法措置が採られておらずこれを禁止又は制限する規定も存在し
ない以上,依然として,随意契約として上記の相手方選定方法を採るこ
とができると解するのが相当である。したがって,P9高校跡地の売却
についても,それが随意契約の要件を満たす限り,原則として契約締結
方法に違法はないというべきである。
以上と異なり,価格とその他の条件を総合評価して契約の相手方を選
定する方法が採れるのは,地方自治法施行令167条の10の2,16
7条の13所定の支出原因契約に限定されることを前提とする原告らの
主張は採用できない。また,神戸市がいつから「随意契約」という用語
を使用し出したかなどということも,P9高校跡地の売却方法の性質を
何ら左右するものではない。
()次に,本件で随意契約を締結することが可能か検討する。3
ア原告ら及び参加人らは,地方自治法施行令167条の2第1項2号は,
随意契約ができる条件として「不動産の買入れ又は借入れ」を挙げている
が不動産の売却は挙げていない,あるいは,不動産の売却は同条同項同号
にいう「その他の契約」に含まれないから,P9高校跡地の売却は,随意
契約の要件を欠く旨主張する。
しかし,地方自治法及び同法施行令には不動産の売却を随意契約の対象
から排除する明文規定は存在せず,同法施行令167条の2第1項2号が
不動産の買入れを例示しながら売却を例示しなかったのは,不動産売却を
随意契約で行うべき場合が少ないと想定されたからにすぎないと解される
ので,そこでいう「その他の契約」に「不動産の売却」が含まれないと解
すべき理由はないから,原告ら及び参加人らの上記主張は採用できない。
イ随意契約の要件として,その性質又は目的が競争入札に適しない(地方
自治法施行令167の2第1項2号)とあるところ,その性質又は目的が
競争入札に適しない場合とは,契約を締結するに当たり,競争入札の方法
によることが不可能又は著しく困難というべき場合のみならず,これが不
可能又は著しく困難とはいえないが,不特定多数の者の参加を求め競争原
理に基づいて契約の相手方を決定することが必ずしも適当ではなく,当該
契約自体では多少とも価格の有利性を犠牲にする結果になるとしても,当
該契約の目的,内容に相応する資力,信用,技術,経験等を有する相手方
を選定してその者との間で契約を締結する方法を採るのが当該契約の性質
に照らし又はその目的を究極的に達成する上でより妥当であり,ひいては
当該地方公共団体の利益の増進につながると合理的に判断される場合も同
法施行令167条の2第1項2号にいう「その性質又は目的が競争入札に
適しないものをするとき」に該当すると解すべきであり,そのような場合
に該当するか否かは,契約の公正及び価格の有利性を図ることを目的とし
て契約締結方法に制限を加えている同法234条2項及び同法施行令の上
記規定の趣旨を勘案し,具体的な契約ごとに,当該契約の種類,内容,性
質,目的等諸般の事情を考慮して,契約担当者の合理的な裁量判断により
決定されるべきものと解するのが相当である(最高裁判所昭和62年3月
20日第二小法廷判決・民集41巻2号189頁参照。)
P9高校跡地の売却は,これを単に土地の売却としてのみ見る限り,一
般競争入札によることが不可能又は著しく困難とはいえない。しかし,上
記土地は,上記第3,2,()のとおり,地域の拠点となる駅前の広大な2
土地であり,神戸市は,より望ましい土地利用を実現する必要があって,
価格の有利性をある程度犠牲にしてでも,まちづくりにとって望ましい土
地利用の方法を提案した事業者を売却の相手方として選定することが必要
,。,であると判断したものと解されるがその判断には合理性があるそして
このまちづくりの内容として,P9高校跡地の周辺地域の一定程度の住民
の意見を表していると考えられるP14協議会での意見を事業遂行者の募
集要項に反映させ,同要項に沿わない計画をしている応募者はそもそも審
査の対象とせず,事業を行うに当たって,やむを得ない事情により,申込
時に提出した土地利用計画案を変更する場合には,事前に文書により申請
し,市の承認を得ることとされ,指定用途に供しない場合には,違約金を
徴収し契約を解除するなどの事後的な規制もなされて,神戸市が考えるあ
るべきηのまちづくりに即した土地利用が実現されるような担保がなされ
。,,ているそしてこのようなまちづくりの目的に沿うようにするためには
随意契約で相手方を選ぶことが必要不可欠とまではいえないにしろ,被告
が主張するとおり,神戸市が土地の利用方法を考案するのでは発想内容に
自ずと限界があり,むしろこれを民間事業者の創意工夫と事業能力に委ね
,,る方がより有効な土地活用を行い得る可能性が増大するであろうしまた
神戸市が申込者の事業遂行能力,経営の健全性等の諸般の要素を判断した
上で相手方の選定をなし得る点でも条件付一般競争入札に勝ると考えられ
る。この点からして,土地の利用方法を神戸市が示す指針及び条件の枠内
で民間事業者の創意工夫と事業能力に委ねてより有効な土地活用方法を実
現するとともに,可及的に高額での売却を目指す方法として,買受希望者
が提示した買受後の土地利用方法の内容及び買受価格を総合的に採点評価
し,総合評価の点数が最も高かった事業者を売却先に決定するという神戸
市の採用した本件の売却方式は,契約の性質又はその目的を究極的に達成
する上でより妥当であり,ひいては神戸市の利益の増進につながるといい
得る。
したがって,P9高校跡地の売却は,上記にいう「その性質又は目的が
競争入札に適しない」に該当するといえるから,神戸市が同土地の売却を
上記のような随意契約の方法で行ったことは適法と解すべきである。
ウ原告らは,神戸市が最高価格の応募者と契約をしなかったことをもって
P9高校跡地の売却が違法であるとも主張するが,価格の競争によらない
随意契約である以上,最高価格の応募者と契約しなければならないとの制
約は存在しないから,失当である。
()随意契約における具体的な相手方選定方法等が契約締結権者の裁量に属4
することは上記のとおりであるところ,原告ら及び参加人らは,被告の不法
行為の成否に関し,被告におけるこの裁量権行使に逸脱濫用の違法があった
か否かを主な争点の一つにはしていないが,念のため契約の相手方の選択及
び価格の点で裁量権の逸脱濫用がなかったか否かについても略述しておく。
ア相手方の選択の点については,前記第3,2,()のとおり,P9高校1
跡地事業者選考審査委員会の委員は,神戸大学工学部教授を始めとして,
大学の経営学部教授,不動産鑑定士,弁護士等の各分野の専門家が集まっ
て構成されているところ,同委員らによって審議がなされた上で,当選者
の事業計画が最も優れているとして高い評価を得ており,しかも一度目の
審査(採点)の後にもう一度審議を行った上で2回目の審査をして相手方
を最終的に選択しており,一応慎重な審議がなされた上での選択と評価す
ることができるから,この点で裁量権の逸脱濫用があるとはいえない。
イ価格の点については,次点者との価格の差が約32億円と大きな額とな
っていることにかんがみれば,当選者ではなくて次点者を選ぶべきではな
かったかとの疑問も生じ得るところではあるが,不動産鑑定士も構成員と
する上記審査会においても,上記価格の差があるにもかかわらず最高価格
を提示した次点者ではなく当選者を選定することの是非が議論されたが,
上記第3,2,(),ウ,(イ)記載の土地利用の内容の優位性が高く評価1
された結果,当選者(応募者A)が2回目の審査でも第1位となった。加
,,,えて当選者の買受価格は次点者に比べれば低額ではあるが当該価格は
神戸市の提示した参考価格(75億円)を上回るところ,この参考価格自
()()。体が不動産鑑定評価額正常価格を11億円以上上回っていた乙16
これらの点にかんがみれば,価格の点においても,裁量権の逸脱濫用があ
ったとまではいえない。
()以上より,P9高校跡地の売却を随意契約で行ったことにつき違法が5
あるとはいえないから,被告の不法行為は成立しない。
第4結語
以上の次第で,原告らの訴えのうち,α跡地の売却が違法,無効であること
に基づいてP1に対して損害賠償請求することを求める部分及びα跡地につい
ての所有権移転登記の抹消登記手続請求を怠る事実が違法であることの確認を
求める部分は適法な監査請求を経ておらずいずれも不適法であるから却下し,
原告らのその余の請求及び参加人らの請求はいずれも理由がないからこれを棄
却することとし,主文のとおり判決する。
神戸地方裁判所第2民事部
裁判長裁判官佐藤明
裁判官菊池章
裁判官松下絵美

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