弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人妹川正雄、同高木英男の上告理由について。
 所論は、公職選挙法二五一条の二にいわゆる出納責任者とは、同法により出納責
任者として届け出で且つ実際にも出納の事務に関与した者をいうのであつて、右届
出はしたが実際上は何ら出納の事務に関与しなかつた者はこれに当らない、かく解
しないときは、何ら責むべき理由のない当選人の当選を無効とするもので、憲法四
四条の趣旨に違反するというのである。しかし、公職選挙法にいう出納責任者とは、
同法一八〇条の手続により出納責任者として選任届出された者をいうのであつて、
実際に出納責任者として同法に定める職務を行つたと否とには関係ないものと解す
べきである。所論引用の最高裁判所の判決(昭和三六年(オ)第一〇二七号、同三
七年三月一四日大法廷判決、民集一六巻三号五三一頁及び昭和三六年(オ)第一一
〇六号、同三七年三月一四日大法廷判決、民集同号五三七頁)も、何ら右と異る解
釈を判示したものでないことは、その判文に徴し明らかである。そして、公職選挙
法二五一条の二は、右の如く出納責任者として届け出られた出納責任者が、買収等
同法二二一条の罪を犯し刑に処せられたときは、その者が実際に出納責任者の職務
を行つたと否とを問わず、当選人の当選を無効とする趣旨であり、かく解したから
といつて、同条が所論憲法の規定に違反するものでないことは、前記大法廷の各判
決の趣旨に徴し明らかである。
 次に所論は、出納責任者たる訴外Dは公職選挙法二二一条の罪は犯しているとは
断定できないのに、上告人の当選を無効とした原判決は、審理不尽の違法があると
いう。しかし、同法二五一条の二第一項第二号により当選を無効とするためには、
出納責任者が同法二二一条の罪を犯したものとして刑に処せられたことが証明され
れば足りるものであるところ、原判決によれば、訴外Dが出納責任者として届け出
られた者であることは当事者間に争のない事実であるというのであり、また原判決
は、右訴外人が公職選挙法二二一条第三項第三号、第一項第一号の罪を犯したもの
として罰金一万円に処する旨の有罪の判決を受け、右判決は確定した旨挙示の証拠
により確定判示しているのであるから、原判決には何ら所論の違法はない。
 論旨はすべて理由がない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    岩   田       誠
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    長   部   謹   吾
            裁判官    松   田   二   郎

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