弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人本田敏幸の上告理由について
 一 譲渡禁止の特約のある指名債権について、譲受人が右特約の存在を知り、又
は重大な過失により右特約の存在を知らないでこれを譲り受けた場合でも、その後、
債務者が右債権の譲渡について承諾を与えたときは、右債権譲渡は譲渡の時にさか
のぼって有効となるが、民法一一六条の法意に照らし、第三者の権利を害すること
はできないと解するのが相当である(最高裁昭和四七年(オ)第一一一号同四八年
七月一九日第一小法廷判決・民集二七巻七号八二三頁、最高裁昭和四八年(オ)第
八二三号同五二年三月一七日第一小法廷判決・民集三一巻二号三〇八頁参照)。
 二 本件訴訟において、上告人は、昭和六二年一二月九日に有限会社D金型から、
同会社のE株式会社に対する(1)弁済期を同月二六日とする売掛代金債権九〇九万
二二二〇円及び(2)弁済期を昭和六三年一月三一日とする売掛代金債権二七四万五
三四〇円の合計一一八三万七五六〇円の債権(以下、(1)の債権を「売掛代金債権
(1)」といい、(1)(2)債権を併せて「本件売掛代金債権」という。)を譲り受け
たと主張しているところ、原審の適法に確定した事実は、次のとおりである。
 1 D金型は、本件売掛代金債権を有していたところ、これには譲渡禁止特約が
付されており、上告人は、昭和六二年一二月九日当時、本件売掛代金債権に譲渡禁
止特約が付されていたことを知っていたか、そうでないとしても、右特約の存在を
知らないことにつき重大な過失があった。
 2(一) D金型は、同月一〇日、Eに対し、本件売掛代金債権を上告人に譲渡し
た旨の債権譲渡の通知をした。
 (二) F社会保険事務所長は、同月一一日、本件売掛代金債権に対して滞納処分
による差押えをした。
 (三) G株式会社の申立てにより、同月二一日、本件売掛代金債権に対する仮差
押えの執行がされた。
 (四) H税務署長は、同月二二日、売掛代金債権(1)に対して滞納処分による差
押えをした。
 (五) 上告人の申立てにより、昭和六三年一月一一日、D金型を債務者として本
件売掛代金債権に対する差押さえがされた。
 3 Eは、同月二九日、本件売掛代金債権につき、真の債権者を確知することが
できず、かつ、滞納処分による差押えと強制執行による差押え等が競合したことを
理由として、民法四九四条及び滞納処分と強制執行等との手続の調整に関する法律
二〇条の六第一項を根拠法条とするいわゆる混合供託をした。Eは、その際、D金
型から上告人への本件売掛代金債権の譲渡を承諾した。
 三 右事実関係の下においては、仮に上告人の主張するように、昭和六二年一二
月九日に上告人がD金型から本件売掛代金債権の譲渡を受けたものであるとしても、
上告人は、右当時、本件売掛代金債権の譲渡禁止特約の存在を知り、又は重大な過
失によりこれを知らなかったのであるから、右譲渡によって本件売掛代金債権を直
ちに取得したということはできない。そして、本件売掛代金債権に対して、同月一
一日にF社会保険事務所長により、同月二二日にH税務署長により滞納処分による
差押えがされているのであるから、Eが昭和六三年一月二九日にD金型から上告人
への本件売掛代金債権の譲渡に承諾を与えたことによって右債権譲渡が譲渡の時に
さかのぼって有効となるとしても、右承諾の前に滞納処分による差押えをした被上
告人に対しては、債権譲渡の効力を主張することができないものというべきである。
 したがって、右と同旨をいう原審の判断は是認することができる。論旨は、原審
の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は独自の見解に立っ
て原判決を論難するものにすぎず、すべて採用することができない。
 よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主
文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    高   橋   久   子
            裁判官    小   野   幹   雄
            裁判官    遠   藤   光   男
            裁判官    井   嶋   一   友
            裁判官    藤   井   正   雄

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛