弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
被告人を懲役1年2月に処する。
この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。
大阪地方検察庁で保管中の大麻1袋(領置番号省略)を没収する。
被告人から6万円を追徴する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は
第1大麻をみだりに譲り渡す意思をもって
1令和2年4月15日,大阪市a区bc丁目d番e号f付近路上において,A
に対し,大麻様のもの約1グラムを大麻として代金5000円で譲り渡した。
2同月24日,大阪府岸和田市g町h番地のi先路上に駐車中の自動車内にお
いて,Aに対し,大麻様のもの約1グラムを大麻として代金5000円で譲り
渡した。
3同月30日,前記2の路上に駐車中の自動車内において,Aに対し,大麻様
のもの約2グラムを大麻として代金1万円で譲り渡した。
4同年5月1日,大阪市j区kl丁目m番n号A方において,同人を介して,
Bに対し,大麻様のもの約1グラムを大麻として代金5000円で譲り渡し
た。
5同月6日,前記2の路上に駐車中の自動車内において,Aに対し,大麻様の
もの約3グラムを大麻として代金1万5000円で譲り渡した。
6同月10日,前記2の路上に駐車中の自動車内において,Aに対し,大麻様
のもの約4グラムを大麻として代金2万円で譲り渡した。
第2みだりに,令和2年5月22日,大阪府岸和田市g町h番地のi被告人方に
おいて,大麻である植物片0.161グラム((領置番号省略)はその鑑定残
量)を所持した。
(証拠の標目)
省略
(法令の適用)
罰条
第1の1から6の各行為
国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行
為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例
等に関する法律8条2項
第2の行為大麻取締法24条の2第1項
刑種の選択第1の1から6の各罪について各懲役刑を選択
併合罪の処理刑法45条前段,47条本文,10条
(最も重い第2の罪の刑に法定の加重)
刑の執行猶予刑法25条1項
没収大麻取締法24条の5第1項本文
(第2の罪に係る大麻で犯人である被告人が所有)
追徴国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行
為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特
例等に関する法律13条1項前段
(第1の1から6の各犯行により被告人が得た現金合計6
万円は,同法11条1項1号の薬物犯罪収益に該当する
が,既に費消して没収することができないので,その価額
を被告人から追徴)
訴訟費用不負担刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
被告人は,約2年間にわたり,密売人から購入するなどして繰り返し大麻を使用
して本件所持に至っており,大麻に対する親和性の高さがうかがわれる。加えて,
6回にわたり大麻として大麻様のもの合計約12グラムを別の警察官に譲渡し,違
法薬物等の拡散にも関与している。被告人は,犯罪行為を取り締まり,法を遵守す
べき立場にある警察官の職にありながら,これらの犯行に及んでいたのであり,よ
り強い非難が向けられる。そうすると,被告人の刑事責任は重いものがあるという
べきである。
ただし,被告人に前科がなく,被告人が反省の態度を示し,生活を改めて不良交
友を断つと述べて更生意欲を表しており,父が監督を約束していること,懲戒免職
処分となり一定の社会的制裁を受けていることなどを併せて考慮し,主文のとおり
刑を定めた。
(求刑・懲役1年6月,大麻1袋の没収,6万円の追徴)
令和2年9月16日
大阪地方裁判所第15刑事部
裁判官船戸宏之

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