弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決主文第一項中被上告人の上告人G大学経済学部長に対する第一次
請求に関する部分を破棄する。
     右破棄部分に関する被上告人の控訴を棄却する。
     上告人らのその余の上告を棄却する。
     被上告人の上告人G大学経済学部長に対する第一次請求に関する訴訟の
総費用は被上告人の負担とし、被上告人のその余の請求に関する上告費用は上告人
らの負担とする。
         理    由
 上告指定代理人中村盛雄、同池田直衛、同石田裕康の上告理由第一点について
 思うに、国公立の大学は公の教育研究施設として一般市民の利用に供されたもの
であり、学生は一般市民としてかかる公の施設である国公立大学を利用する権利を
有するから、学生に対して国公立大学の利用を拒否することは、学生が一般市民と
して有する右公の施設を利用する権利を侵害するものとして司法審査の対象になる
ものというべきである。そして、右の見地に立つて本件をみるのに、大学の専攻科
は、大学を卒業した者又はこれと同等以上の学力があると認められる者に対して、
精深な程度において、特別の事項を教授し、その研究を指導することを目的として
設置されるものであり(学校教育法五七条)、大学の専攻科への入学は、大学の学
部入学などと同じく、大学利用の一形態であるということができる。そして、専攻
科に入学した学生は、大学所定の教育課程に従いこれを履修し専攻科を修了するこ
とによつて、専攻科入学の目的を達することができるのであつて、学生が専攻科修
了の要件を充足したにもかかわらず大学が専攻科修了の認定をしないときは、学生
は専攻科を修了することができず、専攻科入学の目的を達することができないので
あるから、国公立の大学において右のように大学が専攻科修了の認定をしないこと
は、実質的にみて、一般市民としての学生の国公立大学の利用を拒否することにほ
かならないものというべく、その意味において、学生が一般市民として有する公の
施設を利用する権利を侵害するものであると解するのが、相当である。されば、本
件専攻科修了の認定、不認定に関する争いは司法審査の対象になるものというべく、
これと結論を同じくする原審の判断は、正当として是認することができる。
 論旨は、法令上専攻科修了なる観念は存在せず、したがつて、専攻科修了の認定
というのも法令に根拠を有しない事実上のものであるから、専攻科修了の認定とい
う行為は行政事件訴訟法三条にいう処分にあたらない、と主張する。しかしながら、
大学の専攻科というのは、前述のような教育目的をもつた一つの教育課程であるか
ら、事理の性質上当然に、その修了という観念があるものというべきである。また、
学校教育法五七条は、専攻科の教育目的、入学資格及び修業年限について定めるの
みで、専攻科修了の要件、効果等について定めるところはないが、それは、大学は、
一般に、その設置目的を達成するために必要な諸事項については、法令に格別の規
定がない場合でも、学則等においてこれを規定し、実施することのできる自律的、
包括的な権能を有するところから、専攻科修了の要件、効果等同法に定めのない事
項はすべて各大学の学則等の定めるところにゆだねる趣旨であると解されるのであ
る。そして、現に、本件G大学学則においても、「専攻科の教育課程は、別に定め
るところによる。」(六〇条)、「専攻科に一年以上在学し所定の単位を履修取得
した者は、課程を修了したものと認め修了証書を授与する。」(六一条)と規定し
ているのであるから、法令上専攻科修了なる観念が存在し、専攻科修了の認定とい
う行為が法令に根拠を有するものであることは明らかというべきである。そして、
このことと、前述のように、国公立の大学は公の教育研究施設として一般市民の利
用に供されたものであつて、国公立大学における専攻科修了の認定、不認定は学生
が一般市民として有する右公の施設を利用する権利に関係するものであることとに
かんがみれば、本件専攻科修了の認定行為は行政事件訴訟法三条にいう処分にあた
ると解するのが、相当である。それゆえ、論旨は、採用することができない。
 論旨は、また、専攻科修了の認定は、大学当局の専権に属する教育作用であるか
ら、司法審査の対象にはならないと主張する。しかしながら、G大学学則六一条に
よれば、前述のように、一年以上の在学と所定の単位の修得とが同大学の専攻科修
了の要件とされているにすぎず(ちなみに、大学設置基準(昭和三一年文部省令第
二八号)三二条によれば、大学の卒業も、四年以上の在学と所定の単位一二四単位
以上の修得とがその要件とされているにすぎない。)、小学校、中学校及び高等学
校の卒業が児童又は生徒の平素の成績の評価という教育上の見地からする優れて専
門的な価値判断をその要件としている(学校教育法施行規則二七条、五五条及び六
五条参照)のと趣を異にしている。それゆえ、本件専攻料の修了については、前記
の二要件以外に論旨のいうような教育上の見地からする価値判断がその要件とされ
ているものと考えることはできない。そして、右二要件が充足されたかどうかにつ
いては、格別教育上の見地からする専門的な判断を必要とするものではないから、
司法審査になじむものというべく、右の論旨もまた、採用することができない。
 同第二点について
 本件記録によれば、被上告人の本訴請求は、第一次請求として上告人経済学部長
に対し単位授与、不授与未決定違法確認(以下「A請求」という。)及び上告人学
長に対し専攻科修了、未修了未決定違法確認(以下「B請求」という。)を、第二
次請求として上告人学長に対し単位授与、不授与未決定違法確認(以下「C請求」
という。)を、第三次請求として上告人経済学部長に対し単位認定義務確認(以下
「D請求」という。)及び上告人学長に対し専攻科修了認定義務確認(以下「E請
求」という。)を、第四次請求として上告人学長に対し単位認定義務確認(以下「
F請求」という。)を求めるものであるところ、第一審判決は、単位の授与(認定)
及び専攻科修了の認定はいずれも司法審査の対象となりえないものであるとして被
上告人の右各請求にかかる訴えをすべて不適法として却下したのであるが、原判決
は、単位の授与(認定)は司法審査の対象となりえないものである(原審の右判断
は、正当として是認することができる。最高裁昭和四六年(行ツ)第五二号昭和五
二年三月一五日第三小法廷判決参照)けれども、専攻科修了の認定は司法審査の対
象になるものと解すべきである(原審の右判断が正当であることは、前示のとおり
である。)としたうえ、被上告人の右各請求にかかる訴えを却下した第一審判決部
分を全部取り消して本件を第一審裁判所に差し戻した。しかしながら、原判決中、
B請求及びその予備的請求であるC請求ないしF請求に関する部分は、正当として
是認することができるが、A請求に関する部分は、次に述べるとおり、違法として
破棄を免れないものというべきである。すなわち、単位の授与(認定)が司法審査
の対象となりえないものである以上、単位授与、不授与未決定違法確認を求めるA
請求にかかる訴えは不適法たるを免れないのであるから、第一審判決中右訴えを却
下した部分は正当というべきであり、第一審判決中の右部分をも取り消した原判決
は、その限度で違法というべきであるからである。それゆえ、論旨中これをいう部
分は理由があるものというべく、原判決中A請求に関する部分は、これを破棄し、
被上告人の控訴を棄却すべきである。
 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇八条一号、三九六条、三八四条、九六
条、八九条、九二条、九三条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決
する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    天   野   武   一
            裁判官    江 里 口   清   雄
            裁判官    高   辻   正   己
            裁判官    服   部   高   顯
            裁判官    環       昌   一

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