弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人Cの弁護人内藤正剛の上告趣意
 第一点について。
 論旨は、要するに、原判決挙示の証拠中、原審相被告人Dに対する検事聴取書中
の同人の「縛る」といふ供述は、人を縛るといふ趣旨ではなく、物品をくくるとい
ふ意味に解すべきにかかわらず、原審はこれを誤解し、証拠に副はない事実を認定
したものとしてこれを攻撃するものであるが、原判決に掲げる各証拠を綜合すれば、
原判示事実は充分これを認めることができるのであつて、所論は結局原審が適法に
なした証拠の取捨判断又は事実の認定を非難するに帰し、適法な上告理由とならな
い。
 同第二点について。
 被告人Cが本件犯行現場に共犯者と同行して実行々為をともにしたものでないこ
とは原判決によつて明らかであるけれども、原判示によれば同人が、A及びB等と
砂糖強奪の共謀をなしたこと及び他の共謀者において判示強盗行為を実行したこと
は明らかであるから原審が同人に本件強盗の正犯としての責任を負わせたのは相当
であつて原判決には少しも所論のような違法はなく、論旨は理由がない。
 被告人Eの弁護人植垣幸雄の上告趣意
 第一点について。
 しかし、原判決に掲げている所論証拠は、被告人Eが検事に対し、本件犯行に際
し原判示の日時場所において同判示のような経緯を見聞するに及んで、一同が強盗
行為を実行しようとするようであることを同被告人自ら認識覚知するに至つたとい
う顛末を陳述しているのであつて、何等の根拠のない意見や法律上の判断ではない
のであるから、これを証拠とすることは少しの妨げもないものであつて、原判決が
これを証拠に採つたことは採証の法則に反するものではない。
 同第二点について。
 しかし、原審公判調書によつて所論引用の原審公判における弁護人の弁論内容を
調べると、それは畢竟被告人Eの本件犯行に対する強盗の犯意を否認するものに過
ぎない。のみならず仮りに右弁論が論旨にいうように同被告人は本件犯行について
刑法第三八条第二項の規定に当るという趣旨のものであつたとしても、かような弁
論は刑事訴訟法第三六〇条第二項に当る事実上の主張とはいえない。しかも原判決
は、この点については、被告人Eについても強盗の犯意の存することを認定してい
るのであるから右の主張に対しても判断を与えているものというべくいずれの点か
らしても原判決には所論のような違法はない。
 同第三点について。
 本件原判決の宣告後に公布施行された昭和二二年法律第一二四号によつて、刑法
第二五条に改正が加えられ、刑の執行猶予をすることができる場合が拡張されたこ
とは所論のとおりであるけれども、右の改正は、刑事訴訟法第四一五条にいう判決
後の刑の変更に該当しないものであることについては、既に当裁判所の判例とする
ところであつて(昭和二二年(れ)第二四七号同二三年一一月一〇日宣告大法廷判
決参照)、論旨はこれと異なる見解を前提として原判決の破毀を求めるのであるか
ら採用することができない。
 同第四点について。
 しかし原判決は、被告人Eも、他のC、F、B等が強盗行為を実行することを察
知しながら、その仲間に加わり、ともに強盗を行なおうと考えて、判示暴行行為の
実行に加わり、Bが被害者Gを拉致して押込めたのを見張つたという事実を認定し
ていることが判文上明白であつて、被告人Eの所為を、他の被告人等の強盗行為の
幇助犯と認定したものではなく、強盗の共同正犯と認定したものであつて、しかも
原判決にかかげている証拠からさように認定できるのであるから、原判決が右の事
実に対し刑法第二三六条第六〇条の規定を適用したのは正当である。論旨は結局原
審が適法にした事実の認定を非難するに帰するものであり、採用するに値いしない。
 同第五点について。
 相被告人等の上告もその理由がないことはこの判決に示すとおりであるから、こ
れも採用することができない。
 被告人Aの弁護人重松忠雄の上告趣意
 第一点について。
 被告人Aに関する原判示事実はその挙示する各証拠を綜合すればこれを認めるこ
とができるのであつて、所論は結局原審が適法にした証拠の取捨判断又は事実の認
定を争うものに過ぎない。
 論旨は理由がない。
 同第二点について。
 憲法第三八条第二項は、同条項にいうような自白は、これを証拠とすることがで
きないという趣旨を規定したにすぎない。従つて、被告人の公判廷における供述を
証拠として採用しなかつたとしても同条又はその他の憲法の規定に違反するもので
ないこと勿論であるから論旨は理由がない。
 被告人Bの弁護人平尾廉平の上告趣意
 第一点及び第二点について。
 その第一点は原判決に重大な事実誤認があることを主張するものであり、第二点
は原判決の刑の量定が著しく不当であることを主張するものであつて、どちらも、
日本国憲法施行に伴う刑事訴訟法の応急的措置に関する法律第一三条第二項により、
上告適法の理由とならない。
 被告人A、同Bの弁護人西山三郎の上告趣意
 第一点について。
 しかし原判決がその証拠として被告人Aの司法警察官に対する供述を引用するに
際して、所論のように昭和二一年一二月二五日頃及び翌二六日頃と記載しているの
は同年一一月二五日頃及び翌日即ち同年一一月二六日頃の誤記であることは原判決
に引用した他の証拠から明白である。そして、原判決は本件犯行の日時を、昭和二
一年一一月二六日頃と認定判示しているのであるから、原判決には理由不備の違法
はない。
 同第二点について。
 論旨は原判決の量刑の不当のみを主張するものであつて上告適法の理由とならな
い。
 よつて刑事訴訟法第四四六条に従い主文のとおり判決する。
 この判決は裁判官全員の一致した意見である。
 検察官 柳川真文関与
  昭和二三年一一月二七日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    塚   崎   直   義
            裁判官    霜   山   精   一
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    藤   田   八   郎

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