弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
     当審における訴訟費用中国選弁護人馬場東作に支給した分は被告人Aの
負担、国選弁護人関屋延之助に支給した分は被告人Bを除くその余の被告人等の各
負担とする。
         理    由
 弁護人塚本義明の上告趣意について。
 第一点は、本件詐欺罪の被欺罔者を原判決の如く競輪関係の係員ら及び多数投票
者であるとすれば、本件の八百長競技によつて係員らが欺罔される時及びその錯誤
の内容と、多数投票者が欺罔される時及びその錯誤の内容とは相異なるにかかわら
ず、漫然と両者を併挙し「欺罔し因つて」と判示したのみで錯誤の内容を明示しな
い第一審判決を肯認した原判決には理由不備の違法があり、引用の大審院判例に違
反するというにある。よつて按ずるに、本件の如く競輪選手が他の選手(又は第三
者)と通謀して実力に非ざる競技をなすいわゆる八百長レースにより賞金及び払戻
金を受領する行為は刑法の詐欺罪を構成するものというべく、而して詐欺の実行の
着手は八百長レースを通謀した選手らがスタートラインに立つた時であり、その既
遂時期は通謀者が賞金、払戻金を請求しこれを受領した時と解すべく、また詐欺の
被欺罔者は競輪施行者及びその実施を担当する自転車振興会の各係員ら(本件では
賞金支払係岐阜市主事及び岐阜県自転車振興会の審判員、管理部員ら)であり、そ
の錯誤の内容は右係員らがそれぞれ本件八百長レースを公正なレースの如く誤信し
たことであり、詐欺の被害者は、賞金が施行者の財源(賞典費の項目)から支出さ
れること及び払戻金は車券購買代金から支出されるけれども、右購買代金は車券発
売と同時に施行者に帰属する事実に鑑み、施行者たる岐阜市であると解すべきもの
である。原判決が肯認した第一審判決も、その事実及び証拠理由を通読すれば右の
趣旨を判示したものと解することができる。従つて原判決及び第一審判決が多数投
票者をも詐欺の被欺罔者と解する如く判示した点は誤りであるけれども、多数投票
者が公正なレースが行われたものの如く誤信したことは、本件詐欺罪の成否にかか
わりない事実であるから、第一審判決がこれを判示したからといつて被告人の刑責
に消長はなく、なんらの違法はない。従つてこれを肯認した原判決はなんら所論の
判例と相反する判断をしたものではない。
 同第二ないし第四点は法令違反、事実誤認、量刑不当の主張であつて刑訴四〇五
条の上告理由に当らない。
 弁護人鍛治利一、同塚本義明の上告趣意について。
 第一点及び第三点は憲法違反を主張するけれども、その実質は単なる法律違反の
主張に帰し、第四点は違憲をいうけれども原審において主張せず従つてその判断を
経ないところであり、第二点は事実誤認、第五点は量刑不当の主張であつて、いず
れも同四〇五条の上告理由に当らない。
 弁護人山口好一、同馬場東作の各上告趣意について。
 所論はいずれも事実誤認、単なる法令違反、量刑不当の主張であつて同四〇五条
の上告理由に当らない。
 その他記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四一四条、三九六条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のと
おり判決する。
 検察官 福原忠男出席
  昭和二九年一〇月二二日
     最高裁判所第二小法廷
            裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎
 裁判長裁判官霜山精一は退官につき署名押印することができない。
            裁判官    栗   山       茂

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