弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人佐藤重一の上告理由第一点について。
 補助参加の申出は、口頭弁論期日外においても、書面又は口頭によつてなし得る
のであつて(民訴六五条、一五〇条)、書面による場合に、これを口頭弁論期日に
おいて陳述しなければ、その効力を認め得ないものではなく、また、参加の理由は、
補助参加の利益を示すに足る事由たるにとどまり、必ずしも当該訴訟に関する法律
上乃至事実上の主張を含むものではないから、原審が、所論書面を当事者双方に送
達したのみで、その陳述がないのにも拘らず、補助参加人Cの参加申出を有効と認
めたからといつて、違法とすべき理由はなく、反面また、未陳述の右書面に記載さ
れた事実上の主張を考慮しなかつたからといつて、違法とすべき根拠はない。所論
は、独自の見解を前提として、原判決を非難するものであつて、採用するを得ない。
 同第二点について。
 「補助参加人Cは昭和二〇年五月二四日の戦災直後数日にして本件土地の借地権
を抛棄し、その後同年六月末被上告人は上告人より本件土地を賃借(但し、同月一
日を始期として)した」旨の原審の認定は、その挙示の証拠関係に徴し、十分首肯
するに足りる。また、論旨は、戦時罹災土地物件令附則三項を云々し、被上告人と
上告人間の右賃貸借は無効であるというけれども、同附則は、同令三条一項、四条
四項、六条、一八条一項の規定の適用につき同令施行の時(昭和二〇年七月一二日)
をもつて建物の滅失した時と看做すというにとどまり、所論のごとき関係について
まで建物の滅失時期を擬制するものではないから、所論のごとく右被上告人と上告
人間の賃貸借をもつて無効となすべき理由はない。所論は、原審の認定を争うか、
又は、独自の見解に拠り原判決を非難するものであつて、採用するに足らない。
 同第三点について。
 原判決が、被上告人の本件土地使用開始時期が戦時罹災土地物件令施行の日以前
であることの故に、被上告人の賃借権取得を認めたわけのものでないことは、判文
上明らかであり、そして、賃借地の使用開始時期が右施行日の前後により、それ以
前になされた賃貸借契約の性質に差異を来たすものでないことは勿論であるから、
所論のごとき判断の遺脱があるとしても、何ら原判決の結論に影響はない。所論も
採用するに足らない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一

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