弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人中村正樹の上告理由について
 司法書士は、登記義務者の代理人と称する者の依頼を受け所有権移転の登記申請
をするにあたり、依頼者の代理権の存在を疑うに足りる事情がある場合には、登記
義務者本人について代理権授与の有無を確め、不正な登記がされることがないよう
に注意を払う義務があるものというべきである。また、このような場合には、保証
人として不動産登記法四四条の保証書を作成する者も、同様の義務があるものとい
うべきである。
 本件において原審の適法に確定したところによれば、(一) 訴外Dは、その義母
Eの印鑑と印鑑証明書等を持参し、司法書士である上告人A1に対し、「家族の中
で男は自分一人だから、自分が土地の贈与を受けたので登記してほしい。権利証は
紛失した。」旨申し向けて本件土地につき贈与を原因としてEからDへ所有権移転
登記手続をすることを依頼し、同上告人は、EとDは義理の親子の関係にあること
を知つていたところ、右Dの言を軽信し、かねて面識のあるEにその真意を確める
ことなく、Dが持参したE及び訴外Fの印鑑を用いてE代理人A1名義の本件土地
贈与証書、同上告人を受任者とするE名義の登記申請委任状及び不動産登記法四四
条所定のF名義の保証書を作成し、更にその妻である上告人A2をしてその承諾の
もとに同条所定のA2名義の保証書を作成させ、これらの書類を登記申請書ととも
に千葉地方法務局船橋出張所に提出し、その後右出張所からEに宛てた同法四四条
の二による照会の書面を持参したDの依頼により、Eの記名押印をしてその回答書
を作成のうえ右出張所にこれを送付し、よつて昭和四二年六月二六日本件土地につ
きEよりDへの所有権移転登記がされた。上告人A2は、A2名義の保証書の作成
について、Eにその真意を確めなかつた。Dが持参したEの印鑑はDが偽造したも
ので、印鑑証明は右偽造にかかる印鑑を行使して交付を受けたものであり、また、
保証書を作成するためDが持参したFの印鑑もDが偽造したものである。(二) 被
上告人は、本件土地が真実Dの所有であると信じ、昭和四二年六月二九日Dに対し
一〇〇万円を、利息年一割五分、弁済期同年一〇月二九日の約で貸与し、同日Dと
の間で右債務を担保するため本件土地につき抵当権を設定するとともに、右債務不
履行の場合には代物弁済として本件土地の所有権を被上告人に移転し、かつ、被上
告人のために賃借権を設定することを約し、翌三〇日右抵当権設定登記、停止条件
付所有権移転仮登記及び停止条件付賃借権仮登記を経由した。その後、Eが被上告
人とDとを被告として提起した千葉地方裁判所昭和四二年(ワ)第四八三号登記抹
消請求事件において被上告人らは敗訴し、本件土地はEの所有であり、Dの所有で
ないことが確定し、被上告人のため本件土地についてされた前記各登記はいずれも
抹消され、被上告人はこれによつて損害を受けた、というのであつて、右事実関係
のもとにおいて、Dの代理権の存在を疑うに足りる事情があり、上告人らは本人に
ついて代理権授与の有無を確めるべきところ、これを怠つた点に過失があるとした
原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論
旨は採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意
見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    関   根   小   郷
            裁判官    天   野   武   一
            裁判官    坂   本   吉   勝
            裁判官    江 里 口   清   雄
            裁判官    高   辻   正   己

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