弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
被告人を懲役1年6月に処する。
この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,株式会社Aが商標権の設定登録をしている,「甲」と「乙」の文字を
上下二段に表記したものを標章とし指定商品として電気通信機械器具が含まれる商
標(商標登録番号第a号,以下「本件商標」という。)の使用に関して何ら権限が
ないのに,不正の利益を得る目的で,同社が販売する電気通信機械器具である通信
カラオケ機器に,同機器の使用開始後一定の期間が経過した後に,同社と情報サー
ビス契約を締結した者以外の者が影像及び音の視聴をすることを不可能とするため
に,同社が営業上搭載している時計機能を有する部品を正常に機能させないように
して,一定の期間が経過した後も前記契約を締結しないまま影像及び音を視聴する
ことを可能にする改造を施した通信カラオケ機器を,本件商標に類似する商標を付
したまま販売しようと考え,別紙記載のとおり,平成26年7月17日頃から同年
10月28日頃までの間,同社が販売する電気通信機械器具である通信カラオケ機
器内部(中略)部品を正常に機能させないようにすること等により,一定の期間が
経過した後も前記契約を締結しないまま影像及び音を視聴することを可能にする改
造が施され,本件商標に類似する商標を付した通信カラオケ機器を,同社と前記契
約を締結しないBほか2名に対し,代金合計18万0600円で売却して譲渡し,
もって,指定商品についての登録商標に類似する商標を使用して,当該商標権を侵
害する行為とみなされる行為を行うとともに,他人が特定の者以外の者に影像及び
音の視聴をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている
影像及び音の視聴を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする装置
を組み込んだ機器を当該特定の者以外の者に譲渡して,不正競争を行った。
(法令の適用)
罰条
登録商標に類似する商標を付したまま通信カラオケ機器を譲渡した点
包括して商標法78条の2,37条1号
改造された通信カラオケ機器を譲渡した点
包括して平成27年法律第54号附則4条により同法による改正前の不正競争
防止法21条2項4号,2条1項11号
科刑上一罪の処理刑法54条1項前段,10条(犯情の重い不正競争防止法
違反の罪の刑で処断)
刑種の選択懲役刑
刑の執行猶予刑法25条1項
(量刑の理由)
本件は,被告人が,商標の使用権限がないのに,3回にわたり,登録商標に類似
する商標を付したまま技術的制限手段が正常に機能しない改造が施された通信カラ
オケ機器を販売したという商標法違反,不正競争防止法違反の事案である。
被告人の一連の犯行により,技術的制限手段が正常に機能しない機器が安価で市
場に出回り,被害会社は対応を余儀なくされているから,結果は決して軽くない。
そして,被告人は,個人向けであれば,改造を施して譲渡しても違法ではないと考
え,本件と同様の行為を数年前から行っていた旨供述していることからすると,本
件犯行に常習性が認められ,技術的制限手段を潜脱した製品の譲渡が個人向けで
あっても違法であることは容易に推察できることを考慮すると,被告人に対する責
任非難の程度は大きい。
一方,被告人は,カラオケボックスを発明するなど,長年にわたってカラオケ産
業で生計を立てていたところ,高齢者等の個人向けに安価にカラオケを利用しても
らいたいと考え,一連の犯行に及んでいたことが認められる。このような犯行に至
る経緯,動機に加え,本件犯行において設定した価格等に照らすと,本件は,利欲
目的があまり認められない事案であるから,被告人に対しては,懲役刑を選択し,
罰金刑を併科しないのが相当である。そして,被告人の現在の健康状態に加え,被
告人は,自らの考えの誤りを認め,被害会社に迷惑をかけた,二度とこのような行
為をしない旨供述していることからすれば,被告人が再犯に及ぶ可能性は低いと言
える。したがって,被告人に対しては,主文の刑を科した上で,その刑の執行を猶
予するのが相当と判断した。
よって,主文のとおり判決する。
(求刑懲役2年)
平成28年2月29日
岡山地方裁判所第2刑事部
裁判官新宅孝昭

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛