弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成12年(行ケ)第123号商標登録取消決定取消請求事件
(平成12年10月24日口頭弁論終結)
判決
原告X
代表者代表取締役【A】
訴訟代理人弁護士岩出誠
同中村博
同村林俊行
同小林昌弘
被告特許庁長官【B】
指定代理人【C】
同【D】
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第1請求
特許庁が平成10年異議第92121号事件について平成12年3月2
2日にした決定を取り消す。
第2前提となる事実
1特許庁における手続の経緯
原告は「Burton」の文字を横書してなり、指定商品を商品及び、
役務の区分第14類の「貴金属製きせる・きせる筒・たばこ入れ・たばこケー
ス・たばこホルダー・灰皿・パイプ・その他の貴金属製喫煙用具、時計、時計
の部品及び附属品」とする登録第4171493号商標(平成8年11月1日
商標登録出願、平成10年7月31日設定登録、以下「本件商標」という)。
の商標権者である。
ザ・バートン・コーポレーション(以下「異議申立人」という)は、。
、、、平成10年11月13日本件商標について登録異議の申立てをし特許庁は
この申立てを平成10年異議第92121号事件として審理した結果、平成1
2年3月22日に「登録第4171493号商標の登録を取り消す」との決。
定をし、その謄本は同年4月8日に原告に送達された。
2審決の理由
別紙決定の写しのとおり、
「異議申立人のハウスマークである「BURTON」の商標(以下「引用
商標」という)は、異議申立人の業務に係る商品「スノーボード」を表示す。
る商標として、少なくとも本件商標の出願時には、需要者の間に広く知られる
。、()、「」に至ったと認められる他方本件商標BurtonはBURTON
商標と同一綴り文字によりなるものであり、また、本件商標の指定商品は嗜好
的要素を有する商品あるいはファッションに関連する商品といえるもので、異
議申立人の使用に係る商品「スノーボード」とは需要者を共通にする場合も多
いから、本件商標に接する取引者、需要者に対して容易に異議申立人を想起さ
せるといえるものである。したがって、本件商標は、これをその指定商品に使
用した場合、他人である異議申立人の業務に係る商品、又は、異議申立人と何
らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所に
ついて混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、商標法4条1項15号の
規程に違反して登録されたものであり、その登録を取り消すべきである」。
旨認定、判断した。
第3原告主張の審決取消事由の要点
決定が認定した事実のうち、異議申立人が米国で1977年に設立され
たスノーボード、スノーボード用の手袋・被服、バッグ等の製造、販売を中心
とした会社であり、会社設立以来、全商品にハウスマーク「BURTON」を
約20年間にわたり使用しており、現在、異議申立人の米国におけるスノーボ
ードのシェアーは30パーセントを占めていて、年間売上高は約225億円に
達していること、日本でも、これらの商品は1981年より販売が開始され、
現在では、バートン・スノーボード・ジャパン(異議申立人の日本支社)から
販売店を通じて全国600の小売店で販売されており、異議申立人の商標が使
用されたスノーボードの日本におけるシェアーは、日本で第1位の20パーセ
、、「」ント以上となっていることは認めるが決定がこの引用商標BURTON
について、我が国において異議申立人の出所を表示する商標として周知となっ
ていると認定したことは、誤りである「BURTON」の文字標章は、海外。
及び我が国において、原告を含め、異議申立人以外の者の出所を表示する商標
として、異議申立人が引用商標を使用する前から使用されており、周知、著名
となっていた。
また、決定は、本件商標の指定商品と引用商標の使用商品とが関連性を
有しており、需要者を共通にしていると認定しているが、それぞれの商品にお
ける需要者は全く異なっており、この認定は誤りである。
したがって、本件商標の表示からは、異議申立人の商品ではなく、原告
又は異議申立人以外の者の商品が連想されるのであり、決定が原告の本件商標
と異議申立人の引用商標との間で出所混同のおそれがあると判断したのは誤り
であって、決定は違法であるから、取り消されるべきである。
1引用商標が異議申立人の周知商標ではないことについて
(1)異議申立人の引用商標は、一般にそれほど知られていない。引用商
標の使用商品である「スノーボード」が日本のスキー場で受け入れられたのは
ここ数年のことであり、それまではコースが荒れる、他のスキーヤーに危険だ
。、、との理由で各スキー場から締め出されていたまた異議申立人の設立時期は
そのオーナーである「E」氏がマンハッタンの銀行を退社したのが1977【】
年(昭和52年)の23才の時であり、実際にスノーボード社を設立したのは
その翌年とされているところ、異議申立人が日本に新会社「BurtonS
nowboardsJapan」を設立したのは1995年(平成7年)1
月1日である(甲第25、第26号証。このように、異議申立人が我が国の)
商品市場に登場した期間は大変短いし、決定が認定するように、異議申立人の
引用商標が使用されるスノーボードが日本国内で20パーセントのシェアを占
めるとしても、これは「ビクトリア「アルペン」等のスポーツ専門店での、」、
みで販売されており、一般のデパート、スーパーでは販売されておらず、若者
の中の特殊な愛好家が購入しているだけであって、一般的な知名度は無い。
被告は、異議申立人の引用商標の周知性、著名性を立証するために
雑誌等の書証を提出しているが、異議申立人を取り上げている雑誌は、その全
てが一部愛好家、若者向けの特殊な雑誌であり、日本国民の子供から年寄りま
で知られているものとは思えない。すなわち、被告が提出した雑誌は「SN、
OWBOARD「skier「SNB」等の特殊なスポーツ雑誌であり、」、」、
、、「」、「」、「」また提出の新聞記事は日経流通新聞繊研新聞スポーツ産業新聞
等の業者間で読まれる専門新聞にすぎず、一般の週刊誌、女性誌等で異議申立
人の広告を見たことはない。これらの特殊な世界では著名性があるとしても、
、、それだからといって他のファッション商品においても引用商標が著名であり
消費者の全てがそれを認識しているということはできない。
(2)他方、異議申立人が我が国において引用商標を使用する前から、異
議申立人以外の者が「BURTON」商標を海外や我が国において使用してお
り「BURTON」商標は、これらの者の出所を表示するものとして周知、、
著名となっている。
(ア)「BURTON」の標章は「プレッピー・ファッション」、
を代表するニューヨークの「BURTONLtd(以下「バートン・ブテ.」
」。)「」、ィック社というが経営するファッション・ブティックの名称であり
「BURTON」といえば、1970年代にニューヨークに始まり、日本でも
大流行した「プレッピー・ファッション」の代表的ブランド名である。そのオ
ーナーである「F」氏は、日本の雑誌でもよく紹介されており、1980年【】
()「」()。昭和55年にはPOPEYE誌でも取り上げられた甲第16号証
そして、原告は、後記のとおり、1982年(昭和57年)
に、バートン・ブティック社と契約して我が国で商品化を行っている。
(イ)また、アメリカで「BURTON」といえば「バートン・、
マニファクチユアリング・カンパニー・インコーポレイテツド(以下「バー」
トン・ゴルフ社」という)の「ゴルフバッグ」が有名であり、アメリカの新。
聞でも度々取り上げられており(甲第17号証、同社は、商品の製造にとど)
まらず、全米10か所で商品販売を展開し、インターネットのホームページで
も詳しく紹介している(甲第18号証。アメリカでは「スノーボード」を商)、
「」、品とする異議申立人とゴルフバックを商品とするバートン・ゴルフ社とは
会社規模も拮抗しており、両社がそれぞれ知られ、認知されている。そして、
バートン・ゴルフ社は、我が国で、1976年(昭和51年)2月16日に、
旧第24類(キャディーバッグ、その他本類に属する商品)を指定商品として
「BURTON」商標(登録第2249106号)の商標登録出願をして、そ
の当時から「BURTON」商標を使用した「ゴルフ・キャディーバッグ」の
商品を実際に日本で販売していた(甲第24号証。そして、この「BURT)
ON」商標は、我が国においてもゴルフファンの間で「ゴルフバッグ」の商標
として知らない人はいないほど有名となった。このことは、スポーツ用品の大
手企業である「ダイワ精工株式会社」がその商品を輸入代理店として取り扱っ
ていたことからも十分推測することができるし、ゴルフ用品業界で毎年「社団
法人日本ゴルフ用品協会」によって行われる「ジャパン・ゴルフ・フェア」を
補う意味から毎年発行されている「ユニバーサルゴルフ」社の「ゴルフ用品総
」「」「」合カタログ・内外有名ブランド総掲載の1988年版と1989年版
に「BURTON」の「ゴルフバッグ」の広告が掲載されており、その商品、
はスポーツ業界で公認されているのである(甲第19号証。)
(ウ)イギリスで「BURTON」といえば、ロンドンの目抜き通
りのリージェント街に店を構える「BURTONMENSWEAR」ストア
、「」が有名でありイギリスで知らない人はいないほど有名なメンズ・ショップ
であり、英国の新聞でも度々取り上げられている(甲第20号証。同社の設)
立は1929年(昭和4年)10月22日であり、既に70年以上の歴史があ
る。同店は、日本人の観光客も多数押しかけるほど有名であり、イギリスはも
とより、ヨーロッパで「BURTON」といえば、この「メンズ・ショップ」
を表すものである同社のインターネットでのオンライン販売も好評である甲。(
第21号証。)
()「」、「」エ日本でBURTONといえば東洋ゴム工業株式会社
の「靴」のブランド名として有名であり、業界新聞にも広告が掲載されている
(甲第22号証。現在は、三菱商事系列の「ライフギアコーポレーション株)
式会社」により引き継がれ、製造販売されている(甲第23号証。東洋ゴム)
工業株式会社が旧第22類(はき物(運動用特殊靴を除く、かさ、つえ、こ)
れらの部品及び付属品)の「BURTON」商標(登録第1042684号)
を出願したのは、昭和45年(1970年)12月23日であり(甲第27号
証、同年から「靴」を販売していた。)
(3(ア)原告は、海外ブランドの我が国における導入を専門に行って)
いる会社であり、本件商標は、原告が昭和57年から日本国内で展開していた
ブランド名である。当時は、アメリカのプレッピー・ファッションの全盛期で
あり、原告は、その流行の「バイブル」ともいわれた「プレッピーハンドブッ
ク」でも紹介されているニューヨークの有名なブティックであるバートン・ブ
ティック社の代表者「F」氏(甲第7号証)と1982(昭和57)年1月【】
25日にライセンス契約を締結し、現在まで継続して、本件商標の指定商品以
外の商標分類を含む多数の商品について事業を行っており、原告がこの「BU
RTON」ブランドを展開した当初は「スノーボード」は日本に登場してお、
らず、異議申立人の存在は誰も知り得なかった。
(イ)原告は、上記の事業を国内で問題なく行うために、昭和57
年6月1日から、次の2件の登録商標につき、商標権者との間で商標使用権許
諾契約を締結し、また、昭和63年11月30日に、本件商標と同一の文字商
「」、(、、標であるBURTON商標について指定商品を旧第23類時計眼鏡
その部品及び附属品)として設定登録を得ている(甲第2号証。)
「」(、①BURTONバルトン商標登録第664522号
指定商品旧第17類(被服、布製身回品、寝具類、甲第3号証))
商標権者メルボ紳士服株式会社
期間昭和57年6月1日から平成5年5月31日ま
で(甲第4号証。枝番号は省略する。以下同じ)。
②「BURTONバートン」商標(登録第1229927
号、指定商品旧第21類(装身具、ボタン類、かばん類、袋物、宝玉及びその
模造品、造花、化粧用具、甲第5号証))
商標権者三共生興株式会社
期間昭和60年10月1日から平成6年9月30日
まで(甲第6号証)
なお、異議申立人は、平成6年12月5日に、メルボ紳士
服株式会社の上記登録商標に対して、取消審判を請求して(甲第3号証、強)
引に商標権の譲渡を受けたり、平成7年12月18日に、三共生興株式会社か
ら上記の商標権を買収し、また、平成11年6月23日に、バートン・ゴルフ
社の上記の旧第24類(ただし、ゴルフ用具を除く)を指定商品とする商標。
権について専用使用権の設定を受けている(甲第24号証。このように、異)
議申立人の我が国における引用商標の使用は、商標権に基づかない違法なもの
であった。
(ウ)原告の業務は、国内におけるライセンス元として、海外ライ
センス先の代理人として、国内の各メーカーにライセンスを再許諾するもので
あり、原告は「アルプス・カワムラ「起隆通産「青山眼鏡「ロリーバ、」、」、」、
ッグ」の他、計14社に対して、原告の上記の商標権及び2件の商標権の実施
権に基づき「BURTON」商標の使用許諾をして使用させており、実際に、
それらの企業が商品を製造、販売したことは、原告が提出したそれらの企業の
「ライセンス契約書「売上報告書「商品見本写真集」等を見れば明らかで」、」、
ある。
なお、これらの商品は「三越「高島屋「西武」等のデ、」、」、
パートと「ダイエー「イトーヨーカ堂」等の大型スーパーで売られていた、」、
が、これらの原告の商品展開の後に、異議申立人が商標権を有していないのに
強引に日本の市場に進出し、スノーボード関連商品にとどまらず、周辺ファッ
ション商品の製造を非合法的に行い、低価格の類似品を販売したので打撃を受
け、原告は「BURTON」商標を付した商品の生産と販売を縮小せざるを、
得なかったのは事実であり原告が本件商標の出願時である平成8年以降にB、「
URTON」商標を使用していた事実について、具体的な数字として提出する
ことができる証拠を用意し得ない。
(4)以上によれば、異議申立人は「BURTON」商標は自らによっ、
て我が国で有名になったと主張し、決定は、これを認めたが、異議申立人以外
の者が「BURTON」商標を使用しているほか、原告自身、昭和57年より
「BURTON」商標を付した各種の商品を国内メーカーと共同で製造、販売
し、旧第17類の商品については11年間、旧第21類の商品については9年
間にわたって使用していたことを考えると、異議申立人の主張は正しいとは思
えず、決定には誤りがあるというべきである。
また、異議申立人が「スノーボード用品」として「BURTON」
を有名にしたとしても、一般の消費者は「BURTON」の名前をほとんど知
らず、それらの商品も一部の特殊な運動具店で販売されているのみであり、百
貨店、スーパーでの販売は皆無であることをみても、それらが特殊なものであ
るということが窺えるのであり、引用商標が異議申立人の出所を示すものとし
て需要者の間で周知、著名であるとすることはできない。
2本件商標の指定商品と引用商標の使用商品の関連性について
仮に、異議申立人の引用商標がその使用商品である「スノーボード」に
おいて、現在我が国で著名であるとしても、原告が展開している本件商標を付
した商品は、本件の指定商品を含めて、純粋なファッション商品であり、異議
申立人が展開する「スポーツ関連商品」とは、売場も全く異なり、また、販売
店も一般の百貨店や小売店であり、スポーツ専門店を中心とするスノーボード
社の商品とは全く関連がない。特に、時計、眼鏡等の商品は、技術的保守や種
類の豊富さを必要とするために「時計専門店「眼鏡専門店」でしか販売さ、」、
れないもので、その共通性は全く無い。
さらに「スノーボード」等の「スポーツ用品」の世界と「ファッショ、
ン商品」の世界は別世界である。前者は「性能」を追求するのに対して、後者
は「奇抜さ、思いつき」を追求するものであり「スポーツ用品」は「ファッ、、
」、、ション商品における無駄を極端に省きスピードを追求するものであるので
両者には関連性が無い。それらを考えず「スポーツ用品」の著名性が「ファ、
ッション商品」に及ぶという被告の主張は到底受け入れることができない。
被告は、本件商標の指定商品である「喫煙用具、時計」と引用商標の使
用商品は、嗜好品的要素を有し又はファッションに関連する商品といえると主
張しているが、あまりにも飛躍した主張であり、上記のアメリカのゴルフバッ
グ商品のバートン・ゴルフ社、イギリスのロンドンの有名なブティックである
「バートン・メンズウェア、日本の靴のメーカー「ライフギアコーポレーシ」
ョン株式会社」の著名性をも否定するような主張は受け入れ難い。
第4被告の反論の要点
1引用商標の周知性、著名性について
(1)原告は、異議申立人の引用商標は、一般にそれほど知られていない
旨主張している。
しかし、異議申立人が「スノーボード」商品に使用している引用商
標が、少なくとも、本件商標の出願時である平成8年11月1日までに著名と
、。なったことは以下の雑誌や新聞記事に掲載されている事柄から明らかである
()「()」(()ア雑誌Forbesフォーブス1996年平成8年
2月1日号)の日本版の記載によれば、アメリカのスノーボード市場規模は7
50億円に達しているが、スノーボード社は、この市場の30%以上を支配し
ていた。さらに、日本においても、1998年(平成10年)の長野オリンピ
ックにスノーボーディングが公式種目となり、その人気はますます高くなると
されている(乙第3号証。)
(イ)主婦と生活社発行「SNOWBOARD(1995年(平」
成7年)10月1日号)には、スノーボード・ブランド名として「BURTO
N「バートン」が紹介されている(乙第4号証。」、)
(ウ)雑誌「skier別冊SNOWBOARD(1996年」
(平成8年)No.3)には、ボード部門において、人気ナンバーワンは「バ
ートン」であるとともに、スノーボード用の靴にも使用され、ボードもさるこ
とながら、ウエアや小物などもセンスのいいものが揃っていることが掲載され
ている(乙第5号証。)
(エ)雑誌「SNB(1996年(平成8年)4月24日号)に」
は、愛用しているブランド名として、ウエア第2位、バインディング第1位、
ボード第1位、ブーツ第3位、グローブ第2位に「バートン」が掲載され、さ
らに好きなブランドとしてボード部門第1位、ウエア部門第3位として「バー
トン」が掲載されている(乙第6号証。)
(オ)「日経流通新聞(昭和63年12月10日、平成3年12」
月7日「日経産業新聞(平成6年8月25日「日本経済新聞(平成7年)、」)、」
、、、)、「」3月16日同年4月7日同年9月11日同年12月29日織研新聞
(平成8年3月19日、同年3月22日)及び「スポーツ産業新報(平成3」
年1月1日、平成7年2月20日、平成8年3月1日)の記事には、スノーボ
ードにおいて人気の高いブランド名として「バートン」を頻繁に紹介している
(乙第7号証。)
()「()」カ祥伝社平成8年10月15日発行BOON特別編集号
には、スノーボードブランドの支持率No.1として「バートン「BURT」、
」、、()。ONが掲載され靴ウエアに使用しているとの記載もある乙第8号証
(キ)山と渓谷社発行「skier別冊SNOWBOARD19
97年(平成9年)No.3」には、ボード部門において、人気ナンバーワン
は「バートン」であると共にスノーボード用の靴、ウエアにも使用されている
ことが掲載されている(乙第9号証。)
(ク)日本貿易振興会海外経済情報センター発行「1991年(平
)、()、()()成3年1992年平成4年1994年平成6年輸入商品消費財
売れ筋動向(平成3年11月、平成5年3月、平成7年11月)には、スノ」
ーボードの小売市場の売れ筋ブランドは「バートン「BURTON」である」、
ことが記載されている(乙第10号証。)
以上(ア)ないし(ク)の掲載の事実を総合すれば、異議申立人に
係る商品「スノーボード、スノーボード用靴、ウエア」等に使用されている商
標「バートン「BURTON」は、我が国においても、本件商標の出願時に」、
は、既に取引者、需要者の間に広く認識されるに至っていたものというべきで
ある。
なお、原告は、異議申立人が取り上げられている雑誌は、その全て
が一部愛好家、若者向けの特殊な雑誌であり、日本国民の子供から年寄りまで
引用商標が知られているものとは思えない旨、また、消費者の全てがそれを認
識しているとはいえない旨主張している。
しかしながら、ある商標を特定の商品に使用したときに著名商標に
係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあるかどうかを検討する場合には、当
該商品の主たる取引者、需要者が当該商品の出所について混同を生ずるかどう
かを基準にすべきであるから、当該著名商標が日本国民の全てや消費者の全て
に知られていることまで必要とするものではなく、被告は、引用商標がスノー
ボードないしはその関連商品の取引者及び需要者の間に広く認識されているこ
と、及びこれらの商品と本件商標の指定商品とは関連性があることを主張して
いるのであって、原告の主張は失当である。
(2)原告は「BURTON」商標は、海外及び我が国で、異議申立人、
以外の者の出所を示すものとして周知、著名である旨主張している。
しかしながら、原告主張の各会社が「BURTON」商標を使用し
ていることは窺えるとしても、周知、著名であるという証左は見いだし難い。
なお、原告は、原告が展開する「BURTON」商標を使用した商
品が販売されていた事実を証する書証として「ライセンス契約書「売上報、」、
」「」。、告書並びに展示会の案内状及びその写真を提出しているしかしながら
「ライセンス契約書」は商標の使用を許諾する旨の契約書であって、それに基
づいて商標が使用されるかどうかは別の問題であって、実際に商標が使用され
。、「」ていることを立証するものでないことは自明であるまた上記売上報告書
は原告と特別な関係にある者の間の証明であり、自由に作成でき、比較的客観
性の乏しいものというべきである。さらに、原告の提出に係る展示会の案内状
及びその写真によれば、商品の展示会が開催されたことは窺えるとしても、当
該商品が譲渡若しくは引渡しのために展示されたのかどうかは必ずしも明らか
でないし、当該商品が実際に市場に流通し、取り引きされたことを立証するも
のでもなく、原告が「BURTON」商標をその展開している商品に使用して
いた事実は認められない。
また、仮に、原告の「BURTON」商標を付した商品が現実に市
場に流通していたとしても、そのことと本件商標をその指定商品に使用したと
きに、引用商標との関係で、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるか
どうかとは直接の関係がない。
すなわち、商標法4条1項15号は「他人の業務に係る商品又は、
役務と混同を生ずるおそれがある商標」について商標登録を受けることができ
ないとしているのであるから、異議申立人以外の者がある商品又は役務に「B
URTON」商標を使用していたとしても、さらには、これがそのようなもの
として周知、著名となっていたとしても、それがスノーボード関連商品につき
異議申立人によって使用される引用商標の周知性や著名性が失われるというこ
とに結び付かない限り、本件商標を付した商品と引用商標を付した商品との間
の出所の混同のおそれの有無の判断が影響を受けることはあり得ないと解され
るのである(東京高等裁判所平成11年(行ケ)第414号事件につき、東京
高判平成12年4月11日参照。)
以上のとおり、原告の上記の主張は失当である。
2本件商標の指定商品と引用商標の使用商品の関連性について
原告は、原告が展開している本件商標を付した商品は純粋なファッショ
ン商品であり、異議申立人が展開する「スポーツ関連商品」とは売場も全く異
なり、異議申立人の商品とは全く関連がない旨主張している。
しかしながら、上記のとおり、原告が展開しているとする「BURTO
N」商標がファッション商品に使用されている事実を認めることはできない。
また、仮に使用されていても、一般に、スポーツを行う場合には、その
スポーツに適した衣服、手袋、サングラス、時計等が使用されるところ、スノ
ーボードについても、スノーボード関連商品として、ボード、スノーボード用
靴、スノーボード用手袋、被服、バッグ、ゴーグル、サングラス等が使用され
るのであり、これらの商品は身の回りの商品であって、ファッション(装身に
関する流行)に関係する商品といえるものである。
他方、本件商標の指定商品である「時計、喫煙用具」については「時、
計」は時刻を表示し又は測定するという、また「喫煙用具」は喫煙に用いる、
という、それぞれの実用的な面と同時に、装飾のために身に付ける装身具とし
ての面を持ち合わせており、衣服等に合わせた時計や喫煙用具が用いられるも
のであるから、やはりファッションに関係する商品といえるものである。
したがって、スノーボード関連商品と本件商標の指定商品とはファッシ
ョンに関係がある点において共通性があるというべきであるから、原告の主張
は失当である。
3結論
以上のとおり、原告の主張はいずれも失当であり、引用商標「BURT
ON」は、異議申立人に係る商品「スノーボード」等を表示するものてして、
本件商標の登録出願の前から取引者、需要者の間に広く知られ、著名となって
いたものである。
そうすると、本件商標は、上記周知、著名な引用商標と同一の綴り字か
らなるものであり、かつ、本件商標の指定商品「喫煙用具、時計」と上記周知
著名な引用商標の使用商品とは、嗜好品的要素を有し又はファッションに関連
する商品といえるものであり、その商品の需要者層を共通にする場合も多いと
、、いえるものであるから商標権者が本件商標をその指定商品に使用するときは
異議申立人に係る上記周知、著名な引用商標を連想、想起し、同人又は同人と
経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように
商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は商標法4条1項15号の規定に違反して登録さ
れたものであるとする決定の判断に何ら誤りはなく、決定が取り消されるべき
理由はない。
理由
第1引用商標の周知、著名性について
1異議申立人が米国で1977年(昭和52年)に設立されたスノーボー
ド、スノーボード用の手袋・被服、バッグ等の製造、販売を中心とした会社で
あり、会社設立以来、全商品にハウスマーク「BURTON」を約20年間に
わたり使用しており、現在、異議申立人の米国におけるスノーボードのシェア
ーは30パーセントを占めていて、年間売上高は約225億円に達しているこ
と、日本でも、これらの商品は1981年より販売が開始され、現在では、バ
ートン・スノーボード・ジャパン(異議申立人の日本支社)から販売店を通じ
て全国600の小売店で販売されており、異議申立人の商標が使用されたスノ
ーボードの日本におけるシェアーは、日本で第1位の20パーセント以上とな
っていることは、原告においても争っていない。
そして、上記争いのない事実に甲第25、第26号証、第28号証、乙
第3号証ないし第10号証及び弁論の全趣旨を総合すると、異議申立人が使用
している引用商標に関して次の事実が認められる。
(1)スノーボーディングは、米国において、スキーの客数が横ばいな
のに対して、1980年代から人気が出始めてきて、スノーボード商品の売上
げを伸ばし、1990年代には急激に人気が高まり、その客数及び売上高が拡
大している。
我が国においても、遅くても本件商標の出願時である平成8年11月までの
数年の間に、人気が急激に高まり、スノーボードの売上げを顕著に伸ばしてお
り、平成10年開催の長野冬期オリンピックの公式種目としても採用されるに
至っている。
(2)異議申立人は、スノーボードを世界で始めて制作したメーカーと
して米国で1977年昭和52年に設立されたスノーボード関連商品ボ、()(
ード、バインディング、スノーボード用ブーツ、スノーボード用グローブ、ウ
エア、バッグ、ゴーグル、サングラス等)の製造、販売を中心とした会社であ
り、会社設立以来の約20年間にわたって、全商品にハウスマークである「B
URTON」を表示して使用しており、平成8年当時における異議申立人の米
国におけるスノーボードの市場(規模約750億円)の占有率は30パーセン
ト以上となっており、年間売上高は、約225億円に達している。
そして、我が国においても、異議申立人は、昭和56年から上記の
スノーボード関連商品を販売しており、平成7年1月1日には、我が国に「バ
ートン・スノーボード・ジャパン」を設立し、その販売代理店を通じて、全国
で約600店舗の小売店で販売し、平成8年当時における異議申立人の我が国
におけるスノーボードの市場(規模約500億円)の占有率は第1位となって
おり、20パーセント以上に及び、また、1995年ー96年(平成7年ー同
8年)のシーズンにおけるウエアは、前年比で70パーセントから80パーセ
ント増、ボードは、同じく50パーセント増の販売を達成している。
(3)我が国のスノーボード関連商品の小売市場において、異議申立人
の引用商標が付された商品は、その販売以来、若者を中心とする一般消費者の
需要が高く、引用商標は、遅くとも平成8年11月までに、スノーボード関連
、、、商品において人気の高いトップブランドの標章として確立しており例えば
被告指摘のとおり「日経流通新聞「日経産業新聞「日本経済新聞「織、」、」、」、
研新聞」及び「スポーツ産業新報」の各記事には、スノーボード部門における
人気の高いブランド名として「バートン」が紹介され(乙第7号証、日本貿)
易振興会海外経済情報センター発行1991年平成3年1992年平「()、(
成4年、1994年(平成6年)輸入商品(消費財)売れ筋動向(平成3年)」
11月、平成5年3月、平成7年11月)には、スノーボードの小売市場の売
れ筋のブランドとして「バートン「BURTON」が記載されており(乙第」、
10号証、また、スノーボード関連の雑誌において、以下のような記事が掲)
載されている。
()「()」(()ア雑誌Forbesフォーブス1996年平成8年
2月1日号)の日本版に、スノーボード文化を築いた男として、異議申立人の
代表者である【E】が紹介され、アメリカのスノーボード市場規模は750億
円に達しており、異議申立人は、この市場の30%以上を支配していること、
日本においても、スノーボード人口の増加は著しく、その人気はますます高く
なることが記載されている(乙第3号証。)
(イ)主婦と生活社発行「SNOWBOARD(1995年(平」
成7年)10月1日号)には、スノーボードのブランド名として「BURTO
N「バートン」が紹介されている(乙第4号証。」、)
ウ山と渓谷社発行skier別冊SNOWBOARD1()「」(
996年(平成8年)No.3)には、読者が選んだ「スノーボードオブ
ザイヤー」として、1996年(平成8年)は「バートン」が、ボード部、
門及びバインディング部門において第1位に選ばれたこと、ブーツ部門で第2
位に選ばれたこと、ウエア部門でも10位以内に選ばれていることが紹介され
ている(乙第5号証。)
(エ)雑誌「SNB(1996年(平成8年)4月24日号)に」
は、スノーボード関連商品につき、愛用しているブランド名として「バート、
ン」が、ウエア部門では第2位、バインディング部門では第1位、ボード部門
では第1位、ブーツ部門では第3位、グローブ部門では第2位に掲載され、さ
らに好きなブランドとしてボード部門では第1位、ウエア部門では第3位とし
て掲載されている(乙第6号証。)
()「()」オ祥伝社平成8年10月15日発行BOON特別編集号
には、スノーボードのブランドの支持率の第1位として「バートン「BUR」、
TON」が記載され、また「王者バートンのすべて」との特集記事の中で、、
スノーボードの急成長の立役者の一人であり、日本における普及にも大きな功
【】、「」績を残している者として異議申立人の代表者のEが紹介されバートン
はスノーボードの歴史の主役を演じ続けるであろう旨記載され、異議申立人ス
ノーボード関連商品が紹介されている(乙第8号証。)
(カ)山と渓谷社発行「skier別冊SNOWBOARD19
97年(平成9年)No.3」には、読者が選んだ「スノーボードオブザ
イヤー」として、1997年(平成9年)は、ボード部門、バインディング
部門及びウエア部門において「バートン」が第1位に、ブーツの各部門にお、
いて、第1位と第2位に選ばれたことが紹介され、また、異議申立人はスノー
ボードのボードメーカーとして長い間その人気を維持しているが、その人気の
高さはバートンの持つ長い歴史と信頼にある旨、また「バートン」はスノー、
ボードブランドとして最強といわれている旨指摘され「ゲレンデは、バート、
ン、バートンのオンパレードだ!」と記載されている(乙第9号証。)
2(1)以上認定の各事実を総合すれば、異議申立人がそのスノーボード
関連商品(ボード、バインディング、スノーボード用ブーツ、スノーボード用
グローブ、ウエア、バッグ、ゴーグル、サングラス等)に使用している引用商
「」「」、、標BURTON及びその片仮名表記のバートンは我が国においても
少なくとも、本件商標の出願時である平成8年11月1日までには、それらの
商品の需要者である若者を中心とする一般消費者の間で、異議申立人の出所を
示す商標として広く知られるに至っており、著名性を獲得したことを認めるこ
とができる。
(2)原告は、異議申立人が取り上げられている雑誌は、その全てが一
部愛好家、若者向けの特殊な雑誌であり、日本国民の子供から年寄りまで引用
商標が知られているものとは思えない旨、また、消費者の全てがそれを認識し
ているとはいえない旨主張している。
しかし、本件商標を指定商品に使用したときに、引用商標を使用
商品に使用する異議申立人に係る商品であるとして、出所の混同を生ずるおそ
れがあるかどうかを判断する場合、引用商標が日本国民の全てや消費者の全て
に知られていることを要するものではなく、引用商標が、その使用商品の取引
者や需要者の間に広く認識されているかを問題として、これが肯定される場合
に、それらの商品と本件商標の指定商品との間に関連性があり、本件商標の指
定商品の取引者や需要者の多くと共通していて、出所の混同を生ずるおそれが
あるか否かを判断すれば足りるものであるから、原告の上記の主張は失当であ
る。
(3)原告は「BURTON」商標は、海外及び我が国で、異議申立、
人以外の者の出所を示すものとして周知、著名である旨主張している。
しかしながら、原告が提出する書証(甲第7、第8号証、第11
号証、第16号証ないし第24号証、第27、第28号証、第32、第33号
証、第43号証)によれば、原告主張の「バートン・ブティック社「バート」、
ン・ゴルフ社」等の各会社が「BURTON」商標ないしこれを要部とする商
標をそれぞれその業務に係る商品に使用していることは認めることはできると
しても、それらの各商標が、我が国において、本件商標の出願時である平成8
年11月の当時において、周知、著名であることを肯定するに足りる的確な証
拠はないし、仮にこれらの各商標が我が国で周知、著名であるとしても、後記
のとおり、そのために異議申立人の引用商標の周知性、著名性が失われている
という事実は認められない。
また、原告は、原告自身、昭和57年より「BURTON」商標
を付した各種の商品を国内メーカーと共同で製造、販売している旨主張してい
る。
しかしながら、原告が提出する書証(甲第2ないし第6号証、第
9ないし第14号証、第27号証、第36号証ないし第42号証、第44号証
ないし第48号証)は、そのほとんどが昭和61年から平成4年や平成6年ま
での使用に関するものであり、当裁判所の求釈明に対しても、本件商標の出願
時である平成8年11月当時における原告の上記商品の販売に関する証拠は提
出されていない。
付言すると、商標法4条1項15号は「他人の業務に係る商品、
又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」について商標登録を受けることが
できないと規定しているのであるから、原告が主張するように、異議申立人以
外の者が、ある商品に「BURTON」商標を使用していたとしても、さらに
は、右商標が周知、著名となっていたとしても、それらのことによって、スノ
ーボード関連商品について異議申立人によって使用される引用商標の周知性や
著名性が失われるということに結び付かない限り、本件商標を付した商品と引
用商標を付した商品との間の出所の混同のおそれの有無の判断が影響を受ける
ことはないと解されるところ、本件全証拠によっても異議申立人の引用商標の
周知性、著名性が失われているということは認められないから、原告の上記主
張は、この点からも採用することができない。
3他に、本件商標の出願時における異議申立人の引用商標の著名性につい
て、上記2(1)の判断を左右するに足りる主張、立証はなく、引用商標には
周知性、著名性が認められないとする原告の取消事由の主張は理由がない。
第2本件商標の指定商品と引用商標の使用商品の関連性について
1原告は、原告が展開している本件商標を付した商品は純粋なファッショ
ン商品であり、異議申立人が展開する「スポーツ関連商品」とは売場も全く異
なり、異議申立人の商品とは全く関連がない旨、また「スノーボード」等の、
「スポーツ用品」の世界と「ファッション商品」の世界は別世界であり「ス、
ポーツ用品」は「ファッション商品」における無駄を極端に省き、スピード、
を追求するものであるので、両者には関連性が無い旨主張している。
2しかしながら、被告が主張するように、一般に、スポーツを行う場合、
そのスポーツに適した衣服、手袋、サングラス、時計等が使用されるところ、
スノーボードについても、スノーボード関連商品として、ボード、スノーボー
ド用ブーツ、スノーボード用グラブ、ウエア、バッグ、ゴーグル、サングラス
等が使用されるのであり、これらの商品は身の回りの商品であって、ファッシ
ョンに関係する商品といえるものであり、さらに、スノーボードやその関連商
品を紹介する雑誌において、今やスノーボーディングは、単なるスポーツの枠
を超えて、若者のファッション、風俗、ライフスタイルに大きな影響を与えて
いる、スノーボーディングは1990年代の若者のライフスタイルを象徴する
サブカルチャーである旨(乙第3号証、スノーボード関連商品では、単に性)
能、機能のみならず「デザインのよさ」や「かっこよさ」が購買の大きな要、
素となっている旨(乙第9号証)が指摘されているように、衣服、眼鏡等の物
品をも含むスノーボード関連商品は、若者を中心として、広くファッションや
風俗に影響を及ぼす品目となっており、その商品形態も、単なるスポーツ用品
としての実用性、機能性だけでなく、嗜好性や美感性も重視されていることが
認められる。
他方、本件商標の指定商品である「時計、喫煙用具」についても実用品
としての側面の他に、装飾のために身に付ける装身具としての側面を持ち合わ
せており、衣服等に合わせた時計や喫煙用具が用いられることが少なくないか
ら、ファッションに関係する商品といえるものである。
3したがって、一般に、スノーボード関連商品と本件商標の指定商品とは
ファッションに関係がある点において重要な共通性があり、また、上記第1の
2で判示したとおり、異議申立人の引用商標が付されたスノーボード関連商品
は、それらの商品の需要者である若者を中心とする一般消費者の間で人気が極
めて高いことが認められるのであるから、引用商標の使用商品と本件商標の指
定商品とでは、その需要者層を共通にする場合も多いであろうと容易に推認さ
(。)、、れるのでありこれを否定すべき証拠はない原告の上記主張は失当であり
原告の上記取消事由も理由がない。
第3総括
本件商標「Burton」は、引用商標「BURTON」と同一の綴り
字からなるものであり、称呼も同一であるところ、以上判示のとおり、引用商
標は、異議申立人に係るスノーボード関連商品を示すものとして、本件商標の
、、、登録出願までに需要者の間に広く知られ著名となっていたことが認められ
かつ、本件商標の指定商品と引用商標の使用商品とは、ファッションに関連す
る商品であり、その商品の需要者層を共通にする場合も多いといえるものであ
る。
したがって、商標権者が本件商標をその指定商品に使用するときは、そ
、、、れに接する需要者において異議申立人に係る著名な引用商標を連想想起し
異議申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る
商品であるかのように商品の出所について混同が生ずるおそれがあることが肯
定される。
決定は、上記と同旨の認定、判断により、本件商標は商標法4条1項1
5号の規定に違反して登録されたものであるとしたものであり、この決定の判
断に誤りはない。
第4結論
以上のとおり、原告主張の決定の取消事由はすべて理由がなく、その他
決定にはこれを取り消すべき瑕疵は見当たらない。
よって、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとし、主文のと
おり判決する。
東京高等裁判所第18民事部
裁判長裁判官永井紀昭
裁判官塩月秀平
裁判官橋本英史

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛