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平成20年2月21日判決言渡
平成19年(行ケ)第10230号審決取消請求事件
(平成19年12月12日口頭弁論終結)
判決
原告ルークラメレンウントクツプ
ルングスバウベタイリグングス
コマンディートゲゼルシャフト
訴訟代理人弁護士加藤義明
同町田健一
同木村育代
訴訟代理人弁理士アインゼル・フェリックス=ラインハルト
同山崎和香子
エヌユーケイオートパーツ
被告
カンパニー,リミテッド
主文
1原告の請求を棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
3この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30日
と定める。
事実及び理由
第1原告の請求
特許庁が無効2006−89029号事件について平成19年2月15日に
した審決を取り消す。
第2前提となる事実関係
1特許庁における手続の経緯
()被告は,平成16年2月5日に登録出願され,同年9月10日に設定登
録された登録第4802490号商標(以下「本件商標」という)の商標

権者である。
本件商標は,別紙商標目録(1)の構成よりなるものであって,中央に配
された太字斜体ゴシックで横書きされた「NUK」の欧文字の周囲を略楕円
形で囲ったものであり,商標法施行令1条別表の第12類(以下,単に「第
12類という。他の類も同じ「陸上の乗物用の動力機械(その部品を除


く,陸上の乗物用の機械要素,自動車並びにその部品及び附属品,二輪


自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品」を指定商品とするものであ
る。
()原告は平成18年3月1日特許庁に対し本件商標の指定商品中陸
2,,,「
上の乗物用の動力機械(その部品を除く,陸上の乗物用の機械要素,自


動車並びにその部品及び附属品」についての登録を無効とする旨の審決を求
めた。特許庁は,同請求を無効2006−89029号事件として審理をし
た上,平成19年2月15日,本件審判の請求は,成り立たない旨の審決を
し,その謄本は,同月27日,原告に送達された。
()引用商標
原告(請求人)は,審判手続において,本件商標は,下記の各引用商標と
外観及び称呼上相紛らわしい類似の商標であるから,商標法4条1項11号
に該当し,同法46条1項1号により無効とされるべきであると主張した。
ア登録第1361678号商標(以下「引用商標1」という)は,別紙

商標目録(2)のとおりの構成よりなるものであって,中央に配されたゴ
シック体で横書きされた「LUK」の欧文字の周囲を楕円形で囲ったもの
であり,昭和45年5月1日に登録出願,第12類に属する商標登録原簿
に記載のとおりの商品を指定商品として,同53年11月30日に設定登
,,,,,
録されその後商標権の存続期間の2回更新登録がされまたその間
指定商品については,一部取消しの審判により,指定商品中「自転車,自
転車の部品および附属品,並びにこれらの類似商品」について取り消すべ
き旨の審決がされ,その確定の登録が平成元年11月28日にされたもの
である。したがって,その指定商品は「輸送機械器具,その部品及び
,『
附属品(他の類に属するものを除く)指定商品』から『自転車,自転車の
部品および附属品,並びにこれらの類似商品』を除外した指定商品」であ
る。
イ登録第3304334号商標(以下「引用商標2」という)は「L
。,
uK」の欧文字を横書きしてなり,平成4年9月30日に登録出願され,
「,,
第12類に属する鉄道車両の部品及び附属品自動車の部品及び附属品
陸上の乗物用の機械要素」を指定商品として,同9年5月16日に設定登
録されたものである。
ウ登録第4751673号商標(以下「引用商標3」という)は,別紙

商標目録(3)のとおりの構成よりなるものであって,中央に配された太
字ゴシック体の「LUK」の欧文字を図案化したものの周囲を横長の長方
形で囲ったものであり,平成13年7月23日に登録出願され,第4類,
第7類,第8類,第9類,第12類,第25類,第37類及び第41類に
属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役
務として,同16年2月27日に設定登録されたものである(以下,上記
の3商標を一括して「各引用商標」という場合がある。
,。

2審決の判断
審決の内容は,別紙審決書写しのとおりである。その要点は,次のとおりで
ある。
,,「」
()本件商標と各引用商標とは構成中の欧文字3文字中語頭においてN
と「L」の差異を有するものであって,短い文字構成における,印象に残
りやすい語頭部分におけるこの差異は,視覚上大きいから,外観において
相紛れるおそれはない。
()本件商標が,その構成文字に相応して「エヌユーケー」の称呼を生ずる
のに対して,各引用商標は,その構成文字に相応して「エルユーケー」の
称呼を生ずるところ,両商標の文字部分は,共に欧文字を綴り合わせて一
連の成語を形成するものではなく,アルファベット3文字を羅列してなる
ものであって,一文字一文字を区切って明確に発音される場合が多いとい
えるから,本件商標は「エヌ「ユー「ケー,各引用商標は「エル,

,」
,」」
「ユー「ケー」とそれぞれの文字ごとに区切って発音されるというのが


相当である。
そして,本件商標と各引用商標の相違する語頭部「エヌ」と「エル」に
おける「ヌ」音と「ル」音にしても「ヌ」音の子音は鼻音であるのに対

し「ル」音の子音は弾音であることから,両音の調音位置・調音方法が

異なるものであり,両商標は,文字ごとに区切って発音されるものである
ことと相まって,それぞれを全体として称呼した場合においては,音感,
音調が異なり,称呼上相紛れるおそれはない。
()本件商標と各引用商標は,いずれも特定の観念を有しない造語といえる
ものであるから,両者の観念については比較することができない。
()以上のとおり,本件商標と各引用商標は,外観,称呼及び観念のいずれ
からみても非類似の商標であるから,本件商標の指定商品中「陸上の乗物用
の動力機械(その部品を除く,陸上の乗物用の機械要素,自動車並びに


その部品及び附属品」についての登録が,商標法4条1項11号に違反して
されたものということはできない。
第3取消事由に係る主張
1原告の主張
審決は,次のとおり,4条1項11号該当性の判断を誤
本件商標の商標法
った違法があり,取消しを免れない。
の類否について
()外観
本件商標と引用商標1とを対比すると,相違する語頭の「N」と「L」
は,いずれも直線で構成されており,その字形が近似したものであって,
他の配列構成文字「U「K」及び欧文字3文字を楕円で囲んだ構成を共通

にするものであるから,視覚上において両者は似かよったものと印象付け
られる。
,,
「」「」
また本件商標と引用商標1を全体として観察した場合にはNとL
の字形が近似していること,語頭以外の2文字が共通していること,共に
楕円形で文字を囲んでなる構成であることと相まって,時と場所を異にす
る離隔観察を行った場合に互いに相紛れるおそれのある外観上類似する商
標である。
称呼の類否判断について
()
「エヌユーケー」と「エルユーケー」の称呼の類否

欧文字3文字をアルファベット読みする場合に,殊更これを一文字ず

「」
「」,
つ区切りエヌ・ユー・ケーエル・ユー・ケーと称呼することは
欧文字が日常的に用いられ親しまれている今日の取引実情の下ではむし
ろ稀であり「エヌユーケー「エルユーケー」とよどみなく一連に称呼
,」
するのが実際の取引に合致する。
を「エヌユーケー,各引用商標を「エルユーケー」と一連に
本件商標」
称呼した場合に「エヌ」と「エル」における「ヌ」音と「ル」音の相違

は,共に帯同母音を[]とするものであり,子音の位置は歯茎とするもの
u
である点において共通する。また,差異音に続く「ユー」の音は,長音
を伴って強く響くため,差異音である「ヌ「ル」は相対的に弱く発音さ

れ,また中間音であることも相まって聴取しにくい音であるといえるか
ら,該音の差異が称呼に及ぼす影響は小さい。
よって,両称呼は語調・語感が近似し,互いに聞き誤られるおそれが
ある。
イの称呼の類否
「ヌク「ナック」と「ルク「ラック」
」」
本件商標からは「エヌユーケー」のほかに「ヌク「ナック」の称呼が

生じ,各引用商標からは「エルユーケー」のほかに「ルク「ラック」の

称呼が生ずる。
本件商標から生ずる「ヌク」の称呼と各引用商標から生ずる「ルク」
の称呼とを比較すると,語頭において「ヌ」と「ル」の音を異にするも
のであるが,共に帯同母音を[]とするものであり,子音の位置を歯茎と
u
するものである点において共通し,また「ヌ」と「ル」とは比較的聴取
,。
しにくい音であるからその差異が両商標の称呼に及ぼす影響は小さい
したがって,両称呼は,時と所を異にしてそれぞれを一連に称呼した場
合,語調・語感が近似したものとなり,相紛らわしいといえる。
本件商標から生ずる「ナック」と各引用商標から生ずる「ラック」の
両商標を比較すると,両者は共に2音の同数の構成よりなり,語頭にお
「」「」,
「」「」,
いてラとナの音を異にするものであるがナとラの音は
響きの強い開放母音[]を同じくし,各子音の[]と[]は,調音方法の違
anl
いはあるものの,その調音部位をいずれも歯茎音とする近似した音であ
る。したがって,両称呼をそれぞれ全体として一連に称呼するときは,
たとえ「ナ」と「ラ」の音が促音「ッ」を伴うことにより強く発音され
る場合があるとしても,差異音自体が違いに近似していることから,語
調・語感が近似したものとなり,相互に聞き誤られるおそれがある。
2被告
被告は,公示送達により送達を受けた。
第4当裁判所の判断
当裁判所は,本件商標の登録が商標法4条1項11号に違反してされたもので
はないとした審決の認定判断には,結論において誤りはないと判断する。その理
由は,次のとおりである。
1本件商標と各引用商標との外観の類否について
,,「」
()本件商標と各引用商標とは構成中の欧文字3文字中語頭においてN
と「L」の差異を有するところ,3文字という短い文字構成における,印象
に残りやすい先頭文字における差異は,視覚上,大きなものというべきであ
るから,本件商標と各引用商標が外観において類似するということはできな
い。
「N」と「L」は,いずれも直線で構成されており,その字形
()原告は
2,
が近似したものであるとした上で,本件商標と引用商標1は,他の配列構
成文字「U「K」及び欧文字3文字を楕円で囲んだ構成を共通にするもの

であるから,視覚上において極めて似かよったものと印象付けられると主
張する。
「N」が左右両端部の縦線の間に左上と右下を結ぶ斜線を配した
しかし,
構成であるのに対して「L」は左端部の縦線及び底部の横線(下線)を配

し,中央部,上部及び右端部を空白とする構成であり,両者の字形は,全
体形状において大きく異なる。本件商標及び引用商標1においては,いず
れも,中央に配置された文字部分が看る者の注意をひくものであって,要
部を構成するものであるところ,3文字中,最も看る者の注意をひく頭文
字において上記のとおり構成を大きく異にするものであるから,本件商標
と引用商標1が外観において類似するということはできない。原告の主張
は,失当である。
2本件商標と各引用商標との称呼の類否について
()本件商標及び各引用商標からは,それぞれ「エヌユーケー」及び「エル
ユーケー」の称呼を生ずるところ,共に欧文字を綴り合わせて一連の成語を
形成するものではなく,アルファベット3文字を羅列してなるものであるか
ら,通常は,一文字一文字を区切って明確に発音されるというべきであり,
,「」

「」

「」
,「」

その場合に本件商標はエヌユーケー各引用商標はエル
「ユー「ケー」とそれぞれの文字ごとに区切って発音されるのが自然で


ある。
そして,本件商標と各引用商標とで相違する語頭部「エヌ」と「エル」に
「」「」,
「」,
おけるヌ音とル音の間ではヌ音の子音は鼻音であるのに対し
「ル」音の子音は弾音であって,両音は異なるから,両商標は,文字ごとに
区切って発音されるものであることと相まって,称呼において,音感,音調
が異なり,類似するということはできない。
欧文字が日常的に用いられ親しまれている今日の取引実情の下
原告は,
では,本件商標及び各引用商標は「エヌユーケー「エルユーケー」とよ
,」
どみなく一連に称呼されると主張する。
しかし,そもそも,アルファベットに「a,e「c,d,g,t」な
,」

ど,これを単独で発音する場合には,音声として相紛らわしい文字が存在す
ることは,これを用いる者にとって周知の事項である。本件商標や各引用商
標を口頭で伝達する際,商標を構成する個々の欧文字を誤りなく伝達するた
めには,文字ごとに区切って明瞭に発音するのが,取引者の通常の態様とい
相互に聞き誤られるような称呼が
うべきである。したがって,ことさら、
原告の上
生ずることを前提として,両商標が相紛れるおそれがあるとする
記主張は,その前提において採用できない。
本件商標からは「エヌユーケー」のほかに「ヌク「ナック」
()原告は,
2」
の称呼が生じ,各引用商標からは「エルユーケー」のほかに「ルク「ラッ

クの称呼が生ずるものであるところヌクとルクナックとラ
」,
「」「」

「」「
ック」とは相紛れるものであると主張する。
「エヌユーケー」のほかに,その構成文字をそ
確かに,本件商標からは,
「」,「」
のままローマ字読みによりヌクの称呼ドイツ語読みによりヌーク
の称呼を生ずる余地があり,また,各引用商標からは「エルユーケー」の

ほかに「ルク「ルーク」の称呼を生ずる余地がある(もっとも,本件商標

及び各引用商標から「ナック「ラック」の称呼を生ずると認めることは
,」
できない。ちなみに,原告は「Luk」と表記して「ルーク」の称呼を生
ずるものである。


ヌクヌークの称呼と各引用商標のルクル
しかし本件商標の
,「」
「」「」

ーク」の称呼を対比すると,両者は,2音ないし長音を含む3音という短
い称呼であるところ,これを聞く者にとって,最もその注意をひく語頭部
の音である「ヌ」と「ル」において,上記の「エヌ」と「エル」との対比
において指摘したのと同様の相違点があるから,両者が称呼において類似
するということはできない。
()そうすると,本件商標と各引用商標が,称呼において類似するものでは
ないとした審決の判断は,結論において相当である。
3結論
上記によれば,本件商標と各引用商標とは,外観及び称呼において類似する
ものではなく,また,本件商標と各引用商標はいずれも特定の観念を有しない
造語であるから,両者が観念において類似するということもできない。したが
って,審決が,本件商標と各引用商標は,外観,称呼及び観念のいずれからみ
ても非類似の商標であるから,本件商標の指定商品中「陸上の乗物用の動力機
械(その部品を除く,陸上の乗物用の機械要素,自動車並びにその部品及


び附属品」についての登録を,商標法4条1項11号に違反してされたものと
いうことはできないとした判断に誤りはない。
よって,原告の請求は理由がないので,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官飯村敏明
裁判官三村量一
裁判官上田洋幸
(別紙)
商標目録
(1)本件商標
(2)引用商標1
(3)引用商標3

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