弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人杉之原舜一の上告趣意について。
 所論一、二は要するに、団体等規正令(昭和二四年政令六四号)は、昭和二〇年
勅令五四二号に基づき制定されたいわゆるポツダム命令であつて、憲法九八条一項
に違反し、平和条約発効後はその効力を有しないものであり、したがつてまた平和
条約発効後一定期間その効力を有するものとした昭和二七年法律八一号二項及び団
体等規正令廃止後もなお従前どおり罰則を適用する旨を定めた破壊活動防止法(昭
和二七年法律二四〇号)附則三項(論旨に第一項とあるは第三項の誤りと認められ
る)もまた違憲無効であるというのである。
 しかし、右勅令五四二号は、平和条約発効前においては、日本国憲法にかかわり
なく、憲法外において法的効力を有していたものであることは、夙に当大法廷の判
例の趣旨とするところである(昭和二四年(れ)第六八五号、同二八年四月八日判
決、刑集七巻四号七七五頁以下参照)。したがつて、右勅令五四二号に基づき制定
された団体等規正令もまた、平和条約発効前においては、憲法外において法的効力
を有していたものといわなければならない。
 ところで、原審の維持した第一審判決によれば、被告人らは平和条約発効前であ
る昭和二七年一月二七日その認定のごとき行為をなし、もつて暴力主義的方法を是
認するような傾向を助長したものであるとして団体等規正令二条七号、三条により
平和条約発効後において処罰されているのである。
 よつて平和条約発効後における同令同条の効力について考察するのに、同令の平
和条約発効後における効力の有無については、その規定内容が日本国憲法の条規に
違反するか否かによつて決すべきものとするのを相当とする。
 しかるに、右団体等規正令二条七号、三条は、平和主義と民主主義を基調とする
日本国憲法の趣旨に照し、決して相容れないものでないことは、原審判示のとおり
であるから、同令の同条項が憲法九八条一項に違反し、平和条約発効後は当然失効
したものであるとする所論の主張は理由がないものというべく、したがつて平和条
約発効後一定期間その効力を有するものとした所論昭和二七年法律八一号二項及び
団体等規正令廃止後もなお従前どおり罰則を適用する旨を定めた所論破壊活動防止
法附則三項が違憲である旨の主張もまた採ることを得ない。
 所論三は、団体等規正令二条七号にいわゆる暴力主義云々の規定は抽象に過ぎ、
裁判官の主観によつて、いかようにもその罪の成否の基準を左右することができる
から、憲法の保障する罪刑法定主義に抵触し、ひいては思想・表現の自由をおかす
ものであるというのである。
 しかし、団体等規正令二条七号には、「暗殺その他の暴力主義」とあつて、暴力
主義の意義内容を、例示の方法をもつて、ある程度具体化しているばかりでなく、
他の号及び一条(この政令の目的)等を綜合して勘案すれば、本件に適用された同
号後段の犯罪構成要件はおのずから明らかであり、裁判官の主観によつてその罪の
成否が左右されることはないと考えられる。
 されば、これと相容れない独自の見解を前提とする所論違憲の各主張はすべて採
ることを得ない。
 被告人Aの上告趣意は、違憲を主張する部分もあるが、憲法のいかなる条項に違
反するかを具体的に明示しないから不適法であり、その余の論旨は事実誤認の主張
に帰し刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 被告人Bの上告趣意は、ひつきよう事実誤認の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告
理由に当らない。違憲を主張する点もあるが、憲法のいかなる条項に違反するかを
具体的に明示しないから不適法である。
 よつて刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三六年一二月二〇日
     最高裁判所大法廷
         裁判長裁判官    横   田   喜 三 郎
            裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    高   橋       潔
            裁判官    高   木   常   七
            裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    山   田   作 之 助
 裁判官島保は退官につき署名押印することができない。
         裁判長裁判官    横   田   喜 三 郎

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