弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中有罪の部分を破棄する。
     被告人を罰金壱万五千円に処する。
     右罰金を完納することができないときは金三百円を一日に換算した期間
被告人を労役場に留置する。
     原審の訴訟費用中証人A、同B、同C、同D、同E、同F、同G、同
H、同I、同J、同Kに支給した分を被告人の負担とする。
         理    由
 弁護人岡田直寛の控訴趣意は同人提出の控訴趣意書記載のとおりであるから之を
引用する。
 弁護人の控訴趣意第一点(事実誤認)について。
 原判決認定の被告人に対する犯罪事実の要旨及びB、Dが登録を受けた宅地建物
取引業者であることは所論のとおりであるか、原判決別表買受欄(2)の事実は、
原審証人A、同Bの各証言、同(3)の事実は前記Bの証言、同(4)の事実は同
Dの証言、別表売却欄(1)の事実は原再証人Eの証言、同(2)の事実はFの証
言、同(4)の事実は原審証人Hの証言、同(5)の事実は原審証人I、同Bの冬
証言、同(6)の事実は原審証人J、同Bの各証言、同(7)の事実はL作成の答
申書の記載、同売買媒介欄の事実は原審証人D同Mの各証言と原審挙示のその他の
証拠によつて之を認もることができる。その他原審で取調べた証拠を精査するも原
審には事実の誤認はない。論旨は理由がない。
 同第二点(擬律の錯誤)について。
 宅地建物取引業法の目的は同法第一条に規定するところであつて宅地建物払底の
現状に便乗しブローカー的業者が暴利をむさぼり宅地建物の利用を阻害するのを妨
止せんとする目的の存することは所論のとおりであ<要旨>り、同法第二条に所謂
「建物の売買」には建物又はその一部を現状の侭転売の目的を以つて買受くる行
為、斯くして買受けた建物を他に売却する行為、建築業者たると否とを問わ
ず売却の目的を以つて建物を建築し、原始的に所有権を取得して之を他に売却する
行為、建物の同一性を失わない程度解体修築し売却する目的の下に建物を買受くる
行為をも含むものと解すべきであるが、建物であつても解体材としての建物を買受
くる行為は同法の「建物の売買」に該らないと解するを相当とする。従つて原判決
別表売却欄の各在宅は被告人が他に売却する目的で逐次建築し或ば買受けにもりで
あることは原判決挙示の証拠により窺えるのであるからその売却行為は同法の「建
物の売買」に該当し、他の買受、媒介行為等と相俟つて継売的こ行つた以上被告人
は宅地建物取引業を営んだものというべく此点に関する論旨は理由がない。しかし
乍ら原判決別表買受欄(1)及び(3)の建物買受行為は建物の形態は存していた
けれども、単に解体材として売買されたものであつて建物の売買でないことは原審
で取調べた被告人の司法警察員に対する供述調書(第一、二回)検察官に対する供
述調書中の各供述記載によつて認めらるるのであつで之等の買受行ろは同条の建物
の売買に該当せず犯罪を構成しないと言わなければならない。しかるに之を有罪と
認定した原審は右解体材の売買を建物の売買と誤認したか、又は解体材としての建
物をも同法に所謂建物に含むものと解し誤つて該法律を適用したかの違法があり、
此事実誤認又は法律適用の誤りは判決に影響することが明であるから破棄を免れな
い。此点に関する論旨は理由がある。
 よつて刑事訴訟法第三百九十七条第一項、第三百八十条、第三百八十二条によつ
て原判決を破棄し、同法第四百条但し書によつて当裁判所において更に判決する。
 罪となるべき事実。
 被告人は宅地建物取引業者登録簿に登録を受けないで別表掲記のとおり業として
昭和二十八年六月頃から同二十九年二月二十二日頃迄の間十一回に亘り函館市等に
おいて建物を買受、売却または売主のためその媒介をなし、もつて宅地建物取引業
を営んだものである。
 証拠の標目。
 一、 原審証人A、同C、同E、同F、同G、同H、同I、同J、同K、同B、
同Dの原審公判調書中の供述記載。
 一、 L作成の答申書。
 一、 被告人の検察官事務取扱検察事務管に対する供述調書の供述記載。
 一、 被告人の原審公判調書中の供述記載。
 以上を綜合して前記事実を認定する。
 法律の適用。
 被告人の前記所為は宅地建物取引業法第十二条に違反し同法第二十四条第二号に
該当するから所定刑の内罰金刑を選択し、所定金額内で被告人を罰金壱万五千円に
処し、刑法第十八条により被告人が右罰金を完納することができないときは金三百
円を一日に換算した期間労役場に留置し、原審の訴訟費用中主文掲記の分は刑事訴
訟法第百八十一条第一項本文により被告人の負担とする。
 尚本件公訴事実中原判決別表、買受欄1、3の建物は解体材として買受けたもの
であつて罪とならないことは控訴趣意第二点についで述べたとおりであり以上は夫
々罪とならず、又は犯罪の証明を欠くのであるが、何れも本件で有罪と認定した一
罪の一部であるから特に主文において無罪の言渡しをしない。
 よつて主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 西田賢次郎 裁判官 山崎益男 裁判官 中村義正))
 (別表省略)

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