弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人児玉康夫,同松村太郎の上告受理申立て理由について
1原審が適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。
(1)被上告人X1(以下「被上告人X1」という。)は,被上告人X2(以下「被
上告人X2」という。)の父であり,被上告人X3(以下「被上告人X3」という。)
は,被上告人X2の母である。
(2)平成11年1月5日午前10時ころ,被上告人X3の運転する自動車(以下
「被害車両」という。)が,交通整理の行われていない交差点において,Aの運転す
る自動車(以下「加害車両」という。)と衝突する事故(以下「本件事故」という。)
が発生した。
本件事故は,Aの加害車両の運転における過失に起因するものである。
(3)本件事故当時,被上告人X3は,妊娠34週目であったが,本件事故後運ば
れた病院で緊急帝王切開手術を受けて,同日午後0時58分,被上告人X2を出産
した。
被上告人X2は,重度仮死状態で出生し,「低酸素性脳症,てんかん」の傷害を負
い,病院に入院して治療を受けた。平成12年12月5日,被上告人X2の症状が
固定し,重度の精神運動発達遅滞(痙性四肢麻痺)の後遺障害が残存した。被上告
人X2の後遺障害は,自動車損害賠償保障法施行令(平成13年政令第419号に
よる改正前のもの)別表第1級3号に該当する。
被上告人X2の上記傷害及び後遺障害(以下「本件傷害等」という。)は,本件事
故により引き起こされたものである。
(4)被上告人X1は,上告人との間で,被害車両を被保険自動車とし,被上告人
X1を記名被保険者とする自家用自動車総合保険契約(以下「本件保険契約」とい
う。)を締結していた。
本件保険契約に係る保険約款(以下「本件約款」という。)には,無保険車傷害条
項があり,同条項には,次のような定めがあった。
ア上告人は,無保険自動車の所有,使用又は管理に起因して,被保険者の生命
が害されること,又は身体が害され,その直接の結果として後遺障害が生じること
によって被保険者又はその父母,配偶者若しくは子が被る損害に対して,賠償義務
者がある場合に限り,保険金を支払う。
イ被保険者とは,次の各号のいずれかに該当する者をいう。
(ア)記名被保険者
(イ)記名被保険者の配偶者
(ウ)記名被保険者又はその配偶者の同居の親族
(エ)記名被保険者又はその配偶者の別居の未婚の子
(オ)前各号以外の者で,被保険自動車の正規の乗車装置又は当該装置のある室
内に搭乗中の者
ウ相手自動車(被保険自動車以外の自動車であって,被保険者の生命又は身体
を害した自動車)について適用される対人賠償保険等(自動車の所有,使用又は管
理に起因して,他人の生命又は身体を害することにより,法律上の損害賠償責任を
負担することによって被る損害に対して保険金又は共済金を支払う保険契約又は共
済契約で,自動車損害賠償保障法に基づく責任保険又は責任共済以外のもの)がな
い場合には,相手自動車は,無保険自動車に当たる。
エ上告人が保険金を支払うべき損害の額は,賠償義務者が被保険者又はその父
母,配偶者若しくは子が被った損害に対して法律上負担すべきものと認められる損
害賠償責任の額によって定める。
(5)加害車両は,上記(4)ウの「無保険自動車」に当たる。
2本件は,被上告人らが,上告人に対し,被上告人X2に生じた本件傷害等に
よって被上告人らが被った損害について,本件約款の無保険車傷害条項に基づいて
保険金及びこれに対する遅延損害金の請求をする事案である。
3民法721条により,胎児は,損害賠償の請求権については,既に生まれた
ものとみなされるから,胎児である間に受けた不法行為によって出生後に傷害が生
じ,後遺障害が残存した場合には,それらによる損害については,加害者に対して
損害賠償請求をすることができると解される。前記事実関係によれば,被上告人X2
には,胎児である間に発生した本件事故により,出生後に本件傷害等が生じたので
あるから,被上告人らは,本件傷害等による損害について,加害者に対して損害賠
償請求をすることができるものと解される。
また,前記の本件約款の定めによると,無保険車傷害条項に基づいて支払われる
保険金は,法律上損害賠償の請求権があるが,相手自動車が無保険自動車であって,
十分な損害のてん補を受けることができないおそれがある場合に支払われるもので
あって,賠償義務者に代わって損害をてん補するという性格を有するものというべ
きであるから,本件保険契約は,賠償義務者が賠償義務を負う損害はすべて保険金
によるてん補の対象となる(ただし,免責事由があるときはてん補されない。)との
意思で締結されたものと解するのが相当である。
そして,被上告人X2は,本件保険契約の記名被保険者の子であり,上記のとお
り,被上告人らは,本件傷害等による損害について,加害者に対して損害賠償請求
をすることができるのであるから,被上告人らは,本件傷害等による損害について,
記名被保険者の同居の親族(前記1(4)イ(ウ))に生じた傷害及び後遺障害による損
害に準ずるものとして,本件約款の無保険車傷害条項に基づく保険金を請求できる
と解するのが相当である。
したがって,本件傷害等による損害について,被上告人らは,本件約款の無保険
車傷害条項に基づいて保険金の請求をすることができると解した原審の判断は,正
当として是認することができる。論旨は採用することができない。
よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官藤田宙靖裁判官濱田邦夫裁判官上田豊三裁判官
堀籠幸男)

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